Q7−1 計画を策定するに当たって求められる能力、留意すべきことは何か。 |
関係者からの多様な意見、本音を引き出すための、コーディネーターとしての能力。 より効率的に検討などを進めるための計画技術。 計画部門と事業部門に分かれている自治体では、現場の課題を計画に反映する姿勢をもつこと。 |
担当者は、関係者からの多様な意見、本音を引き出すことが重要である。このため、検討の初期の段階において、コーディネーターとして議論をけん引する役割が求められる。 また、より効率的に検討などを進めるためには、計画技術についての知見も必要となる。(Q2−4を参照) さらに、自治体によっては、計画部門と事業部門が分かれているケースがある。そのような場合は、計画と事業の両部門が問題意識を共有しながら計画策定を行うことが重要である。計画担当者は、現場の課題を計画に反映する姿勢をもつことが重要である。 |
Q7−2 基本方針、達成目標の達成に向けた計画を作成したいが、どのようにすればいいのか。 |
基本方針、達成目標を作成する際にとりまとめた現状や課題に対して、どのように改善すればよいかを考える。(V.実践例を参照) |
Q7−3 運営主体は、どのようにして決めればいいのか。 |
自治体、交通事業者、地域住民の関係主体間でよく調整し、合意しておくこと。 |
リスク(提供される交通サービスを持続的に運営する責任)は、関係主体全てに掛かるものであるが、運営形態によって、その軽重が異なる。提供する交通サービスの検討にあたっては、リスク分担について、関係主体間でよく調整し、合意しておくことが重要である。(こちらを参照のこと) |
Q7−4 「リスクの分担」とは、どういうことか。 |
リスクとは、提供される交通サービスを持続的に運営する責任のこと。 |
リスクとは、提供される交通サービスを持続的に運営する責任のことであり、関係主体全てに掛かるものであるが、運営形態によって、その軽重が異なる。 えてして、リスク分担の意志や能力によって運営形態やモードの選択肢が絞られることもあり、代替案の選択にあたっては、特に留意が必要である。 |
Q7−5 利用者である住民がリスクを分担している事例があると聞くが、どのようにしているのか。 |
自治体が一定の支援を行いながらも、地域住民が主体となって生活に密着した地域交通サービスを運営している。 |
市町村の限られた財源の中で、今後の高齢化の進行による交通弱者の増加に対応するためには、すべての地域交通サービスを税金だけでまかなうことは困難であると考えられる。 このため、生活に密着した地域交通サービスについては、自治体が一定の支援を行いながらも地域住民が主体となって構築し、支えていくことが重要である。 |
Q7−6 サービス水準をどうすれば明確にできるのか |
サービス水準をどのようにして設定するかについては、負担とサービス水準の組み合わせについてのデータを住民に提示し、それを住民が選択。 |
自治体の財源には限りがあるため、あらゆる利用者のニーズを計画に反映することは困難な場合がある。自治体の負担の超えたサービスの提供は、結果的に持続可能性を危うくする。 限られた財源の中で、サービス水準をどのようにして設定するかについては、負担とサービス水準の組み合わせについてのデータを住民に提示し、それを住民が選択することである。(参考文献:「地域社会が保障すべき生活交通のサービス水準に関する研究 平成19年度研究調査プロジェクト報告書」、(財)国際交通安全学会、平成20年3月) |
Q7−7 交通モードの選択に当たって注意しなければならないことは何か。 |
「コミュニティバス」、「定時定路線運行」といった固定概念はもつべきではない。 他の交通モードも含め、ネットワーク全体として地域住民の利便性を高めること。 |
交通モードは需要密度等の地域に特性に応じて考えることが重要であり、「コミュニティバスでなければならない」、「定時定路線運行でなければならない」といった固定概念はもつべきではない。 また、一部の路線、区間だけを見て検討するのではなく、他の交通モードも含め、ネットワーク全体として地域住民の利便性が高まるよう注意しなければならない。 |
デマンド交通を導入する場合は、定時定路線のバスと競合しないように注意 ・石川県宝達志水町では、コミュニティバス導入後に、デマンド(乗合)タクシーを導入したところ、コミュニティバスの利用者数が減少となっており、コミュニティバスとデマンド(乗合)タクシーの競合が発生したことが原因と考えられている。 |
Q7−8 運行ルートの設定に当たって注意しなければならないことは何か。 |
住民の移動ニーズ、移動実態に合致しているか。 ルートが冗長・複雑で非効率になっていないか。 定時性の確保ができるルートになっているか。 既存の交通事業者のルートと競合していないか。 |
■利用者の目的(ニーズ)に合っているか 単に公共施設を結べばよいというものではない。公共施設を地域住民が本当に利用したがっているのか検証が必要である。 ルートの調整に関して、基本的には、自治体で方針を描いた段階で、関係者の集まりに入っていき、その中で調整することが有効である。 ルートの設定あたり、住民の意見を反映することは重要であるが、白紙の状態で意見を聞くのではなく、住民にルートが設定できる条件を提示した上で議論してもらうことが重要である。 |
■ルートが冗長・複雑になっていないか 目標地点を最短で結ぶことが重要である。短いルートを高頻度で運行することが乗客にとって利便性が高く採算性も高い。 なお、高齢者等は時間に余裕があることから、入り組んだルートでも、乗りやすいところまでバスが出向く路線の方が好まれる場合もあり、あくまでも利用者のニーズを優先することが重要である。 また、利用者のニーズを優先するといっても、ある程度の意見の集約は必要である。すべてのニーズに応えようとしたあまり、かえって誰にとっても便利ではないルートになることもある。 |
■定時性を確保できるか 都市部の場合は、渋滞しているポイントをどのように外すか、自動車があまり走らないところにいかにバスを通すかを考慮することが重要である。 |
■既存の交通事業者との役割分担 交通事業者との連携・協力関係の観点からは、既存の路線バス等とルートがかぶらないような配慮が重要である。役割分担、相乗効果が発揮できるルート設定が重要である。 ■道路交通に支障はないか ルートの設定は、道路の状況(幅員等)や交通規制の状況など道路交通に支障を及ぼさないよう設定することも重要である。道路の通行に問題がないかどうかは、警察との協議も必要である。 ■採算性のみを考慮したルート設定は注意 市町村合併等を契機に路線を再編する場合、サービス水準の低下は避けるべきである。収支のみを重視した縮小均衡型の路線再編は失敗する可能性がある。 |
Q7−9 利用者にとってのモビリティ向上に配慮した仕組みには、どのようなものがあるか。 |
徒歩圏を考慮した高密度なバス停配置。 目的地(施設)への直接乗り入れ。 スムーズに乗換えができるよう施設を改善。 パーク&ライド、サイクル&(バス)ライド。 |
■バス停配置 バス停配置は、徒歩圏を考慮した高密度な配置が有効である。また、自動車の交通量が少ない区間では、フリー乗降制の導入も有効である。 なお、バス停の配置密度が高密になるほど、運行速度は低下することから、表面的に先進事例を模倣するのではなく、利用者のニーズ(時間に余裕のある高齢者等の利用が多い路線なのか、速達性を重視する通勤者等の利用が多い路線なのか)を踏まえて検討することが重要である。 |
■鉄道の新駅設置 人口や都市機能の立地からみて、一定の需要があるにも関わらず、鉄道駅がない場合は、新駅の設置を検討することが有効である。 |
■目的地(施設)への直接乗り入れ 車の魅力はドア・トゥ・ドアである。一方、公共交通の弱点は、公共交通を降りたところからの「足」の確保である。多くの人が利用する施設には、直接、玄関口まで乗り入れることが有効である。 |
■乗継の改善 バスと鉄道のシームレスな乗り継ぎは、ドア・トゥ・ドアの自動車に対抗する上でも重要な要素であり、交通結節点である中心駅から乗車できるようにしている事例や、鉄道駅や電停にアクセスするフィーダーバスの運行を行っている事例がある。また、電停と同一ホームにバスが乗り入れるなど、交通モード間のバリアフリーな乗り継ぎに配慮した施設計画をしている事例もある。 |
バスと電車の一体ホームにより乗り継ぎを円滑化 ・富山市では富山ライトレールの整備にあたり、乗り換えの利便性への配慮から、富山ライトレールとフィーダーバスが一体ホームで乗り継ぎできるようにしている。 |
■パーク&ライド 乗継ぎの利便性を高める方法としてパーク&ライドがある。車社会の中で公共交通の利用促進を図る上では自動車との共存は有効な視点である。都市部など道路渋滞が顕著な地域では、鉄軌道のメリットが高まるためパーク&ライドが有効に働く傾向がある。 |
■サイクルパーク&(バス)ライド バス停の利用圏は一般に、徒歩で5分程度、200〜300m圏域と言われているが、自転車でアクセスできるサイクルパーク&(バス)ライド用の駐輪場を設置することで、利用圏域を広げることができる。 なお、サイクルパーク&(バス)ライドは、バス停が高密度な配置されている場合、期待するほどの効果が出ない恐れがあることに注意する必要がある。 |
Q7−10 ダイヤの設定にあたって注意すべきものは何か。 |
利用者の目的(移動ニーズ)にあった時間になっているか。 時刻表を毎回見なくても記憶できるほどのわかりやすさに配慮することも有効。 他の交通機関相互の連絡・乗継のための待ち時間が適切になるよう、利用者の利便性に配慮されているか。 |
■利用者の目的(移動ニーズ)にあった時間帯になっているか ニーズへの柔軟な対応と、わかりやすいダイヤ設定は、トレードオフの関係になることもある。ダイヤは地域交通サービスのコンテンツとして根幹的なものであり、地域住民が納得できるものとすることが重要である。 |
■わかりやすさに配慮されているか
■わかりやすさに配慮されているか
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公共交通は利用者が降りたあとの行動も考えることが重要 ・バスの利用者は、バスを降りたら移動が終わるのではなく、そのあとの移動がある。大手のバス事業者が撤退した路線を引き継いだが、バスと鉄道の乗り継ぎ(待ち時間)を改善したことで、利用者が増えてきている。(イーグルバス(埼玉県)) ・鉄道との連絡強化を図るため、鉄道との接続を考慮したダイヤ改正を行った。(京都府京丹後市) |
Q7−11 利便性と経費の抑制と、どちらを優先すべきか。 |
どちらを優先すべきかという議論ではなく、地域住民の合意のもとで利便性と負担のバランスをどのレベルで選択するのかという議論とすべき。 |
乗ってもらうためには利便性が重要であり、地域交通サービスを持続可能なものとするためには経費も重要である。非効率な運行は改善する必要があるが、サービス水準を落とすような経費の抑制は結局のところ、利用者の減少につながる悪循環を引き起こす可能性がある。 利便性と経費の抑制と、どちらを優先すべきかという議論ではなく、地域住民の合意のもとで利便性と負担のバランスをどのレベルで選択するのかという議論である。このためには、自治体は地域交通サービスにどこまで支出できるか、また、地域住民はどこまで負担意思があるのかについて、必要な調査を実施するとともに合意形成を図ることが重要である。 |
Q7−12 輸送サービスを提供すれば、それで十分ではないのか。 |
顧客とのコミュニケーションも大切にしていくことが、リピーターをつくるポイント。 |
利用者と常に接する運転手の対応は、公共交通利用促進の要となる。運転手も、安全運転を第一にしつつ、顧客とのコミュニケーションも大切にしていくことが、リピーターをつくるポイントとなる。 また、観光との連携を図る場合においては、公共交通じたいを観光商品化し、「もてなし」のサービスを提供することが重要である。特に都市間を連絡する幹線である鉄道は、地域の観光振興を図る上で重要な資源であり、観光と連携した取組が効果的である。 さらに、車両の冷房化など乗り心地を快適なものとすることも重要である。 |
おもてなしに力を入れて地方鉄道を活性化 ・北近畿タンゴ鉄道(京都府)では、「おもてなし」に力を入れている。例えば、宮津線は平成19年から女性のトレインアテンダントを導入し(現在3名)、観光案内サービスを行っている。 ・その他、ペインティング列車の運行や花による駅舎の季節演出、駅ホームでの足湯の整備なども行っている。また、沿線の説明のためにゆっくり走ったり、停車したりすることもある。 |
Q7−13 車両のデザインは何故必要か。 |
乗ってもらうためにはまず知ってもらうことが必要であり、そのための有効な手だてとなる。 デザインは、住民が注目したり、身近に感じたりする方法の一つ。 鉄道の場合は、観光やイベント時にキャラクター列車などを運行する事例もある。 |
バスの場合、車両のデザインは、住民がバスに注目したり、身近に感じたりする方法の一つになる。子供が乗ってみたいと思うような、カラーリング等を工夫したデザインとした事例や、人目を引くように、レトロ調の車両を導入した事例がある。 また、鉄道の場合は、観光やイベント時にキャラクター列車などを運行する事例がある。公共交通の再生に取り組んでいる交通事業者の経験によると、鉄道はバス(観光・高速バスは除く)に比べて、車両を新しくした場合に利用者の増加につながりやすいという指摘がある。 |
Q7−14 その他、車両を選ぶ条件として、どのようなものがあるか。 |
道路の幅員や沿道環境、地形(起伏)等を考慮して車両を選定。 |
小型車両を導入した理由としては、狭い道路でも対応できること、住宅地内を運行しても住民に圧迫感を与えないこと、中山間地域等では地形に起伏があったり、道路が狭小であることから大型バスが入れない集落が多いことなどが挙げられている。 |
Q7−15 運賃の設定のために、どのような検討が必要か。 |
サービス水準を提示した上で地域住民の支払い意思額を把握。 受益者負担(運賃)の範囲、税金で賄う範囲をどのようにするのかの検討。 |
運賃は収入に直結するため、計画を作成する上で重要なポイントの一つである。運賃はサービスに対する対価であって、運賃そのものがサービスではない。提供しようとする交通サービスの水準との対応で運賃の水準を考えることが重要である。このため、計画段階や実証実験段階のアンケート等に基づき、慎重に判断することが重要である。 また、運賃ですべての運行経費を賄うことは困難であるため(賄うことができれば民間事業として成立する)、ある程度、税金を投入するという議論も出てくる。このため、受益者負担(運賃)の範囲、税金で賄う範囲をどのようにするのかの検討も必要である。 |
Q7−16 運賃の設定方法には、どのような種類があるか。 |
利用者需要の向上や導入された目的により、均一制・区間制・ゾーン制などの運賃形態もある。 |
バスの運賃は距離に比例する「距離制」で、乗車距離に応じて運賃がわかりやすいということから基本とされているが、地域や路線の状況、利用者需要の向上や導入された目的により、均一制・区間制・ゾーン制などの運賃形態もある。なお、路線バスの場合、均一料金の導入には、国土交通大臣若しくは地方運輸支局長の認可が必要である。 また、多様な割引制度を発案し好評を得ている事例がある。 |
Q7−17 既存の交通機関の運賃との調整は必要か。 |
自治体が関与する地域交通サービスと交通事業者が運営する地域交通サービスが、それぞれ役割分担し、ネットワーク全体として持続的に機能するためにも、既存の交通機関の運賃との調整は必要。 |
自治体、交通事業者といった複数の交通サービスを提供する主体が存在する場合は、それぞれが役割分担をして、全体として利便性の高いネットワークを構築することが重要である。 交通事業者との連携・協力関係の観点からは、自治体が関与する地域交通サービスの実施が、交通事業者の経営にマイナスの影響を与えないような工夫が重要である。 |
Q7−18 交通事業者が運賃の改善に協力してくれない。 |
利用が見込めない場合には運賃を元に戻すことを協定等で明確にする。 |
利用が一定のライン以上を維持されれば運行を継続するが、利用が見込めない場合には中止する(トリガー方式)といった条件の下、一定期間の中で試験運行するのも有効な手法である。 |
Q7−19 運賃の設定に当たって、留意すべきことは何か。 |
自治体の負担、利用者の負担が妥当と考えられる範囲で設定。 運賃を上げる場合には、サービス水準を上げるなど、全体として利用者のメリット、デメリットが相殺される工夫も重要。 |
運賃は、自治体の負担、利用者の負担が妥当と考えられる範囲で設定することが重要である。一度料金を決めると、なかなか値上げがしにくくなる。 運賃を上げる場合には、サービス水準を上げるなど、全体として利用者のメリット、デメリットが相殺される工夫も重要である。 |
近隣の自治体にならって運賃の値上げをしたところ利用者減に ・長野県伊那市では、近隣自治体のコミュニティバスの事例などから、サービス水準を変えずに、運賃の値上げを行ったところ、利用者が減少してしまった。 |
Q7−20 情報提供は、何故必要か。 |
公共交通を使っていない人にとっては、サービスの内容すらわからない。 サービスを改善しても、周知されなければ、利用してもらえない。 |
公共交通を使っていない人にとっては、自分の目的地に行くために利用できるバスがあるのかどうか、どこで乗ったらいいのか、どのバスに乗ったらいいのか、運賃はいくらくらいかかるのか、帰りの便はあるのか等、基礎的な情報すら知られていないのが現実である。 普段からバスに乗り慣れていない人には、バス停名を聞いても、それがどこなのか、目的地に近いのかどうかもわからないことに留意することが重要である。 また、ダイヤ等を改善したとしても、そのことが地域住民に周知されなければ、利用促進にはつながらないため、広く情報発信することが重要である。 本調査で実施したアンケート結果からは、情報案内や利用働きかけを実施することにより、当初の期待を上回る効果をあげる傾向がある。 |
ニーズも踏まえサービスの改善を図ったが周知不足で効果がいまひとつ ・福井県永平寺町では、アンケート調査の結果を踏まえ、コミュニティバスのルートを一部再編して鉄道駅への接続の向上を図ったが、地域住民への周知不足から利用者が増えなかった。 |
Q7−21 情報提供する内容や方法には、どのようなものがあるか。 |
時刻表、バスマップ等路線図、ホームページや携帯サイトによる運行情報提供。 ポスター・チラシ、広報誌、マスコミ等によるサービス改善の情報提供。 |
■時刻表
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分かりやすい、使いやすい鉄道・バス時刻表を自治体が自ら作成 ・京都府京丹後市では、これまでの路線バス時刻表は、すべてのバス停が掲載されていないことから、「バスに乗っていただく」という視点が欠けていると考えた。 ・そこで、すべてのバス停が網羅された時刻表を作成し、全戸配布した。時刻表は年に2回の頻度で更新、発行している。 ・当初、財政部署は、「時刻表の発行は、自治体の仕事なのか」と難色を示したが、時刻表は市民にバスを知ってもらうための施策であり、使いやすい時刻表を作成しないのは、「釣りをするのに餌がないのと同じだ」と説得した。 ・時刻表の更新は、自治体職員が自ら原稿を作成し、印刷のみを委託している。[こちらを参照] |
広報誌でバスを利用する生活シーンを情報発信 ・京都府京丹後市では、バスを知ってもらうことが重要であると考え、折込チラシや毎月の広報誌で継続的に宣伝を行った。 ・特に「生活の中でどのようにバスを利用するのか」を具体的にイメージさせることが重要であると考え、子供たちがバスに乗っている写真や、老人会がバスを利用している写真などを掲載した。 |
Q7−22 利用者にとって「分かり易い情報」、利用者に「利用してもらうための情報」とは、どのようなものか。 |
系統のネーミングや番号統一化、バス停名の工夫など。 |
■系統のネーミングや番号統一化 複数のバス事業者が運行している場合、事業者の系統番号を統一化することで、あまりバスに乗り慣れていない人も、目的地までのバスを簡単に探せるように工夫することができる。 |
■バス停名の工夫 バス停名を聞けば誰にでもその位置がわかるような「バス停名の工夫」も重要である。地域の人にしかわからないようなバス停名ではなく、誰もがわかる施設名などを使ったバス停名とすることが望ましい。 |
Q7−23 情報提供する内容や方法を検討するに当たって、留意すべきことは何か。 |
情報を更新する仕組みを整えること。 |
情報は更新することが重要である。このため、情報提供の仕組みを検討する際には、あわせて更新を含む運営コストをどのように調達するのかも検討しておくことが重要である。 |
Q7−24 モビリティマネジメントは有効か。 |
一定レベル以上のサービス水準が確保されていれば有効。 |
モビリティマネジメントは、ある程度のサービス水準をもつ路線でないと効果がないという指摘がある(イメージとしては、20万人以上の都市との意見もある)。一定のサービス水準があってはじめて、情報提供や各種の利用に向けた働きかけも有効になると考えられる。 |
Q7−25 計画の策定のために、調整すべきことは何か。 |
施策や事業の選択では、関係者の合意形成を図りながら選択すること。 財源の制約も考慮して、持続可能な施策や事業を選択すること。 |
施策や事業の実施にあたっては、交通担当部署以外の関連部署(例えば道路管理者)や交通事業者、許認可権者等の多様な主体が関わることから、施策や事業の選択では、関係者の合意形成を図りながら選択することが重要である。 また、財源の制約も考慮して、持続可能な施策や事業を選択することも重要である。国の支援制度を活用する場合でも、支援期間が終了したあとの継続性を確保することが重要である。また、財政部署との協議・調整も必要である。 |
Q7−26 調整にあたって、留意すべきことは何か。 |
調整が必要な主体とは、当初から情報、課題意識を共有すること。 |
調整を円滑に進めていくためにも、調整が必要な主体とは、当初から情報、課題意識を共有することが重要である。そのためにも、検討体制・組織に参加してもらうことが重要である。 |
Q7−27 他施策、他事業には、どのようなものがあるか。 |
商店街活性化との連携、観光振興との連携、学校教育との連携など。 |
■商店街活性化との連携 公共交通を利用することのメリットの付け方として利用頻度に応じてポイントが貯まり、それを商品券などに交換できるといった取組や、中心商店街などで買い物をした場合にバス利用に使えるポイントが貯まるなどの工夫が考えられる。また、イベントを行う際にバスを利用すると、特典を付けるなどの工夫も考えられる。 |
■観光振興との連携 人口減少社会を迎える中で、地域住民だけをターゲットとした運行は、いずれ利用者数の頭打ちになることが予想される。地域・まちづくりの方向性との整合を図りながら、地域交通サービスを観光振興等の活性化のツールとして活用する視点も重要である。 また、鉄道は、車内でのイベント等の開催ができるなど、車両自体が観光資源になる可能性をもっている。地方鉄道においては、鉄道の存在感をPRする上でも、車内でのイベント等の企画が有効である。 |
■学校教育との連携 子供のときからバスに乗っていないと、大人になっても乗らないという指摘がある。小学校と連携して授業でバスに乗る体験学習を実施することなどが考えられる。 |
Q7−28 他施策、他事業との連携を進めるに当たって、どのような検討、調整が必要か。 |
連携が必要な主体とは、当初から情報、課題意識を共有すること。 |
効果的な連携体制を構築するためにも、連携が必要な主体とは、当初から情報、課題意識を共有することが重要である。そのためにも、検討体制・組織に参加してもらうことが重要である。 |
Q7−29 実証(社会)実験を行う目的は何か。 |
計画の前提となる仮説を検証し、本格実施の前に必要な改善を行うためのデータを得るため。 |
取組の検討時において実施した地域住民のニーズは、必ずしも確実なものではないことから、実証(社会)実験により、計画した取組が住民ニーズに合致したものかどうか検証することが重要である。実証(社会)実験の結果を、本格運行時に反映することにより、より確かな効果が期待できる。 また、実証(社会)実験を実施するにあたっては、期間が短いと一過性のデータしか得られない可能性があることから、最低でも数ヶ月以上は行うことが重要である。 実験運行、試験運行でニーズを検証しながら、ルートやダイヤの変更など、改善を繰り返していることが利用者の増加につながっている事例もある。 なお、地域交通のサービスの維持に対する地域住民等の意識を高いまま維持することを意図して、敢えて「実証実験」の看板を下ろさない事例もある。 |
Q7−30 実証(社会)実験では、何を実施すればよいのか。 |
利用者数や、実際の利用者数から交通サービスに対する満足度、改善点を把握。 |
実証(社会)実験では、利用者について計画時の見込みと実態との間で乖離が生じているかどうかや、実際の利用者数から交通サービスに対する満足度、改善点を聞きだし、その結果を本格運行の際に反映することが重要である。 |
Q7−31 実証(社会)実験により把握したものを、どのように利用すればよいのか。 |
運行計画全般に反映。 利用者のニーズがなければ無理に本格化させないこと。 |
実証(社会)実験の結果は、ルート、バス停の位置・間隔、ダイヤ、運行本数、運賃体系、車両の見直しなどに反映することが考えられる。また、利用者のニーズがなければ無理に本格化させないといった姿勢も重要である。 |
Q7−32 実証実験の実施経費は、どのように確保するのか。 |
国土交通省の支援制度は「X.支援制度」を参照のこと。 |
(END)