バリアフリー

西日本旅客鉄道株式会社・高槻市 「行政と鉄道事業者等の協同による、駅および周辺施設の面的バリアフリー化のスパイラルアップ」

講評

 受賞者は、平成15 年にバリアフリー基本構想を官民協同で創り上げ、以降継続してバリアフリー化に取り組んでいる。その成果として、鉄道側では、ホームの安全対策のための新型ホーム柵の設置、改札外市有地における電車の発車時刻を示す電光掲示板の整備等を行っている。一方、市においても、駅周辺の様々なバリアフリー化事業、交通安全対策(視覚障害者用信号)を行っている。基本構想に基づく継続的な取組みと、その成果として結実した先駆的な取組みを高く評価し、表彰することとした。

受賞者の取り組み等

■ 取組みの概要
高槻市では、高齢者・障害者等の当事者の参加のもと、バリアフリー基本構想を作成し、さらにスパイラルアップを行ってきた。本計画のもと、駅や周辺施設の面的バリアフリー化が進められ、特にJR 高槻駅では新型ホーム柵が導入される等、先駆的な取組みが行われている。一方、基本構想の策定後毎年開催されている継続協議会等を通じて、障害当事者のニーズにきめ細かく対応した事業も併せて進めている。

● バリアフリー基本構想のスパイラルアップ
高槻市では、平成15 年に「高槻市交通バリアフリー基本構想」(旧構想)を策定し、市内鉄道駅やその周辺のバリアフリー整備を継続的に進めてきた。平成18 年にバリアフリー新法が施行されてからは、旧構想の目標年次を平成22 年に迎えたことや、多様化する市民ニーズに応えるため、平成23 年、高齢者・障害者等の当事者を含む多くの市民参加のもと、新法に基づく「高槻市バリアフリー基本構想」(新構想)を策定した。 新構想の基本理念は「人にやさしいまち、人がやさしいまち」であり、その実現のため、まちのバリアフリー化 を進めるとともに、新法で新たに規定された心のバリアフリーについても積極的に取組み、ハード・ソフトの両面 から一体的かつ継続的にバリアフリー事業を推進している。

● JR 高槻駅と周辺施設の面的整備


協議会の様子
新型ホームドア
 
 
 JR 高槻駅は、利用者数の多さに比べホームが狭く、ホームからの転落事故やラッシュ時の混雑等の解消が長年の課題であり、平成18 年度にJR 西日本・国・大阪府・高槻市からなる連絡調整会議を設置し、課題解決に向けて検討を重ねた結果、新たに新快速・特急専用ホームを整備することとなった。新ホームには障害者等から長年要望のあったホーム柵が設置されることになったが、異なるドア数の車両が停車する高槻駅では、従来のホームドア設置は困難であった。JR 西日本は新型の昇降式ホーム柵を開発し、平成28 年3 月に実用導入の第1号として新ホームに設置した。また、新ホームの西端にはスロープでアクセスできる新たな改札口が整備され、これにより複数のバリアフリールートが確保された。新たな改札前においては、既存道路を歩行者専用道路化する等、歩行空間の整備がなされるとともに、市有地に電車の発車時刻を示す電光掲示板を設置したり、信号に視認性の高いLED 付音響装置を併設するなど、先駆的な取組みを進めている。

● ソフト事業の推進
高槻市では、旧構想の策定された平成15 年度以降、毎年度「バリアフリー基本構想継続協議会」を継続して開催している。交通事業者、市民、学識経験者、行政等が一堂に会すバリアフリー会議であり、多様な主体が一丸となって取り組むことで、歩行者用案内標識サインや音声案内装置の設置等、当事者ニーズに合致した整備を推進している。また、高槻駅周辺のバリアフリー情報の提供ツールとして、「高槻駅周辺『おでかけMAP』」を作成・配布している。公共施設だけでなく飲食・商業施設も対象とし、入口幅・段差の有無・トイレ情報等を具体的に掲載しており、道路
のバリア情報を含めて事前に知ることができ、誰もが安心して外出できる環境づくりに寄与している。
 
協議会の様子
おでかけMAP 記載事項(一部抜粋)

◎ 今後期待される取組み
今後、バリアフリー基本構想に基づく継続的な取組みをさらに推進していくとともに、新型ホーム柵等の先駆的な取組みについて検証を行うことにより、全国的なモデルとして参照される事例となることが期待される。

西日本旅客鉄道株式会社
【連絡先】 大阪府大阪市北区芝田二丁目4 番24 号
【Web − URL】 http://www.westjr.co.jp/(外部サイト)
 
高槻市
【連絡先】 大阪府高槻市桃園町2番1号
     TEL:072-674-7552(都市創造部都市づくり推進課)
【Web − URL】 http://www.city.takatsuki.osaka.jp/(外部サイト)
 

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