バリアフリー

京都市「歩くまち・京都」をテーマとしたバリアフリーのまちづくり」

講評

 京都市は、「歩くまち・京都」を重点施策としてバリアフリー化を推進してきた。京都市交通バリアフリー全体構想に続き、「歩くまち・京都」交通バリアフリー全体構想を策定した。そのもとに24地区36駅の「移動等円滑化基本構想」を策定し、当事者参加・参画のもとハード・ソフト両面の施策を推進して障害者・高齢者等の外出と社会参加を促進した。取り組みの特徴は、1)バリアフリーと公共交通改善、歩行者優先まちづくり、歩く生活様式への転換を結合したこと、2)縦割りを排して困難な課題にチャレンジしたこと、3)PDCAシステムをつくりバリアフリー継続改善をしたことである。そのなかで京都駅八条口駅前広場整備事業、四条通歩道拡幅事業など全国的に注目される特徴ある事業を達成した。これらの先進性と継続性はわが国大都市の模範となるものであり表彰することにした。
 
 

受賞者の取組み

■取組みの概要 
◆ 36駅重点整備地区の移動等円滑化基本構想の策定と多部局連携による継続改善(PDCA)化
 
 京都市はバリアフリー化のマスターとなるプランとして『「歩くまち・京都」交通バリアフリー全体構想」』を策定し、そのもとに36駅の重点整備地区「移動等円滑化基本構想」を策定した。構想の内容は地区の特徴を反映し、京都らしい創意・工夫に満ちたものとした。また当事者の参加・参画や多分野の連携・協働に努めた。継続改善の仕組みが17年間で確立されており今後もさらに拡大・発展することが期待される。
 
◆人と公共交通優先の「歩いて楽しい四条通」歩道拡幅事業
 
 歩道の拡幅とバス停の一体的な整備等により、快適でバリアフリーな歩行空間の創出と公共交通の利便性向上を両立させた。整備にあたっては、地元住民、商業関係者、鉄道・バス・タクシー・物流等の交通事業者,学識者などの関係者と長期にわたる意見調整を行い、適宜、事業計画も修正しながら,実現に至った。とくに自動車交通との調整、公共交通(バス)の重視は全国から注目されている。

                            
                              
               四条通整備前                                       四条通整備後


◆使いやすく、人にやさしい京都の玄関口を目指した「京都駅八条口」の整備
 「京都駅八条口駅前広場整備事業」により,快適な歩行空間の創出や公共交通の乗継利便性の向上など,誰もが安全で快適に歩きやすい歩行者空間の創出を実現。客待ちタクシーや貸切バスによる駅前の混雑を防ぐショットガン方式(※)の導入、公共交通の乗継利便性を向上させるため,路線バスや高速バス乗り場を駅正面に集約、送迎スペースを確保するなどによりデザインと機能性を兼ね備えたスペースとなり、利用しやすくなったと評価されている。
※タクシーの待機場所を京都駅から離れた場所に設け,駅前の乗降場等の状況に応じて,自動的に待機場所から車両を送り出す方式

                         
             京都駅八条口整備前                                   京都駅八条口整備後


◆心のバリアフリーを目的としたハンドブック作成と周知
 ハード整備だけでなく、ソフト対策として、高齢者や障害のある方などに対する市民の理解を深め、積極的な手助けが行えるよう、公共交通事業者、行政機関などが連携し,広報啓発や教育・研修等を展開するなど、「心のバリアフリー」を推進。「心のバリアフリー」ハンドブックを作成すると共に、高校のバリアフリー学習等の機会を通じて、バリアフリーに対する理解を深めるための本市職員による講演等も行っている。内容はすべての人にわかりやすいものとするように努め、また知的・精神・発達障害への配慮に多数紙面をさいていることなどが特徴である。

     
    京都市「心のバリアフリー」ハンドブック

◎今後期待される取組み
 これまでの蓄積をもとに、さらに多様な人々を対象とするユニバーサルデザインまちづくりを推進してこれからも全国の模範となってほしい。日本の当事者参画のレベルをさらにあげる見本となることを期待したい。また寺社仏閣、史跡、文化施設、庭園、緑地、観光地などのバリアフリー化についてさらに全国を先導してほしい。


京都市
【連絡先】京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地
【Web-URL】 http://www.city.kyoto.lg.jp/


 

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