バリアフリー

関西エアポート株式会社 「多様な当事者と空港職員による建設的対話から成し遂げた関西エアポートのバリアフリー化」

講評

 本事例は、約30年前にわが国で最も洗練された空港として開港された関西国際空港第1ターミナルのユニバーサルデザイン化の取り組みである。評価した特徴は、移動等円滑化評価会議近畿分科会の当事者メンバーと関西エアポート社員による一体的な活動内容とその成果である。具体的には、広範かつ多様な当事者が本当に参画したと感じることができる「コミュニケーションの場」の試みが挙げられる。「カ フェにいるような雰囲気で話したい」という参加者の要望に対して、アロマを使用したり、様々な対話の場づくりを工夫するなど若手社員たちの日常的なアイディアが、参加した当事者の心理的負担をやわらげ、本事業を推進するための重要な信頼感を獲得している。このことがフォローアップ会議やモックアップの有益な活動に繋がり、他の類似事例と異なる整備の工夫や改善点を生み出した。本事例では、施設の用途や規模にかかわらず、当事者と事業者間の信頼関係の構築こそがバリアフリーやユニバーサルデザインの質と満足度を高めることを立証しており、本賞を受賞するにふさわしい好事例として高く評価する。

受賞者の取組

 関西エアポートでは、障害当事者等と対話しやすい雰囲気作りによって距離を縮めることにより、障害者等の要望・課題を一緒に考え、誰でも使いやすい施設作りに反映した。また、車椅子利用者だけでなく、聴覚障害者の方等多様な意見を取り入れ工夫がなされている。

●多様な当事者との建設的対話
 近畿運輸局移動等円滑化評価会議近畿分科会と連携したことにより、多様な障害当事者が参画する場として具体化した。その場として、障害当事者等から意見を聞くための検討会やフォローアップ会など合計27回もの打合せの場が持たれた。

●エレベーター緊急通報システム
 緊急時に聴覚障害者が使用できる連絡手段として、エレベーター内に二次元コードを貼付し、緊急時にはスタッフとチャットで連絡が取れるシステムを構築した。また、国際空港という観点から、当該システムの対応言語を当初の5言語から100以上の言語に対応ができるよう改修がされている。

●エレベーター扉幅
 車椅子使用者のエレベーターの扉がカゴの端まで開くようにしてほしいという意見と、視覚障害者の操作ボタン位置が一般的な扉横の位置にないと分かりづらいという双方の意見を反映して、エレベーターカゴ内の右側には操作ボタンを残し、左側のみ扉がカゴの端まで開くようにしている。

●トイレ
 一般トイレのブースの奥行を20cm拡大することにより手動車椅子が利用可能になるとのモックアップ検証結果を反映し、サイズの拡大と車椅子対応の手洗い場を追加し、手動車椅子で一般トイレが使用できるように整備した。

  
     エレベーターの二次元コード                エレベーターのかご

今後期待される取組

 本事業の記録を見るとすべての参加者の満足度がしっかりと伝わってくる。また、本事業では当事者参画をサポートした移動等円滑化評価会議近畿分科会の役割と責務も問われた。公民間の距離を事業者がどう認識していたかなど、今後の公共的交通事業者の展開に役立つ知見が少なくない。是非今回の経験を関西エアポート内での共有と継承だけにとどまらせることなく、国内の他の空港関係者、空港以外の公共的施設のバリアフリー化やユニバーサルデザインを推進する事業者、設計者、当事者に継承してほしい。

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