エディオンピースウイング広島は、新たな地域のにぎわい拠点創出の核を担う、広島市のシンボルとして整備された、約3万席を有するサッカースタジアムである。このスタジアムでは、あらゆる人たちが楽しめるように、最新のユニバーサルデザインに配慮した整備がなされている。代表的なものでは、車椅子席は総席数の1%以上、バリアフリートイレでは6種類35 か所、聴覚障害者対応集団補聴システム、新設スタジアムとしては日本初の感覚過敏の特徴がある子どもだちとその家族等が観戦できるセンサリールームなどである。また、このような整備が、障害当事者を含めた、市民参画の共創ワークショップにより、丁寧に行われた点にも特徴がある。よって、ユニバーサルデザインに基づく、先進的なスタジアムとして、国土交通大臣表彰に相応しいものとして認められる。
<取組みの概要>
広島市が整備を行ったサッカースタジアムであるエディオンピースウイング広島では、あらゆる人たちが快適に観戦できるようにユニバーサルデザインに配慮した整備がなされている。
●センサリールーム、カームダウンスペース
感覚過敏等の特徴がある発達障害のある子どもたちとその家族が安心して観戦できる部屋であるセンサリールームを常設。また、感覚刺激によるパニックに備え、室内に外部から音や光を遮り、静かに過ごせる場であるカームダウンスペースも設置している。
センサリールーム カームダウンスペース
●その他の特色ある観客席
聴覚障害者が利用しやすくなるよう座席下の磁気ループにより、雑音に邪魔されず、場内音声を 補聴器や人工内耳に届けることを可能とする集団 補聴システムを整備した観客席や、電動車椅子利用者が充電しながら観戦できるよう各エリアの車 椅子席にコンセントボックスを整備している。
車椅子席
サッカー観戦のみならず、スタジアム全体が楽しめる施設となっており、当事者参画により得られた知見をスタジアム運営に活かしながら、事後評価を継続することにより、今後の更なる充実・発展を希望する。また、周辺道路などの交通アクセスの整備も含めて、新たな賑わい拠点づくりの核となり、地域が発展することを期待したい。