2.持続可能な発展のための循環型社会の確立


(1)水循環など資源循環の確立に向けた施策の推進


@ 質・量ともに安全で快適な水の流れの構築を目的とした総合的水行政への転換
 源流から海に至るまで、流域の水循環や土砂の流れが、質・量ともに安全かつ快適となり、河川や海岸が本来有している大自然の恵みを享受できる安全な社会を構築するため、関連する各種の行政等と整合した河川行政、下水道行政等を実施する。

○洪水流出量の低減、平常時の河川流量の増大、水質の改善、地下水位・湧水の復活等適正な水循環確保のため、関連行政と整合した「流域水循環計画」の策定

○土砂の異常堆積や深掘れ、海岸侵食等を防止するため、源流部からダム、がけ、河川、海岸まで土砂の移動を相互に関連づけた土砂管理システムを構築

○利水者にとって質・量ともに望ましい取水を可能にするため、水利権の譲渡、転用等に関わる許可を弾力化

○雨水や下水処理水の水洗トイレ用水等へのリサイクル利用や河川の水質保全等のための河川、下水道一体となった「水環境保全共同事業」の推進




A 建設発生土、廃棄物等の建設副産物対策の充実と未利用エネルギー等の有効活用
 建設産業において、廃棄物の最終処分量を極力削減するとともに、再利用できない建設副産物の適正処理の徹底を図る。また再資源化に関する積極的な支援等を行う。

○最終処分量を極力削減するとともに最大限再生資源を活用した「リサイクルリーディング事業」を先導的に実施

○建設廃棄物等の指定処分内容に応じた確認方法のルール化、必要に応じて追跡調査を実施するための体制整備

○最終処分場等の立地・整備に関する支援方策の検討

○下水や処理水が有する熱、下水汚泥から発生するメタンガス等の未利用エネルギーの有効活用の推進


(2)良好な環境や歴史・文化等の次世代への継承


@ 国土全体にわたる環境への負荷低減施策の推進
 国土全体にわたり、建設行政に係る環境施策を総合的に実施するとともに、民間における環境への取組みを促進する。特に、地球温暖化の防止のため、二酸化炭素の排出抑制策を推進する。

○建設行政における環境施策の総合的・計画的な実施を図るための指標の検討

○建設産業における環境への取り組みの方向を定めた環境行動ビジョンや環境管理のあり方を定める環境行動ガイドラインに基づく取り組みの推進

○建物の防音化を促進する制度の拡充等道路事業、建築物、土地利用規制が一体となった総合的な沿道環境対策の推進

○住宅の省エネルギー対策を推進するため、「次世代省エネルギー基準」の普及を図るとともに、既存住宅の改修技術開発についての検討を実施

○環状道路等道路網の整備、TDM施策マルチモーダル施策等を通じた交通の円滑化や省エネルギー車の利用促進による二酸化炭素排出抑制策の実施




A 社会資本整備を通じた自然環境の保全・回復・創造
 河川や公園などそれ自体が生物の生息・生育や住民の憩いの場となる社会資本のみならず、下水道や道路などの整備に当たっても自然環境の保全・回復・創造を積極的に実施する。

○川本来の営み・ダイナミズムを活かした川づくり(自然を活かした川づくり)を災害復旧事業を含め全ての河川で推進

○「水と緑のネットワーク」を形成し、環境の維持改善、生物多様性の確保を図るとともに、緑の基本計画の策定を推進

○沿川市町村、地域住民等からの提案により、河川流域における生物の生息環境の保全計画の策定と河川環境のモニタリングの実施

○都市内の貴重な緑を安全に保全するため、樹木を活用したがけ崩れ対策として「緑の斜面工法」を導入

○海岸の防護を図りつつ、海岸環境の整備・保全、海岸の適正利用を行うため、海岸管理制度を抜本的に見直し

○道路整備において十分な自然環境保全措置を講ずるための方策等を取りまとめた指針の策定を推進




B 環境負荷の小さな都市づくり・住宅づくり
 豊かな環境と高次の経済・社会活動がバランスする都市づくりを推進するとともに、循環型社会にふさわしい居住様式を確立する。

○住宅・建築物のライフサイクルコストを低減するため、設計・施工ガイドラインを策定

○官庁営繕事業における総合的な「官庁営繕事業環境行動計画」を策定するとともに、環境負荷低減技術を幅広く採用した「グリーン庁舎」整備モデル事業を実施

○環境負荷の小さな都市づくりのパイロット事業として次世代都市整備事業を推進




C 地域固有の歴史・文化等を創造・継承する個性あるまちづくり・地域づくり
 文化性豊かな生活環境を享受できるよう、先人が築いた文化ストック、自然や景観、地域の個性を活かしたまちづくり・地域づくりを推進し、歴史・文化等との調和を図る。

○歴史的・文化的資産を保全・活用した公園緑地整備の推進

○美しい都市環境の形成のため、屋外広告物規制の適正化

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