
国土交通白書 2024
第3節 技術研究開発の推進
国土交通省では、事業・施策の効果・効率をより一層向上させ、国土交通に係る技術が広く社会に貢献することを目的として、「国土交通省技術基本計画」で技術政策の基本方針を示し、技術研究開発の取組みを推進している。今般、社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会技術部会での議論を踏まえ、「第5期国土交通省技術基本計画」(期間:令和4~8年度)で作成した、技術研究開発等を通じて実現を目指す将来の社会イメージを実現すべく、技術の社会実装及び普及の検討を深めるため、分野横断的技術政策ワーキンググループの設置を承認した。
(1) 施設等機関、特別の機関、外局、国立研究開発法人等における取組み
施設等機関、特別の機関、外局や国土交通省所管の国立研究開発法人等における主な取組みはリンク先のとおりである。国立研究開発法人においては、我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とし、社会・行政ニーズに対応した研究を重点的・効率的に行っている。
【関連リンク】
海上・港湾・航空技術研究所(船舶に係る技術及びこれを活用した海洋の利用等に係る技術に関する研究開発)
(2)地方整備局における取組み
技術事務所及び港湾空港技術調査事務所においては、管内の関係事務所等と連携し、建設工事用材料及び水質等の試験・調査、施設の効果的・効率的な整備や維持管理に関する調査・検討等、地域の課題に対応した技術開発や新技術の活用・普及等を実施している。
(3)産学官の連携による技術研究開発の推進
建設技術に関する重要な研究課題のうち、特に緊急性が高く、対象分野の広い課題を取り上げ、行政部局が計画推進の主体となり、産学官の連携により、総合的・組織的に研究を実施する「総合技術開発プロジェクト」において、令和5年度は、「建設事業各段階のDXによる抜本的な労働生産性向上に関する技術開発」等、計4課題について、研究開発に取り組んだ。
また、交通運輸分野においても、安全環境、人材確保難等の交通運輸分野が抱える政策課題解決に資する技術研究開発を、官民の連携により推進しており、令和5年度は、「運輸分野における水素の利活用拡大に向けた戦略策定」に取り組んだ。
(4)スタートアップ等への支援
建設分野の技術革新を推進していくため、国土交通省の所掌する建設技術の高度化及び国際競争力の強化、国土交通省が実施する研究開発の一層の推進等に資する技術研究開発に関する提案を公募する「SBIR建設技術研究開発助成制度」では、政策課題解決型技術開発公募(2~3年後の実用化を目標)の公募を行い、令和5年度は新規23課題、継続8課題を採択した。また、スタートアップの技術開発支援を目的に『中小・スタートアップ企業タイプ』を新設し、FS調査を開始した。
交通運輸分野については、安全安心で快適な交通社会の実現や環境負荷軽減等に資するイノベーティブな技術を発掘から社会実装まで支援する公募型研究開発支援制度「交通運輸技術開発推進制度」において、新規8課題、継続9課題(スタートアップ支援枠を含む)を実施した。また、令和5年度補正予算を活用し、本制度の充実化を図った。さらに、同制度の成果の普及・促進等を図るため、「交通運輸技術フォーラム」を6年3月に開催した。
上記に加え、研究開発投資に関する税制上の特例措置により、スタートアップを含む民間企業等の研究開発を引き続き支援している。