金堂天蓋
本堂の天井から吊り下げられている木造のこの装飾的な「天蓋」の重要な特徴のひとつが、天上の音楽家たちである。「天人」と呼ばれる彼らは、釈迦像の頭上を飛び交うように、横笛や琵琶や鼓などの楽器を奏でている。天蓋は、そのほか金銅の飾金具や鳳凰で豊かに装飾されている。飛鳥時代につくられた天蓋の彩色は、長い時間を経てすでに色あせている。このような天蓋はインドの貴族が使っていた日傘から派生したが、やがて仏の威徳を讃える荘厳具として設置されるようになった。そもそも日傘を仏陀にさしかけることは仏陀を厳しい太陽の日差しから守るとともに、その学びと徳に対する尊敬の念を示すことでもある。