V−2 小規模低・未利用地活用型

■地区のイメージ

@大都市圏の都心部に立地し、虫食い状に残る低・未利用地で有効活用が求められる地区

A大都市圏の密集市街地に立地し、低・未利用地の活用により、老朽木造住宅等の改善が求められる地区

B大都市圏の郊外部に立地し、都心部の影響によりスプロール化する市街地の計画的な土地利用の誘導が求められる地区

C地方都市の市街地において、土地の有効高度利用が求められる地区

 

■個別調査の主な提案理由
  • 密集住宅市街地内にある低・未利用地(公共用地)には、小規模敷地が多く、老朽化した木造建築物や未接道の敷地が多い。このため、当該低・未利用地を生かして、共同建て替えや街区全体での土地利用転換を図り、安全な市街地形成を図りたい。
  • 県庁舎等の移転により中心市街地の求心性の低下が懸念されるとともに、低・未利用地の発生や関連機関の移転、民間等の中心市街地からの撤退の可能性など、空洞化が予測されるために、合理的な土地利用転換を起爆剤とした今後のまちづくりの展開方向を探りたい。
  • 大規模商業施設の立地が予定されるなど危機感がある中で、駅直近のポテンシャルが高い地区にもかかわらず商業集積が進んでいないため、有効かつ適切な土地利用の検討を図りたい。
  • 駅前の商業系の用途でありながら、都市基盤整備の遅れにより、小規模農地や住宅等の混在など不適切な土地利用が懸念される。駅前広場整備など、基盤整備に併せた土地利用を図り、さらに駅前地区の活性化を図りたい。
■有効活用を阻害している問題設定 ■土地有効活用の課題と方策

  • まちの将来像が見えない。
  • まちづくりを醸成する場がない。
  • まちづくりに関する情報が乏しい。
  • 高齢化が進んでいるために地区外移転に消極的で世代交代や同居などに伴う建替えをしたくてもできない


1.地域の将来像の共有

◆住民参加よるまちづくり
◆持続性のあるコミュニティづくり


  • 小規模・不整形な低・未利用地が散在するために有効活用がしにくい。
  • 狭小敷地や未接道道路が多く、かつ、複雑な地権関係などから、容易に土地利用転換が図れない。


2.土地の整形化・集約化

◆敷地整序による有効活用
◆共同化による有効活用
◆居住環境の改善

  • 建替えや、上物整備の資金がない。借金をしてまでリスクを負いたくない。
  • いざという時のために青空駐車場として確保しておきたい。後々問題になる借地・借家権等の権利をつけたくない。


3.土地の特性に応じた有効活用

◆土地の特性に応じた事業手法の選定

■有効活用の視点
 既成市街地に分布する低・未利用地は、小規模・不整形で分散的に立地するものが多く、これらの低・未利用地の個々の開発は、土地の有効利用が図りづらいばかりか、かえって市街地環境の悪化を招く結果も予想されます。
 特に、大都市圏の住宅市街地や郊外部で見られる、密集市街地やスプロール市街地では、これらの低・未利用地は、地域のまちづくりのために活用すべき貴重な資源と考えられます。
 また、都心部では、街区内に虫食い状に低・未利用地が残され、有効利用が図れないまま放置されたものが多く見られます。これらの地域では夜間人口の減少・高齢化等による地域の空洞化も見られ、コミュニティの再構築が課題となっています。
 このように、既成市街地における低・未利用地の活用は、個々の対策のみではなく、住民参加の視点が最も重要となります。また、その場合、合意形成の作業を通じた持続性のあるコミュニティづくりを基本に置くことが大切です。
 また具体的には、共同化・集約化による有効活用など、個々の状況や特性に応じた有効活用方策が必要となります。