1.調査地区の概要 |
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地区名・提案者 |
対象地区の所在 |
面積(u) |
現状の主な
土地利用 |
法規制等 |
地権者状況 |
土地需要など開発の
方向性 |
@ |
茨城県水戸市
【水戸市】 |
茨城県水戸市大町三丁目4番 |
調査地区
15,044
提案地区10,369 |
調査地区は、武家地の町割を踏襲した大街区(基盤整備済み)であり、県庁の移転等に伴い、空洞化が進んでいる。提案地区には、市有地(1,709u)や駐車場等の低未利用地や低層戸建て住宅がある。 |
商業地域
(80/400)
近隣商業地域
(80/400) |
調査地区
AAA: 8
AAC: 5
ABB: 1
ABC: 1
A - - : 9
提案地区:市有地等 |
立地条件が良く、基盤が整備されているため、住宅開発の需要は高い。調査地区には、武家地のロット(敷地単位)を細分化した小規模な敷地が多く、住宅水準や住環境の向上、地域の活性化等のニーズがあるものの、有効活用が図りにくい状況にある。 |
A |
東京都墨田区
【マヌ都市建築研究所】 |
東京都墨田区東向島一丁目4番 |
調査地区3,309
提案地区1,431 |
調査地区は、衰退した商店街を含む住商混在密集市街地であり、提案地区は区有地(392u、暫定的に子ども広場として利用)とその周囲の無接道建築物や老朽木造建築物等である。 |
近隣商業地域
(80/300)
準工業地域
(60/200)
第3種高度 |
調査地区
AAA: 9
ABB: 14
ABC: 9
ABA: 1
AB - : 3
提案地区:区有地及びその周辺 |
居住継続の意向と環境改善の意向が高い。子供世帯との同居・隣居等の居住継承、それに伴う建て替えをしたいが、敷地条件や資金調達等の問題が障害になっている。区有地はまちづくり事業用地として取得したが、小規模・不整形なため、単独では有効活用しにくい状況にあり、共同更新を模索している。 |
B |
埼玉県加須市
【加須市】 |
埼玉県加須市富士見町2 5,8,9番 |
調査地区
約8.2ha
提案地区
約1.77ha
(近商部分) |
調査地区は、駅前交通広場と都市計画道路が計画されいるスプロール状の低層住宅市街地であり、提案地区は市の開発公社所有地*(約3,000u、未利用地)を含む近隣商業地域の指定区域である。(*:H12.3に市が購入し市有地となった) |
近隣商業地域(80/200)1種住居専用地域(60/200) |
調査地区:宅地の大半がAAA
提案地区:市土地開発公社所有地の他、
宅地の大半がAAA |
都市計画道路は、平成12年度に事業化を予定している。街路事業による整備後の残地の有効活用が課題になっている。周辺の土地区画整理事業は事業化の見通しがたっていない。高齢者向けの施設需要は期待できるが、その他の開発需要は低い。 |
2.調査の視点
(1)「小規模低・未利用地活用型」の対象となる市街地
このタイプは、敷地が小規模な低・未利用地の有効活用を促進していくことが期待されている市街地である。主として次のような市街地が対象となる。
@大都市圏の都心部虫食い市街地型/A大都市圏の木造住宅密集市街地型/B大都市圏のスプロール市街地型/C地方都市の中心市街地型
(2)「小規模低・未利用地活用型」の調査の視点
@ 居住者や土地所有者の意向や課題の把握
居住者や土地所有者がどのような環境改善や土地活用を望んでいるかという意向(ニーズ)をつかむことが必要である。同時に、権利調整や資金調達に関する悩み、不動産経営の不安など居住者・地権者の抱える様々な課題を把握することが重要である。
A 地域特性や行政上の課題の把握
対象地区の持つ多様な地域特性や資源(シーズ)、可能性等を把握するとともに、道路等の基盤整備や防災・住環境上の問題や少子・高齢化に伴う住宅問題、商店街の活性化の問題等行政上の課題を把握することが重要である。
B 建て替えや整備に伴う課題の把握
高齢者や零細地権者の居住継続に係る問題に充分に留意する必要がある。また、このまま計画的な介入をせずに個別建て替えが進んだり、現状のまま推移した場合の問題を明らかにする必要がある。更には、高度利用をした場合の周辺にもたらす影響についても留意する必要がある。
(3)「小規模低・未利用地活用型」の土地利用転換計画案作成の視点
@ 経済効率的利用と社会効果的利用
民有地の場合は、居住者の抱える課題の課題の解決や土地所有者の資産価値の向上の観点から経済効率的利用を図りつつ、地域の活性化や良好な市街地形成に資するように有効活用する視点が必要である。公有地の場合は、都市経営の観点から踏まえつつ、社会効果的利用を促進する視点がある。
A 計画的な介入の程度と合意形成
計画的介入を図らない場合の様々な問題を想定しつつ、関係者の合意形成を図るための段階的・連鎖的な事業展開等に留意する。
B 事業化の可能性とそれに係る課題の検討
社会経済の構造的な変化を認識した上で事業性や市場性に留意しつつ様々な可能性を検討するとともに、それに伴う課題を明らかにすることが重要である。 |
3.調査の方針
(1)本調査の基本方針
@ 対象地区の地域特性と課題の把握
関係者ヒアリングや現地調査、関連資料の収集・分析等を通して、対象地区の地域特性や地域資源、行政課題等を把握し、それを踏まえて小規模低・未利用地の有効活用の促進するための課題を把握する。事業化にあたっては、関係者との協議が必要となるが、本調査では直接的に実施しないこととする。
A 計画的介入の方策と事業化の可能性の検討
市町村の行財政をめぐる現実と将来の動向を踏まえつつ、新たな整備手法の適用や新たな機能の導入等を考察し、以下に述べる計画案作成の方針を念頭において、社会的・経済的に見て効果的な計画的介入の方策と事業化の可能性を検討する。
B 類似地区にも汎用できる調査の実施
本調査の成果を類似する公的機関所有土地活用型の地区にも汎用できるように、調査と土地利用転換計画案作成づくりをすすめる。なお、関係地権者や居住者に係る個別具体の問題の扱いや事業の実施に係る詳細な検討は行わないこととする。
(2)本調査における土地利用転換計画案作成の方針
提案地区内の低・未利用地の有効活用を図るため、次の3つの方針を念頭に計画案を作成する。但し、提案者にその意向がない場合は、この限りではない。
@ 敷地単位の個別更新による計画案
敷地単位で個別更新した場合の計画案を作成する。但し、地区計画制度や協調建て替え等による計画的誘導や従前居住者用住宅(コミュニティ住宅)等の整備等による社会効果的利用を図る計画案を作成するものとする。
A 敷地利用の共同化・一体化による計画案
隣接地等との敷地利用の共同化・一体化した場合の計画案を作成する。但し、共同化・一体化の範囲や計画案の具体的な内容は、共同化等に参加した関係地権者の意向や協議によることから、予め前提条件を設定した上で計画案を作成するものとする。
B 道路等の基盤整備やそれに伴う敷地整序による計画案
都市計画道路や区画道路の整備等、都市基盤を整備した場合の計画案又はそれに伴う敷地整序(集約・整形)をした場合の計画案を作成する。 |