「宅地造成及び特定盛土等規制法」(昭和36年法律第191号。通称「盛土規制法」)の概要を紹介します。
1.盛土規制法とは
本法の主な概要は以下のとおりです。
- 盛土等に伴う災害から国民の生命・身体を守るため、土地の用途(宅地、農地、森林等)にかかわらず、都道府県知事等の指定した規制区域内で行う一定規模以上の盛土等に関する工事については、都道府県知事等※の許可が必要となります。
※都道府県知事等…都道府県知事、指定都市の長、中核市の長
- 許可制度のほか、関係市町村や地域住民等による地域の盛土等の認識・通報を通じた不法・危険盛土等の未然防止や早期発見・対応により、盛土等に伴う災害防止を推進します。
- 許可違反の盛土等に加え、過去の工事によるもので危険な盛土等に対しては、土地所有者等に是正命令を実施。従わない場合等には告発や厳しい罰則の対象となります。

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- 本法で定める公共施設用地で行われる盛土等に関する工事は、盛土規制法の適用除外となります。
また、災害の発生のおそれがないと認められる工事は、許可不要となります。
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2.盛土規制法の体系
本法の主な体系は、以下のとおりです。

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3.令和4年(2022)改正の概要
令和3(2021)年7月に静岡県熱海市で大雨に伴って盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことや、危険な盛土等に関する法律による規制が必ずしも十分でないエリアが存在していること等を踏まえ、「宅地造成等規制法」を抜本的に改正して、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制することとされ、「宅地造成及び特定盛土等規制法」として令和4(2022)年5月27日に公布されました(令和5(2023)年5月26日施行)。
(1)スキマのない規制
- 都道府県知事等が、宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定
- 農地・森林の造成や土石の一時的な堆積も含め、規制区域内で行う盛土等を許可の対象とする 等
(2)盛土等の安全性の確保
- 盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じて、災害防止のために必要な許可基準を設定
- 許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、[1]施工状況の定期報告、[2]施工中の中間検査、[3]工事完了時の完了検査を実施 等
(3)責任の所在の明確化
- 盛土等が行われた土地について、土地所有者等が安全な状態に維持する責務を有することを明確化
- 災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても、是正措置等を命令できることとする 等
(4)実効性のある罰則の措置
- 罰則が抑止力として十分機能するよう、無許可行為や命令違反等に対する罰則について、条例による罰則の上限より高い水準(最大で懲役3年以下・罰金1,000万円以下・法人重科3億円以下)に強化 等
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4.その他
盛土規制法は、国土交通省と農林水産省(林野庁含む)による共管法です。
盛土の安全対策については、行為者等による是正措置を基本としつつ、地方公共団体が実施する安全性把握のための詳細調査や盛土の撤去、擁壁設置等の対策工事に要する費用の一部を補助しているほか、地方公共団体が行う基礎調査の費用の一部についても支援を行っています。