歴史まちづくり

古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)

古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)は、「古都」における「歴史的風土」を後世に引き継ぐべき国民共有の文化的資産として適切に保存するため国等において講ずべき措置を定めています。 現在、10市町村が古都保存法に基づく「古都」に指定されており、これらの市町村においては、歴史的風土保存区域の指定や歴史的風土特別保存地区の都市計画決定等の措置を講じ、区域内での開発行為を規制すること等により、古都における歴史的風土の保存を図っています。

 関係法令

 ・古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和41年法律第1号)
 ・古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法施行令(昭和41年政令第384号)
 ・古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法第2条第1項の市町村を定める政令(昭和41年政令第232号)
 ・古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法施行規則(昭和42年建設省令第2号)

1.古都における歴史的風土とは

比叡山延暦寺根本中堂(大津市)

比叡山延暦寺根本中堂(大津市)

■ 「古都」とは
「古都」とは、わが国往時の政治、文化の中心等として歴史上重要な地位を有する市町村をいい、古都保存法でその市町村を定めています。 現在、京都市、奈良市、鎌倉市のほかに、天理市、橿原市、桜井市、奈良県生駒郡斑鳩町、同県高市郡明日香村、逗子市並びに大津市の合計8市1町1村が「古都」に指定されています。
 →古都指定都市の概要はこちら

三千院(京都市)

三千院(京都市)

■ 「歴史的風土」とは
「歴史的風土」とは、古都保存法において「わが国の歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況」と定められており、歴史的な建造物や遺跡と、それらをとりまく樹林地などの自然的環境が一体となって古都らしさを醸し出している土地の状況をいいます。

2.古都保存法制定の経緯

3.古都保存法による歴史的風土保存のしくみ

古都保存法の特徴
● 歴史的、文化的資産と周辺の自然的環境を一体的に保存することを目的としています。
● 保存の対象となる都市ごとに、歴史的風土保存のための総合的な計画を立案することとしています。
● 建築物の新築等の行為を規制することにより、貴重な歴史的風土を保存することとしています。
● 損失補償、土地の買入れにより、土地所有者等に対する代償措置を有しています。
● 歴史的風土保存区域の指定など重要な事項について審議するため、有識者等から構成される社会資本整備審議会が国に設置されています。


歴史的風土保存区域
● 国土交通大臣は、歴史的風土を保存するために必要な土地の区域を「歴史的風土保存区域」として指定します。
● 歴史的風土保存区域内では、次のような行為を行う場合、あらかじめ府県知事(政令市においては市長)への届出が必要となります。  
 (1)建築物その他の工作物の新築、改築又は増築 
 (2)宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
 (3)木竹の伐採 
 (4)土石類の採取 
 (5)水面の埋め立て又は干拓 
 (6)屋外における土石、廃棄物、再生資源の堆積
● 府県知事(政令市においては市長)は、歴史的風土保存上必要がある場合には、助言又は勧告することができます。

  • 古都の歴史的風土に調和したまち並み(鎌倉市)

    古都の歴史的風土に調和したまち並み(鎌倉市)


歴史的風土保存計画
● 国土交通大臣は、歴史的風土保存区域の指定をしたときは、歴史的風土の保存に関する計画(歴史的風土保存計画)を決定することとしています。
● 歴史的風土保存計画には、以下の事項を定めることとしています。  
 (1) 行為の規制、その他歴史的風土の維持保存に関する事項
 (2) 歴史的風土の保存に関連して必要とされる施設の整備に関する事項
 (3) 歴史的風土特別保存地区の指定基準に関する事項
 (4) 行為の制限に伴う土地の買入れに関する事項

京都大原の田園風景

京都大原の田園風景

歴史的風土特別保存地区
● 歴史的風土保存区域内の特に枢要な地域について、府県知事(政令市においては市長)は、歴史的風土保存計画に定める基準に基づき、都市計画に「歴史的風土特別保存地区」を定めることができます。
● 歴史的風土特別保存地区内では、次に示す行為については府県知事(政令市においては市長)の許可が必要となります。
 (1) 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
 (2) 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
 (3) 木竹の伐採
 (4) 土石類の採取
 (5) 建築物その他工作物の色彩の変更
 (6) 屋外広告物の表示又は掲出
 (7) 水面の埋立て又は干拓
 (8) 屋外における土石、廃棄物、再生資源の堆積
● 許可に違反した場合には、府県知事(政令市においては市長)は、現状の回復等を命ずることができます。
● 許可が受けられないため損失を受けた場合には、府県(政令市においては市長)は、通常生ずべき損失を補償することとなっています。

買い入れ地の庭園的整備

買い入れ地の庭園的整備

土地の買入れ等
● 歴史的風土特別保存地区内において、行為の許可を受けることができないためその土地の利用に著しい支障を生じたとして、土地所有者からその土地を買入れる旨の申出があった場合、府県(政令市においては市)はその土地を時価で買入れるものとされています。
● 国は、府県の土地の買入れに必要な費用の一部を負担することとしています。
● 歴史的風土特別保存地区の指定には土地所有者にとって次のようなメリットがあります。
 (1) 優遇税制により土地の所有コストを軽減できます。
  ・ 相続税の延納に伴う利子税の利率が軽減されます。
  ・ 固定資産税は各市町村条例により減額もしくは免除されます。
 (2) 府県による土地の買入れがなされた場合、譲渡所得には2000万円の控除が適用されます。

お問い合わせ先

国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 景観・歴史文化環境整備室
電話 :03-5253-8111(内線32988)
直通 :03-5253-8954
ファックス :03-5253-1593

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