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　昨今の急激な国内経済情勢・海外建設市場等の環境変化により、建設活動の動向にも大きな変化が生じているが、建設業の今後のあり方を考え、また、建設産業の新しい構造改善の方向性を検討するためにも、その実態の的確な把握は不可欠である。
　このため、約57万社に及ぶ建設業者の中でも、大きな市場シェアを有すると共に多角化・国際化等の面で実績を有する大手建設業者56社(総合建設業36社、設備工事業20社)を対象に、直近の決算期末または決算期間内における企業活動の実態を調査した。
　本報告は、平成10年調査結果のポイントをとりまとめたものである。

(1)職種別常時従業者数

　職種別常時従業者数は全ての職種で減少し、全体で前年比3.7％の減(４年連続の減少)となった。
　調査を開始した平成６年以降の状況を業種別に見ると、総合建設業においては全体に減少する中で事務職及びその他の従業者数の減少が顕著であった。また、設備工事業においても職種別では同様の傾向が見られるが全体の従業員数はほぼ横這いであった。

(2)業務部門別常時従業者数

　業務部門別常時従業者数については、国内では「情報処理部門(前年比11.6％増)」は増加したが、「兼業部門(同26.0%減)」をはじめとして「本業の分社化による関連企業部門(同14.7％減)」、「研究部門(同6.6％減)」など、他は軒並み減少した。
　国内在住従業員の大半を占める国内建設事業・その他管理部門従業者について平成６年以降の推移を見ると、総合建設業においては、主として工事現場・作業所で減少している。また、設備工事業においては、工事現場・作業所から本社・本店、支社・支店に人員がシフトしている状況が見られる。
　企業の国際化に関する部門については、経済情勢の変化を受け「海外(同12.0％減)」及び国内の「海外事業部門(同2.4％減)」は共に縮小しており、両部門合計で同8.2%減と昨年に引き続き縮小傾向が見られる。

(3)国内在住外国人社員の国籍並びに受け入れ目的

　国内在住外国人社員の国籍は24の国並びに地域に及び、中国、大韓民国、アメリカ及びマレイシアの順となった。職種別では技術職 83.2％、事務職 13.9％、その他(一般雑務)2.9％となっており、主な職種としては、施工・施工管理、設計・積算、研究員の順となっている。

(1)事業別国内売上高

　直近１年間の年間総売上高23兆1,753億円(前年比3.9％減)に対する国内売上高は21兆8,699億円(同 4.7％減)となったが、本業以外の「その他の事業」は32.5％減と３か年連続で大幅に減少し、全体に占める割合も 2.4％(昨年は 3.4％)に減少した。
　なお、その他の事業の内容(重複回答)は、不動産業35社、建設コンサルタント9社、建築設計業7社、測量業6社などとなり減少傾向が見られる。

(2)設備投資の状況

　直近１年間の設備投資額は2,197億84百万円(前年比14.4％減)となった。内訳別では、研究所207.0％増、資機材センター13.8％減、情報センター94.3％増、その他21.6％減と、全体が圧縮されるなかで昨年とは逆にその他の設備投資(社屋等の業務用土地・建物､機械設備・器具等､福利厚生用土地・建物など)が大幅な減となった。

(1)海外建設事業の状況

　海外建設事業の契約金額は、1兆6,561億円(前年比18.9％減)と平成６年の調査開始以来、初めての減少となり、発注者別・プロジェクト別でも全ての原発注者・プロジェクトで２桁の減少となった。

(2)受注高の多い国・受注を伸ばしたい国

　海外建設事業について、直近１年間の受注高の多い国・将来受注高を伸ばしたい国を上位５カ国までを回答してもらったところ以下のような結果となった。
�@海外建設事業の受注高の多い国
　海外建設事業の受注高の多い国は、シンガポール、中華人民共和国、インドネシア、フィリピン、マレイシアの順となった。主な原発注者別では、昨年と比べ日系企業及びその他の民間企業での減少が目立つ結果となっている。
�A海外建設事業の受注高を伸ばしたい国
　将来、海外建設事業の受注高を伸ばしたい国については、中華人民共和国、　フィリピン、シンガポール、マレイシア、インドネシア、タイの順となり、中華人民共和国が２社増、シンガポールが１社増となったほか、フィリピンが前年と同数となり各々順位を上げたが、マレイシア、インドネシア等は減少した。

(3)資機材等の輸入の状況

　直近１年間の資機材等の輸入高は504億円(前年比1.2％減、２年連続の減少)で、直接輸入高24.8％減、その他輸入高9.3％増となった。資機材毎に見ると、外装材・電気機械器具等７品目で減少と答えた企業が増加したと回答した企業を上回り、特に電気機械器具、鋼材、木材については２年連続して減少したとする企業が増加したとする企業を上回った。

(1)年間研究開発費

　直近１年間の研究開発費は1,457億47百万円(前年比 4.9％増)で平成６年の調査開始以来初めて増加した。年間総売上高に対する割合は0.6％であった。
(2)工業所有権の自己開発所有件数、年間公開件数、年間取引件数
　工業所有権については、期末自己開発所有件数、年間供与件数は増加したが、年間導入件数は減少した。

(3)環境保全への取組み

　取組みの種類別(複数回答)では、情報収集・提供(45社)、廃棄物再利用関係(44社)、研究及び社内啓蒙活動(各39社)、施工の改善(37社)、ISO14000認証取得関係(33社)等の回答が多かった。
　また、直近１年間において特に力を入れている取組みとして、廃棄物再利用関係(33社)、ISO14000認証取得関係(28社)、社内啓蒙活動(19社)等の回答が多く、大きな社会問題として提起された建設廃棄物等の再利用に関する取組みが重要視されていると共に、環境管理・監査のための国際基準であるISO14000シリーズ認証取得に向け、各企業が積極的に取組んでいることが伺える。

(1)子会社及び関連会社の状況

　直近1年間における子会社は 52増 65減の 13純減で現在数 1,053社､関連会社は 21増 40減の 19純減で現在数 607社であった。 国内・海外別では、子会社が国内増、海外減であり、関連会社は国内・海外とも減であった。

(2)子会社及び関連会社の増減形態

　直近１年間における子会社及び関連会社の増減の形態を見ると、増加の形態は前年同様、新規設立によるものが最も多く、子会社については自社グループのみによる新規設立が23社、関連会社については他社との合弁による新規設立が 10社であった。また、減少の形態は、子会社では通常清算 48社、関連会社については株式の譲渡 23社の回答が最も多かった。
(3)子会社及び関連会社の事業領域について
　子会社及び関連会社の事業領域(重複回答)については、不動産賃貸業(37社)、不動産管理業(31社)、不動産開発分譲業及び総合建設業(各29社)、レジャー(24社)等の回答が多かった。

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