民間都市開発推進機構のあゆみ

 


目次

       1. 設立まで                   

        (1)背 景(昭和61〜62年当時)                

        (2)地方都市等における都市の開発整備               

        (3)民間都市開発の推進に関する特別措置法の制定          

        (4)民都法の改正(NTT−A型無利子貸付業務の追加)

        2. 設立                      

       3. 設立後の主な歩み               

        (1)都市研究センターの設置                    

        (2)土地取得・譲渡業務の創設とその後の経過            

        (3)参加・融通業務のその後のあゆみ

        (4)NTT資金貸付業務の対象拡充

       (5)PFI無利子貸付業務の創設

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1.設立まで

 

(1)背 景(昭和61〜62年当時)                          

 昭和60年の我が国の経常収支の黒字は551億ドルにのぼり、そのGNP に対する比率は3.8%と国際的にみても戦後最高となった。

 また、厳しい財政事情もあって、円高、貿易不均衡等を是正しつつ、調和の とれた対外経済関係を形成し、安定的な経済成長を実現していく上で、民間活力 の活用により内需を中心とした経済振興を図ることが重要となり、各方面におい て民間活力の活用が叫ばれ、関西国際空港株式会社の設立、東京湾横断道路株式 会社の設立、「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨 時措置法」の成立等が相次いだ。

 

(2)地方都市等における都市の開発整備

 当時、全国的な都市化のなかでも、東京圏、特に東京都区部とりわけ都心部 への人口、諸機能の集中化傾向が再び顕著となっていた。このような一極集中化 現象を是正し、国土の均衡ある発展を図っていくためには、地方都市等において 地域の特性を活かした活性化を図るとともに、地域の核としての機能の配置を含 め、適切な機能分担を行う多極分散型の都市構造を形成することが要請されてい た。例えば、地方中枢、中核都市においては、大都市のもつ高次の都市機能の分 散の受け皿としてその代替機能を育成するとともに、圏域内の拠点としての機能 を強化していく必要があり、地方中心、中小都市においては、それぞれの定住圏 レベルでの住民の生活、生産活動の中心としての都市機能を育成していく必要が あった。

 このような地方都市等の開発整備においても、内需の振興のためのみならず 、地域経済の活性化、地域の健全な発展の有力な手段として、また、円高の急速 な進展等によって加速化されつつある産業構造調整を円滑に進めるためにも、民 間活力の活用が大いに期待された。

 このため、金丸信国務大臣の私的諮問機関である民間活力活用推進懇談会( 座長 斎藤英四郎氏)においては、昭和61年11月に「大都市圏中心部の臨海 部等の再開発のための民間活力活用方策について」をとりまとめたのに続いて、 同年12月に「 地方における民間活力活用の推進方策について 」をとりまとめた。

 

(3)民間都市開発の推進に関する特別措置法の制定                    

 地方都市等においては、前述のとおり都市の開発整備の必要性は極めて高い が、都市開発プロジェクト自体が、投資の回収期間が長期にわたるという性格を 有していることに加え、大都市に比べて事業採算性が低いこと、事業遂行に当た っての必要な情報、ノウハウ等が不足していることなどの理由により、事業が顕 在化しない場合が多くみられる。

 このような状況において地方都市の開発整備をより積極的に推進していくた めにも、民間事業者によるプロジェクトに対し、種々の助成措置を講じていくこ とが課題であった。

 このような状況をふまえ昭和61年12月10日、民間活力活用推進懇談会 において示された「 地方における民間活力活用の推進方策 」の中では、

@「プロジェクトの開発企画等に要する初動資金に対する支援を行う」、

A「具体化のための必要な支援を行う機構等の整備」の検討、

B「資金調達面では、公的資金と民間資金とを複合的に活用すべきであるが、 長期的に安 定的な資金供給を図るための施策の充実についても検討されるべき 」、

といった指摘がなされた。

 以上のような経緯を経て、民間事業者によって行われる都市開発事業を積極 的に推進することにより、良好な市街地の形成と、都市機能の維持及び増進を図 り、もって地域社会の健全な発展に寄与することを目的として、「民間都市開発 の推進に関する特別措置法」(昭和62年6月2日(法律第62号)公布、昭和 62年8月5日施行、以下「民都法」という。)が制定された。

 

(4)民都法の改正(NTT−A型無利子貸付業務の追加 )

 

 昭和62年当時の経済・財政状況は、公債残高が増大するなか、経済社会情 勢の変化に弾力的に対応していくためにも、財政改革の強力な推進を図ることが 、喫緊の課題となっていた。

 このような状況のなかで内需を中心とした景気の積極的な拡大を図り、かつ 、持続させ、また地域経済の活性化を図るうえからも、公共的事業分野への民間 活力の導入の促進が積極的に展開されることとなり、そのなかでNTT株式の円 滑な売払いによって生じた収入の一部を活用し社会資本整備を図る制度が昭和6 2年度補正予算第1号(昭和62年7月24日成立)において創設された。

 具体的には、NTT株式売払い収入の一部を国債整理基金特別会計から一般 会計を通じて産業投資特別会計に繰り入れ、無利子貸付けを行うことによりAタ イプ、Bタイプ、Cタイプの3つの事業を推進することとされた。 

 

・Aタイプ(収益回収型)

 社会資本の整備を推進するため、その事業により生ずる収益をもって費用を 支弁することができる公共事業へ無利子貸付けを行うもの

・Bタイプ(補助金型)

 地域活性化につながる面的開発等と関連し、一体的緊急整備を要する公共事 業へ無利子貸付けを行うもの

・Cタイプ(民活型)

 地域の活性化に資する特定の民活事業を推進するためのインセンティブとし て無利子貸付けを行うもの

 

 Aタイプ(以下「NTT−A型」という)の公共事業のうち、第三セクター 及び土地区画整理組合(土地区画整理組合については、昭和63年4月26日民 都法の一部改正による業務追加以降対象事業者となる。以下同じ)が行う事業に 対するNTT−A型無利子貸付けについては、その業務を(財)民間都市開発推 進機構(以下「民都機構」という)を経由して行うこととされ、そのための民都 法の改正が急遽行われた。                                   

 第三セクター及び土地区画整理組合が行う事業に対するNTT−A型無利子 貸付けについてその業務を民都機構を経由して行うこととしたのは、収益事業を 含む事業全体について、民間の都市開発事業の専門機関である民都機構に審査さ せる方がより適確かつ効率的であること、民間の都市開発事業に関する情報、ノ ウハウ、低利資金の供給等の総合的支援措置をもつ民都機構が民間事業者に対す る窓口となるほうが、民間事業者にとり便利であること等の理由からである。

  

 その後のNTT−A型無利子貸付け事業の対象となる業務内容の拡充に伴う 民都法改正の経緯はつぎのとおりである。

 

1)昭和63年4月26日民都法の一部改正公布・施行

 ・第三セクターが行う一定の河川、砂防設備等の整備事業をNTT−A型無 利子貸付業務の貸付対象に追加

 ・土地区画整理組合が土地区画整理事業として行う一定の公共施設整備事業 をNTT−A型無利子貸付業務の貸付対象に追加

2)平成元年6月28日民都法の一部改正公布・施行

 ・都市計画区域以外の区域における公共施設整備事業をNTT−A型無利子 貸付業務の貸付対象に追加

 

2.設立

 

 民間都市開発推進機構は、その業務資金の一部について国からの援助をうけ、民間事業者が行う良好な都市開発事業に対して資金面・情報面等から多様な支援業務を行うこ とにより、良好な市街地の形成と都市機能の維持及び増進を図り、あわせて地域 社会の発展に寄与することを目的とする財団法人として昭和62年10月1日に 設立され、前述の民都法第3条第1項の規定に基づき、民間都市開発事業の推進 を図ることを目的とした財団として、昭和62年10月7日に建設大臣の指定を 受けた。

 

 設立当初の事業計画は以下のとおりである。                      

(1)参加事業(寄附行為第4条第1号事業)                       

 特定民間都市開発事業について当該事業の施行に要する費用の一部(民都法 第4条第1項第1号に規定する範囲に限る。)を負担して、当該事業に自ら共同 事業者として参加する。                                     

 また、この事業参加により取得した不動産を賃貸若しくは譲渡する。         

 

(2)融通事業(寄附行為第4条第2号事業)                       

 特定民間都市開発事業を施行する者に対し、当該事業の施行に要する費用( 民都法第4条第1項第2号に規定する範囲に限る。)に充てるための長期かつ低 利の貸付を行うために必要な資金の融通を行う。

                         

(3)貸付事業(寄附行為第4条第3号事業)                        

 民間都市開発事業のうち民都法附則第14条第1項に規定するものを施行す る者(第3セクターに限る。)に対し、当該事業の施行に要する費用に充てるた めの資金の一部を無利子で貸し付ける。

                              

(4)助成事業(寄附行為第4条第4号事業)                       

 民間都市開発事業の初期段階における基本構想・事業計画策定等の基礎的な 調査に要する費用について助成を行う。

                         

(5)あっせん事業(寄附行為第4条第5号事業)                       

 民間都市開発事業の所要資金で、上記(1)から(4)の事業の対象となら ない部分について、当該事業を施行する者に対し、金融機関の融資のあっせんを 行う。

 

(6)調査研究事業(寄附行為第4条第6号事業)                      

 民間都市開発事業の各種手法の有効性・成立可能性等の調査研究、民間都市 開発事業に関する各種情報の収集及び民間都市開発事業に関する啓蒙・情報提供 等の活動を行う。 

 

 

3. 設立後の主な歩み

 

(1)都市研究センターの設置

 

 都市政策の分野において、従来の計画規制・誘導、基盤整備中心の政策に対 し、民間を中心とした都市開発の進め方、都市開発投資市場の政策的誘導なども 含めた多様な政策対応が求められ、民間企業の専門的知識を活用しつつ、民間都 市開発の推進等のための調査研究を進めていくことが従来にも増して重要となっ た。

 このような調査研究は、民間都市開発事業の推進を目的として民都機構が設 立された時点より、民都機構の業務として行うこととしていたものであるが、新 たな都市開発事業の掘り起こし等につながる調査研究活動が極めて大きな意義を 持つことに着目して、民都機構本来の業務としての調査研究とは別に専門的な調 査研究機関として独立させ、都市研究センタ−として、平成2年6月11日に民 都機構の中に設置された。          

 都市研究センター設置は、所長(非常勤)、主任研究員2名、研究員4名の 体制で、業務を開始した。

 都市研究センターの主要な業務内容は次のとおりである。 

 ・ 21世紀型都市像の研究

 ・ 都市開発事業の企画、実施、管理についての調査、研究

 ・ 都市開発資金に関する研究            

 ・ 都市経済活動および都市産業の研究   

 ・ 都市における文化的機能の研究     

 ・ 諸外国の都市開発、整備方策の調査 

 ・ 前記・〜・号に掲げる事業に関する業務の受託 

 ・ 都市に関する講演会、シンポジウムの開催・運営 

 ・ 都市開発に携わる専門家の育成および研修

 

(2)土地取得・譲渡業務の創設とその後の経過       

 

 1)創設の経緯          

 バブルの発生とその崩壊を経て景気の低迷や地価の下落等が続き、都市開発 事業の採算性の不透明、設備投資意欲の減退などにより、民間都市開発が停滞す るなかで、経済対策としての土地の流動化が重要な政策課題とされた。

 これを受けて、平成6年2月8日に決定された政府の「 総合経済対策 」において、公共施設の整備を伴う優良な民間都市開発事業の適地で事業化 の見込みが高いものを先行的に取得する制度を臨時かつ緊急の措置として創設す ることが打ち出された。これは、都市部での未利用地などは、放置することなく 、有効利用と民間都市開発による基盤整備の促進に積極的に活用されるべきもの であり、これがひいては、土地市場の活性化や景気対策にも資することとなると の観点によるものである。

 こうした土地を先行的に取得し、将来の民間都市開発事業に活用するいわゆ る土地取得・譲渡業務の実施については、民間都市開発事業を支援する唯一の 公的な機関である民間都市開発推進機構において実施することとされた。
 このため、民都法等の改正ならびに平成5年度第3次補正予算(平成6年2月23日成立)による財政措置等が行われ、平成6年3月15日から民都機構において土地取得・譲渡業務が開始された。

 

 2)平成7年度の拡充   

 その後、平成7年に入っても、民間都市開発等の停滞状況が継続しているこ とから、民都機構の土地取得・譲渡業務を一層活用して、土地の先行的取得と民 間都市開発事業への活用を進めることとし、平成7年9月20日の経済対策閣僚 会議において決定された「 当面の経済対策 」において、土地の有効利用促進のための施策として民都機構による用地取 得等を積極的に推進することとされ(事業費を倍増)、そのために必要な取得用 件の緩和、支援措置の拡充等を図ることとされた。         

 平成7年11月には、これを受け、次のとおりの制度の拡充が行われた。

 

○民都法施行令の改正による拡充内容(平成7年11月10日施行)

・面積要件:

 原則  1,000u以上 → 500u以上

 隣地と一体として事業見込みがある場合500u以上 → 200u以上

・土地形状要件:

 従来は「おおむね整形」

  →民間都市開発事業の施行に支障がないと認められる場合及び一体的かつ 総合的な市
   街地の開発整備が行われることが確実に見込める場合は、適用 除外

○業務方法書の改正による拡充内容(平成7年11月10日施行)

・土地の保有期間:5年以内→10年以内

・売戻しに係る特約対象者:譲渡者→譲渡者又は十分な信用力のある第三者

○予算措置(平成7年10月18日)

・取得資金等の政府保証枠:5千億円→1兆円

・利子補給金:調達金利が公共特利を超えた差→調達金利の40%相当(1% を上限)

・事務管理費及び運営資金のための無利子貸付金:291億円→814億円

○租税特別措置法の一部改正

・地価税非課税期間:5年以内→10年以内(平成8年1月1日〜平成11年 3月31日 取得に適用)

 

 3)平成8年度の担保不動産等流動化総合対策による拡充

 不良債権処理を促進し、証券金融市場の活性化を図るため、平成9年3月3 1日に政府の担保不動産等関係連絡協議会により、「 担保不動産等流動化総合対策 」が定められた。この対策には、機構の活用により担保土地の集約化を進め るため、機構の土地取得面積要件の緩和を行うことが定められた。

 これに基づき、機構は、区画整理又は再開発の施行地区内の、一団の土地に なると見込まれる土地は、100u以上、近隣商業又は商業地域は65u以上な らば取得できることとされた。(平成9年12月19日政令改正)

 

 4)平成9年度の緊急経済対策等による拡充

 経済構造改革の大胆な実行、担保不動産処分等を促進する土地取引活性化と 有効利用等を進め、足踏みしている景気を回復軌道に乗せるため、政府は、平成 9年11月18日に経済対策閣僚会議において,「 21世紀を切り開く緊急経済対策 」を決定した。この対策においては、土地取得とその後の事業化の推進の他 、取得した土地の事業化を推進する方策,保証枠の規模を含め取得期限後のあり 方及び取得した土地を証券化等によって市場流通させる方策の検討をおこなうこ ととされた。

 その後、与党の経済対策の検討等を経て、平成10年3月31日に政府は「 規制緩和3ヶ年計画」を閣議決定した。これには次のような規制緩和を10年度 に行うことが定められた。
・土地取得譲渡業務の対象となる土地要件の緩和
・同業務に係る民間都市開発事業の延床面積要件の緩和
・同業務の運用改善等
・同業務の期限延長等の検討

 これを受けて、平成10年8月7日に政令改正が行われ,次の改正が行われ た。
・土地取得譲渡業務の都市要件を人口25万人以上から人口10万人以上に
・同業務の延べ床面積要件を2000u以上(地区計画等の区域内は1000 u以上)から, 一律1000u以上に 

 5)平成10年度の総合経済対策による拡充
内需の拡大、経済構造改革、不良債権の処理促進を進めるため,平成10年4 月24日に政府は経済対策閣僚会議において「 総合経済対策 」を決定した。
 これには、機構の土地取得業務枠を5000億円追加するとともに、時限的 に,機構内に専門家集団からなる都市開発プロモート体制を整備し、情報交換、 民間都市開発プロジェクトに対する助言,計画の提案等を積極的に行うこととな った。
 これに基づき、同年6月22日に機構内に再開発・土地有効利用支援センタ ーが設置され,組織体制の充実が図られた。

 6)土地業務の延長(平成11年3月法改正)
 平成6年から実施されてきた土地取得業務は、現下の厳しい経済情勢に対応 するため、3年間延長することとされた。
 このため、政府は、平成11年2月に「都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定し 、国会に提出した。同法案は、土地取得業務の3年延長を行う民間都市開発の推 進に関する特別措置法の改正の他、都市開発し金の貸付に関する法律、土地区画 整理法、都市再開発法の3本の法律改正を内容としたもので、同年3月31日に 可決され、成立した。

(3)参加・融通業務のその後のあゆみ

 参加業務及び融通業務はスタート時から景気拡大傾向の経済状況の中で着実 に定着し、新しいニーズにも柔軟に応えることができた。

 しかしながら、発足後も、都市の整備施策の展開や経済対策に機動的に対応 して、次のような制度の見直し、改善が図られてきた。

1)地方拠点都市法の特例

 その後、景気の減速、地価の下落等のいわゆるバブルの崩壊の影響を受け、 民間都市開発事業に大きな停滞が生じるようになった。

 このような経済状況の中で、大都市や県庁所在都市等の陰で伸び悩んでいる 地方の中心都市の自立的成長を促進するため、平成5年6月に「地方拠点都市地 域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律」(「地方拠点法」)が 制定された。この法律制定に伴い民都法施行令の改正が行われ、地方拠点法の拠 点地区内で行われる特定民間都市開発事業の施行区域面積要件が「2,000u 以上」から「 1,000u以上」に緩和された。

 

2)三大都市の特例

 さらに、景気減速状況の中で東京一極集中と言われ過熱していた大都市の民 間都市開発事業が激減した。民都法制定時は地方民活への梃入れを目的としてい たことから特定民間都市開発事業(都市計画施設特許事業を除く)の対象から三 大都市を除外していた。しかし、このような経済状況から、平成6年2月に細川 内閣の総合経済対策が打ち出され、土地取得・譲渡業務の追加と共に、特定民間 都市開発事業の対象地域から除外していた三大都市の地域においても計画的な再 開発に資する民間都市開発事業については3年間の期限付きで機構の支援対象に することができるように、平成6年3月に政令の附則が改正された。

 この三大都市の特例はその後も経済状況が大きく好転しなかったため、さら に3年間延長することとなり、平成9年3月に政令の附則が改正された。

 

3)まち並み・まちづくり事業の特例

 また、都市計画法の地区計画等の区域における建設省の補助制度等の見直し ・拡充(街並み・まちづくり総合支援事業(まち・まち事業)の創設)に併せて 、特定民間都市開発事業の支援対象を拡大することとなり、施行区域面積及び建 築物の延べ面積の要件をそれぞれ「1,000u以上」に緩和できるように、平 成6年9月に政令が改正された。

 さらに、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の復興のため、施 行区域面積の要件を「 1,000u以上」に緩和し、また、三大都市都心部の 夜間人口の減少を食い止めるための都心居住施策の一環として、都心居住に係る 民間都市開発事業の施行区域面積の要件を「 1,000u以上」に緩和するこ ととなり、平成7年11月に政令の附則が改正された。

 

4)都市の構成上重要な幹線道路網の沿道の特例

 平成9年の「 21世紀を切り開く緊急経済対策 」においては、融通業務において、土地の高度利用に資する一定の場合につ いて面積要件の大幅な緩和を図ることとされた。
 これに基づき、機構は,平成13年3月31日までの間,都市の構成上重要 な幹線道路網を構成する道路の沿道の区域(当該道路の整備に伴いその土地の高 度利用を特に促進すべきものとして建設大臣が定める基準に該当するものに限る 。)において、施行される民間都市開発事業は、敷地面積が500u以上のもの について,融通事業を行なえることとなった。このための政令改正は,平成10 年8月7日に行われた。

 

5)証券型参加業務の創設

 11年度から、不動産の証券化を促進するため、参加業務の一類型として、 機構が参加した民間都市開発事業で不動産の証券化が行われる場合において、そ の資金の償還を割賦弁済ではなく資産対応証券の代物弁済でできることとする「 証券型参加業務」を創設した。

6)民間都市開発事業の拡充

 11年度から,都市再開発法に基づく認定再開発事業を、参加・融通事業の 対象となる民間都市開発事業に加えた。


(4)NTT資金貸付業務の対象拡充

 貸付業務(NTT−A型無利子貸付業務)は、これを機構の業務に追加する ため、NTT法が昭和62年9月に制定された時に併せて民都法附則及び政令附 則が改正されたものである。

 

1)昭和63年

 その後、すぐに第三セクターが行う河川、砂防施設等の整備及び土地区画整 理組合が土地区画整理事業として行なう公共施設整備を貸付業務の対象として追 加することとなり、昭和63年4月に民都法附則及び政令附則が改正された。 

 

2)平成元年

 さらに、これまでは都市計画区域内に限定されていた貸付業務の対象地域を 、河川等一部の施設について都市計画区域以外にも拡大することとなり、平成元 年6月に民都法及び政令の附則が改正された。

 

3)平成2年

 また、下水道施設についても都市計画区域以外でも支援できるよう、平成2 年6月に政令の附則が改正された。



(5)PFI無利子貸付業務の創設

 PFI(Private Finance Initiative)とは、92年頃から、英国において導入されている、民間活力を活用した社会資本整備の手法であり、公共部門の計画・監督のもと、従来、公共部門が対応してきた公共事業・サービスを民間の資金やノウハウを活用し、高質かつ効果的なサービスを提供しようとするものである。
 日本においても、経済対策の一環としてこれを導入することとされ、議員提案で、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案」(いわゆるPFI法案)が国会に提出され、平成11年7月23日に成立し、同年9月24日に施行された。
 政府としても、PFIの推進体制の整備を図ることとし、民都機構においても、11年度より、民間事業者が行う公共施設の整備事業に対して、機構が無利子の資金を貸し付ける制度が創設された。

 



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