水深が床面を超えたら、もう危険!
- 自動車が冠水した道路を走行する場合に発生する不具合について -

令和元年の台風19号等による大雨においては、自動車が水没する等により、運転者や同乗者が亡くなる事故が相次ぎました。

自動車は、エンジンやモーターで駆動し、電気装置により制御されているため、水深が車両の床面を超えて車内へ浸水すると、様々な不具合が発生するおそれがあり、最悪の場合、エンジンやモーターが停止して移動できなくなります。また、水深がドアの下端にかかると、車外の水圧により内側からドアを開けることが困難となり、ドア高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなります。

 自動車は、水深が深い場所を走行できるように設計されていません。このため、大雨等の際には、早めの避難を心掛けることはもちろん、冠水した道路に安易に進入しないこと、冠水路で自動車が動かなくなった場合には早めに脱出することが重要です。

    • ※浸水による車両への影響については、車両形状や設計により異なります。特に、車高が低い車両では影響を受けやすいため、注意が必要です。

1. 自動車が冠水した道路を走行する際に生じる不具合

  • ○ 水深が床面を超えると、車内に浸水して電気装置が故障するおそれや、マフラーから浸水してエンジンルームが損傷するおそれがあります。その結果、次のような不具合を生じるおそれがあります。
    • 自動スライドドアやパワーウインドウが動作しなくなる
    • エンジンやモーターが停止し、再始動できなくなる
    • 【注意!】 水深が床面以下であっても、走行速度が大きくなると、車両が巻き上げた水や生じた波により、吸気口からエンジンに浸水し、最悪の場合、エンジンが停止して動作しなくなるおそれがあります。また、電気自動車やハイブリッド車では、駆動用バッテリーに浸水すると、車両が停止するおそれがあります。
    • 【注意!】 水流がある場合、車両が流されるおそれがあり、大変危険です。
  • ○ タイヤが完全に水没すると、車体が浮いて移動が困難になるおそれがあります。
    ○ 水深がドアの下端にかかると、車外の水圧により内側からドアを開けることが困難となり、ドア高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなります。※1、※2
    • ※1 内外の水の高さが同じになるまで浸水すると、内側からドアが開くようになります。
    • ※2 自動車のガラスは、脱出用ハンマーで割ることができます。ただし、フロントガラス及び一部のドアガラス(各メーカーにご確認ください)は、合わせガラスのため割ることはできません。脱出用ハンマーは、新車購入時にオプション購入するか、自動車の販売店・用品店で購入可能です。

2. その他の注意事項

  • ○ 冠水した道路では、路面が見えづらくなります。水深や道路の端がわからない場所(アンダーパスなど)には進入しないようにしてください。
    ○ 万が一、車両が水中に落ちてしまった場合には…。

    まず落ちついて、シートベルトを外し、窓を開け、脱出します。シートベルトが外れない場合はシートベルトカッターなどで切断します。窓が開かない場合は、水面より上にあるドアガラスまたはリヤガラスを緊急脱出ハンマーなどで割って脱出します。万一に備えて緊急脱出ハンマー、シートベルトカッターなどを運転者の手が確実に届く場所に用意しておきましょう。ガラスが割れない場合は車内外の水圧差がなくなるまで浸水するのを待ち、ドアを開け、脱出します。

    出典(一社)日本自動車工業会「安全すてきなカーライフ PASSPORT 2019-2020」 P28

  • ○ 水が引いた後も、エンジンをかけないでください。また、発火するおそれがありますので、バッテリーの端子(マイナス側)を外してください。(ただし、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブリッド自動車は、高電圧のバッテリーを搭載していますので、自分で対処せず、自動車整備工場等にご相談ください。)
    ○ 一度浸水した車両は、運転可能であっても、電気装置等が損傷を受けているおそれがあるため、自動車整備工場等で点検整備を受けるようにしてください。
    ○ その他車両ごとの注意事項については、車両に備えられているオーナーズマニュアルをご覧ください。

    脱出用ハンマー、シートベルトカッターの例  脱出用ハンマー、シートベルトカッターの使い方

    (JAFホームページより)

※この内容は、国内乗用車メーカー8社に対して、自動車が冠水した道路を走行した場合に生じ得る不具合等について調査を行い、その結果を踏まえ、「自動車が冠水した道路を走行する場合に発生する不具合」としてとりまとめたものです。

3.参考資料

掲載日2019/11/27

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