特集 「外国船の海難」 4/7 裁決が行われた事件の状況2
出航地・目的地の状況  我が国の主要貿易港と韓国、中国との航行が多い
 外国船の出航地及び目的地をみると、日本の港に向けて航行中であったものが29隻、日本の港を発し、国外へ向けて航行中であったものが32隻、日本国内港間の航行であったものが8隻となっています。
 出航地・目的地であった国内の港を都道府県別にみると、大阪が8隻、愛知、千葉、福岡が7隻、神奈川、広島が6隻などとなっています。
 また、出航地・目的地であった国外の港を国及び地域別にみると、韓国が25隻、中国が18隻、ロシア、台湾が各4隻などとなっています。
乗組員の船橋当直状況  8割強が複数船橋当直中に発生
 外国船の海難発生時の船橋当直人員は、71隻のうち原因とならないとされた2隻を除く69隻についてみると、2人で当直していたものが32隻と最も多く、2人以上の複数当直中に8割強の海難が発生しています。
 発生当時の操船指揮をとっていた当直者の職名は、船長が29隻、一等航海士が17隻、二等航海士が12隻、三等航海士が5隻となっています。
また、水先人が乗船して、きょう導中であったものが6隻となっています。
衝突事件の原因の度合い  主因・等因とされた外国船が7割
 衝突事件において摘示された海難原因について、外国船にかかわる原因の度合いを「主因」、「等因」、「一因」の別でみると、主因が32隻、等因が13隻、一因が19隻、原因とならないとされたものが2隻となっており、主因とされたものが約半数を占めています。更に、「主因」と「等因」を合わせると7割を占めています。
衝突事件の海難原因  「見張り不十分」のほか「航法不遵守」の割合が高い
 衝突事件の海難原因をみると、計83原因摘示されたうち、見張り不十分が35原因、航法不遵守が34原因とほぼ同数となっています。裁決全体では「見張り不十分」が56%、「航法不遵守」が20%となっており、外国船関連では「航法不遵守」の割合が非常に高くなっています。
 「航法不遵守」についてみると、「横切り船の航法」が適用されたものが10件と最も多くなっていますが、裁決全体(P40参照)と比較すると「港則法の航法」、「視界制限状態における航法」の割合が高く、日本の港における航法や、霧の発生など、我が国特有の条件の下で海難が発生しやすくなっています。
衝突の原因に至った動機  輻輳海域で「第三船の影響」が背景となったものが多い
 「見張り不十分」や「航法不遵守」に至った動機を、主因又は等因とされた45隻について抽出すると、「第三船の存在に気をとられた」、「第三船を避航したために衝突のおそれを生じることになった」、「第三船が避航の妨げになった」など、相手船以外の船舶の存在が誘因となったものが11隻みられました。
 また、相手船の動向を一見したのみで憶断し、「誤った避航措置をとった」、「避航しなかった」ものが9隻、「周囲を一見したのみで他船はいないと思った」ものが5隻など、不十分な見張りにより周囲の状況認識を誤ったものが目立っています。
 なお、裁決において、協力動作をとらなかった等、一因とされた19隻についてみると、うち、9隻は「相手船が避けるものと思った」となっており、他にも、「僚船や水先船が接近しているものと思っていた」など接近するまで危険を感じていなかったものが大半を占めています。

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       表紙     海難レポート2003概要版
メッセージ-CONTENTS-外国船の海難-最近の海難審判庁の動き-海難審判庁のしごと-裁決における海難原因-海難分析-資料編
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