特集 「外国船の海難」 5/7 裁決事例1
裁決事例-1
 外国貨物船G号日本漁船E丸衝突
発生日時  平成13年12月27日07時15分
場 所    豊後水道
気 象    晴、風力4の北西風、視界良好
損傷等    G号:右舷船首部に擦過傷
         E丸:船首部を圧壊

 G号:船橋後部でお茶を入れることに気をとられ、周囲の見張りを十分に行わず、前路を左方に横切るE丸の進路を避けなかった。[主因]
 E丸:死角を補う見張りを十分に行わず、衝突を避けるための協力動作をとらなかった。[一因]
海難の概要
 G号(3,005トン[パナマ共和国])は、船長及び一等航海士ほか17人(全員中国国籍)が乗り組み、鉄屑3,110トンを積載し、平成13年12月27日04時00分大分港を発し、ベトナム社会主義人民共和国ハイフォン港へ向かった。
 航行中、一等航海士は、右舷船首方に、E丸(2トン)が表示する白、紅の2灯を視認することができたが、船橋後部でお茶を入れることに気をとられ、周囲の見張りを十分に行わなかったので、その灯火に気付かないまま続航し、E丸の進路を避けずに進行して衝突した。
また、E丸は、船長が1人で乗り組み、たい一本釣りの目的で、同月27日06時20分大分県保戸島漁港を発し、同港沖合の漁場へ向かった。
 船長は操縦室右舷側の通路に出てリモートコントロールにより操縦していたが、操縦室の風防壁などで死角が生じる状況であった。
 漁場を移動中、船長は左舷船首方に、南下中のG号が表示する白、白、緑の3灯を視認することができたが、死角を補う見張りを十分に行わなかったので、その灯火に気付かないまま続航し、衝突を避けるための協力動作をとらずに進行して衝突した。
G号一等航海士の認識・判断:
 「船橋後部に移動して5分ほどの間お茶を飲んでいたため前方を見ていなかった」。
 「E丸と衝突したことに全く気付かなかった。」
 「日本海域は、今回が初めてであった。」
E丸船長の認識・判断:
 「自船が保持船なので、左舷側の見張りを少しばかり怠っても大丈夫だと思い、死角を十分に補わなかった。」

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       表紙     海難レポート2003概要版
メッセージ-CONTENTS-外国船の海難-最近の海難審判庁の動き-海難審判庁のしごと-裁決における海難原因-海難分析-資料編
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