APEC加盟エコノミー※の実務担当者や専門家が参加し、域内における運輸分野の現状について認識を共有するとともに、新しい課題について検討を行う会合で1991年に設立されました。交通ワーキンググループは港湾・海事専門家会合、航空専門家会合、陸上交通専門家会合、インターモーダル及びITS専門家会合の4つに分かれており、それぞれの専門家会合にはより具体化されたテーマに取り組むサブグループが存在します。それぞれの専門家会合は発案されたプロジェクトに取り組むことで具体的な成果を打ち出しています。また、セミナー、ワークショップ等を開催する機会としても有効活用されています。
日本でも現在まで3回開催をしており、1992年12月には第3回会合を東京で、2000年10月には第18回会合を宮崎で、2010年10月には第33回会合を千葉(浦安市)で開催しています。通常1年に2回のペースで開催されますが、原則2年に1回開催される交通大臣会合の開催年は年1回の開催になります。
また、国土交通省は交通ワーキンググループの日本政府代表団長として政府の取りまとめを行っています。
※APECでは、国や地域のことを「エコノミー」と称します。
(APEC加盟エコノミー)オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、中国香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ、アメリカ、ベトナム 計21エコノミー
日本は、港湾・海事専門家会合の議長を務めており、議長として自由で開かれた貿易と投資を達成するというAPECの目標(ボゴール目標)に向けて、APEC域内の専門家の円滑な議論をリードすることで大きく貢献しています。
とりわけ海運自由化の促進に向けた取り組みとして、2011年12月に、我が国主導で第1回APEC海運政策研修を実施しました。カナダ、中国、日本、パプアニューギニア、フィリピン、チャイニーズ・タイペイ、タイ、アメリカ、ベトナムが参加し「海運政策共通原則」を軸とする国際的な秩序形成に向けた能力開発支援を図りました。またサプライチェーン接続性向上に向けた取り組みとして、海上コンテナ輸送にかかる物流情報の可視化を推進する取組について、APEC加盟国・地域間で情報共有するワークショップを我が国主導で2012年7月(第36回交通ワーキンググループ)に開催しました。
その他、基準・規制の国際調和への貢献として、自動車の国際基準調和を議論しているUNECE・WP29(国連欧州経済委員会・自動車基準調和世界フォーラム)での取り組みをAPEC加盟国へ主導的に情報共有する等、毎回、様々な専門家が参加し、各専門家会合におけるプロジェクトの立案、専門家の派遣、プレゼンテーションによるベストプラクティスの共有等を積極的に行っています。