1.趣旨
第8次治水事業五箇年計画は平成8年度をもって終了するが、社会、経済情勢の変化に対応しつつ、なお、頻発する水害・土砂災害等に対処し、国民の生命・財産を守るとともに、水と緑によるうるおいと活力のある豊かさを実感できる国民生活の実現に向けて、引き続き事業を緊急かつ計画的に推進するため、新たに平成9年度を初年度とする第9次治水事業五箇年計画を策定する。
2.重点施策
- 阪神・淡路大震災の教訓を活かして、安全な社会基盤の形成
- 頻発する渇水に対して、安心な生活の確保
- 地域からの要望の強い、きれいな水と緑の水辺の創出
- 個性豊かな活力ある地域づくりの支援
3.計画の目標
- 氾濫防御必要人口約6,300万人に対し、現況約5割から概ね6割まで防御人口を増やす。
- 土砂災事防御必要人口約560万人に対し、現況約4割から概ね5割まで防御人口を増やす。
4.計画の規模
区分
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第8次五箇年計画
(平成4〜8年度)
計画額(A)
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第9次五箇年計画
(平成9〜13年度)
決定額(B)
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倍率
(B/A)
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治水事業
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109,000
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116,000
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1.06
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災関・地単等
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40,100
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60,000
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1.50
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調整費
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25,900
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64,000
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2.47
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合計
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175,000
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240,000
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1.37
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担当 河川局河川計画課 門松河川計画調整官
内線3273
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1.新規事項等
- 広域河川改修事業の創設
水系・大支川等の単位で一括採択し、水系一貫の計画的な整備を図るとともに、治水安全度の著しく低い区間等を重点的に整備する区間とし、改修効果の早期発現等効率的な事業の推進を図る。
- 河川環境整備事業の拡充
汚濁河川についてその原因となっている流入河川(指定区間内の一級河川、二級河川)を浄化事業の対象として追加。
- 総合浄化対策特定河川事業の拡充等
三大都市圏に係る一級河川又は二級河川で、下流における重要な水源となっている湖沼の追加。
- 渚の創生事業の創設
海岸浸食が進んでいる海岸において、過剰に堆積した土砂や漁港等の浚渫土砂を、砂浜の失われた海岸へ輸送するシステムを漁港事業等との連携により整備し、砂浜の保全・創出を図る。
- 津波防災ステーションの整備の推進
津波による壊滅的な被害を防止するため、海岸4省庁所管の水門等の一元的遠隔繰作を図るとともに、地震、津波等の情報収集機能を有した津波防災ステーションを建設する。
- いきいき・海の子・浜づくりの推進
文部省所管教育施設(国立少年自然の家等)と一体となって、海辺における野外学習・環境教育を支援するため、豊かな自然にふれ親しむ場として利用しやすい海岸づくりを行う。
- 海岸保全施設整備事業の拡充(都市海岸高度化事業の創設)
市民の利用の高い市街地の海岸において、耐震性など海岸保全施設の安全性を向上させるとともに、これらと一体となって遊歩道、植栽等の整備を行い、都市の快適空間としての海岸整備を図る。
2.行政部費
- 洪水氾濫対策検討経費
洪水氾濫の被害を最小限にくい止めるためには、地方自治体等においても氾濫流の制御施設の整備、避難地・避難路の整備、防災情報の提供等の被害軽減策をまちづくりと一体となって進める必要があり、これら被害軽減対策を実施するための「洪水氾濫対策指針(仮称)」を策定するものである。
- 水防活動広域支援施設経費
近年の氾濫区域への人口・資産の集積の拡大、高度情報化、機械化、高齢化等、水防をめぐる諸情勢が著しく変化している。また、阪神・淡路大震災を契機として大災害における広域支援体制の整備が急がれている。このため、水防管理団体が相互に協力して水防活動を行うための設備を備えた水防活動広域支援施設の整備を図る。
3.政策金融
- 斜面整備融資制度の創設(日本開発銀行・北海道東北開発公庫)
急傾斜地崩壊危険区域等において、危険な斜面の安全度向上に資する形で民間事業者が行う開発事業を対象として日本開発銀行等が長期・低利の資金を融資する制度を創設する。
- 水辺空間整備事業融資制度の拡充(日本開発銀行)
都市域における良好な水辺空間の創出を図るため、スーパー堤防整備事業、ふるさとの川整備事業及びマイタウン・マイリバー整備事業と一体となって行われる民間事業者の建築物に対して、日本開発銀行が長期・低利の資金を融資する水辺空間整備事業融資制度の融資対象地域に都市河川改修地域等(現行:三大都市圏)を追加し、三大都市圏のみならず、地方の主要都市においても良好な水辺空間整備を促進する。
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