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アメリカのダム事情について



アメリカのダム事情について



【ダム建設の状況】
米国ダム目録によれば、堤高6ft(約1.8m)以上のダム・堰は約77,400箇所あり、貯水容量は全体で6,148億m3(日本の28倍)に達しています。施設数の目的別割合は、レクリエーション31%、消防・養殖17%、治水15%、灌漑14%、水道用水等10%、発電3%などとなっています。
 
日米の総貯水容量比較
平成12年3月に出された「公共事業の個別事業内容・実施状況等に関する予備的調査についての報告書」(衆議院調査局)によると、「米国連邦政府および州政府においてダム建設を全面的に中止・休止したわけではなく、西部の州においては現在も州政府により大型ダムを建設中である」とされています。また、世界大ダム会議(ICOLD)が1999(平成11)年9月にまとめた資料によると、カリフォルニア州などの水需給の逼迫している地域などで、42ダムが工事中とされているところです。2000(平成12)年12月には、カリフォルニア州のサンディエゴ郡水道局により、水道用水供給のためOlivenhainダム(堤高:94m、貯水容量:29百万m3)の建設が始められています。
日米の総貯水容量比較 日米の総貯水容量比較
  
1999年時点での工事中のダム数
なお、2001年(平成13)年8月の米国ダム協会年次講演会で、内務省開拓局長は、「「ダムは造らないのか?」と質問されれば、私は「造る」と答える。」と講演しています。
工事中のダム数 工事中のダム数
  
【ダム・堰の撤去】
堤高別の撤去施設数
米国の民間団体(アメリカンリバーズ等)の調査によると、米国では既に467のダム・堰が撤去されているといわれています。撤去された施設のうち9割以上は高さ15m未満であり、我が国ではダムとは呼ばず堰と呼んでいるものです。
堤高別の撤去施設数 堤高別の撤去施設数
 
竣工年別の撤去施設数
撤去された施設の設置目的は、発電、レクリエーション、鉱山用、灌漑などが多く、また、竣工年が判明している66施設についてみると、1940年以前に設置されたものが8割以上を占めています。
竣工年別の撤去施設数 竣工年別の撤去施設数
 
代表26事例の撤去理由の分析
これまでに撤去された施設は、その大半が小規模な取水堰であり、既に使用不能な施設や老朽化等により安全面で問題のある施設、維持修繕費がかかりすぎ経済的に成り立たない施設です。このような施設が撤去されれば、サケ等魚類の遡上環境や生息環境が改善されることにもなります。
代表26事例の撤去理由の分析 代表26事例の撤去理由の分析
 
代表26事例の設置目的と代替施設
灌漑用水や水道用水などのため現に使用されている施設(発電用施設を除く)については、取水用ポンプの設置や他ダムに水源を依存するなどの代替措置が講じられなければ撤去されることはありません。
代表26事例の設置目的と代替施設 代表26事例の設置目的と代替施設
堆積土砂の処理については、小規模な堰が大半であるため、自然流下させることが多くなっています。 
【撤去事例・エドワーズ堰】
エドワーズ堰は、メイン州のケネベック川において、私企業の製材等の動力源として1837年に完成した、木製枠工をコンクリートで被覆した堰(堤高7.3m)です。エドワーズ堰は、老朽化に伴う維持管理費の増大による発電の収益性低下や大規模な補修の必要性など安全面で問題があり、また、サケ等の遡上環境の改善も必要でした。このため、1997年、連邦エネルギー規制委員会により初めて撤去命令が出され、費用負担の調整の後、99年に撤去されました。

エドワーズ堰位置図
エドワーズ堰位置図
エドワーズ堰(撤去前)
エドワーズ堰(撤去前)
 
【撤去予定の事例・エルワダム、グラインズキャニオンダム】
エルワダムは、ワシントン州オリンピック半島のエルワ川に位置し、1913年に完成した発電目的の重力式コンクリートダム(堤高32.9m)です。グラインズキャニオンダムは、その上流に27年に完成した発電目的のアーチダム(堤高64m)です。エルワ川河口部に居住している先住民族のクララム族が、経済的、精神的に重要なサケを回復し、また、同族の聖地を回復するため、エルワダム、グラインズキャニオンダムの撤去を主張してきました。このため、連邦政府は2000年に両ダムを買収し、2005年ごろからの撤去を予定しています。

エルワ川流域図
エルワ川流域図
エルワダム本体
エルワダム本体
グラインズキャニオンダム
グラインズキャニオンダム

 
 
 
 

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