ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> ダム  >> ダム事業の紹介

河川局

オピニオン
「緑のダム」が整備されればダムは不要か

「緑のダム」が整備されればダムは不要か

  • 森林の果たす土砂流出防止、景観・リクリエーション機能は重要で価値の高いものだと考えられます。しかし、ダムの建設に代えて、森林の整備等による「緑のダム」で代替することは、以下のとおり、非現実的です。

○「緑のダム」による治水機能の代替は可能か?

○「緑のダム」による利水機能の代替は可能か?
  • 森林の水源涵養機能については学説が定まっておらず、森林整備による効果の定量的な評価は困難ですが、森林の増加は樹木からの蒸発散量を増加させ、むしろ、渇水時には河川への流出量を減少させることが観測されています。
  • 従って、利水機能の代替を森林の整備に求めることは適切とは考えられません。

○日本学術会議答申(平成13年11月「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について(答申)」)においても、森林の多面的な機能について評価する一方で、森林の水源かん養機能(洪水緩和機能等)の限界について指摘しています。
  • 流況曲線上の渇水流量に近い流況では(すなわち、無降雨日が長く続くと)、地域や年降水量にもよるが、河川流量はかえって減少する場合がある。このようなことが起こるのは、森林の樹冠部の蒸発散作用により、森林自身がかなりの水を消費するからである。
  • 治水上問題となる大雨のときには、洪水のピークを迎える以前に流域は流出に関して飽和状態となり、降った雨のほとんどが河川に流出するような状況となることから、降雨量が大きくなると、低減する効果は大きくは期待できない。このように、森林は中小洪水においては洪水緩和機能を発揮するが、大洪水においては顕著な効果は期待できない。
  • あくまで森林の存在を前提にした上で治水・利水計画は策定されており、森林とダムの両方の機能が相まってはじめて目標とする治水・利水安全度が確保されることになる。
(日本学術会議(答申)より抜粋)

※日本学術会議: 人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関。昭和24年に内閣総理大臣の所轄下に「特別の機関」として設置され、中央省庁再編に伴い、総務省に設置。
http://www.scj.go.jp/info/pdf/shimon-18-1.pdf参照)

森林面積率の国際比較
   日本はすでに世界有数の森林保有国。
   この森林の存在を前提として大洪水、大渇水に対して計画を立案。
   現状の森林を大切に保全することが重要。
森林面積率の国際比較

出典:総務庁統計局編「世界の統計1996年版」

【↑戻る】

国土利用の変化
森林面積は過去100年間で大きな変化はなく、
国土の約7割を占めているにもかかわらず洪水や渇水は頻発してきた。
国土利用の変化

出典)アトラス 日本列島の環境変化

【↑戻る】

降雨量と流出量
森林の有する洪水緩和機能には限界がある。
降雨量と流出量(相俣ダム流域)

【↑戻る】

森林の成長に伴う流出量の変化
 森林が成長した場合、豊水や平水時の河川の流量は増加するものの、低水や渇水時には河川の流量はかえって減少する場合があります。
 これは、森林の樹冠部の蒸発散作用(根から吸い上げた水分や樹木に降った雨が枝や葉などから水蒸気として放出される作用)により、森林自身がかなりの水を消費するからです。
森林の成長に伴う流出量の変化

※森林面積は、1930年代から1980年代にかけて増大
※1930年代の年平均降雨量 1790mm/年
※1980年代の年平均降雨量 1860mm/年

豊水流量:1年を通じて 95日はこれを下らない流量
平水流量:1年を通じて185日はこれを下らない流量
低水流量:1年を通じて275日はこれを下らない流量
渇水流量:1年を通じて355日はこれを下らない流量

(東京大学愛知演習林白坂流域のデータをもとに作成)


【↑戻る】

Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111