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河川局

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記者発表

3.水災時の情報提供等

(1)事前情報の周知
(緊急に点検、実施すべき事項)
・ハザードマップの作成、公表の推進。

(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・水災シナリオ別ハザードマップの検討、作成。
・住民への分かりやすい説明、情報提供方法の検討。
・ハザードマップに基づく、水災時の避難、誘導訓練の実施。

 住民の水災時の行動には、河川、下水道等の整備の現状、集中豪雨等に見舞われた場合の浸水状況を把握し、いつ、どこへ避難するかなど、水災時の行動等について事前に十分に認識していることが効果的である。
 このための情報として、大河川の氾濫を想定したハザードマップが作成されているが、作成済みは全国で86市町村である。また、内水による氾濫実績を住民、民間事業者等に提供する浸水情報マップについては全国231市町村で作成されている。いずれも名古屋市及びその周辺地域では作成されていなかった。
 市町村のハザードマップ作成を推進するには、水災シナリオ別予測シミュレーション結果等を基に、関係機関が連携、協力して検討を進める等の支援が有効である。この場合、水災シナリオ別の複数の状況を、住民等が分かりやすく理解できるような表現、情報提供方法の工夫が必要である。
 また、ハザードマップを有効に活用するためには、降雨、河川水位等の状況からどのようなタイミングで避難すればよいのか、関係機関が連携、協力してあらかじめその考え方等を検討しておくとともに、これに基づく訓練、マスメディアの協力等によりハザードマップの意味、活用法等を日常から住民等に情報提供することが効果的である。

(2)情報収集体制の整備
(緊急に点検、実施すべき事項)
・河川、下水道等の光ファイバー網整備の推進、及び、監視カメラ、各種センサー等による河川、排水ポンプ場、流域状況の監視体制、下水道管内水位監視体制の整備推進。

(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・市町村災害対策本部に集まる浸水、被災情報、水防活動状況等を河川、下水道管理者に伝達する情報連絡員確保等の体制整備。

 水災時の浸水状況を把握する情報システムは未整備の状況にある。刻々と変化する浸水状況をリアルタイムで把握するには、監視カメラ、浸水深計等の浸水状況監視システムが有効である。
 また、浸水、被災、救難支援要請等の水災状況は市町村災害対策本部に集約される。現状では、これらの情報を河川、下水道管理者が把握する仕組みは位置づけられていない。市町村災害対策本部との情報連絡方法のひとつとしては、河川管理者との情報連絡員の確保、配置がある。この場合、市町村に負担をかけないため、情報連絡員用の携帯型無線電話、可搬型FAX等の整備が必要である。また、3.(3)で推進すべきとしている情報システムの相互接続、ネットワーク化により、情報の共有がなされることが効果的である。

(3)住民、防災関係機関の情報共有
(緊急に点検、実施すべき事項)
・マスメディアの協力、及び、インターネット、情報表示板、携帯端末を利用した情報システム等の活用による、住民、防災関係機関等への迅速で分かりやすい情報提供の推進。

(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・河川、下水道管理用光ファイバー網を活用した、河川、下水道管理者と都道府県、市町村災害対策本部等の情報システムの相互接続、ネットワーク化による情報共有の推進。
・住民に河川の状況等を分かりやすく解説する河川情報解説者の配置、及び、解説の実施。
・中小河川を対象とした洪水予報制度の検討。

 東海豪雨では、約58万人に避難勧告、指示が出されているが、防災無線が聞き取れなかった、広報車が浸水により避難勧告対象地区に入れなかった等により十分に住民に情報伝達されていない例があった。また、避難所へ避難した住民に対する水害状況や生活資材提供等の情報が十分届かない例があった。
 さらに、洪水予報、水防警報等の各種の情報が伝達されているが、これを受けて水防活動や避難支援などがどのように実施されているのか、情報のフィードバックがない状況であった。
 ITを活用した住民への情報提供として、インターネット、携帯端末を利用した情報システム等の活用の試みが開始されている。また、住民等に河川状況、水災状況を分かりやすく伝えるためには、テレビ、ラジオ等のマスメディアの協力を得て、河川情報解説者等による状況解説を行うことが有効である。
 洪水予報、水防警報の伝達には、1時間前後を要している。
 防災関係機関間のリアルタイム情報共有には、河川、下水道管理用光ファイバー整備を推進し、各防災関係機関の情報システムを相互接続、ネットワーク化することが有効である。その際には、水災対策の即時性、豪雨、強風等の厳しい気象状況下にあること等を考慮し、バックアップ体制を十分検討して強靭なシステムとすることが重要である。
 さらに、レーダー雨量情報、地域雨量予測情報等を活用した中小河川洪水予測手法の研究、開発が進められている。現状では中小河川の洪水予報制度はないが技術の進展を踏まえ実施制度導入を検討する時期にきている。
 水災時の情報を住民、防災関係機関等が的確に活用するためには、日常からの水災対策への理解が必要であり、防災訓練や水防訓練、水にかかわるシンポジウム等各種の機会を活用して啓発に努めることが有効である。

(4)水災対応の円滑な意見交換
(今後さらに検討を加え、推進すべき事項)
・水災対策関係機関責任者間の水災対策ホットラインの設定、整備。

 東海豪雨では、河川管理の責任者と市町村の防災責任者の間で、電話による直接の状況伝達、意見交換が行われている。地域防災計画には、この様な責任者間の直接の意見交換システムは位置づけられていないが、避難勧告等の水災対策の迅速な実施には、この直接の意見交換が意思決定に重要な役割を果たしている。
 市町村の避難等の意思決定を支援するためには、河川、下水道管理者と、都道府県、市町村災害対策本部等の関係機関責任者間の意志疎通を迅速、的確に行うことが重要であり、水災対策ホットラインを対策に位置づけ、専用回線の設定、TV会議システム等の意思決定責任者間の迅速、確実な意見交換システム整備を進めることが有効である。



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