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河川局

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記者発表
4.河川生態系の人為的撹乱状況の把握
多くの河川、ダム湖で外来種を確認

本来は日本に生息しない海外の生物種が侵入し、自然界へも広がっている例が数多く見られます。このような外来種は、在来の生物種を圧迫したり、自然には起こらない交雑によって固有な種や遺伝的な多様性を消失させたりすることで、生態系への様々な影響が懸念されています。また、植物などでは人の健康や活動に様々な影響を与えていることが、近年問題視されています。  このような外来種のうち、特に社会的にも問題になっている魚類のオオクチバス、ブルーギル、底生動物のスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)、植物のハリエンジュ、ブタクサ、オオブタクサ、アレチウリ、爬虫類のミシシッピアカミミガメ、昆虫のブタクサハムシの確認状況を整理しました。 オオクチバス、ブルーギルはほぼ半数の河川、ダム湖で確認されました。スクミリンゴガイは河川では約2割で確認されましたが、ダム湖では確認されませんでした。ブタクサ、オオブタクサ、アレチウリは河川では6〜8割の河川で確認されましたが、ダム湖ではハリエンジュが7割のダム湖で確認された以外は2〜4割でした。ミシシッピアカミミガメは、約6割の河川、約1割のダム湖で確認されました。ブタクサハムシは、河川では約6割の河川で確認されましたが、ダム湖では約2割でした。
前回も調査を行っている河川、ダム湖で経年的な確認状況を比較するとほとんどの種が前回よりも確認河川数、ダム湖数が増えていました。




渓流魚のアマゴを本来の分布域ではない日本海側の7河川で確認

オオクチバスなどの外来種による日本在来の魚類群集への影響は深刻な課題ですが、在来種の人為的な移動が地域の魚類群集に与える問題も重要であると考えられています。 本来の分布境界がはっきりしている近縁種間の分布を、漁業対象種として各地で積極的に放流されているヤマメ・アマゴと、漁業対象種となっていないアブラハヤ・タカハヤの間で比較しました。 アマゴは本来の分布域ではない日本海側の7河川で、ヤマメは中部の安倍川で確認されました。これらの河川では本来の分布種であるアマゴ、ヤマメもそれぞれ確認されており、放流によって両種の分布が入り乱れていることが確認されました。 タカハヤは、本来の分布域と大きく異なることはありませんでしたが、アブラハヤでは本来の分布域ではない日本海側の矢田川(二級河川)にも生息していることが確認されました。両種は直接放流対象となることはありませんが、別の放流魚に混入するなどして分布を広げている可能性も示唆されました。 前回も調査を行っている河川、ダム湖で経年的な確認状況を比較すると、4種ともほとんど変化はみられませんでした。




絶滅危惧U類に指定されているメダカを約6割の河川で確認
メダカを圧迫する外来種のカダヤシの確認河川数は約1割

環境省のレッドリストで「絶滅の恐れがある種(絶滅危惧U類)」に指定されているメダカを約6割の河川で確認しました。外来種のカダヤシは、蚊の幼虫のボウフラを駆除することを目的に持ち込まれましたが、メダカに対して攻撃性を示し、メダカの生息を圧迫しているという研究報告もあります。カダヤシは約1割の河川で確認されました。 前回と今回の調査を行っている河川で確認状況を経年的に比較すると、確認河川数に大きな変化はありませんが、メダカでは、今回新たに8河川で確認され、今回確認されなくなった河川が6河川ありました。これらは調査の範囲や回数が異なるなどの影響も考えられますが、新たに確認された河川では放流の可能性も考えられます。 メダカは、レッドリストに掲載されて以来、各地で盛んに放流されているようですが、他地域からの放流は地理的な遺伝的多様性を消失させ、その地域に遺伝的に固有な個体群にとっても思わぬ影響を与えかねません。メダカに限らず、放流には地域特有の遺伝的個体群が保護されるよう十分な配慮が必要です。


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