先般の「平成16年7月新潟・福島豪雨」及び「平成16年7月福井豪雨」により、河川堤防の破堤等により甚大な被害が発生しました。
このため、平成16年7月23日付けで堤防等の河川管理施設の状態を確認するため、目視による緊急点検を8月中を目途に行い、必要に応じ修繕工事その他の適切な措置を講ずること等について、各地方整備局に指示するとともに都道府県等に要請を行ったところですが、緊急点検の実施結果等についてとりまとめたのでお知らせいたします。
緊急点検は、これまでに直轄管理区間で約1万3千km、都道府県管理区間で約3万9千kmについて行いました。その結果、直轄管理区間では70箇所、都道府県管理区間では905箇所について修繕工事等その他適切な措置を講ずる必要があると判断される箇所があり、そのうち、緊急的に対処する必要がある箇所から優先的に修繕工事等の措置が進められているところです。
なお、個別の緊急点検結果等につきましては、各地方整備局及び各都道府県等にお問い合わせ下さい。
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堤防等の河川管理施設の緊急点検結果について
緊急点検について
先般の「平成16年7月新潟・福島豪雨」及び「平成16年7月福井豪雨」により、河川堤防の破堤等により甚大な被害が発生した。
出水期における出水対策について、国土交通省としては、毎年、出水期前に事務次官通達などにより各地方整備局に指示するとともに各都道府県等に対し要請を行ってきたところであるが、先般の豪雨災害をうけ、本格的な台風期を迎えるにあたり堤防等の河川管理施設の状態を再度確認するため、平成16年7月23日付けで、目視による緊急点検の実施と必要に応じ修繕工事その他の適切な措置を講ずること等について、各地方整備局に指示するとともに都道府県等に要請を行った。
緊急点検の対象区間は、直轄管理区間では基本的に堤防区間全てを対象とし、都道府県管理区間では堤防区間全てを対象に実施した自治体が約6割、その他の自治体は、堤防のうち背後地に人家のある区間や重要水防区間等に限定し実施され(資料−4)、点検は、ほとんどが徒歩により資料−1の点検項目を参考に実施された。
緊急点検の結果として、堤防の機能上支障を生じる恐れがあると判断し、出水に備え早急に修繕工事その他の適切な措置を講ずる必要がある箇所(要対策箇所)及びその対策の実施状況について報告をお願いした。
1.点検区間
1-1 |
直轄管理区間で約1万3千km、都道府県管理区間で約3万9千kmについて緊急点検を実施。
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堤防の緊急点検は、直轄管理区間では基本的に堤防区間全てを対象に実施し、都道府県管理区間においては堤防区間全てを対象としたり、堤防のうち背後地に人家のある区間や重要水防区間等に限定して実施されるなど様々であった。(資料−4)
緊急点検は、9月16日現在で、直轄管理区間では13,197km(点検対象区間の100%)、都道府県管理区間では38,982km(点検対象区間の100%)の区間で終了した。(資料−6、資料−7)
2.点検結果
2-1 |
要対策箇所は、直轄管理区間の河川では70箇所、都道府県管理区間の河川では905箇所。
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緊急点検の結果、要対策箇所は、直轄管理区間では70箇所、都道府県管理区間では905箇所の報告があり、都道府県により要対策箇所数にばらつきがみられた。(資料−6、資料−7)
さらに、都道府県管理区間の河川における要対策箇所の約5割は護岸の破損(河岸及びのり面)であり、次に、亀裂(のり面、堤防天端)が2割を占めている。(資料−2)
2-2 |
都道府県管理区間は、直轄管理区間の約3〜4倍の割合で対策が必要とされているが、これは、都道府県管理区間の河川の日常管理にも課題があることが一因と推測。
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緊急点検の結果、要対策箇所は、直轄管理区間では70箇所、都道府県管理区間では905箇所の報告があった。(資料−6、資料−7)報告状況を見ると、都道府県により要対策箇所数にばらつきがみられた。
また、要対策箇所数を点検延長との関係でみると、全体として都道府県管理区間では直轄管理区間の3〜4倍の割合(*参照)で要対策箇所が見つかったことになり、直轄管理区間に比べ、都道府県管理区間の日常管理にも課題があることが一因と推測される。
(4-3参照)
*直轄管理区間の補修等の対策が必要な箇所は、約190kmに1箇所の割合
*都道府県管理区間の対策が必要な箇所は、約43km(新潟県除き76km)に1箇所の割合
※新潟県においては、本年の豪雨が大きく影響しているものと思われる。
2-3 |
直轄管理区間の完成堤区間においても対策が必要な箇所が34箇所確認されており、完成堤防区間であっても、堤防の機能を確保する上で河川の適切な管理が極めて重要。
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直轄管理区間の完成堤防の整備率は約6割(その他は暫定堤防)となっており、その区間においても対策が必要な箇所が34箇所確認されている。
3.要対策箇所への対応状況
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要対策箇所のうち、9月16日現在直轄管理区間では86%、都道府県管理区間では7%の箇所で対策が終了しており、現在も継続実施中。
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要対策箇所の中から、緊急に対処する必要がある箇所から優先的に修繕工事を実施しているが、予算的制約等もあり、箇所によっては応急対策等による措置にとどまっているところもある。このような措置も含め、9月16日現在、直轄管理区間では86%、都道府県管理区間では7%の箇所で対策が終了しており、現在も継続実施中である。
なお、当面、対策が終了していない箇所については、出水時に重要水防箇所と同様に重点監視を行い、迅速な水防活動を行うこととしている。
3-2 |
対策の実施にあたり都道府県管理区間では予算制約が最大のネック
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都道府県管理区間で、対策の実施にあたっての課題を確認したところ、対策の実施が必要となった38自治体のうち、約8割にあたる30の自治体(資料−4)が、予算制約があり十分な対策ができないと回答している。
このことは、河川関係の地方単独事業費(都道府県分)の推移(資料−5)を見てもその状況が伺え、予算の制約が河川管理に支障をきたしていると考えられる。
4.今後の対応
4-1 |
都道府県等に対し、来年度の出水期までに必要な対策を実施するよう要請する。
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予算制約等の中で、当面、十分な対応が取れない箇所については、来年度の出水期までに対策を終了するよう都道府県に要請していく。
4-2 |
「中小河川の堤防点検及び対策ガイドライン」を10月を目途に策定
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堤防の安全性を評価するには今回の目視による緊急点検のみでは不十分であるため、都道府県管理の中小河川についても、堤防の質的整備を進めるための堤防の点検及び対策についてのガイドラインを10月を目途に策定する予定である。
4-3 |
今回の緊急点検の実施により、都道府県管理区間における河川管理に関する課題が浮き彫りになり、国土交通省としてこれを重く受け止め、これらの河川管理の実態を調査し、対応方策について検討を進める。
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今回の緊急点検にあたり、都道府県の堤防等の状況を調査したところ県によって対応は異なるが(資料−4)、次のような課題が明らかになった。
(1) 堤防の除草が行われておらず、目視による点検が困難であった。(約4割)
(2) 堤防天端が通行できないところが多く河川管理通路の確保が不十分である。(約1割)
(3) 出水期前における点検を含め定期的な点検が行われていない。(約5割)
国土交通省としては、これらの点を重く受け止めており、今後さらに実態を調査するとともに、対応方策等について検討を行っていくこととしている。
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