建設省は昭和33年から全国一級河川の水質調査を実施し、昭和47年からその結果を公表している。本資料は、平成10年(暦年)における、全国一級河川(109水系)の水質調査結果の概要をとりまとめたものである。
1.河川の流量
- ○
- 平成10年の年間流出量は全国的に平年を上回る
- 河川の水質は流量の大小によって左右されるが、平成10年の一級河川の年間流出量は、全国的に前年を上回り、最近10ヶ年(昭和63年〜平成9年)平均との比較でも大幅に上回った。全国の一級河川の基準地点における年間総流出量の合計値は、平成9年と比較して12%増、最近10ヶ年平均と比較して16%増となっている。
表−1 一級河川の流量状況
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基準地点における
年間総流出量の合計 |
基準地点における
※低水流量の合計 |
備考 |
平成 10年 (A) |
2,972億m3 |
4,161m3/s |
平成10年の年間
総流出量及び低
水流量の合計値
は推定値。 |
平成 9年 (B) |
2,659億m3 |
3,633m3/s |
最近10ヵ年平均(C) |
2,559億m3 |
3,669m3/s |
(A)/(B)×100% |
112% |
115% |
(A)/(C)×100% |
116% |
113% |
※低水流量:一年を通じて275日はこれを下らない流量
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2.河川の水質
(1)水質調査地点
- ○
- 調査地点は一級河川の直轄管理区間約10kmに1ヶ所
- 一級河川の直轄管理区間の河川延長約10,500km(H10.4現在)に対して水質調査地点は1,094地点設けており、平均的には河川延長約10kmに1ヶ所の割合で水質調査を実施している。
(2)水質調査結果
- ○
- 平成10年に環境基準を満足している地点の割合は、昨年より7%上昇し、過去最高の87%に到達
- 生活環境の保全に関する環境基準の項目のうち、有機汚濁の代表的な水質指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)及びCOD(化学的酸素要求量)をみると、平成10年に環境基準を満足している地点の割合は前年より7%上昇し、過去最高の87%に達した。
- その要因としては、平成10年の流量が前年に比較して全国的に増加し、年間総流出量が平年をかなり上回ったことが挙げられるが、図−1を見ればわかるように、平成10年に環境基準を満足している地点の割合は、過去の同程度の年間総流出量の年と比較しても明らかに上昇しており、汚濁負荷の削減による水質改善が着実に進んでいると考えられる。
図−1 一級河川において環境基準を満足している地点の割合
と年間総流出量の経年変化(全国) |
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- ○
- 環境基準を満足している地点の割合は、関東、近畿で大幅に上昇
- 地方別にみると、北陸、中部、九州、東北の順で環境基準を満足している地点の割合が大きく、中国、関東でその割合が小さい。
- 前年に比べると全般的に割合が大きくなっており、特に関東では15%、近畿では9%と大幅に上昇している。なお、東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、九州では過去最高の割合を示した。
図−2 一級河川において環境基準を満足している地点の地方別割合 |
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