ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 審議会等  >> 過去情報

河川局

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会 -日本文学に見る河川-

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会
-日本文学に見る河川-
第二回議事録

平 成12年12月1日(金)
13:00〜15:50

場所:橿原ロイヤルホテル


 歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会 -日本文学に見る河川-
第二回議事録


1.開会の挨拶
○委員長
  午前中、飛鳥川に沿って明日香村を見せていただきました。これから明日香村長から「飛鳥川の清流再生について」、続きまして今西家のご当主の今西家保存会理事長から「今井町と飛鳥川について」というお話を伺います。そのお二人のお話の後に質疑応答、続いて千田委員のご報告の予定です。
 それでは明日香村長どうぞよろしくお願いします。


2.話題提供(1)
○明日香村長
  飛鳥川は、特に万葉の歌にたくさん歌われているすばらしい川で、歴史文化的にも意義のある川です。そして、また明日香村全体が日本の国の発祥地であるので、現在、総理府、続いて国土交通省で担当していただきますが、「古都法」によります明日香の整備という形で第3次整備計画をこの12年度から内閣の方でご承認頂き整備をさせていただいております。
 そのような中で、川の問題が大変いつも話題になっております。橿原市の水源にもなっております。また、近年どうも川の水量が少なくなっているが、逆に大雨が降ったときには、濁流となって流れてしまうというジレンマがあります。このため昔飛鳥ダムを計画し、洪水調整、その他利水をお考えいただいたこともありますが、「ダムは悪い」という言葉の形になっているものですから、飛鳥ダムが中止になり、そのかわりに飛鳥川の河川整備で対応を考えていただいております。
 一方、先ほどのように昔の水量、雨量が現実に少なくなっています。原因は、山の形態が杉、ヒノキというような形で保水力がなくなってきていることも大きな要因かと思います。さらに、明日香村の中山間には、田んぼ、畑、溜池、作物をつくるための小さな井戸もたくさんありました。それと棚田がきちんと管理されていました。これらがかつて雨の調節をしていたとも思います。しかしながら、これらを今から復元する事は困難なことです。
 また、飛鳥川は大変土砂が多く困っております。私は、基本的に川は水を流すところであって、土砂を流すところではないと思います。この土砂を何とかして止めると川自体の整備も変わると思います。
 この問題からもダムは土砂を止めて、下流の河川の整備に大変役立つと思います。また砂防ダム等により、小さな谷をゆっくりと水が下流に流れる仕組みが必要ではないか。上流は上流の河川の整備の仕方、そして下流では上流と異なる整備の仕方があると思います。
 現在、河川公園とか親水公園の整備が進む中で、一回の大雨で土砂が堆積したり、すぐに雑草が生えたりし、当初の目標から少し逸脱したような河川になってしまいます。明日香村だけで考えるダムを含め砂防的な谷どめ等を取り入れた河川整備の方法がありがたいという思いをしております。そうすることによって、水も地下水としてゆっくりと河川に流れてくると思います。
 また、飛鳥川の場合、災害復旧等の事業の実施により洪水を早く下流に流す形になっています。昔は石橋もたくさんありました。道が平になる利点もあり、新しい橋もたくさんでき、古い石橋は不要になり撤去されました。このため遊びの水たまりがなくなってしまって、洪水がすっと流れてしまう。県にもお願いしているんですが、明日香村は水をゆっくりと流す工夫をして欲しい。昔の石橋の上と下とでは、20センチぐらいの落差ができ、水止めの効果があったと思います。
 飛鳥川の場合は、万葉の世界でも歌われてるように、ごく自然な形の河川整備が必要であると思います。その地域の文化、歴史を考慮に入れ、どこも同じような道路整備とか河川整備とかでないものを認めていただけたらありがたいという思いをいたしております。飛鳥川は、万葉の世界では大変大きな川のように歌われておりますが、小さな川です。私は整備のやり方もそう大して工夫は要らないと思います。今後の河川整備にあたってはご配慮のほどよろしくお願いいたします。

○委員長
  ありがとうございました。続いて今西家理事長にお話をいただきます。今西家理事長よろしく。

○今西家保存会理事長
  中世、今井町が生まれてから飛鳥川は優しくもありますが、たけだけしく荒ぶる川でもございました。何度か決壊いたしました。決壊すれば飛鳥川は東に流れていますが、西の端の私の家まで数分で水が来るのだそうです。
 今井町は先人もいろいろ考え、現在も考えております。まず、今井町の住人は明日香村でまず治山をしようということから、川、畑、冬野山を求めまして、明日香の人たちに整備してもらい、治山も志して現在までやっております。
 その暴れる川を何とかなだめようと、遊水池として小綱池を考え、小綱池から放水してふだんは農業のかんがい用水に使い、蘇武の桜と大和図解にもありますが、堤防に桜を植えて楽しんでおりました。本日ご覧いただきました河畔にある蘇武井戸では名水が出て茶の湯など町衆文化が栄えました。ところが、戦後、荒廃しまして、桜の木を薪にかえ、放水路の上に住宅や店舗を建てて、現在の形になっております。今、今井町の子供たちは、飛鳥川の優しさを知りません。昔の水辺を取り戻して子供たちの憩いの場になればと願う次第です。
 

目次に戻る


Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111