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河川局

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会 -日本文学に見る河川-

歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会
-日本文学に見る河川-
第八回議事録

平成15年5月23日(金)
日時:14:00〜16:00
場所:国土交通省11階特別会議室

3.報告書案
 
○芳賀委員長
   「報告書案」というものがございますので、事務局から、それについて説明していただきます。
 お願いします。
○事務局
   事務局でございます。
 お時間がございませんので、お手元の資料5「歴史・風土に根ざした郷土の川懇談会」
の「報告書案」というものが真ん中に書いてございますが、「報告書案」というものに基づきまして、5分程度で御説明をさせていただきます。
 1ページをめくりまして、「目次」というものがございますが、「はじめに」というところと背景で、人と川とのかかわり、文学等をひもといて見ていきましょうということ、今回、この懇談会をやっているゆえんでございますけれども、そこの背景について書かせていただいております。
 「2.」では、全国の河川管理者に、ぜひ先生方にしていただいた高尚な話を、我々河川管理者が理解できるようなレベルで、先生方の情念がなるべく伝わるようにということで「2.文学に見る河川の姿」というものを書いております。またそれを踏まえて、では、人と川とのかかわり、川の姿をどう調べていくのだろうということを「3.」に書いてございます。
 1ページめくっていただければと思います。「はじめに」というところがございます。少し申し遅れましたけれども、文章の中で下線が引いてあるところがございますが、下線が引いてあるところは前回、第7回の報告書案から変わったところでございまして、下線の一重線は先生方にすでに2月に見ていただいているものと全く変わってございません。2月に見ていただいたものから変わっているものは二重線のところでございまして、ごく一部でございます。
 この2ページの「はじめに」というところでは、近代以降の効率的な治水を優先せざるを得なかったころから、今は川が本来持っていた治水、利水、水質浄化、癒し、生態系保全等のいろいろな機能を充足するようなことが求められていて、そのためには長い川の歴史の中の今をとらえることが重要で、その切り口をとらえるためには、その時代、時代で川の姿をとらえた和歌、俳句等いろいろな文学でございますとか、そういったものをひもといていく必要があるであろう。そして、そういったものをひもといて十分に理解する中で、川の魅力や川の本来持っていたさまざまな機能を再認識して、個性ある河川整備に息長く取り組んでいく必要があるということを書いてございます。
 1ページめくっていただきまして、3ページでございます。「背景」ということで、最初に日本の川の特質、アジアモンスーン地域に属しておりまして、多様な降雨の形態、急峻な山地、複雑な地形という日本人の個性を育んできた風土のことを書いております。そういった中で、洪水と隣り合わせの土地に生活の場所と糧を求めるなど、要は非常に川とかかわりの深い生活を日本人は送ってまいりまして、それが故に川が文学作品に頻繁に登場して、祭りが脈々と受け継がれてきているということがございます。
 そういう中で、ライフスタイル等が多様化しまして、川にまつわる歴史や風土に地域の方たちが愛着を持ち始めている。そういった中で、私たちは地域活性化に取り組んでいく必要がある。そういったことを踏まえて、川づくりに取り組んでいく必要が高まっているという背景を書いてございます。
 4ページでございます。今申し上げた川の姿が文学にどうあらわれているのか、それはまさに生活に密着しているからこそ文学に川があらわされ、そしてその文学が国民の皆さんに読まれ、またその川のイメージというものを心の中に持っていくということがあると思います。
 そういった中で、川の流域の歴史や風土をあらわす俳句、和歌などについて整理することが、川の持っていた個性、役割、特徴を浮かび上がらせていくのであろうという全般のことをまず書きまして、「(2)」でございますが、ここではそれぞれ、これまで第8回まで先生方に御提供いただいた話題を中心に、それぞれに表現されてきた川の姿について報告をしております。
 「(イ)和歌、歌枕、俳句にみる川の姿」ということで、ここは今、芳賀委員長から詳しくお話があったところでございまして、例えば斎藤茂吉にとって最上川がかけがえのない川であったことですとか、そういったことを詳しく書いてございます。また、歌枕というものが日本の国土の索引、一種の文化のインデックスになっていること等も書いております。前回、第7回では宮村先生から、平安時代重要であった河川というものはどういったものかということを歌からたどってみていただいた、そこを真ん中からちょっと下のところで書いていただいております。
 5ページから6ページにかけましては、まさに今、芳賀委員長から御説明があったところでございます。
 6ページに移っていただきます。「(ロ)今様にみる川の姿」ということで、これは昔の歌謡曲に相当するものでございますが、
 「淀河の底の深きに鮎の子の 鵜といふ鳥に背中食はれてきりきりめく いとをしや」
といったように、人々の暮らしにいかに川が深くかかわってきたかということをうかがうことができて、鮎や鵜飼いの姿と遊女である自分の境涯を重ね合わせて嘆く若い女性の姿を見出したりすることができます。こういったものがその当時の川や風俗を歌い込んでいて、いかに中世の社会において川とその周辺の社会が交通の要衝としてだけではなくて、遊興の場、信仰の場として非常に重要な役割を果たしてきたかということをごらんいただけるかと思います。
 7ページでございますが、「(ハ)民俗にみる川の姿」でございますが、ここは聞き書きでございますとか、伝承に見る川の姿のことを書いてございます。川の民の姿というものがほとんど消えつつあるのでございますが、そういったものを聞き書きという手法で見出して、当時の物資の輸送でございますとか、交易、川の漁などを生業とする人々の存在ですとか、そういった痕跡をたどることができるであろう。また、過去の伝承、民話の中にも「サケの大助、今上る」といったもので、水産資源を保護するような教えを伝えるものもございまして、こういったものに川の民の姿を垣間見ることができます。
 8ページ、「(2)祭りや信仰にみる川の姿」ということで、ここは京都を代表する賀茂川について、実際に神社が川沿いに多く建立されておりまして、そのことが、いかに川が神々が集まる神聖な場所として信仰の対象になってきたかということをうかがい知ることができます。また、「河内様」と書いて「こうったま」と読みますが、こういった神様を祭る祭りについて、これは高橋六二委員から御説明をいただきましたが、こういったものに昔の川における信仰の姿というものを見ることができます。
 9ページ、「(ホ)絵画にみる川の姿」ということで、江戸時代の絵画がヨーロッパの絵画にも影響を及ぼしているというものもございます。10ページの上の方を見ていただけますと、谷文晁の絵がございますけれども、1つの川の流れに沿って見える景観をあたかも旅をするがごとく取り込んで、一幅の絵に表現したようなものでございますとか、例えばその下にございます「桃源郷」のような古来からの物語、著述も何らかの影響を与える可能性があるということでございまして、何か理想的な場所を求めるという物語の中で川が果たしていた役割の大きさ、そういったものがこういった絵画に影響を及ぼしているのではないかということを書いてございます。そのほか、その下にございます江戸の絵にいろいろな水路が出ていたりしますが、これがいかに物資の輸送ですとか、そういったものが当時の江戸にとって大事だったかといったことをあらわしているものでございます。
 11ページでございますが、「(ヘ)映画にみる川の姿」ということで、これは川本先生に御紹介いただきました例えば「綴方教室」、「風の中の雌鶏」、「東京物語」等で遊び場として、あるいはピクニックの場所として、それから出会いの場所、そういったものとして川の姿が非常にたくさん描かれているというものでございます。
 12ページでございますが、「(ト)近代文学にみる川の姿」ということで、これは第1回に久保田先生から「隅田川の文学」ということで御紹介をいただきましたけれども、それぞれの文人たちが川の風景の美しさを発見して、そういったものを文学にあらわし、それがまた先ほど申し上げた映画に影響を及ぼしたというようなこともあるかと思います。
 次に13ページでございますが、「3.歴史・風土に根ざした川を目指して」ということで、これはこういった文学などにあらわされているものをどう調査していくのだということを書いてございます。(1)に書いてございますのは、先ほど申し上げた川の個性を生かした河川整備をするに当たりまして、河川管理者というのは川のことはよく知っている、一方、地元の市民団体の方は地元に関する自然、歴史・風土等、豊富な知識を有していらっしゃいますので、よくよく協力していくことが大事であるということを書いてございます。
 (2)におきましては、これまでの懇談会で先生方に発表していただいたものから、それぞれ、例えば歌枕でございますとか、あるいは祭り、和歌、そういったものがどういったものをあらわしているのか、そういうものからどういうものを得られるのか、ではどうやって調べていくのがいいのかということを書いてございます。
 14ページの「調査段階における「よすが」、よりどころでございますが、よりどころとしてこういったことを中心に河川管理者が十分な調査をしていけるようにということを書いてございます。「計画段階における「よすが」ということも同様でございます。
 14ページの「(3)歴史・風土に根ざした川を目指して」ということでございますが、これは第7回で先生方の意見がございました。いろいろな方のお知恵を拝借して、補充がきくような形で記録としてよく残し、海外に発信していくのが必要でございましょうということで、こういったことを踏まえまして、報告書案ということで取りまとめさせていただきました。
 以上でございます。
○芳賀委員長
   大変上手におまとめくださいまして、ありがとうございました。
 きょう御出席の委員の方々でこの報告書というものについて、何か御意見はございませんでしょうか……。
 今の4ページの「(イ)」のところで、「和歌、歌枕、俳句」というふうにありますね。「歌枕」というのは独立させて入れていいのですか、どうなのでしょうか。歌枕は和歌によく使われる地名であったのだから、「和歌、俳句」だけでいいのかもしれませんね。そうですね。
○委員
   はい。
○芳賀委員長
   だから、これは「歌枕」というのは要らないですね。「和歌」、「俳句」と並ぶものではないわけだから。
○事務局
   わかりました。
○芳賀委員長
   あとはいかがでございますか。
○委員
   別に修正を求める意見ではありませんが、13ページの「(1)今求められていること−地域の特性に合った川の魅力を引き出し、地域の活性化に寄与する−」というところで、多分今まで発展とか活性化とか、そういうことを目指していろいろなことをやってきたのでしょうけれども、必ずしも発展することがいいのかどうか、活性化するのがいいのかどうか、ずっと今までの議論を聞かせてもらって感じたのは、多分、地域の個性化とか独自化とか、地域の特性を持った何かであって、必ずしも「活性化」という言葉を使うのがいいのかどうかという点が1点。
 それから、先ほどの議論で1つ私が感じていましたのは、茂吉が確かにすばらしい、世界の中でも五本の指に入るという非常に力づけられた思いなのですけれども、多分「川」というような議論をするときに、日本人が「川」という言葉を聞いてイメージするものと、ヨーロッパ人が「川」と、「river」にしても、「reviere」にしても、「fleuve」にしても、頭に置いてイメージするものがやはり相当違うということと、ヨーロッパ人の言葉なり、考え方がイスラムとかキリスト教に規制されているとすれば、彼らにはやはりもともと自然の中の川のイメージはあり得ないわけでしょうから、相当違いますので、そういう「日本文学に見る川」というわけですから、その辺のところが少しどこかに入ればいいかなという感じがしただけであります。
○芳賀委員長
   今から入れるのはなかなか難しいですね。
○委員
   ですから、今さら、テイクノートだけをしておいていただければ結構でございます。
○芳賀委員長
   確かにセーヌ川やライン川やドナウ川、それからボルガ、ちょっと違うしね。イタリアのポー川、それからフィレンツェの、あれはアルノー川ですか、ああいうのはみんな違うしね。
○委員
   例えば、ナイルなどにしましても、カイロだと年間の降水量が20oとか30oですね。ですから、ほとんど雨が降らない、それなのにナイル川の水は増減をする。彼らはどうして川の水が増減するか全く理解できないので、星占いと言いますか、天行と結びつけた。これは私の仮説なのですが、だから、茂吉とか、日本の柿本人麻呂にしろ、芭蕉にしろ、彼らの川と雨とを結びつけられる感性というのは、多分我々日本人でしか自然には持ち得ない感性なのでしょうね。ですから、ノーベル賞が取れなかったということではないかと思います。
○芳賀委員長
   今の報告書の序文のところにもありましたように、日本は北から南に向けて、列島の真ん中を背骨のように山が抜けていて、その山から日本海側と太平洋側に向かって川がすごい勢いで流れ落ちるわけだから、確かにこれは特別ですね。朝鮮半島とも違うし、中国大陸とも違うし、ギリシャのあの辺の半島にそういう川があるのかどうか、余りなさそうですしね。でも、もとのユーゴスラビアの奥あたりはちょっときれいな川がありますかね。それから、オーストリアのザルツブルクとか、ああいうところはちょっときれいな谷川がある。
○委員
   そういう意味で言うと、ヨーロッパで言えば、ヨーロッパアルプスから流れ出たあの辺のところ、スイスの中ぐらいの川の形態が日本の川なのですね。
○芳賀委員長
   そうですね。スイスの側と、それからイタリアの側と両方にね。
○委員
   そうですね。
○芳賀委員長
   ただ、向こうは余り険峻かもしれませんね。険峻に過ぎる、大体はね。
○委員
   そうですね。
○芳賀委員長
   だから、確かに川を考えてみると、文化の違いが非常にわかってきていいかもしれません。日本の川はどうも人間に非常に親しみやすい、あるいは洪水になるにしても、人を巻き込むわけですが、いずれにしても、非常に原始的な生命力を感じさせるのは日本の川で、それは非常に喜んで感じる場合と恐れる場合と両方あるわけですね。やはり茂吉の歌でも、それから芭蕉の歌でも俳句でも、蕪村の俳句でもそうですが、川の流れの水が持っている一種のエロティックな感覚、それをみんなよくとらえていると思う。茂吉の「小園」や「白き山」の中の最上川にしたってちゃんとエロスがあるので、川のエロスというか、水のエロスというか、水が人間の想像力を働かせて与える一種のエロチックイマジネーション、それが日本の川の独特かもしれませんね。
 杜甫とか李白が揚子江を詠んでも、あれは雄大に過ぎて、向こうに千里、今、友を乗せた帆掛け船が長江を下っていく、私はそれを黄鶴楼か何かから見送るとかね。でも、唐代の一番最初の詩人、王維には自分のエステートの中に谷川があり、集落があって、木こりがいたり釣り、漁師がいたりするのですが、そこを詠んだ川荘というのでしたか、それがかなり近いかもしれませんね。それでさざ波が立っていて、そこで女たちがすすぎ物をしたりしている。セリを洗ったりしている。それを王維が漢詩に詠んだりしている。それはまた蕪村が大好きだという、あるいはちゃんと芭蕉も読んでいたという、そういう関係もありますね。
 確かに、さっきの報告にも出てきたように、桃源郷に出てくる漁師が遡る谷川、あれはまさにエロスの世界への導線だったわけですね。そこへ導いていく。それで、源流に行くと洞窟があって、そこの暗い中を少し怖く感じながらくぐり抜けると向こうにパッと明るい桃源の村里が広がるわけですね。この水のエロスというのは非常におもしろい問題で、それは世界水フォーラムでも話題になりましたか。
○委員
   水と文化の多様性のところで議論が出ておりました。ですから、私が申しましたのは、これはこれとして、次のバージョンと言いますか、次の議論のときに世界の文学で見る川と日本の川との比較をすれば、日本の川の特性がさらによりよく出てくるかもわからない。
○芳賀委員長
   別に文学にあらわれていなくても比較したっていいですよね。ナイル川とかライン川とセーヌ川。
○委員
   ただ、文学というか、そういうところで人と川との関係ですので、自然としての川そのものはそんなにおもしろくもありませんので、そういう意味で、提案でございます。
○芳賀委員長
   なるほどね。
 もうよろしいですか……。
○委員
   はい。
○芳賀委員長
   それでは、いろいろと御議論、御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。
 それでは、今の「報告書案」として出されましたものを「報告書」として、河川局に懇談会から提出するということにいたします。
○事務局
   プレスの方で写真をお撮りになる方はどうぞ。
○芳賀委員長
   どうぞよろしくお願いいたします。〔報告書手交〕
○河川局長
   どうもありがとうございました。
○芳賀委員長
   きょうの夕刊の第一面ぐらいでしょうかね。(笑声)
 どうもありがとうございました。
 
4.その他
 
○芳賀委員長
   次は、第3回世界水フォーラムについて、事務局より発表してくださるということです。
○事務局
   第3回世界水フォーラムについて御説明させていただきます。
 お手元に資料6というものがあると思います。水フォーラムでは日仏共同事業ということで、フランスと一緒になりまして、「水と文化の展示「水のこころ」」というものを行っております。3月17日から4月6日まで、京都市にあります京都府立植物園の中で開きました。その状況につきまして、簡単に御紹介させていただきます。
 展示の経緯なのですけれども、平成14年、2001年10月に第7回日仏河川湖沼セミナーが開催されました。これは日本側は国土交通省河川局、フランス側はエコロジー・持続可能開発省ほかが窓口になって開いたのですが、この中で、第3回世界水フォーラムの中で、「水と文化」の視点から共同して事業を行うという合意をいたしました。
 展示のコンセプトなのですが、水への無関心が水危機を招くということで、まず水の問題につきまして、「水に関わる文化」の視点から捉えていこう。広く啓発し、理解の深化を図って、良好な水環境を形成するための方向性をまず見出しましょう。ただ、水でもいろいろありますので、日本、フランス、アメリカ、3地域を例にとりまして、それぞれの水環境の違いにより、そこで育まれました「水文化」を紹介し、水環境のあり方について啓発していきましょう。ただ、今までの説明的な文字情報ではなくて、音声とか映像、そういった感性に訴えかけるようなもので展示をしていきたいということで行っております。
 展示の概要の一覧です。第1ステージから第7ステージまでありまして、回遊できようなステージの構成にしております。
 展示の概要なのですが、ステージは第1ステージから第7ステージまでありまして、第1ステージは「水の言葉」ということで、聖書、コーラン、方丈記、宗教的なもので人間の精神の高いところにあるもの、その中で水に関してどういった記述があるのかということをその場で紹介しております。
 第2ステージにつきましては「水の詩」ということで、日本、フランスの水に関わる著名な詩、もしくは俳句を紹介しております。
○芳賀委員長
   ヴェルレーヌは大した水じゃない、屋根に雨が降ると言うのだから。(笑声)
○事務局
   今、先生から御紹介がありましたヴェルレーヌ、それから谷川俊太郎先生等、水を、それを音声で紹介しております。
 第3ステージは「ブルーダイヤモンド」という名称なのですが、人間の中とか生活、コミュニティ、大都市、地球と、それぞれのスケールで水循環があるということをオブジェによって紹介しております。
 第4ステージ、「ベストオブH2O」、これは何かと申しますと、日本とフランスの傑作の映画がありますが、その中で水に関わるシーンを抜き出して紹介しております。そこに少し字が小さいのですが、ジャン・ルノワールの「ピクニック」、クロード・ベリの「愛と宿命の泉」、新藤兼人の「裸の島」等々を紹介しております。
 第5ステージ、第6ステージは「水の恵みと恐れ」ということで、生物にとって水はいかに大事であるか、それから都市において洪水とか水質汚染とか、そういった水について紹介しております。
 最後の第7ステージといたしましては「水の未来」ということで、地球規模の水循環、それから水が生命の起源であるということを紹介し、それを谷川俊太郎先生の詩によって紹介しております。
 次に、どういった展示をしたかということで御紹介させていただきたいと思います。
 少し字が小さくて見にくいのですが、これが第1ステージ、第2ステージなのですが、まず上につきましては「水の言葉、水の詩」ということで、それぞれパネルに文言があるのですが、音声を流しております。
 次に「ブルーダイヤモンド」ということで、一番左上の方になりますと人体の形をしたオブジェがありますが、そこで水が循環している。それから、左下には波紋がオブジェをつくっている。右側が展示の全体概要です。
 これは「ベストオブH2O」ということで、映画の一画面を流しました。
 次に「水の恵みと恐れ」ということで、一番左の上はブダペストの温泉ということで水の恵みをあらわしております。右側は水の恵みをあらわす酒樽ということで、酒というのはやはり水のきれいなところでおいしいお酒ができるということで、水の象徴ではないかということで、あらわしております。左側に、水の恐れはドラム缶、次に重油事故のパネル、それと最後に「水利用と都市の発展」ということで、パネルで紹介しております。
 「その他」といたしまして、ポセイドンのオブジェ、川のモニター、淀川の状況を紹介させていただいております。
 最後に「展示の結果」なのですが、期間中、延べで4万4,344名の来場者を迎えております。日最大で7,628名ということで、最終日には入場制限をかけるほど人が来られました。来場者にアンケートをとったのですが、例えば「水資源の有効活用」や「水質汚染の防御」といった水問題に対する回答が約半数を占めたということになりました。
 以上、日仏共同事業につきまして、簡単に御紹介させていただきました。失礼いたしました。
○事務局
   続きまして、「舟運の話題」ということで簡単に御説明を申し上げます。事務局の木村でございます。
 3月16日、京都国際会館で皇太子殿下同妃殿下ほか、内外の御来賓の参加のもとに世界水フォーラムが開催されまして、その中で皇太子殿下から琵琶湖と淀川における内陸水運をテーマにした記念講演等をいただいております。
 また、たくさんテーマがございましたが、その中の1つとしまして、「水と交通(舟運)」、それもメインテーマの1つになっております。
 皇太子殿下の記念講演、ここにあるタイトルでございますが、「京都と地方を結ぶ水の道」、御存じのように皇太子殿下は舟運に非常に造詣が深うございまして、その中で、昔、琵琶湖と淀川の果たしていた役割についていろいろ御説明、お言葉をいただきまして、その中で、陸上交通の発展に伴って忘れがちな水上交通の利点が改めて見直されることを願う。こういうことにつきましては、冒頭、開催式でも水運の効率性というものを見直すことが必要なのではないかというお言葉をいただいているところでございます。
 「水と交通」、いわゆる舟運についてでございますが、コーディネーターの1人として国土交通省が入ってございますが、3月17日、18日の両日、オープニング、それから9つの分科会、クロージングということで開催をいたしました。
 オープニングでは皇太子殿下同妃殿下御列席のもと、オランダの副大臣、アメリカの工兵隊長官等に様々な観点から御報告をいただきました。
 具体的には、このような9つの分科会に分かれて議論を行いまして……。
 そういったそれぞれの分科会からの報告をもとに、ステートメントをクロージング会合で採択いたしました。
 実際に具体的には環境にやさしい内陸水運を総合交通体系に位置づけることを推進するのだということで、具体的には人材育成でございますとか、組織、法、政策面での改善支援するですとか、防災、廃棄物、リサイクルといった新しい機能を開拓する等のことを推進していこうというステートメントが採択されたところでございます。  以上でございます。
○芳賀委員長
   どうもありがとうございました。
 本当はもっと詳しく伺いたいわけですが、これは1週間でしたか、水フォーラムは。10日間でしたか。
○事務局
   1週間ちょっとでございました。
○芳賀委員長
   またいずれそれはまとまって報告が出るわけでしょう。
○事務局
   はい。
○河川局長
   今、事務局でフォーラムの関係をまとめています。フォーラム以外の関係については水資源部の方でまとめを行っております。
○芳賀委員長
   皇太子のレクチャーは英語でなさったのですか、日本語ですか。
○委員
   日本語で、英語のと言いますか、国連公用語の翻訳の同時通訳つきで。
○芳賀委員長
   尾田さんあたりが皇太子殿下に下書きを献上して……。
○委員
   それは全くありません。本当に皇太子殿下御自身でお書きになられました。
○芳賀委員長
   そうですか。それはいいですね。ぜひ一度そういうものを読みたいものですね。
○委員
   宮内庁のホームページに、今、日本語と英語と両方でアップロードされていますので。
○芳賀委員長
   そうですか。では、今度それをコピーしてくださいませ。
 今回のさっき局長にお渡ししました報告書というのは、事務局の方でホームページに載せるとか、冊子に製本して各地域の河川管理課、管理局に配付するということになっているそうであります。
 これは印刷物にするときは縦組みにするのですか。横組みのままですか。
○事務局
   今のところ横組みの……。
○芳賀委員長
   柿本人麻呂も芭蕉も斎藤茂吉もみんな横組みになるわけですか。
○事務局
   少し検討させていただきます。
○芳賀委員長
   それはちょっと冒涜なのですね。文化を蹂躙するというような、縦のものを横にしてしまうのだからね。
○事務局
   それはそのような方向で。
○芳賀委員長
   あれはいつも困るのですね。俳句などでも、
 「春の海ひねもすのたりのたりかな」
この「のたりのたり」の2つ目は繰り返しの「へ」を使うのに、あれを横でワープロにすると何ともならいですね、あれは。そういうこともいろいろありまして、俳句、短歌、和歌は横にするものではないでしょう。ワーズワースの詩ならそれは横でもいいですけれどもね。ヴェルレーヌの詩も横でもいいけれども、やはり日本の歌や俳句はもともと御本人たちが縦に書いているわけですから、縦組みにして、そして字を少し大きくして、それでちゃんと各地域の小学校、中学校で社会科か何かの副読本になるように。
○事務局
   努力したいと思います。
○芳賀委員長
   お願いいたします。
 それでは、今後の懇談会の開催予定につきまして、事務局の方から御説明をお願いしまして、それで終わりとさせていただきます。
○事務局
   今回、これまでの懇談会のまとめとして報告書をいただいたところでございますが、今後も先生方の歴史・風土に根ざした郷土の川についての御意見等をぜひ拝聴させていただくために、年2回ほど開催をしたいと考えております。うち1回は地方の川を御視察いただいて、御意見を賜りたいと考えております。また、日程等については後日御相談をさせていただきます。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○芳賀委員長
   本日はどうも大変どうもありがとうございました。お世話になりました。
○河川局長
   どうもありがとうございました。
 
5.閉会
 

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