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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第2回豪雨災害対策総合政策委員会
(議事録)


2.議事
(1)緊急提言案について

(委員長) 本日は、委員の皆様にはご多用のところをご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 本日は、前回の議論も踏まえ、本委員会としての緊急提言の取りまとめについて、審議を行いたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局の○○でございます。
 お手元の資料で、「総合的な豪雨災害対策の実施についての緊急提言(案)」ということで、資料−1を用意させていただいております。先日、全体的なお話をさせていただきまして、また、現地のほうも、幾人かの方にはごらんいただきました。提言(案)を事前にお送りしておこうと思ったのですが、十分な時間がなくて配付しておりませんでした。おわび申し上げます。
 それから、本日でございますけれども、きょう、提言をここでまとめるということではなくて、一応まとめに向かってご意見をいただきまして、できましたら、その後、きょうのご意見も踏まえて最終の文案に直させていただいたものを、今週末にでも、成案の格好にさせていただければと思ってございます。そういう意味で、本日、このたたき台の案文につきまして、自由なご意見をぜひお願いしたいと思っています。
 それから、本日の提言(案)につきまして、新たに書き起こしている部分もございますので、時間の関係もありますが、さっと全体を読ませていただきます。それから、別途参考資料−1で、少し体系的な整理をさせていただいておりますけれども、先ほど申し上げました週末までの間では、一体どこがどう変わるのかということが、もうちょっと具体的にわかるようなものをあわせて用意して、世の中にはお知らせを申し上げたいと思ってございます。
 それでは、恐縮ですが、緊急提言案についてさっと読ませていただきます。
 緊急提言案、1枚めくっていただきまして、「はじめに。自然的・社会的条件から災害に対して脆弱な国土構造を有する我が国においては、古くより水害・土砂災害・高潮災害等についての防災対策が行われ、これまでの我が国の発展を支える社会経済活動の基盤が整備されてきた。
 こうした中、今年は、梅雨期の集中豪雨や度重なる台風の上陸により、全国各地で激甚な水害、土砂災害及び高潮災害が数多く発生した。これらは、未だ災害に対する整備水準が低いことも大きな要因であるが、近年の集中豪雨の増加などの自然的状況の変化や、少子高齢化などの社会的状況の変化に起因した新たな災害の様相を呈するものでもあった。
 安全で安心できる社会の形成を図るためには、今年の災害から浮かび上がった新たな課題に的確に対応すべく、これまでの災害対策を総点検し、その抜本的な改善を図る必要があり、本委員会が設けられた。
 今年の深刻な災害の状況を踏まえ、なるべく早急に災害対策の内容の改善を図るべきであるが、検討すべき内容は多岐にわたり、検討に時間を要するものもある。このため、本委員会では、まず緊急に対応すべきものについて本緊急提言としてとりまとめた。なお、整備・管理のあり方など検討に時間を要するものについては引き続き検討を深めた後に来春を目途にとりまとめることとする。
 1.今年の災害の特徴と新たな課題
 今年の一連の水害、土砂災害、高潮災害等は、従前の災害に比べ以下のような新たな課題を明らかにした。
 (1)自然的状況
 @局所的な集中豪雨が頻発し、その影響を受けやすい流域面積が比較的小さい中小河川における洪水や、土砂災害が多く発生した。これまでは、あまり行われてこなかった小流域である中小河川や土砂災害危険箇所等においても、情報提供の充実をはじめ迅速な警戒避難体制を確立すべきである。
 Aこれまでの記録を超える降雨量、潮位、波高などが各地で発生した。一部例外的なものを除き、施設計画の基となる外力までは被害を発生させないというのが従前の災害対策の考え方であったが、今後は基本的にすべての災害対策において、自然の外力は施設能力を超える可能性が常にあることを踏まえた備えとすべきである。
 B破堤(堤防の決壊)が多発したが、破堤した場合にはそれ以外に比べ氾濫した水のエネルギーは大きく水位上昇も急激であり、大きな人命・財産の被害となるばかりでなく、堆積した泥の処理などの事後対応も被災者の大きな負担となることを改めて認識させられた。破堤のように急激に災害現象が変化することに対する対策が必要である。
 (2)社会的条件
 @高齢者や保育園児といった災害時要援護者の被災が目立っており、少子高齢化の進展等を踏まえた警戒避難体制の確立が必要である。
 A旧来型の地域コミュニティの衰退や水防団員の減少や高齢化などにより、地域の災害時の共助体制が脆弱になってきていることから、近年の社会的状況の変化を踏まえた共助体制を再構築すべきである。
 B避難勧告の発令等の遅れがあったほか、避難勧告等が発令されても避難しない人が多数に上った。住民や自治体等の被災経験が減少し、危機意識も低下している現在社会においても、災害時に的確な認識や行動がなされるような仕組みが必要である。
 C地下鉄・地下街などの利用が増大している中で、これらの地下空間が浸水したが、都市域の地下空間の浸水に対する的確な避難誘導体制の構築が急務である。
 2.今後の対策の基本的方向
 新たな課題に的確に対応した災害対策を進めるため、これまでの災害対策に加え、以下の内容に重点をおいた災害対策に大きく転換すべきである。
 @ソフト対策とハード整備が一体となった減災体制の確立
 A早期の治水安全度向上のための多様な計画・整備、既存施設の有効利用、管理の高度化
 このため、以下に示す方向で、これまでの災害対策について改善すべきである。
 なお、本委員会としては、引き続き、各災害対策についてソフト・ハードの両面から、また行政内部・一般社会の両面から総点検を進め、来春を目途とした全体を見通した提言の中で、次章の具体的政策も含め、より充実した内容のものとする予定である。
 @災害時に、より的確に住民が避難等ができ、自治体が防災活動を行えるよう、地域別のわかりやすい予測情報や氾濫情報など、的確な避難に役立つものや被害軽減に必要なもの(送り手情報から受け手情報へ)に充実する。
 A災害経験があまりない住民や自治体等も、自らが災害発生時に的確に行動できるよう、平常時から各地域で発生する可能性のある災害についての情報(災害環境情報)及び災害時にとるべき行動についての情報(災害行動情報)が共有される社会への転換を図る。
 B地域の災害対応力の脆弱化や都市構造の変化等を踏まえ、防災施設の整備途上等において、施設能力を超える自然の外力が発生し施設を破壊した場合にも、壊滅的な被害とならないよう、施設の設計・運用の高度化や万が一の場合の危機管理体制を構築する。
 C増加傾向にある豪雨・高潮災害の頻発や計画を超える自然の外力の発生を踏まえ、できるだけ早期に効果的に災害安全度を高める必要があるため、土地利用も考慮して防御対象に優先度をつけた効率的な安全度の確保や、操作ルールの変更による既存施設の有効活用など、従前の計画論等にこだわらない多様な計画と整備を展開する。
 D少子高齢化、旧来型の地域コミュニティの衰退、都市構造の変化などの社会的状況の変化も踏まえて、多様な主体の参加による水防体制、平常時から地域の方々が参加する様々な防災活動、広域的な支援体制などの展開により、自助、共助、公助のバランスのとれた地域の防災力の再構築を図る。
 3.緊急に対応すべき具体的施策
 「今後の対応の基本的方向」を踏まえ、早急に以下の施策の具体化を図るべきである。
 (1)送り手情報から受け手情報への転換を通じた災害情報の提供の充実
 @中小河川における洪水予測等の高精度化
 流域面積が小さく洪水到達時間の短い中小河川において的確な警戒避難体制が講じられるよう、局所的降雨予測データを活用した小流域での洪水予測・土砂災害手法の開発と運用、水位計テレメータ整備等による重要地域での情報空白域の解消により、精度の高い短時間洪水予測情報や土砂災害警戒情報を提供する。
 A受け手に役立つ防災情報の提供
 氾濫状況等の災害を実感できる情報により、緊急時に住民等が的確な避難行動をとれるよう、氾濫域の浸水情報や土砂災害の前兆現象情報を提供するとともに、甚大な被害が予想される大河川の破堤後の氾濫浸水の予報を実施する。
 B受け手に情報が確実に伝わるための体制整備
 浸水が想定される地域の住民に対して確実に情報が伝達されるよう、住民に対する各種水位情報のリアルタイムでの公表を義務付けるとともに、河川管理者等が保有するCCTV、ダム放流警報用スピーカーの活用など、多様な手段を用いた情報伝達体制を整える。
 (2)平常時からの防災情報の共有の徹底
 @浸水想定区域等の区域指定の拡大
 平常時からの防災意識の向上を図り、災害時に的確に行動できるよう、身近な各河川の洪水到達時間などの情報を日頃から住民に周知するとともに、これまで大河川を中心に指定・公表されてきた浸水想定区域を、主要な中小河川すべてについて確実に指定等されるようにする。また、土砂災害警戒区域の指定を緊急に全国展開するとともに、高潮想定区域についても区域指定制度を創設する。
 Aハザードマップの全国的緊急配備
 円滑な避難行動等に有用なハザードマップが、甚大な水害・土砂災害・高潮災害等が想定されるほとんどすべての地域で常備されるよう、市町村での作成・公表を義務化するとともに、これを促進するため、技術的支援だけでなく新たに財政的支援策を講じる。
 B豪雨災害に適合した避難場所の総点検
 ハザードマップの作成を通じて河川管理者と市町村が協力して、これまで主に地震災害を想定して指定されている避難場所を総点検し、水害等に適合した避難場所の指定等が行われるようにする。
 (3)迅速かつ効率的な防災施設の機能の維持向上
 @防災施設の整備状況の調査・評価・公表
 水系一体としてバランスのとれた効率的・効果的整備を図るため、地域の災害安全度や防災施設の整備状況を調査・評価・公表するとともに、その結果に基づき適切な整備の進度管理等を実施する。
 A管理水準の区分設定と管理内容の基準化によるメリハリのある整備・管理
 施設の機能が的確に発揮されるよう厳密な管理を行う体系にするため、被災した場合の被害の大きさ等に基づき異なる管理水準を区間ごとに設定するとともに、あるべき管理水準の内容を基準化等する。また、水系全体としての効率的な安全度の向上を図るため、この管理水準の区分設定を基にしたメリハリのある整備を実施する。
 なお、管理水準のあり方、区分設定の考え方については来春まで引き続き検討する。
 Bねばり強い堤防への堤防強化
 破堤による壊滅的被害をできる限り回避するため、長時間の高い水位に対しても容易には破壊しないねばり強い堤防への強化を市街地を流下する区間を優先的に実施する。
 C防災機能を一層向上させるための既存施設の有効活用
 計画を超える自然の外力にも早急に対応するため、降雨予測技術の進展も踏まえ、ダムの機能を一層発揮させるための操作ルールの変更など既存施設の有効活用を進める。
 (4)計画を超える自然外力への対応
 豪雨災害の頻発や計画を超える自然外力に対応するため、早急に効果を発現できる治水等の計画を策定することが必要であり、従前の考え方にこだわらず、多様で柔軟な計画や整備手法について、来春までに引き続き検討する。
 (5)地域の防災対応力の再構築
 @災害時要援護者への対応
 避難行動に時間がかかる高齢者等の災害時要援護者が円滑に避難できるよう、災害時要援護者施設への洪水予報の伝達方法等を予め定め、市町村の地域防災計画に記載することを義務付ける。
 A水防活動等の体制強化
 水防団員の減少や高齢化等による地域の防災力低下を補えるよう、水防団員を充実させるためのインセンティブの付与をはじめとする水防団の活動体制の強化やNPO等が水防時の活動に協力できるよう必要な措置を講ずる。
 B地下空間における避難誘導体制の構築
 利用が増大している地下空間における避難誘導体制を構築するため、地下空間の管理者に対して洪水・高潮時の避難確保計画の作成を義務付ける。
 4.引き続き検討すべき施策
 災害対策の計画、各施設等の整備・管理のあり方を含む総合的な検討については、以下の視点で引き続き進め、来春を目途に具体的内容をとりまとめることとする。
 @避難勧告等の発令基準の整備
 市町村長が適切に避難勧告等を発令できるよう、発令の判断基準を明確にするため、発令基準を設定し、その周知徹底を図る。基準の具体的な設定については関係省庁と一体となり来春までに引き続き検討する。
 A管理水準のあり方とその設定の考え方
 限られた予算の中で、より適正に河川管理を行うため、整備・管理の水準を複数設けて管理区間ごとに設定することにより、メリハリのある整備・管理を実施する。その際、整備と管理をフィードバックする管理体系を構築する。
 B整備途上段階でも被害の最小化を図る危機管理体制
 破堤や高潮により浸水した場合でも被害を最小化するため、発災時の行動を予め定めておく危機管理のための戦略プログラムを策定する。
 C大規模な自然災害等が発生した後の被害原因と対応等について速やかに調査検討する体制
 常設の自然災害調査委員会体制を確立し、迅速な原因究明と対応を図る。
 D従前の計画論にこだわらない多様な計画と整備
 土地利用状況などを踏まえて、地域内の防御対象に優先度をつけて全体として効果的に早期の安全度向上を図るための方策、浸水深を踏まえた氾濫域内の住宅や公共施設を安全な場所へ立地誘導する方策等について検討する。
 E被災しても壊滅的被害を受けず、救援等が可能とする施設整備
 リダンダンシー確保や安全な場所での避難場所の確保が困難な場合や孤立化のおそれのある集落内での、避難場所の安全確保や対象外力のランクをあげた防災施設の整備について検討する。
 F水防団等の水防技術力向上のための国の支援
 国の機関等で水防リーダーを研修し、地域防災力を担う人材を育成する方策を検討する。
 G被災者支援センター設立の支援
 被災者の支援には行政とボランティア等の両者の連携が必要であり、各防災機関とボランティア等が協働し、住民に対しワンストップサービスできる体制を検討する。」
 以上です。
(委員長) 参考資料のほうの説明はいいですか。
(事務局) 参考資料は、今のようなことを体系立てて書いていますもので、参考資料−1は、上のほうに記載している骨子ですが、今までの水害、土砂害、高潮の災害対策について、ソフト対策は今までも言われてきていますけれども、今回、徹底した体制をつくり上げるというのが、一つの大きな柱かなと思います。
 それから、2つ目が、いろいろな大きな水害等が起きているわけでありますが、従前、こういうものに対して計画を見直して、大きな計画といいますか、また大きな施設をつくっていくということもあるんですけれども、そういうことではまた相当な時間も要するということを考えますと、早期に治水安全度を向上する。治水だけじゃなくて、土砂害や高潮などもでございますけれども、そうした場合に、今までの計画論にこだわらないような多様な計画・整備。中身については、先ほど幾つかご紹介したものであります。それから、既存施設も徹底して有効活用する、それから、管理・運用について高度化を図るというようなことが、主かと思っております。
 それを下のほうで分けてみますと、上から4段目ぐらいまでがソフトの話でございまして、厳密にソフト・ハードを分けるという必要はないんでありますけれども、下2つがどちらかというとハードの話かなと思います。そういうものを、一番右のほうに先ほど具体施策となったもののうち、主なものというか、代表例的なものを挙げさせていただいているというものでございますので、ちょっと重複する部分もあります。このぐらいの説明をさせていただきます。
 それから、別途参考資料−2のほうは、先ほどいろいろなお話が出てきましたものを、まだちょっと十分練られていない部分もある資料で、大変恐縮でございますが、若干ビジュアルに整えたものでございますが、時間の関係もあり、省かせていただければと思っております。
 以上でございます。

(2)その他

(委員長) それでは、以上の説明に基づきまして、ご審議をお願いいたします。ご意見のある方は、順次、ご発言をお願いいたします。
 私と○○委員と○○委員は、円山川、由良川の現地を視察してまいりました。私なりにちょっと得た情報を申し上げますと、河川管理者から水害予測の情報みたいなものをいろいろ流しているんですけれども、市町村とすると、やっぱり確認しないといかんということで、職員を派遣して現地を確認されます。中には、堤防決壊という情報が入って、欠壊のケツが欠けるほうの「欠」で、破堤を意味する決壊の「決」ではなかったということ等があったりして、やはり誤報の可能性があるので、現地を確認したいということが避難勧告の判断基準になっているようでございます。
 円山川も由良川も、両方とも長い水害の経験のある地域ですので、避難地については、水害を前提に避難地を用意してあるということでありました。
 また、避難勧告と避難指示については、微妙なニュアンスですけれども、豊岡市のほうは、もう完全に勧告と指示を使い分けておったようですが、大江町のほうは、そこは確認はしませんでしたけれども、どうも勧告を指示的に扱っていたのかなというふうに思いました。
 それから、自衛隊に救援要請をしたんですが、道路が寸断されて、現地になかなか到着できなかったということで、ライフラインとしての道路をぜひ確保してくれという意見が強くありました。
 それから、たびたび水害に見舞われておるので、逆に言うとそれが邪魔になったと言っておられました。今までの水害、何年前はここまで来たから、今回もこのくらいだろうと思ったら、それをはるかにオーバーする。大江町役場は、役場の机ぐらいまで浸水に遭ったそうです。
 それから、直轄で出すハザードマップは、どうしてもあらゆる破堤なり、いろんなケースを予想してやっているもんだから、実際の場合にどこかが破堤したら、全域を全部どぶ浸かりするわけではなくて、ある箇所が破堤すればその範囲ということになるわけで、破堤場所に応じてきめの細かい予測が必要ではないかというようなご意見がございました。
 以上、紹介しておきます。
 どうぞご発言、お願いします。
(委員) 4つほど言わせていただきます。1つ目です。7ページ(3)の@の、「防災施設の整備状況の調査・評価・公表」についてです。これは、一体誰に対して書いているのかよくわかりません。  私が申し上げたいのは、住民に対して、河川堤防等防災施設の現在の実力がどの程度なのかを明確に言う時期に、もう来ているという事です。「進度管理等を実施する」というのは、行政が進度管理を実施することは、今でもやっているはずです。要は現在の実力が、行政のほうから見て、この川はこういう実力があるんです、この程度ですよということをちゃんと整理し、公表をするということを、真剣にやるべきだと私は思っています。これが今回の緊急提言の原点であって、いかに災害時にどうしようと言ったって、ふだんからこの川の持っている実力がどうであるかということをきちっと評価する姿勢でスタートしない限りは、いろいろ技術的なサポートのことを言ってみてもたいしたことに成り得ないと思います。この点について具体的に書いていただきたいのは、「送り手情報から受け手情報への何々」という中で、「平常時からの防災情報の共有の徹底」というところで、住民に向けて、川についての安全性というものはどういう判断のもとでこういうところがであるということを技術的な判断で確実にやる方向を出すべきであるというのが、私の第1点目の希望であります。この書き方では、(3)の@の趣旨が明確に読み取れません。
 2点目は、送り手情報のところに、水位のことを書いてあります。私は、河川行政はもうそろそろ流量と同程度、またはそれ以上に水位の重要性を強調すべきと思います。川沿いにずっと、水位を測る。水位がわかれば、流量もほとんどわかります。
 災害が起こると、その時のピーク流量をなかなか公表されません。なぜそんなに流量を求めるのに必死になるのですか。おそらくダムとか遊水池等の効果を考えるときには、流量は大事だと思うんですが、川全体を考えたときには、やはり水位情報がもともと一番大事なデータであって、それがあれば、流量もかなり高精度で、もちろん流量観測はやるにしろ、その誤差まで含めて議論できるものです。
 例えば洪水について不定流計算をするとき、上流端で流量を与えて下流端で水位を与えるということは、どんな教科書にも書いてあるんですけれども、別に何もそんなことでなくて、上で水位を与え、下で水位を与えれば、それにマッチするように流量は決まります。そういう考え方で、流量だけでなくて、水位についてしっかりと認識して河川の計画を立てていく必要があります。来春以降十分議論すれば結構ですけれども、ぜひ水位観測をどうするのか考えていただきたいと思います。
 3番目は、「引き続き検討すべき施策」のA「管理水準のあり方とその設定の考え方」であります。「整備と管理をフィードバックする管理体系を構築する」というんですが、もちろん整備はしていくんですけれども、整備はもう管理の中に入っているという認識で、管理を行うことを行政は考えていただきたい。整備と管理を分けるのではなく、管理というものを整備を含めどう考えるのか検討していただきたい。
 4番目、最後になりますが、全般を通じて、ここに提言されていることをほんとうにやろうとすると蓄積された技術に基づく技術的なバックアップがないとできないことがほとんどです。例えば市長が避難勧告を出すというようなことを書いてあります。こういうことは非常に大事なことで、そのとおりだと思うんですが、そうすると、技術的な面でのバックアップをどういうふうに確立していこうとするのか。避難勧告の基準、それから、堤防の安全度の評価をやろうと思えば確かな技術が絶対的に必要になります。技術的な面がこの中にほとんど出てきていないのが問題です。
 河川工学を勉強する者にとっても、技術的な面がこういうところに出ないものですから、災害が起こったって、行政は一体どういうふうにしたいのかということは、私でも大学人にはなかなかわからない。だから、学術は進展しないし技術もとまるというようなことが、起こり得るのです。もうちょっと技術にウエートを置くところもしっかり出すような書き方が必要で、読んでいてすっと読めちゃったというだけにはならないようにしていただきたいと思います。
  以上です。
(委員長) また皆さんのご意見を承りつつ、進めてまいりたいと思います。
 どうぞ。
(委員) 一つ、気になったところなんですけれども、文章全体の中に「従前の」というのが何カ所か出てきますけれども、「従前の」というのが、書かれた国交省の方はわかっておられるけれども、読んだ人にとっては何が従前なのかがよくわからないので、多分いろんな意味が含まれていると思うんですね。やはりそこを整理して、少なくとももし聞かれたときに、例えば従前の計画論はこういうことを考えていたんだけれども、そこをどう飛び越えるのかをきちっと書かないと、「従前の」でちょっとお茶を濁しているなということが気になりました。
 それから、2ページなんですけれども、ことしの災害の特徴を整理されていますけれども、破堤というのは確かにものすごく壊滅的なといいますか、甚大な被害を及ぼしたということで、ポイントとして挙げられているんですけれども、もう1つ、ことしの災害の特徴は、放流量を流入量に合わすためのただし書き操作したダムが幾つか見られた。これは、東海豪雨、恵南豪雨でも矢作ダムでそういうことがありましたし、そのときのことが、決して下流側の破堤問題に直結したわけではないんですけれども、計画放流量を超えて、それもオーダー的に超えるような放流をする場合もありますね。そのときには、ダム直下河道では、何もなければいいですけれども、かなりの河道災害及び河川沿川の被害になるということ、それも最近の特徴かと思います。すなわち、ダムの洪水調節容量が少ないというふうなことなんでしょう。
 ということで、前回も申し上げたことですけれども、破堤とか、そういう放流を流入にするときのただし書き操作が、やはり安全度の突然的な飛びが出てくるわけですね、急に危険になるということ。これをどうするかということが、その後の予備放流の問題とか、あるいは洪水調節開始流量を少しおくらすとかの判断とか、そういったことにかかわってくると思いますので、ことしの災害の特徴の中で、少し注目しておく必要があるんじゃないかという気がしました。
 それから、水防については、水防団の組織の問題を議論されているんですけれども、組織が素人化してきている中で、もう一つやっぱり重要なのは、水防技術の改良ということをやっていかないと、プロだけがやれる水防では無理だし、どうも伝統的、例えば土のう積みだけにしたってもう少し自動化を考えるとか、いろんなことがあるんじゃないかというふうな点についても、言及してほしかったなという気がします。
 それから、ハザードの話が委員長からも出ましたけれども、ハザードマップはやっぱり災害のポテンシャルをあらわしているだけで、それをもとにどう避難するかとか、どう避難勧告を出すかとかいう議論はいいんですけれども、じゃあ、いざ逃げようとするときにほんとうに役に立つかというと、そうでないので、やはりハザードマップのレベルで何をすべきか、その次に、現実に避難するときにはどんな情報が必要なのかを、ハザードマップをベースに議論するというふうな位置づけにされたほうがいいんじゃないかと。
 私自身も、ハザードマップでリスク管理、あるいは避難計画までやれるようなハザードマップをということを言ってきたんですけれども、やっぱりどうも難しいと。ハザードマップはあるレベルで、そこから次どうするのかということの議論にする。例えばリスクマップみたいな、何か行動との絡みの議論をしていただきたいな。
 そのときに、粘り強い堤防というのは、それに生かせるような意味で位置づけてほしい。すなわち、粘り強い堤防になりましたよと言っているだけで、じゃあ、どれだけ粘り強くなったの。それは、破堤の始まる時間がどれだけおくれるのかとか、破堤が始まってから、完全に口があいて、はんらん流がものすごい量になるまでにどれだけ時間がかかるのか、こういったことの検討に十分つながらなくてはならないと思うんですね。ただ単に口だけで粘り強い堤防だと言っても、それがどれぐらいの時間スケール、逃げるときには20分、30分、あるいは1時間ぐらいのスケールのときに、果たしてほんとうに粘り強さがそれを保証しているのかどうかというふうなことと関連づけないと、そういう施策が現実の避難に生きてこないんじゃないかと、その辺が気になりました。
 あともう1点、すみません、自助・共助・公助というふうなもののバランスということを考えられているのは、非常にいい項目だと思うんですけれども、こういうところでまず一番先にやらなきゃいけないのは、公でどこまでできるのかということを、まずしっかり示せているのかということですね。だから、いわゆる昔からの治水でどこまでやれるのかという話、この地域ではどこまでやれているのかという話。やれていないから、どの部分を共助にするか、自助にするかという話が出てくるわけですので、やはりこういう流れの中で、公・共・自のことを言うより以前に、公でどこだけできるかということをもう少ししっかり考えて初めて、バランスとか連携とかがあるんじゃないかという気がいたしました。
 長くなりましたけれども、以上です。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 3点ほどあります。
 最初は、いわゆる送り手の情報から受け手の情報へという項目がいろんなところに出てきますが、具体的には6ページの「緊急に対応すべき具体的施策」というところの最初にありますね。ここで私が感じましたのは、今回の災害もそうですが、やはりいろいろな課題があると思います。実際に発災直前とか発災しているときには、平常心で判断するのがなかなか難しいなり、情報が非常に錯綜するということで、避難勧告等の発令基準の整備が大事だと思います。9ページのところに、今後、その内容を議論しましょうということで書かれています。こういったことをベースに議論するのがよいと思います。
 特に、ある意味では住民側と行政側との意見の交換なり、あるいはどういう部分がわかりにくいとか、あるいは住民側と平常からの理解を進めるのが重要です。そういう切り口が望ましいと思います。
 それから、2番目は、7ページにありますが、これは先ほど○○委員も言われた箇所ですが、「迅速かつ効率的な防災施設の機能の維持向上」の@ですね。ここは、私は、調査・評価・公表ということは、住民に知らせることと考えます。整備状況を知らせるということは、現在の実力を知らせるということではないかと読みました。問題は、全体的な点で、これも先ほど○○委員も言われたのですが、いろんなことをやるためには技術的なレベルを上げるなり、いろいろなまだわかっていなことを明らかにしていくということが必要であると思います。
 私は個人的には、この調査・評価・公表というあたりに、技術的なバックアップなり、これからもまだやらなければいけないということを対応させて書いていただくのが、わかりやすいと思います。というのは、実は、県の管理区間は調査があまり行われていないというのが現状であると思います。ですから、非常に長い区間、あるいは多数の箇所を県は抱えていますので、そういった条件の下で、効率的に、迅速にデータをどのように集めればいいのかというところの技術開発が必要です。あるいは評価といってもどう評価するのか、結果が集まったときにどう評価すれば安全な評価になるのかということは、緊急レベルとしてもまだ進んでいないと思います。ですから、目標を達成するためには、それを支える技術開発が必要ですよというのを、ぜひ適切な箇所に書いていただくのがいいのではないかというふうに思います。
 それから、最後3番目は、あらかじめ配付していただいたので少し欠けているなと思って、連絡をしましたので、10ページの最後のGに書き込んでいただいていると思います。被災者支援センター、これはまさに行政とボランティアがお互いに意見を持ち合って、何ができるかを考える場です。これが特に重要と思ったのは、例えば行政側はある意味で、財政的なバックアップなり、あるいは支援の時に必要な資材の発注とかをすることが出来ます。それはボランティアだけでは決してできないような性格ですね。広く広がった情報を持ち寄るなり、あるいは具体的に現地で作業する、支援する、これがボランティアが非常に活躍できる場所だと思います。これの両方の接点がないと被災者の個人的な特性までを考えた支援がなかなかうまく機能しないということです。被災者側からすれば、こういったセンターなり協議会ということを平常時からやっているということが、大変重要ではないかと思います。
 以上です。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 砂防の人間なんですが、粘り強い堤防というのが出てきまして、先ほど○○先生も、決壊していくときに抵抗力があるような表現をされたんですけれども、本日の資料ですと、計画高水位までの安全性を保証するかのような解説が書いてあります。粘り強い堤防という言葉だけが出て行きますと、水があふれても、あふれた分しか災害が起こらない、要するに決壊が起こらない堤防にすれば大した被害にならないじゃないかというのが淀川水系流域委員会なんかの議論で、したがってダムがいらないという方向に行くんです。ここに書かれておられる内容からすると、計画高水位までの安全性を保証する堤防強化とか、ちょっと言葉を足していただきたい。今年の出水でオーバーフローしても決壊しない場所もあって、そういうことも可能じゃないかという雰囲気があったりしますが、堤防の能力にあまり期待を与えないようにしていただきたい。
 それから、もう1点、水防の話です。具体的に今、どこからだれに指示が出て、どういう内容の作業をしているかという分析はもちろんされておって、きょうのような話になっているんだと思うんですけれども、別の機会にでもその内容を教えていただければありがたい。招集はかかるけれども、各個小隊的にやれということになっているのか、情報網があって、流れているのか、先ほどの避難も、計画高水位を超えたら避難させるんですかね。漏水が始まって、もうもち切れないとだれかが判断したら避難するのか、その辺も含めて、要するに水防活動に関する指揮系統、その辺を教えていただきたい。
(委員長) 今の件にちょっと関連して、現地を見てきた感覚で申し上げますと、円山川の六方川の合流点の立野でしたけれども、右岸側は田園地帯で、左岸が市街地、密集地帯でした。右岸側の堤防は、堤防の上に道路もできて、幅広い分厚い堤防なんですね。左岸は、ほんとうにやせて、ほんとうに暫定的な堤防なんですよ。すぐそばに病院があったり、公的施設がたくさんある。
 幸いと言っちゃ非常に無礼なんですけれども、右岸の分厚い堤防が切れたんですね。左岸のほうが助かったとういうことで、これは、両方があくまで頑張っていたら、その後どうなったのかなと思いました。後で聞いたら、分厚い堤防のほうは旧河道だったということで、破堤要因があったんだと思いますが、今、おっしゃる粘り強い、計画高水位まで保証するよというのは、実際、技術の粋を尽くして保証できるのかと。何万分の1の確率で保証するんだとか、例えば月世界へ宇宙船が行くような水準までは保証できるのか、全国何万キロか何十万キロある堤防をすべて保証しますというのは、大変難しい議論になるので、ここはちょっと丁寧に議論しないといけませんね。非常に粗雑に堤防をつくっているわけじゃないんだと思うので、今、堤防の信頼性について議論が及びましたのでちょっと現地を見た感想で申し上げました。
 それから、水防情報で、これも豊岡でしたけれども、非常に短時間、確率的には大したことないと言いながら、要は地形を見ると、避難所へ行くのに数十分はかかるんでしょうね、少なくとも二、三十分とか。情報を出して、その情報が住民のところへ到達して、それから住民が避難という覚悟をする時間を読むと、これ厳しいなと思いました。見に行かれた委員の先生も、もうしようがない、家の2階へ逃げて、2階でつかったら仕方ないというような地形だとおっしゃっていました。そういうことで、いつのタイミングで情報を出すかというのは、地域によっては大変厳しい。それを市町村に責任とらせるのかということも含めて、大変難しいという感想を持ってまいりました。ちょっとつけ加えさせていただきました。
 どうぞ。
(委員) 2点だけなんですけれども、1点目は、7ページにハザードマップの関係が出ておりますけれども、こちらのほうには、市町村での作成・公表を義務化するとともに財政的支援策を講じると、こういう表現になっております。まさにお願いしていた形のものが出ているんで、ありがたいなと思っているんですが、前のページのBをごらんいただきますと、ちょっと主語がよくわからないんですけれども、おそらくリアルタイムの公表を義務づけられるのは市町村、義務づけをするのがどなたか、ちょっとよくわからないんですけれども、そういうことかなというような感じがいたします。果たしてどういうレベルで義務づけというのが出てくるのか。
 それからもう1つ、片方では義務づけというのとセットで、ハザードマップのほうには財政的支援というのが書いてあるんですが、市町村はやれよと言われて、何をやるのかなと。今、実際にはそれなりのことはやっているわけです。いろいろ問題があるということは、今、委員長さんからお話があったとおりのものなんでございますけれども、義務づけをするからには、河川管理者がここまで財政的にバックアップするから、こうしてほしいんだよと、そんなところが何かあったらいいのかなというような気がしたという点です。
 それから、7ページ目の関係の(3)のところの@で、「水系一体としてバランスのとれた効率的・効果的整備を図るため」にという形の中で、「適切な整備の進度管理等を実施する」と。この「水系一体」というのが、1級河川、大河川を想定しているのか、2級河川を想定しているのか、またそれとも、例えばこの中で、私どもの地域的な話を言ってしまいますと、江戸川という河川に流入している河川、つまり1級河川江戸川を国が管理し、そこに流入している1級河川を県が管理しており、さらに普通河川がその上流にあり市町村が管理しておると、こういう形での水系一貫という形になるのかなと、どっちでもとれるのかなと思っておるので、それは幅広に書いてあるのかなというふうに思っておるんですが、仮に我々が想定しているものを考えたときに、Aのほうで「メリハリのある整備を実施する」と、こんな形で書かれております。
 このメリハリのある整備というのは、まさに重点投資をやっていくよという意味なのかなと、そういう意味も含めてあるのかなというふうに思えたんですけれども。仮にそうだとしたときには、先ほど来からお話が出ておりますが、これは県、それから市町村、さらに住民という形でのコンセンサスづくりの手法をどういうふうにつくっていくのか。来春までの検討事項になるのかもしれませんけれども、そこのところが必要になるのかなというような感じがいたしました。
 実は、今回、地方6団体が出しております補助金カットの対象に河川改修の補助事業が入っているわけですが、補助事業によりインセンティブが与えられるんであるならば、メリハリをつけて県がやっていきましょう、市町村がやっていきましょうという話が、それだけで動いてくるということにもなろうかと思います。しかし、それが6団体で言っているような形の中で、補助事業でなく起債もしくは交付税で面倒を見るから、自治体が自分の判断でやりなさいよなんていう話になってしまいますと、起債なんていうのは、自治体は、河川でここでこれだけの整備をしなくちゃいけないと自分で思っていただけでは、まずはやらない。なぜかというと、もう起債の制限比率まで近づいてきている自治体が多いわけですから、ほとんど動きようがなくなってしまう。
 さらに加えて言えば、交付税の世界に入ってくれば、普通交付税について単位費用が大幅に減らされ、結果として交付税総額が減っている中で、果たしてほんとうに手をつけていくのかいという話になってくる。災害が起これば、特別交付税で面倒見てくれるということになってくると思いますけれども、そうじゃないとすれば、やはり住民と自治体と国がコンセンサスを持って、その中で、ここをこういふうな形で、今、重点的に整備しなくちゃいけないものを整備していくということを合意しておくということが、極めて重要な話になるんじゃないかなと思っております。
 そこら辺は来春までの議論になるのかもしれませんけれども、少しご検討いただけますと、おそらく住民がかかわり、そんな中で納得ずくであったものであるならば、補助事業として各自治体は動かざるを得なくなってくる。それは、起債比率が上がろうと何だろうと、やっていかなくちゃいけないということになると思いますので、そこら辺をちょっとご検討いただければありがたいなというふうに思います。
(委員長) 大変貴重なご意見ですが、市長さんとしては、この辺のコンセンサスづくりに十分力点を置いておられるのですね。そしてメリハリを考えると。
(委員) それで、先ほど県管理の部分についての調査がなされていないという話がありました。まさに、それは河川管理者、おそらく国土交通省さんが一番情報を持っているんだと思うんです。やっぱり国土交通省さんがある程度中心になってその絵をかいていって、それをさらに地域におろしていって、住民のコンセンサスをとっていくという格好にしていくことが必要だろうな、そんなふうに思っています。
(委員長) わかりました。
 そのほか、ご意見あるでしょうか。じゃあ、事務局。
(事務局) よろしゅうございますか。ご質問がさっきからいろいろ入っているので、大変恐縮でございますが、さっと短くお答えします。
 ○○先生がおっしゃられた公表の話、だれに対しては、一般的に公表といえば一般社会に対してというので、さっき○○先生がおっしゃったような、住民その他を含んでのつもりでございます。
 それから、先ほどの水位が大事というのは、同じ思いでございます。
 それから、身近な、情報の中身が水位だとか、施設がどこまでできているかということをちゃんと伝えるべきだと、それもそのとおりだと思っておりまして、それを6ページの(2)の@みたいなところに、身近な情報というのが、一つの例示に洪水到達時間などの情報だけを書いているんですけれども、その辺をちょっと丁寧に書き足しておいたほうがいいのかなと思っています。整備状況を公表するという中では、今、2先生がおっしゃったようなとおりを、この中で整理をしたいと思っています。
 それから、水位なんかの話は、管理のあり方というか、まさに管理をどうしていくのか、管理を中心にどう考えていくのかというのが重要なことだと思っておりまして、これは来春までだと思っていますけれども、管理水準の区分だとか管理水準の中身って何なんだというのを、出せていけたらいいのではないかと思っています。この中で、当然、水位の話も含め、整理ができればと思っています。
 それから、技術的なバックアップ、そのとおりでございますが、個別のところに全部書くべきなのか、もうちょっと全体を通して書いておくのか、ちょっと工夫をさせていただきたいと思うんですが、書き出すと、多分、すべてに何かいろんなことを書かないといけなくなる感じもありますので、ちょっと工夫をさせていただければと思います。
 それから、○○先生がおっしゃられた「従前の」というのがよくわからないというのはそのとおりなので、冒頭ちょっと申し上げましたように、今までこうだったけど、これがこう変わるというのを、参考資料か何かの形でつけたいと思うんです。ただ、それを最初文章を整理してみますと、相当長く、くどくどとなるので、別途、例えば今までは大河川についてはこうなっているけれども、中小河川はほとんどこうなっていないと、それを今度こうすることでこうなるというようなものとかを整理できたらと思います。これは、先ほど冒頭申し上げました今週末までぐらいに、そういうものをつくってみたいと思います。
 それから、ダムのただし書き操作の話はおっしゃるとおりだと思います。
 それから、水防技術もそのとおりなんで、ちょっと技術の点について、先ほどの○○先生の話も含めて、整理をさせていただきたいと思います。
 それから、ハザードマップについては、この前も申し上げましたが、これで何か免罪符になるという話でなくて、最低限のものとしてこういうものがないといけないということだと思うんですが、それがわかるように書いていないと、多分誤解があって、何かハザードマップをつくっておけばいいんじゃないのというような誤解が、この委員会の中でもそうでしょうし、世の中一般にもそうなる可能性があるので、そこはちょっと丁寧に記述をさせていただければと思います。  それから、自助・共助・公助の中で、公がどこまでできるのか、どこまでやるのか明らかにしておかないといけないと、それはごもっともで、全体通してそうなんですけれども、管理施設等がどこまで何ができているもので、どういうサービスが今、受けられるのかというのを、先ほどの管理の話と絡めて、今回、一つ大きな話として、世の中に引っ張り出そうというものでございます。
 それから、○○先生のお話は幾つか書かせていただいております。ちょっと技術的な手法についても、少しめどがなくてではなくて、県の河川のほうもこんなふうにやったらいいんじゃないかなと思ったりしているところもございますので、一応、そういう技術的裏打ちも踏まえてやっているつもりであります。
 それから、○○先生のお話、ここの粘り強い堤防の話については、いろいろ誤解があってはいけないと思いますが、構造令の中では「計画高水位以下の水位の流水の通常の作用に対して安全」というのがあって、一応その枠内だと思うんですけれども、通常の作用というのが、今までは、すっと水位が上がって、下がるというか、どこまでを対象の外力と見るかというところが明らかでない。そこの部分をきちんとすれば、おそらくこの辺の問題がかなり解決できるのかなと思います。  ただ、絶対破堤しない堤防だというようなものではなくて、今の構造令の中をきちんとやっていく中身がどこまでかということを、世の中に何も言っていない。単に「計画高水位以下の通常の作用に」とだけ言っているところをひもとく必要があるということが、今の堤防の粘り強い部分に合うのかなと思います。
 それから、最後にします。○○委員のおっしゃった「だれが」というのは、前のほうの義務づけは主語が抜けております。これは、法的にこの辺を河川管理者に義務づけることができないかなとしておりまして、河川管理者にわざわざ義務づけるというのは、法的にはちょっと変な感じもする部分があるかと思いますけれども、一応きちんと届くようにというようなことをしようと思っていまして、恐縮でございますが、市町村にということではございません。誤解を与えまして申しわけございません。
 大体、以上ですか。たくさんお話しいただいた中に、全部に……、ちょっと漏れがあったかもしれません。以上、一たん切らせていただきます。
(委員長) はい、どうぞ。
(事務局) ○○でございますが、今の粘り強い堤防の件なんですが、いろいろご意見をいただきましたけれども、堤防の設計指針では、当然、計画高水位以下の流水は安全に流すということですが、堤防というのは歴史的につくられていますので、断面があっても……。
(委員) いや、それはわかっているんですが、粘り強いという言葉が、水が越えていっても壊れないような印象を強く与えるので、それを避けるような表現をお願いしたい。
(事務局) そういうふうにしたいと思うんですが、私が申し上げたいのは……。
(委員) その中身はもうわかっています。例えばある人は、計画高水位でやっているけれども、天端までとればもっと流せるじゃないかと言っているわけですね。そういうような印象を、その粘り強いという言葉はどんどん与えてしまうので、それを避けていただきたい。
(事務局) 私自身もこの表現ですと、いろんなところで気になってございますので、その辺は追加したいと思います。
(委員長) 天下の三菱自動車も、安全だと思って売りに出したのがあれだけリコールされますし、技術は、とことん詰めても絶対安全ということはないので、そこは謙虚にひとつお書きになったらどうかと思いますが。
 はい。
(委員) その粘り強い堤防というものの定義はそうだとおっしゃるのはよくわかります。しかし、例えばことしの災害を見て、計画高水位以下で切れている堤防なんていうのはほとんどないわけですね。ことしの災害を通してみて、我々が考えなきゃいかん問題は、を超して、ほとんどの場合は越流して、そして堤防が切れているわけですね。
 この越流するという事態になってからでも、やはりその予兆現象、例えば漏水が噴き出したとか、あるいは越流が始まったとか、そういう時点からできるだけ破堤という、あるいははんらん水が最大になるというところを、その間に少しでも避難できるとかそういうことは、ことしの災害を見ての課題じゃないかと思うんですけれども。
 だから、ここで単に計画高水位以下までの堤防を守りますなんて、それは今までの治水レベルを守る、まさに従前の堤防論であって、もしことしの災害を見たとしたら、何を考えなきゃいかんのかというと、越水しても逃げる間のある堤防に、すなわちそういう意味での粘り強さも求められているんじゃないかという気がするんですけれども、その辺は積極的に書き込もうという気はないわけでしょうか。
(委員) ちょっと関連でよろしいですか。
 私も、ことしの現象を見ていると、今、○○委員が言われたとおりだと思います。それと、問題は、先ほど出ていますが、現在の防災施設の整備状況のレベルといいますか、実力が低いわけですね。ですから、計画論としては、例えば計画高水流量の中におさまる。ですけれども、そこの河道の流下能力が足りない、整備が進んでいないわけですので、計画程度の雨なり流量であっても、結果的には堤防を越えてしまうということが起こっているわけです。
 ここは現象として起こっていると考えるべきであると思います。あるいは計画を超える洪水も起こるということは、今までに書いてあるわけですね。ですから、やはり計画ができ上がった状態と現在の実情とが違うということを、いかに正確に伝わるようにするかというところが課題ではないかと思います。
(委員長) はい、どうぞ。
(事務局) 先ほど、その辺のことも申し上げたいと思ったんですが、現在、堤防の形があっても、それ自体がきちっとした設計で、計画高水位以下で安全に流せるかどうかという保証はないわけですね。したがいまして、今、体系的に点検をやり出して、少なくとも計画高水位以下の流水に対して、きちっとした安全度を持つようにという堤防強化という取り組みを、今、進めているところです。そのときに、特にそういった市街地区とか、重要なところを優先的にやっていこうと。まず、そこのレベルはそのレベルなんですが、さらに、越流とかそういうものに対して堤防がもつようにというのは、現時点では、技術的なしっかりした対策工法なり、そういうものからして、例えば何時間もつんだとか、そういう定量的な評価に耐えられるようなレベルになっていないと。
 そういう中で、そういうものをただつくりますというようなことを言いますと、そこのところは非常に誤解を受ける世界になるので、いろんなプラスアルファの世界として、定性的に強い堤防にしていくというのは当然あり得る話なんですけれども、そこのところが非常に難しいんで、市街地部とかそういったところは、堤防強化をしっかりやりますということと、長期的に、越水に対して、越流に対して耐えられる堤防をつくるという話は、少し分けて考えたいなというふうに思っております。
(委員長) じゃあ、どうぞ。
(委員) 後でまとめて少し社会的に述べたいと思っていたのですが、1つは、この場の議論ですので、技術論が出てくるのはよくわかるし、正確な表現、よくわかるんですが、やはり今回を見ていると、どうも河川管理者の論理が、住民がわからない。それをどう住民にわかる形に変えるのかというのが、やはりこの委員会の議論の一つだと思うんですね。
 その中で、正確にやるということは、多分、住民にわからない表現になってくるんですね。そこをどう切るのか、どこで踏ん切りをつけるのか、これはきょう○○委員がいらっしゃっていないので、難しいところもありますけれども、やはりそこのぎりぎりのせめぎ合いをしたほうがいいと思うんですね。
 2つ少しコメントさせていただければと思うのは、やはり先ほど出ていましたように、ここでの議論は、技術的により高度な技術というのが随分たくさん出てくるんですね。だけど、ここでも指摘されているように、すそ野を広げる技術といいますか、今、県管理がという話もありましたけれども、中小レベルでの情報提供を、どううまく市町村なり住民に伝えていくのか。例えばリアルタイム情報はCCTVに出てきますけれども、それがないところが圧倒的に多いはずなんですね。あるいは、水位計がどの程度ついているのか、そこの実態から反映していかないと、すそ野の広がった河川管理になっていかないはずなんですね。全部国管理でやられているなら別ですけれども、そうじゃなかったわけですから、やはりすそ野を広げる技術をきちんとやっていただきたい。それを、もう少しここに入れていただきたいなという気がいたします。
 あと、もう1つは、今のお話でも、これ、先ほど委員長とも一緒に拝見させていただいたんですが、例えば円山川というのを拝見すると、あるいは由良川でもいいんですけれども、実は、破堤というのも大変大きなインパクトがあるわけですが、地形上、内水がものすごく出ているんですね。ですから、ここでの議論として、最後、河川管理の何が目的なんですかということで、例えば住民にどういう行動をとってほしいのか。あれだけ内水がついている状況で、越流ぎりぎりで避難勧告出をされたって、動けないんですね。
 そういう面では、やはり内水は内水で大事なことだし、最終的には、じゃあ住民の命を守るということを前提にするならば、そこから入ってどう切っていくのかというのが入らないと、ことしの緊急提言にならないんじゃないかという気がいたします。
 ここでは大変いろいろ書いてあるけれども、例えば出石川の破堤箇所を見ても、避難場所までかなり時間がかかってしまうんですね。多分、同一市町村の中で避難場所があるのか、中之島なんかもそういう印象を持ってしまうんですが、例えばそういうところも含めて、見ていく。
 これ、最後にいたします。多分、○○さんもおっしゃりたいことがあると思いますけれども。結局、私自身、風水害のときに、自分がどう行動すればいいのかわからなくなってきているわけですね。避難しなさい、あるいは2階に行ったほうがベターなのか、どういうときに何をしなさいというのを、せっかくこれだけの先生方がいらっしゃる場ですので、ある程度見ていただかないと、どうやっても住民が困っちゃうという印象がすごく強いんですね。地下街にいたら、50ミリ降ったら出なさいよとか、そういうような議論をぜひ少し入れていただきたいと思い、出しました。
(委員長) じゃあ、○○先生。
(委員) 私も、工学的な議論の限界というものを常に感じているんでございまして、そういう観点で少し申し上げたいと思うんですが、文章については、工学的な技術論が中心になり、それがコアであることは間違いないんですけれども、自分たちが思っていることと、それが相手にちゃんと伝わるかというのはまた別の問題なので、そういう観点から、日本語はもう少し一練り、二練りしていただきたいということは、申し上げたいと思います。
 全体的に言うと、4つの構成からなっているんですけれども、1の「今年の災害の特徴と新たな課題」という話と、それから「今後の対策の基本的方向」と、3、4と「緊急に対応すべき」と「引き続き」というあたりが、話が重なっていて、何か微妙に日本語が違っているのか、違っていないのかというところもあって、同じことが出てきますので、何か飽きちゃうんですね。もう少しコンセプトをはっきりさせて、なるべく短くして書くということは、全体として言えるかなと思います。
 それから、骨子というところで2つ挙がっておりまして、1つは「ソフト対策とハード整備が一体となった云々」というのがあるんですけれども、これは多分意識して、ソフト対策を先に書いておられるんだろうとは思うんですが、ほんとうはもっと最初に言えばよかったんですけれども、理屈上はやっぱりハードが基本であることは間違いないと。
 今回、対策について、ある種の抜本的な変化があると、その契機があるとしますと、ソフト対策の相対的な重要性が増すということが1つと、それから、もう1つは、ハード整備についても、先ほど粘り強い堤防云々とう話がございましたが、これはハード整備そのものについて、質的転換とは言わないまでも、ある種の方向性の修正みたいなところが多分あるんだろうと思うので、できればそういったこともわかったほうが、そこはコンセプトとしては結構際どいものもありつつ、売りになるところではないかというように思っています。
 それから、2番目の骨子の「早期の治水安全度向上云々」という日本語は、ちょっと日本語としてはなかなか理解不能なところでもありまして、「早期の」ってどこにかかるのかよくわからないのと、「多様な計画・整備」ということが出てくるんですが、整備という言葉は、この文章の中に、1ページの「はじめに」のところから、そこにも2回ほど出てきますし、いろんなところで「整備」と出てくるんですけれども、これはちょっと日本語としてわからないので、何を整備するのか、どういうつもりでお使いになっているのか、施設整備ということなのか、整備のあり方を検討するというんだったらわかるんですけれども、そこはもうちょっと工夫をしていただきたいなというのが全体的なところです。
 それで、表現の細かいところは、また別途申し上げたいと思うんですけれども、ちょっとだけ申し上げたいのは、2ページ目のところですが、(1)のA、これはコンセプトとしてはとても大事なところであるということは、1点コメントでございます。
 それから、Bのところで、2行目ですが、「大きな人命・財産の被害となるばかりでなく」というのは意味がわからないので、直していただきたいと思います。
 それから、(2)の@で「高齢者や保育園児」とありまして、これも前から気になっているんですけれども、少子高齢化というのはスローガンで使っちゃっているんですね。中身はよくわかりません。それで、もう少し意識されたほうがいいと思うんですが、保育園児というのは、今はもう幼保一元化ですから、じゃあ、幼稚園児はどうするのかという話になるので、やっぱりこれは保育園児と書いちゃまずいんじゃないでしょうか。両方読めるような形で書かないといけないし、最後のほうの対策のところでは高齢者だけ言及されていて、保育園児のことは出てこないわけで、これはどうなったのかということです。
 それから、AとBのところで、同じような共助体制云々という話が出てくるんですけれども、ここで1点気になるのは、Bのところで、「避難勧告の発令等の遅れがあったほか……」、住民がよくわかっていないんだという話が出てくるんですが、これは私から言わせると、避難勧告の発令の遅れというのは行政のレベルの話であって、住民から見ると、自治体も河川局も同じなんですよね。だからそっちでちゃんとやってほしいという話であるのに、どうもこの文章は、河川局から見て、自治体も情報の受け手扱いの文章になっておりまして、これは後でほかのところにも出てくるんですけれども、そこはどういうつもりなのかな。自治体がよくわかっていないんだという話は、先ほど委員長もおっしゃったかと思いますけれども、自治体にどういうふうにやらせるかということは、住民から見ると、やっぱりちゃんとやってほしいという話なので、河川局と自治体セットで、行政内部の話として処理すべき話ではないか。その中で、自治体にわかりやすいような情報を、国としてどうやって工夫していくのかという話は、内部の話だろうと思います。
 それから、4ページなんですけれども、@の話は結局、情報提供のあり方を見直すと、受け手の立場から見た場合に見直すという話で、キャッチの使い方といいますか「送り手情報から受け手情報へ」なんていうのは、文章としてはここに入れるのはちょっと変で、「充実する」として、一番最後のところに持ってきて、強いてスローガン的に言うと、送り手情報から受けて情報への転換なんですよということだと思いますし、それから、Cの太字の「土地利用も考慮して防御対象に優先度をつけた云々」というのは、これも何かよくわからないので、5ページ目の2行目の「多様な計画と整備を展開する」というのの整備という言葉は、非常に特殊に使われているんじゃないかという気がします。
 それから、6ページ目のAですね、これがさっき申し上げた、Aの「受け手」というところで「住民と自治体等」って書いてあって、これは大変違和感があるところで、河川局と自治体と住民の3段階構造があるので、それはそれとして、概念としてはやっぱり整理する必要があるのではないかと思います。
 あと1点だけ、7ページ目の下のほうのB「ねばり強い堤防」については、これは大変いいというふうに申し上げたんですけれども、この文章だけ見ると、やっぱりわからないし、今言った話で微妙なところもあるんだと思いますが、技術的な話ももう少し工夫して入れたほうがいいと思います。Bで、タイトルで「ねばり強い」という言葉を使っておいて、中身で「ねばり強い」というのを使っちゃうと、内容がなくなってしまいますので、本文では使わないというのが、普通の文章のつくり方じゃないかなというふうに思っております。
 とりあえず、そんなところでございます。
(委員長) どうぞ、○○委員。
(委員) マイクが近くに来ましたんで、続いてお話しさせていただきますが、今、○○先生ご指摘の4ページの@、Aについては、私も同じような印象を持っておりまして、@のほうは非常によくわかる。ことしの災害の特徴を見ると、既往最大の外力が観測されて、計画を超えるというものを想定しなきゃいけない。それから少子高齢化に代表されるような社会構造の変化への対応というものを盛り込まなきゃいけない。そこまでは非常によくわかって、それは、多分、「ソフト・ハード一体となった」というので言い尽くされているような気がしまして、Aのほうが@に比べて具体性がないといいますか、Aもある意味@に含まれているような気がして、むしろAで言うべきは、@をやるためには何をすべきかということを言いたいという気がいたします。
 「受け手情報へ」というのはそのとおりなんですが、私が専門にしております沿岸防災で言いますと、受け手情報を出したくても出せないというのが現状でして、そういう意味では、データの整備、海岸の地形等が十分整備されておりませんので、それから、災害時に波を見るなんていうことはとてもできないような状況ですので、そういったところの整備というのは、地道なんですが、きちんとやっていかないと、受け手情報を出せないという状況になります。これは、海岸・河川ではおそらくレベルは違うと思いますが、受け手情報と宣言するからには、それをきちんと出せるには何をすべきかということを盛り込むべきじゃないかという気がいたします。
 それと、もう1点、同じページの一番下に「増加傾向にある」というふうにあるんですが、これがどこまでかかっているのかちょっとよくわからないんですが、自然の整理のところでは、既往最大の外力が頻発した、あるいは局所的なものが頻発したという整理になっているんですが、それがここへ来て、それはもう増加傾向だと、トレンドであるというようなとらえ方にもとれるので、ここは、先ほど、そういう外力を見直して計画を見直すような今までのようなやり方は、もうしないんだというご説明だったんですが、やはり科学的な分析をきちんとやるべきではないかというふうに感じました。
 以上です。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 皆さんのご発言の中のダブるところが幾つかあるのをお許しいただきたいと思いますが、一つ気になるというか、全体に気になることは、緊急提言ですよね。最初の2ページ目に書いているように、行政としては大変画期的な表現だと思うんですが、自然の外力は今まで整備した施設能力を超える可能性が常に高いことに留意すべきだということをはっきり言っているわけですが、緊急提言の幾つかは、技術的な解決をしないと、来年、再来年、二、三年後に解決するとは限らないものもあるのではないでしょうか。
 来年、もしもことしと同じような自然災害が起きたら、我々はどうすべきかという、少なくとも被害軽減とか、そういうことにつながる提言が、緊急提言の中に含まれていく必要があるのではないかと。
 私、技術開発の着手を緊急のところに書かれているようにやることは、非常に重要だと思っているんですが、少なくとも来年の春の出水期の洪水から、新潟中越の場合の融雪洪水時、あるいは台風時までにこれを全部やることは、成果として出すことは不可能だと思うんですね。その中で、例えば避難場所等の特定をもっと急ぐとか、避難誘導対策について力を入れるとか、こういうところを絞り出してもいいのではないかと考えております。
 それから、これは○○先生が言っていることで、私が非常に気になるのは、4ページの@なんですが、受け手情報というのが、これはやはり住民と行政と、国から見た受け手情報は2つの支えという意味になるわけで、明らかに情報の体系が変わるんですね。
 それで、私、テレビに関係しているのでちょっと申しますと、ことしの台風が来たときに、台風情報は、NHKでも民報でも、ウェザーキャスターがやるわけですね。ちょうど我々がここで書いている水位情報だとか、実際の観測値に関する情報というのは全部やってくれるんですが、そこで一般の方から質問が出るのは、それでどうなるんですか、それからどうすればいいんですか、というお問合せが圧倒的量なんですね。
 大事なのは、行政としては、予測情報、はんらん情報などを充実させるということが重要なんですが、その上で、受け手情報への翻訳も対策上非常に重要なのであります。基本コンセプトの中にそれを入れておきたいのは、例えばずっと後ろのほうに出てくる、首長さんへの支援体制を強化しましょう、あるいは住民の避難行動に的確な情報もやりましょう、それはもちろん下流側からのご意見を踏まえなきゃいけなんですが、やっぱり河川に関する専門のお立場のほうから翻訳をして差し上げるというのが、非常に重要なコンセプトではないかと思っております。
 それから、もう1つ、最後なんですが、河川についてはずっと書いているんですが、土砂災害も同じように大きい課題でありますので、粘り強い堤防だけじゃなくて、粘り強いがけというのがあるのかどうかわかりませんが、土砂災害というのはほんとうに待ったなしで来ているわけで、土砂災害危険情報等の実用化をもっと促進するとか、そういうことは強調していただければありがたいかなというふうに思っています。
 いずれにしても、来年の出水期まで間に合わないんじゃなくて、間に合うものも幾つかありますので、それの絞り出しはやったほうがいいのではないかなというふうに考えます。
 以上です。
(委員長) 事務局の答えはありますか。
(事務局) ちょっと順不同で恐縮ですが、先ほど、○○委員のおっしゃったようなお話は、若干めどがあるものを書いていると申し上げたほうがいいということなんですけれども、ただ、すぐ来春までに体制が整えられるものと、ことし、来年、再来年ぐらいまでかけて全部が整うものとか、いずれにしても全部具体化が図れるもの、もしくは図られているものというものに、一応それを吟味して分けようかなとしております。本来丁寧に、ここまではこうできていますよ、ここまではまだですよということをきちんと申し上げていないところが、申しわけないんですけれども、一応そういうことかと思うんです。
 ただ、先ほど来、話題になっています粘り強い堤防とかについては、堤防の一斉強化みたいなものをやろうとしていたり、やっている最中であるというようなことで、そういうところまでは、ぜひそういうことをしていったらと。ただ、計画高水位までは、先ほど申し上げたことなんですけれども、加えて、もう少し水位が上がったときでも、定量的にはわからなくても、多分、そのほうがいいだろうという程度のレベルなので、具体的にどうかというのは、今たくさんいただいたご意見は、来春までの中の整理にしておきたいと思っております。
 先ほどの緊急提言というところで出てくるものは、先ほどご質問ございましたが、今、具体的に何らか動けているものを書いているつもりでございますが、粘り強い堤防については、そういう意味では、堤防の強化としてできるものと、来春までにまだ整理をしないといけないものというふうな分けを、もうちょっときちんとさせていただければと思いますが、そんなふうにさせていただければ、お答えになっているのかなと思います。
 それから、たくさんいただきました表現ぶりについては、おっしゃるとおりのところがありまして、至急、そういうふうな直しをさせていただければと思っております。
 以上でございます。
(委員長) 粘り強い堤防のところに、さっき事務局もいろいろおっしゃったんですが、要はどこが今までと違うのかという点です。今までも破堤しない堤防を目指したにもかかわらず、破堤してしまったという現実を踏まえて、一段と技術を研さんしようというのはわかるんですけれども、じゃあ、そんな程度なのでしょうか。
 そうじゃなくて、市街地は補強したいと言っている中に、さっきの円山川の、右岸で破堤して左岸が助かったと言うと、右岸で水に浸かった人に失礼ですけれども、左岸の病院とか何か公共施設のあるところはとにかく守り切ったということをどう見るかですね。これから、いわば無限の外力をどこで放出するのかという問題ですね。とにかく施設なり財産のないところで放出すれば、何ていうことはない、単なる氾濫ですけれども、人家のあるところで放出されるから災害になるわけですね。今までは平等に、提内地側は全部安全に守るよと言ってきたんですけれども、もう少し考えを進めて、こういうところは絶対守るよとか、優先順位の思想を入れた堤防の補強計画というんなら、これは地域のコンセンサスが必要になります。極端に言ったら、江戸川は守るけれども、野田の市内河川はちょっとあふれても仕方ないでしょうねという考えにコンセンサスを得られるのかですね。その辺を言わないと、何か河川技術屋さんが勉強しなかったと、堤防は切れても不思議はないんだというふうに自白しているようにとられるのは、大変まずいんじゃないかと思います。それで、今まで勉強していなかったので、これから丈夫にしますから、今後は大丈夫ですというふうに受け取られるのは、大変まずいですね。要は、全川を守るということはできないから、こことここだけは最低限守って、被害は最小化するという思想を入れるのはどうかですね。今後、公共事業の投資も減ってきますし、少子高齢化で、住む方もある程度限定されてくるとすれば、そういう戦略に切りかえていくという発想があってもいいんではないか。そういう意味では、僕はこれ意義があると思うんです。
 この「バランスのとれた云々」というあたりは、バランスというには、単なる物理的氾濫越水確率なのか、もう少し、背後地の資産との関係で、拠点整備していくのか、背後地の土地利用に踏み込むんだとすると、非常におもしろいと思うんです。これは、委員の皆様とか、それこそ住民とのコンセンサスづくりの中でやっていくべきことだと思うんですがね。
 堤防の強化だけに矮小化されると、極端に言ったら、堤防は絶対切れない堤防というのはありませんから、10回の洪水に1回か、100回に1回か、1万回に1回かは破堤する、その破壊頻度をいかに減らすかという信頼性の話であって、それを10回と1万回に1回があれば、まず1万回のほうは守られるだろう、それを限られた投資の中でどこから優先的に進めるのか、そういう思想の上でこの議論がされているというふうに、書きぶりをうまく考えていただきたいと思うんです。というのが私の考えです。
(委員) 今の委員長の話は基本的に重要なところだと、私は思います。もっとはっきり言えば、粘り強い堤防なんていう言葉を使わないほうがいいと思います。すなわち、もちろん堤防は粘ったほうがいいんですけれども、そのような堤防を造ることは困難であると思います。さらに計画論としては、もっと土地利用とか川の特性とか、本来こういう場所が水があふれて当然だというところをどう考えるかが重要です。
 そこのところを計画論として、ぴしっと出すべきです。もちろん堤防を強化することは大事だと思うんです。堤防を強化するのはもう当然のこととして、できるだけ粘り強くもたせるという言葉は実際の堤防を考えるとちょっと違うんじゃないかと思います。
 堤防の話には随分かかわりを持たせていただきましたけれども、継続してやって来たものはほとんどありません。途中で方針が変わっていってしまいます。それくらい堤防の問題というのは簡単でないということなんで、安易にこういう言葉に置きかえていってほしくないというのが私の素直な気持ちです。委員長の言われるような考え方とか、それで具体的にやっていく施策とかをもっと出していただきたいと思います。
(委員長) どうぞ、河川局長。
(河川局長) 今の本質的な計画論の話は、これでいきますと、9ページのDのところに、この中でいろいろご議論いただかなければならないことがあると思います。そういう中で、粘り強い堤防というのが、今、この場所に入ってきたということが、部品と物の考え方と、うまく使い分けられていないというのはご指摘のとおりだと思うんですけれども、先ほど来のお話に加えて、計画論のところとの関連性において一つ申し上げておきたいことがあるんですが、粘り強い堤防という言葉をどうイメージして使うかというのは、整理が必要だと思いますが、中小河川の延々と続く堤防に対して、どういう計画論なりハードを持ち込むかというところの話の一つに、集中豪雨が多くなってきているという話とあわせて、短期間だけれども流量が非常に大きくなってしまうと。その流量に対して、今までの従来の計画論というのは、計画高水位以下におさめるという計画論になっているわけですね。
 そうすると、洪水の継続時間は短いんだけれども、ピークの流量をとにかく計画高水位以下で流すんだということで堤防論をやっているものですから、そうでなくて、中小河川みたいなところについては、場合によっては、堤防の計画高水位を1時間とか2時間とか超えても乗り切れるような、そういう河道計画をつくるべきじゃないかということも含めて、粘り強い堤防というんですか、強い堤防という考え方を持ち込む必要があるんではないかというふうに、私はその2つの面があると思っているんですね。越流なり、計画高水位を超えてから、しばらく時間稼ぎをすれば、避難とかそういうのに役に立つというような考え方と、両方合わせて、この堤防強化の中で考えていかなければならないんですが、7ページのところでお話ししようと思っていましたのは、直轄堤防について、堤防強化策を今、一生懸命やっていますよということと、おくればせながら、県管理の区間の堤防についても、同じように堤防というものの重要性を認識して、管理の充実と強化にかかわってもらいたいと思っていると、その内容をここに書こうとしていましたので、計画論との使い分けをこれから整理したいと思います。
(委員長) そういう哲学を持ち込んでいいかというのは、委員の皆さんの議論も踏まえて、またこれからやっていかないといかんと思うんですが、今まで、7ページ(3)の@、「水系一体としてバランスのとれた」というのは、正直言うと、ある計画洪水量が流れたら、全川同じ流量で流れているのが理想というふうに技術屋さんは考えますよね。要するに、物理的に破堤頻度なり、水位の超過頻度なりがぴたっと当たっているのが、一番バランスのとれたというふうに、私らもそう考えてきたんですけれども、どうもそうじゃないんじゃないかと考えるようになりました。やっぱり拠点のところは少し安全度を上げるとする考えです。それは構造から始まって、着手の順序とか、いろんなことがあると思うんです。
 昔は、利根川の右岸堤防だけは、東京を水につけないために、絶対堤防を分厚くしておけとか、先行しろとかいうのが、我々の先輩の考えだったと思うんですけれども、今はこういう時代になっちゃったら、東京都と左岸の千葉県なり茨城県を軽視するのかという話にもなっちゃうわけで、コンセンサスは得られませんね。これからは社会のコンセンサスを得ながら、堤防補強の進度管理を、どういうふうに災害の頻度を減らしながら進めていくかということなんではないか、それを社会全般にもうちょっと知っていただくという努力が、必要なんじゃないかなと思います。
 そういう意味で、計画論も踏まえた議論の中で、本来、設計から施行の段取りから、どの地点から進めていくのかということから、あるいは管理の話まで、全部入っているのかなというふうに思うわけです。今、この「バランスのとれた」の@の後にAがあるからわかってくるんですけれども、@に書いている限りは、そういう誤解を招くのかなというふうに思います。
 はい。
(事務局) 7ページのところは、ちょっと今、おっしゃったようなことととられるような、後ろで書いてあるのと同じような、全体総合したときの最適化みたいな話に直したいと思いますが、先ほど来お話に出ている粘り強い堤防のことは、7ページのBのところのレベルというか、緊急的にと言っているものは、先ほどの点検と質的評価みたいな話を、これは現実、夏のときも緊急点検をし、それから加えて、点検のマニュアルもつくったり、それから堤防の強化もやっているので、そういう文章にさせていただこうと思いますが、粘り強い堤防のことについては、後ろのほうにというか、今後引き続きの、来春までの中にはそれも含めて、粘り強い堤防というワードがいいかどうかはちょっとありますけれども、いずれにしても、急激な変化というか、急激に壊れていかない、そういうことも含めて考えるということを、来春までのステージの中に入れさせていただく整理でどうかなと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 管理と計画論のところで気がついたんですが、9ページで、今後のところがあります。それで、Aの管理水準はもう前から出てきています。計画論のところでは、土地利用状況とか地域内の防御対象というのが出ていますが、私は、今回、非常に問題になったのは、地域とか区間でどう考えるかというのは、計画論の中で大変重要であると思います。簡単に言えば、1級河川といっても、国の管理区間と県の管理区間とかに分かれています。それぞれの区間でどのように安全性を考えるのか、あるいは施設の整備等を考えるのかということが、計画論の中で大事かなと思います。
 ですから、「今後検討すべき」という項目の計画論に関係するところでは、この点への考察が重要ではないかと思います。といいますのは、例えば、ミシシッピ川では、下流は有名な委員会があって、統一した計画がありますね。その中で、例えばセントルイスの周辺は、下流の計画の中では、洪水流量は毎秒6,800立方メートルぐらい、非常に少ない値ですね。しかし、セントルイス近辺の治水計画なり防御計画は、ミズリー川のほうから水が来ますので、32,000立方メートルとか、そういうものに対応する計画でないと、セントルイスの市街を守ることができないということです。これは一つの例ですが、従来の計画論にこだわらないという点では、まさに従来の計画論は、下流の基準地点だけを考えているということかと思いますので、その管理区間とか、地域をどう考えるかというのは、計画論においても非常に重要なポイントだと思います。
(委員長) どうぞ、○○委員。
(委員) こだわりを持って大変恐縮なんですが、先ほど、緊急提言は、かなりのところが今年度で実施できて、来年までに実現できるという事務方からのご回答があったわけですが、6ページの最初の滑り出しの文章が、逆にちょっと気になるんですが、「『今後の対策の基本的方向』を踏まえ、早急に以下の施策の具体化を図るべきである」と。そうすると、最初にあった「今年の災害の特徴」が、特性から見て、これをすれば何が変わるということがないと、だから、ほんとうにこれが実現できれば大変ありがたいと私は思うんですが、これをもって、逆に、ことしの風水害のようなことは起きないよとなってしまいかねない。起きるということを前提で、被害を軽減するための施策ではないかと思うんですね。これのところが非常に気になるので、ちょっとここのところはご検討いただければと思います。  それから、もう1つ、情報のところで、やはり大事なのは、リードタイムというコンセプトが今後、必要だと思うんですね。住民が避難するために役立つ情報を、どのようにできるか。
 それから、もう1つ大事なのは、リードタイムが持てない情報というのがあるんです。これはどうしようもない。例えば地震の場合、リードタイムはほとんど持てないわけで、いかに整備をしていっても、リードタイムが持てないときにはどうすべきかと。これだけ情報を整備してやっても、リードタイムが持てないことが起こり得るということは、想定すべきだと思いますね。
 いずれにしも、リードタイムのコンセプトというのは非常に重要なんで、例えば気象庁と砂防部が検討している土砂災害警戒情報は、最初に土砂災害警戒情報をつくろうとしたときに、じゃあ、住民が逃げるためのリードタイムは何分あればいいのか、そこからさかのぼって、気象庁は予報を何時間前に出さなきゃいけない、こういう整理をした経緯は実はあったんですね。
 いずれにしても、6ページ、とてもいいことを書いているので、これをやったらことしと同じことが起きないよという誤解の起きないようにしておいたほうがいいのではないかと思うんです。
 以上です。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) ○○委員がおっしゃったことも気になるところなんですけれども、今回の例えば参考資料−1のように、ことしの災害の特徴を抽出して課題が浮かび上がった。それに対して緊急に対応することがまとめられている。じゃあ、この緊急に対応することをやれば、ことしの災害のどの部分がどの程度軽減されるのかということは、やはりきっちりフォローしていかないといけないんじゃないかなという気がします。
 その上で、どこができる、そんなはっきり言えるものでないということは非常によくわかるんですけれども、やれることとやれないことがあるということを明確にしてもらわないと、やっぱりわかりにくいし、一方では、ほんとうにこの流れが、ただ単に文章に書いているだけで、実効性のあるものかどうかの検証もやってほしいと。すなわち、矢印を書いていったんだけれども、書けば、ことしの災害の様相のどの部分が軽減されたのか、やっぱりチェックする必要があるんじゃないかと。
 その上で、私、ちょっとこだわりますけれども、破堤が多数発生したのは、計画高水位まで達していないのに破堤したわけじゃないと。ほとんど越流の状態で破堤しているというふうなことが、例えばこれこれのメニューでほんとうに軽減できるのかとかいうふうなことのチェックが、やっぱり必要になってくるんじゃないかという気が非常にしています。  それから、ソフト対策とハード対策の連携が非常に重要だということの中で、どの部分がそれなのかということも、ほんとうにこれ、連携にきちっと……、どの部分をハードでやって、どの部分をソフトでやるのかというのを、少し議論をしていただきたいなという気がします。
 例えば今の状態ですと、ハードが破綻すればソフトに切りかわる、これが前提なのか、それとも、それを非常に段階的にスムーズに移行していくのか、この辺がよくわからないですね。すなわち、破堤すれば避難活動に入る、カタストロフィーになれば避難するというのは、非常に危険なんですね。堤防が整備され、ダムが整備されると、非常に高いところまで行ってから施設が破綻するために、そこから先、ソフトで守らなきゃならない。これは、ソフトで守らなきゃならない自分たちにとっても、非常に大変なことですね。たやすいことは自分たちでできるけれども、大変なところはやっぱり守ってほしいよと。
 大変なところを守るハードは何かというと、適当にこぼれる堤防、それから、なかなか満杯にならないダムですね。すなわち、洪水調節開始流量が高めに設定されてある。すなわち、大きな洪水が来るときには早目には洪水調節しない、床下浸水ぐらいのときには洪水調節しない、大事なところだけ、カタストロフィーになるときだけは、施設が守ってくれると、こういう発想の転換も大事だし、それへのつなぎ方ということも、このハードとソフトが一体となったときの整備のあり方の中で、考えていただきたいなと。
 今どうも、ハードを超えれば、すなわち治水でこうやっている、それを超えたときには、あんたたち勝手に逃げなさいよと言うんだけれども、そう簡単に逃げられない状態になっているねというところも、この一体の中で少し議論いただきたいなという気がいたしました。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 今のと関連しているつもりで言うんですが、ソフトに行き過ぎるもんですから、利水関係、水利用関係が非常に苦しくなってくる中で、私は洪水調節に特化したダムが欲しいなと思っております。キャッチコピー的には、環境への悪影響ゼロの、治水に特化した中小河川用洪水調節ダムの開発・建設です。ご検討いただきたい。
(委員長) はい、どうぞ。
(委員) 先ほどから議論になっていることに関係しますが、今回、参考資料−1のところで、骨子というのがあります。これは、私はコンセプトが変わるというか、変えないといけないと思います。やはり自然の外力がかなり上がってきて、まさに従来型の対策ではなかなかうまくいかないということを、個々のところで細かいことはなかなか書けませんので、全体として、ある意味でのフレーズのようなことで書くというのがいいのではないかと思います。
 それの一つの候補は、先回も話題になったような、例えば防災から減災へとか、防災から被害を少なくする方向へ基本姿勢を変えると、それを書くほうがいいと思います。そういう考え方から、個々の具体的な施策を導き出して行うわけです。それは、先ほどもあった粘り強い堤防というような議論も、まさにそこだと思うんですね。従前の計画論にこだわらないというふうなことで、いろいろ議論されていることも、その中に含まれます。関係する方々が、従来やってきたことをさらにしっかり行い、それを展開するということが減災の基本であるわけです。ただ、そのときに、方向性が大事だということを訴えておくというのが、基本的には一番大事であると思います。
(委員長) ただいまのことですけれども、何かそういう哲学を最初に少し書いてはどうですか。少子高齢化時代に入り、公共投資だってそう多くを望めない時代において、効率的に計画・整備・管理をするという、その中で、災害を極力最小化する努力をするというような哲学で皆さんが議論しましたというようなことを、ちょっと入れておくといいのかなと思います。今、書き直しになると、もう大変な書き直しになるし、ちょっとニュアンスを含めておいたらいいと思います。これは一つの提案ですから検討してください。
 それから、さっき、4ページの「増加傾向にある」というのは、前、○○委員も、長い確率の上の揺らぎとも言えるし、地球温暖化で確実に洪水が増えているんだと言い切れるのかどうか、まだ証明もできていないので、顕在化したというか、皆さんの意識が非常に目立つようになったということは言えるのかもしれませんけれども、物理的に増えているかどうかというのは、ちょっといかがかなと思います。
 それから、5ページのところの上から2行目のところですね、「計画と整備を展開する」と言っているんですけれども、これは後のダム問題も含めて、そういう土地利用も考慮して防御対象に優先度をつけながら、計画も整備も管理もする。例えばいろんなダムの管理も含めてとか、何かもうちょっと幅の広い概念にしてはどうかなというふうに思いましたけれども、検討してください。
 それから、6ページの下から5行目の洪水到達時間というのは専門用語で、いわば降り始めて洪水になる、さっきのリードタイムを含めて、そういう思想が入っているんだと思うんで、何か専門用語以外にもうちょっとわかりやすいのがあったら、それに置きかえておいたらどうかなというふうに思いました。
 じゃ、○○先生。
(委員) さっき文句だけつけたんで、幾つか前向きに発言しないとまずいかなと思ったんですが。
 1つは、ここに入れるのかどうかよくわからないんですが、先ほど出てきた、ハードがだめだからソフトに行くという流れと同時に、ハードの整備の事前の問題としてのソフトの話、つまり防災知識の普及みたいな話が、ここではハザードマップだけになってしまって、意外に読み取りにくいなと。それだけだときついという気がいたしました。
 どういうふうに入れるのかちょっと考えていたんですが、例えば7ページ目の「ハザードマップの全国的緊急配備」というところに、市町村での作成・公表義務化とあって、なおかつ財政的支援というのがありますので、これは公表の財政的支援、マップづくりも支援するというふうに読むんですよね。例えばここに何か「ともに利活用を」という一言を入れておいていただくと、利活用の1つとして多分3番、避難場所を点検するのも利活用の一つだよねというような気もして、言いました。
 それから、あともう1つ、これは、文言をこれ以上書き込むのは難しいような気もしますが、8ページ目の(5)のところに、「災害時要援護者の施設に対しては洪水予報の伝達方法等を予め定め」と、伝達まで踏み込んで書いてあるんですね。逆に、Bの地下空間のほうは、避難確保計画だけになっていて、これも多分、地下街と地下鉄と、いわゆる個人の地下室とかビルの地下室みたいなものと、随分幅があるので、これは全部それでやっていくのかどうか。緊急にやるのは、やっぱり地下街と地下鉄ぐらいなのかなという気もして、そうすると、もう少し伝達とか書けるのかもしれないという気もしました。
 それで、9ページのところのBの段階のところに、発災時の危機管理だけではなくて、ここに、先ほどの事前の防災知識の普及みたいな表現を、少し入れておいていただいたほうがいいんではないか。やはり住民の方々のお話を伺ってみても、地震イコール火の始末とう標語は非常に浸透しているけれども、どうも水害のときの対応行動というのは、きちんと入っていないんではないかというので、入れるとすると、そこぐらいなのかなという気もしていました。
 以上です。
(委員長) いろいろご議論いただきましたが、事務局から何か発言するところがありましたらお願いします。
(事務局) 基本的には、今即座に考え方が整理されているのではないものがたくさんあるかと思います。特にそういうところでのご意見が多かったような感じがあるんで、それは可能な限り、最後の今後検討するところに入れさせていただいて、来春までにそこの部分を詰めていくというスタンスで、これを整理させていただければいいのかなと思っております。
 以上です。
(委員長) 予定した時間がまいりました。皆さんから、大変活発なご意見をちょうだいしまして、最初に事務局がお断りしましたように、本日の総合的な豪雨災害対策の実施についての緊急提言の案について、ご審議をいただきました。
 大変有益なご意見が多かったんでございますので、本日の各委員のご意見を踏まえた修正を事務局にお願いいたしまして、その上で、それぞれ各委員とは仕上がりの案については見ていただいた上で、後日、私と事務局において整理した上で、できるだけ早く本委員会としての緊急提言にしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

(委員長) では、そういうことで、取りまとめたいと思います。財務省の概算予算の決定時期も近いものですから、事務局でも大変急いでいるようでございまして、そのような段取りでさせていただきます。
 各委員には、本議題につきまして、短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、また、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。次回以降は、今後取り組むべき具体的な施策についてご審議をいただきたいと思います。事務局におかれては、本日の各委員のご意見や、後日取りまとめる緊急提言も踏まえ、具体的な施策について整理し、次回の会議で紹介するようお願いいたします。
 最後に、本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。
 本日の議事は、以上でございます。
(事務局) ○○委員長、どうもありがとうございました。





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