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河川局


1.流域の特性と課題

 流域における対策を考えるに当たっては、地域の地理的条件や土地利用、河川との係わり等によって、必要となる対応が異なるため、その特性に応じて地域を区分して考えることが必要である。

 流域の区分に当たっては、

  • 主に山地・丘陵など降った雨が河川に流出する地域で、流域の開発等に伴う洪水流出の増大への対応を考えるべき「雨水の流出域」
  • 洪水時には氾濫の危険性のある河川沿いの低平地のうち市街化の進展した地域で、洪水の氾濫や内水による浸水に対して防御の方法を考えるべき「都市水害の防御域」
  • 洪水時には氾濫の危険性のある河川沿いの低平地のうち都市水害の防御域を除く地域で、氾濫への効率的な対処のしかた等を考えるべき「洪水の氾濫域」

の三地域に分けることができるが、それぞれの区域は次のような課題を有している。

<雨水の流出域>

 雨水の流出域においては、これまで、特に開発の進展の著しい地域において総合治水対策が実施されており、流出抑制対策に一定の成果を収めてきている。しかし、対象河川が限られていることに加え、開発済の既成市街地での対応が遅れていること、民間事業者が設置した調整池が土地所有権の移転等を契機として消失していること等が問題となっている。

 また、一定規模以上の開発に対して、自治体の指導により、調整池が設置されている場合があるが、適用条件等必ずしも流域全体を考慮した対応となっていない等の問題がある。

<洪水の氾濫域>

 洪水の氾濫域は、土地利用等に応じた対策の選択や洪水調整機能の確保等が課題となっている。具体的には、洪水時の流水を一時的に貯留し、洪水調整の機能を発揮する霞堤等の河川沿いの遊水地区が残されてきたが、市街化の進展等に伴い、霞堤を締め切る要望が高くなっている。

 また、山間部の谷底平野を流れる河川などにおいては、連続堤方式とした場合、地域の基盤である宅地や農地の大半が堤防敷地として失われてしまうといった問題が生じている。

 さらに、平成10年の栃木県余笹川での水害等、河川の流下能力を遙かに超える洪水が近年頻発しているが、このような洪水の実績(以下「実績洪水」という。)に対応して、どのように地域を水害から守っていくかが課題となっている。

<都市水害の防御域>

 都市水害の防御域では、内水被害の発生、浸水時の安全な避難場所、避難路の確保、住民に対する適切な情報提供等、様々な課題を抱えている。

 特に、平成12年の東海水害では、このような課題が顕在化するとともに、河川と下水道の連携が十分でなかったことなどから、内水排除により外水の氾濫の危険性を増大させたのではないかとの指摘がある。

 一方、平成11年の福岡水害では、地下鉄駅構内等の地下空間への浸水被害が発生し、土地利用の高度化に伴う新たな形態の水害が発生している。

 このような地域毎の課題に加え、全般的な課題として、土地利用に関する課題がある。具体的には、河川沿いの氾濫の可能性のある低平地への人家の立地の進展や、氾濫や浸水等のおそれのある地域で水害に配慮していない建築物が立地することなどにより、洪水時に大きな被害を被るというような問題であり平成10年の高知水害等の例がそれに該当する。


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