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河川局

審議会等の情報 社会資本整備審議会河川分科会について


第32回河川整備基本方針検討小委員会
(議事録)

平成18年2月7日


2.議事
那珂川水系、那賀川水系及び松浦川水系の
河川整備基本方針の策定について

(委員長) 近藤でございます。本日は委員の皆様にはご多用中のところご出席をいただきまして、まこことにありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。前回は那珂川等3水系の目標と課題につきましてご審議いただきました。今回は前回の審議を踏まえて、那珂川等3水系の河川整備基本方針の本文案について審議をいたすところでございますが、まず、前回の委員会でご質問、ご指摘のあった点について、事務局から補足説明をお願いいたします。
(事務局) 事務局の河川計画課長の布村でございます。座ってお話をさせていただきます。
 A3版の資料1−1、1−2、1−3という右肩の方に資料の番号が振ってございますカラー版のA3版の資料でお話をさせていただきます。
 まず、資料1−1でございます。これは、関東の方の那珂川でございます。前回、○○委員の方から昭和61年の洪水、それから平成10年の洪水、雨の降り方が相当違ってございまして、こういう降雨の特性をうまく考えたような治水計画であるべきだと。計画の中身を見るとそういうふうになっているので、いいのではないかというので、とりわけご意見等ではなかったので少し皆様方も含め、ちょっとデータをご用意させていただいておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 左側に書いてございますのは、昭和61年8月の雨の降り方です。ご案内のように台風が温帯低気圧になりまして、どちらかというと、南から北へ移動する降り方をしております。ということで、左下にもございますが、200mmから300mmの雨が、この流域全体にわたって降ったという雨でございます。等雨量線が書いてあるのも、そういう感じになっているわけです。
 これに比べますと平成10年の方は、同じ8月でございますが、下の方に書いてございますように、前線が台風で刺激を受けまして、山の方で非常にたくさんの雨を降らしてございます。下流の方は100mmぐらいということで、相当な差が出ているわけでございますが、このときの雨と流量のグラフが右の方にございます。昭和61年8月洪水の方をごらんいただきます。これは上流の方からずっと幾つかの地点、4地点につきまして、下流の水戸の方までの雨が水色の棒グラフ、それから点線が流量でございます。
 これを見ますと野口地点というのがございます。これが県境付近でございまして、狭窄部になっているような周辺でございますので、これから上へ、特に野口地点と水府橋地点の水戸の方をごらんいただきますと、かなり、野口地点のところで少しシャープといいますか、洪水の波形が山が高くなっているわけです。それが水府橋のところまで来ますと少しなだらかになっています。これは実績でございますので、実際、この間、この上流ですが、狭窄部の上であふれて、山の方の洪水が少し下流ではなだらかになっているという状況です。ですから、前回ご説明を申し上げましたが、中流部といいますか、狭窄部より上に遊水池とかを計画していったらどうかというお話を申し上げましたが、そういう意味で同じよう中流部、狭窄部より上で水を貯めれば、下流の方への全体の洪水を避けるという効果が、こういう雨のときにはいくのではないか。
 それから一方、右の方は上流部でかなり集中的な雨が降っておりますが、下流の方はないというものです。青い棒グラフを見ていただくとわかりますように、雨の量も極端な違いが見てとれるかと思います。たまたま、二山といいますか、2回大きな山がある雨でございますが、この場合は、下の野口地点、水府橋地点、大きな形状の、先ほどの流量の方からいくと大きな形状の差は余りございませんで、上流の方の対応というのが中心になってきてございます。
 下の方にございます、これは○○委員のこの前のご指摘もそうでございますが、こういう状況を見ると、中流部の遊水池みたいなものは、全域に降るような台風性のものには有効であるし、上流の集中的なものについては、上流の改修みたいなものがしっかりされるという内容でいいのではないか。ちなみに計画規模までのいろんなパターンの降雨を降らせたりしておりますが、それぞれについても、十分、この計画の中で処理でできるようなものになってございます。これは特徴ということで、特段何か変えるべきだとか、そういうことではございませんが、そういうご紹介をさせていただきました。
 次のページでございますが、広域的な渇水時における霞ヶ浦導水の事業の効果についてというのを載せてございます。
 霞ヶ浦導水事業というのは那珂川と霞ヶ浦を結びまして、それから霞ヶ浦と利根川を利根導水路で結びますが、これらは結構近傍にあるのではないかと。そうしますと雨の降り方だとか、水の流れも似たような状況で、なかなか片方の川が足りないときに、片方の川から余っているから融通をするというのも難しくないのだろうか。ちゃんと導水を行っているだろうかというご指摘がありました。左側の真ん中ぐらいに模式図がございますような、足りないときに片方から融通し合うという、絵ではこうだけれども、実際はどうだというようなお話でございます。
 右の方にグラフを載せてございます。これは最近の水がなかった年といいますか。平成5年とか、8年とか、9年の上段の方が利根川でございまして、下段の方が那珂川でございます。黄色い線が、それぞれの川での正常流量でございますので、青い線がこれよりも下がった期間が足りない。平成5年度を見てみますと、5月1日前後ぐらいのところで利根川の方はまだ余裕があるけれども、那珂川の方は穴が開いているといいますか足りないので、この分を導水している。
 実は平成9年の一番下のところも同じような感じなんですが、一部、平成8年という真ん中にございますようなものは、左側の5月1日ぐらいのときは、利根川の方は黄色い線より上ですので、那珂川の方に補給ができるんですが、右側の9月とか、8月のところは両方とも黄色い線を割ってございますので、このときは利根川から那珂川への導水というのはできない。こういうことはあるわけでございますが、トータルで見ますと、例えば昭和62年以降の水不足のときの118日のうち、101日ぐらいは導水が可能になります。左下にはそういう渇水影響期間のうちの導水可能日数というのを載せさせていただきました。これでも相当な改善がされますので、その他の事業を含めまして、那珂川の対策をやろうとなってございます。
 次のページをお開きいただきたいと思いますが、その那珂川の対策、霞ヶ浦導水事業の対策の一つの目的に、那珂川の水が塩水遡上、かなり水量が少なくなりますと、海の方から塩分が入ってくるということで、周りで水道、農業用水、それから工業用水、いろんな利用がされていますところへ影響がありますので、その分、上流の方から霞ヶ浦から導水で水を入れまして、塩水が上がってこないようにするのも霞ヶ浦導水事業の目的です。
 これの状況は、どんなことだろうかというようなご指摘がございました。左下にグラフがございますが、縦軸が流量です。大杉山地点流量と書いてございますが、その上流で取水にいるところと、大体流量的には余り変わりません。下が今の塩分濃度、塩素イオン濃度でございまして、この塩素イオン濃度が200mg/lの塩分が遡上しないところ、水道の方の水質基準をクリアするところを求めております。赤い×点が流量と塩分濃度両方を見ましたときの過去のデータを入れておりますので、これらに影響を与えない範囲といいますと、青い点線が斜めに引いてございます。これよりも多くの水が各地点で流れておりましたが、200mg/lよりは小さくなるだろうというものです。ですので、例えば、那珂市水道がございますが、ここでは15m3/sというようなことで出してございます。
 それから、右の方は動植物の生息の関係の方で、サケについての一般的な基準の考え方等のお話がございましたので、ちょっと環境課長の方からお話をさせていただきます。
(事務局) 環境課長の久保田でございます。座って説明させていただきます。
 右側にございますように、魚類に関する必要流量につきましては、愛媛大学の水野先生を座長としまして、魚類、漁業、河川工学の専門家等を入れて、「河川における魚類生態検討会」によりまして、平成11年に「正常流量検討における魚類からみた必要流量について」をまとめまして、それをもとに必要に応じて、各河川ごとに各地域に詳しい学識経験者の意見を伺いまして、検討対象とすべき魚種、水深等の必要条件を設定しておりまして、那珂川についても、これを基本としております。
 那珂川におきます代表魚種といたしましては、「河川水辺の国勢調査」などで確認された魚種60種の中から、瀬に産卵する魚種、瀬に生息する魚種に着目して、ウグイ、ニゴイ、サケ、アユの4種を設定しております。
 水深、流速などの必要条件については、検討会がまとめた資料を参考に、代表魚種の生息、生育条件として重要な産卵、移動、遡上ごとに種別に必要な水深と流速を設定しておりまして、それが真ん中の左側の必要水深というグラフでございまして、結果的には那珂川では年間を通じて30cmの水深が必要となっております。これをもとにしまして、那珂川の各区間において、瀬の形成が顕著な地点を選定して、各地点で設定した水深、流速などの必要条件を満足する流量を算出して、結果として川堀観測所で22.8m3/sが必要な流量となったものでございます。
 一番下の左側に那珂川のサケの捕獲尾数が書いてございますが、これは栃木県の資料でございますが、ここ数年採捕される尾数は多くなってきております。必要流量につきましては、今後魚類等の調査研究の充実によりまして、新たな技術的な知見が得られた場合、あるいはサケの遡上状況の変化など、動植物の生態の変化、その他、社会環境の変化等の必要に応じて適宜見直していくものでございます。
 以上でございます。
(事務局) 今の点につきましては、あと本文の方でも、この川は余り横断工作物がない中で、将来の状況を踏まえたということのご指摘がございましたので、本文の方でも工夫をさせていただいております。
 それから、次は資料1−2の方でございます。これは四国の徳島の那賀川でございます。一つ委員からのご指摘の中に、流量確率分布モデルの選定についてのお話がございました。左側の真ん中にグラフが書いてございますが、幾つか流量確率については、確率の手法がたくさん並べてございます。指数分布だとか、グンベル分布だとかずっと並べてございますが、これらの中で川によって、どういうものを採用しているのか、どういう統一をとっているんだろうかというお話がございました。
 やり方としましては、その上に適合度というのが書いてございますが、国内で適用性が確認されております11の分布モデルを下に書いてございますけれども、こういうもので出しまして、この中で適合度「SLSC」というもので見てございます。採用分布形の誤差の度合いを図る手法でございまして、値が小さいほど適合度は高いというものでございます。
 ただ、全国の実流量のデータから求められましたSLSCの最小値というものを、お調べになった論文を見ますと、大体最小値というのはSLSCが0.04以下ぐらいのところにほとんどのものがございます。ということで、ほかでこういうふうに分析をいたしましたものを、0.04以下のものというものを手法として採用しています。グラフの中で幾つかの○印とか、×印とかが書いてございますけれども、0.04以下のものが幾つかありまして、2つぐらい、この川の場合は、これからよりも大きいと。そうすると、下のものだけについて分析をするといいますか、採用するというようなことをしてございます。その結果が、前回も見ていただきました左下のようなグラフになっているわけでございます。
 今度は右の方の計画対象降雨の確認にお話でございますが、この川につきましては、昭和49年の工事実施基本計画で検討されました雨、これが時間分布だとか、地域分布で異常なものがあったりはしないだろうか。全体の大きな雨で引き伸ばしますと大丈夫なんですけれども、それを局所で見ますと、おかしいようなことが出ていないだろうかというようなご指摘がございました。
 1つは時間分布の方でございますが、計画決定降雨と左側に書きましたように、全体の雨は引き伸ばしているんですが、このうち、洪水到達時間内のところだけを、また確率処理をしてございます。引き伸ばしたものが洪水到達時間、この場合は12時間でございますが、この間だけを見てもおかしくなっていないかというのが、引き延ばし率1.614とございまして、12時間で510mmとか書いてございます。これは確率370分の1ぐらいになります。ちょっとわかりやすさのために、右の方に別な昭和25年の波形を入れてございますが、同じようにやりますと、右の方に6,000分の1とかなったりするものがございます。引き延ばし率は同じようでございますけれども、時間的な雨の分布からいうと、異常な値になってしまうというので、実際、昭和49年の工事実施基本計画の検討でも、右の昭和25年の波形は採用されていないといいますか、不採用になってございますが、左のような100分の1とか、百数十分の1の議論でございますので、局所的になりましても数百分の1ぐらいまでのことはあるかと思いますが、何千分の1というのは、やはりかなり異常値なものであろうというようなことで、昭和43年洪水は採用しているけれども、右のような昭和25年洪水は採用しないとなってございます。そういう時間分布につきまして、チェックをして確認をしているということです。
 それから下の方の地域分布ですが、同じように左側の方は、これは昭和43年の雨を入れております。那賀川の方が上流、中流、下流で一点鎖線ぐらいで黒線が分けてございますが、雨の降り方がカラーで、雨の強さが分けてございます。一番下にございますように、これを地域ごと全部で見ますと、100分の1とかになっておるわけですが、地域ごとに分けてみますと、上流が13分の1だったり、中流は36分の1、下流は280分の1とか、これは雨のパターン、雨のいろんな降雨のパターンである年の台風、ある年の台風でいろいろ違っているんですが、この43年のパターンだとこうなると。こういうぐらいはまだ280分の1というので、先ほどの100分の1の中のある程度のレンジに入っているわけであります。
 右の方は極端な例でございまして、昭和36年のものなどをやりますと、例えば、下流だけでも3,000分の1になると。こういうものは地域分布はおかしいなという、こういう検討を入れて整理をしているものでございます。そういうのが昔の昭和49年の工事実施基本計画の方でも、そういうものが比較されておりますので、時間的な分布とか、空間的な分布についても妥当なものではないかと思います。
 それから、次のページをごらんいただきたいと思います。那賀川につきまして、河川の方の流量を大きくする、河川改修だとかで大きくするという以外に、上流のダムなどで洪水をためるという必要性がございます。それでそのときに、流域内の左上にございますように幾つか県で建設した多目的ダム、その他発電のダムなんかがございます。既存のこういう施設の有効活用をなるべく図っていこうということを申し上げまして、どういうことが大体今の時点でも考えられているんだろうかというお話がございました。
 このお話をします前に、左下にございます細川内ダムの中止経緯を若干ご紹介しておかないといけないんですが、実は一番下の絵のように、長安口ダムよりももっと上流に細川内ダムというのが計画されておりました。若干の経緯をそこに書いてございますが、地元のご理解が得られないで、結果、中止をしてございます。
 上のオレンジの中に書いてございますが、平成12年の事業評価監視委員会で、このダムの中止はやむを得ないが、治水・利水・環境について、既存施設の改良を含めて具体的な対策を早急に立案するというような話で中止に至った経緯がございます。
 それを今進めているわけでございますが、この上流のダムがない分、若干、下流の方の施設の方も考えなければいけないことがございます。右上にございますが、今、途中にございます、例えば長安口ダムというものは、上流の細川内ダムで洪水を少しため込むものでございましたのが、そうでないとしますと、真ん中ぐらいの絵が2つ山になったり、放流量、流入量と書いてあります絵が2つ並んで黄色い矢印がございますが、左側のようなつもりでございましたのが、上流からもっと大きい洪水が来ますと右のようになります。そうしますと、ダムで洪水をカットするのが、青い線でなっておりましたものになりますと、ちょっと水系全体といいますか、流域全体では効果がうまく出せないというので、ちょっと操作ルールを変えて、赤線みたいなことにしようと。
 加えて予備放流容量の増強というのがございますけれども、このダムの少し下の容量も、予備放流でうまく使ったりすれば、有効に洪水対策ができるんじゃないか。こういう2つの合わせ技で、今、ダムの平面図で放流施設改造イメージというのがございますが、従前のゲートよりも横にもっと低いところまで水が流せるような、かつもう少し大きな流量を処理できるようなゲートを今検討したりしているわけでございます。こういう改造をすれば、水系全体の効果が高められると考えています。
 それから、一番右の方に「堆砂容量の活用」とございますが、結構土砂がたまっているダムでもございますので、一つは、この堆砂部分をうまく除去したり、貯まらないようにしていく工夫のために、貯砂ダムだとか、それを掘削すると。
 さらに掘削をうまくやりますと、その分余計に治水容量に使える分も、確保ができるということを今検討してございます。
 それから、「底水容量の活用」というので、発電で水位確保のために設けられたもので、今まで余り活用されておりませんでした底水容量というのを有効な治水とか利水容量にうまく使おうと考えています。
 それから、先ほど幾つかの発電ダムだとかがございましたが、これは当然、発電事業者等のご理解も得て、ダムを治水容量とか利水容量の活用とか、これも含めた再編みたいなものを今後検討していこうとしてございます。
 それから、次のページでございますが、那賀川に北岸堰という堰がございます。那賀川の河床が、すなわち河道の下の砂州の形状等がかなり蛇行しており変動してございます。左下に見ていただきますと、よくわかりますが、この地図を見ますと、北岸堰というのが上流です、それから右上が下流です。北岸堰とか書いてありますようなところ、それからしばらくは、年が変わりましても同じような場所を大体深いところが流れているわけですが、途中からは年によって場所がどんどん変わっているのがごらんいただけるかと思います。
 これはいろんな地形の形状とか、川のカーブしている場所だとかがあるかとは思うんですけれども、今、北岸堰というものがありますのが、一つのコントロールポイントといいますか、そういう流れの安定化をしている効果があるのではないかと。そのため、北岸堰を撤去するにあたっては右のように下流河道の安定というのを配慮しまして、全部取り払うのではなくて、床止めといいますか、河床を安定させる効果みたいな部分を残して、部分的に上だけを撤去し、それからまた、当然下流河道の状況を見ながら、そういうものを進めていこうというように考えてございます。
 それから、もう一つ、今度は次の川の方に移らさせていただきたいと思います。資料1−3でございます。九州佐賀の松浦川でございますが、資料1−3でございます。
 この前ご指摘いただきました一つに、計画高水流量の数字のお話がございました。これは右上をごらんいただきますと、青い字で書きました数字がもともとの工事実施基本計画の流量でございます。このときは、上流に右の方に点線がございますように、上流の方にダムを想定してございます。ただ、前回ご説明申し上げましたように、赤い方が今回の河川整備基本方針での計画高水流量でございますが、一番下流の基準地点、松浦橋のところで、前回もお話を申し上げましたように、左下のように3,500m3/sまではある程度安定して流せるのではないかというので、100m3/sぐらいの流下能力の増強ができるのではないかということで、一番右のダムがその分、不要になるというような図式でお話を申し上げました。
 途中のご指摘の川西橋というところはもともと1,300m3/sでございましたが、今回1,500m3/sになっているんだけれども、下流の方は100m3/s増、ここは200m3/s増というのはどういうことだろうかというご指摘がございました。お話は今の河道そのものは、100m3/s分の増への対応は問題ありませんが、この前十分ご説明申し上げませんでしたが上の方のダムがそこで調節効果を持たせようと思ったのがなくなりますので、この分がさらに100m3/s上乗せになりまして、ここでは川西橋で200m3/s増えるということでございます。
 どういう川かというのは、下の方に写真がございますが、このように田園地帯を流れている川でございます。断面はその下に書いてあるようなものでございますので、1,500m3/sという計画でも大きなネックになるような事象はなく進めていけるのではないかということで、こういう流量配分にしているものでございます。
 それから、最後のページでございますが、次のページでございます。
 厳木ダムの洪水調節効果についてご質問がございました。これは左上にございますように、流域図というのがございます。厳木ダムというのは、34km2 という流域を持ってございまして、全体からすれば8%ぐらいしかないわけでございますので、これがそんなに大きな効果があるんだろうかと、ちょっと面積的に違っているのではないかというようなご質問がございました。
 これはここの地形特性とか、降雨特性がかなり特徴的なものでございます。真ん中上のように、地形特性は高さの等高線を書いてございますが、厳木ダムだとかがありますところだけが少し低いなだらかなところでございますので、これが左下のように、降雨の方にもあらわれてございまして、流域の平均の雨量が2,100mmぐらいでございますけれども、厳木ダムのところだけは、年間でも2,450mmです。それから、洪水になりますと、もっと極端でございまして、例えば、昭和28年という大きな雨が降りましたもの、それから、最近といいますか、もう少し近年の昭和57年の等雨量線を書いてございますように、大体雨が降るのは、この厳木ダムの近辺のところで多く降るというのが、この流域の特性でございますので、こういうことで流域は小さいのでございますが、ここをきちんと押さえるということは、この水系の治水対策として効果を発揮しているというものでございます。
 以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。前回のご質問について、事務局からそれぞれ回答がございました。まず、資料1−1の1ページ、これは○○委員でしたか。要は降雨の地域分布、時間分布が違うので、それぞれにきめ細かく対応すべきだった、検討すべきだったということだったと思いますが、本日はご欠席ですが、この趣旨で了解されていますか。
(事務局) 事前にお話を申し上げて、このとおりで結構ですということでご理解いただいております。
(委員長) ちょっと気になるのは、平成10年8月は上流部の流量は大きいが、中下流部では流量はそれほど大きくなかったというんですが、これはたしか2日間か、3日間にわたってHWLを2回も超えたという大変な大洪水だったと認識しています。上流部に比べれば、流出量は少なかったんでしょうけれども、本川流量は大変大きかったんではないかと思います。そういう意味では、遊水地群も大変有効なんではないかと。この記述は誤解を招くと思いますので、ご注意願いたいと思います。
 2ページ、これはどなたでしたか、導水路の問題で、有効に働くのかということでしたが、効かない場合もあるけれども大部分は働きますという回答ですね。どなたでしたっけ?
(委員) はい。
(委員長) よろしゅうございますか。
(委員) はい。
(委員長) 3ページ目は、これは左が○○委員で、これでよろしゅうございますか。
(委員) 考え方はよくわかりましたし、流量設定について了解いたしましたが、もしわかっていたら教えていただきたいのは、このグラフ、左側の下の「×」がたくさん付いたもの、大変相関がないように見えるんですが、つまり、流量と塩素遡上地点の関係というのは、同じ地点で見ても非常にばらつきがありますけれども、これは何かほかの要因の方が大きく効くということがあるのかないのか、例えば、那珂川水道地点だけ見ましても、15m3/sというところから、7.8m3/sぐらいまでばらついているんですけれども、もっと下流になりますと、5m3/sから30m3/sぐらいまでの幅がありますけれども、それはどう考えたらいいのか、もしおわかりであれば、ちょっと教えていただければと思います。
(事務局) ご案内のことかもしれませんが、塩分を含みました海水は川底に入っていきますが、川の流れの流量とか、それから潮の干満だとかで非常に状況は変わります。いつも塩水クサビといいますか、きれいに入っているわけではなく、あるときは周りを攪拌しながら、干満がちょうどそういうタイミングになりますと、全部攪拌しながら流れましたり、あるときはきれいに下の方だけが塩分が高くて、上の方はきれいな層状になるとか、いろんな状況がございまして、そういうのが影響しております。それで観測は、このデータも一番表層と中層と下層とか、そういうものをとっております。それから、上下流もそういうふうにとっておりまして、どこからこういうことが起きたら、まずいということで、そういう水の攪拌状況なんかも含めてやりますと、こういうばらつきがあるということかと思います。
(河川局長) もとの常陸河川国道事務所の所長として、ちょっと申し上げますと、大潮、小潮の影響が非常に強くて、大潮のときは上流まで潮が上りますし、小潮のときは満潮以外はそれほど高くないので、それほど上らないということで、当時の渇水調整で下流で潮が非常に問題になるときは、大潮のときが一番問題になって、小潮のときはかなり緩和されると。潮位が大潮と小潮では大分違いますので、ですから、これはかなり潮位の影響、大潮、小潮の影響ではないかと。満潮時で潮の上がるところで問題が起きますので、いずれ満潮時だと思いますけれども、大潮、小潮の影響が一番大きいじゃないかと思うんです。
(委員) 塩水遡上の件でよろしいですか。
(委員長) どうぞ。
(委員) 私、水戸市長の○○と申しますけれども、今の塩水遡上は、渡辺局長さん、常陸河川国道事務所におられましてご承知のとおりだと思うのですけれども、今、根本町地区のところで氾濫を防止するということで、河道の掘削をするというようなことが計画されておりますが、そうしたことは、塩水遡上を促進するというようなことにはなりませんか。例えば、砂利をとった後、そこにはどうしても塩水が上がってきて、押し上げられてきたときですね。塩水は重いですから下に貯まっていますね。さらに河道掘削をしたときに、河道掘削というのは、水戸市としてはどうしてもやっていただかなければならない大きな事業なんですけれども、河道掘削をしたときに、そこまでさらに大量に塩水がそこに滞るというようなことがないかどうか。その辺のところもちょっと伺っておきたいと思うのですが。
(河川局長) 一般的に言いますと、その河道のマウンドがあって、そこで塩水が止まるとか、そういう状況のときに、それを掘ったときには上流まで上がってしまうだろうと。ただし、もっと河道の掘削断面より上に塩水があったときには、それの下を掘ったとしても、それほど大きな影響はないと思います。もともと塩水が河道を掘るところよりも上にあれば、その下を掘ったとしても、それほど大きな影響はない。ただし、河道が塩水を止めている役割を果たしていれば、長良川の河口堰なんかその例なのですけれども、実態、マウンドで止めていたのを、それを流下能力を上げるために掘った場合に、河口堰がないと、どうしても上に上がってしまいますねという議論で長良川の河口堰はあるんですけれども、那珂川の場合、掘るところが塩水のもともと水面より下にあれば、それほど大きな影響はないだろうというふうに思われますけれども、具体的な部分は、ちょっと現地の図面をよく見ないとわかりませんけれども、一般のときには、そういうことだと思います。
(事務局) 簡単に言いますと、この点については掘りました後に検討しておりますので、大丈夫かと思っております。
(委員長) 織り込み済みということのようですが。
(委員) 私ども素人ですから、塩水というのは汽水よりも、普通の水よりも重いという感覚なものだから、掘れば掘るほど下に入っちゃうのかと思ったんですが、ある一定のところで止まっているということであれば、その下を掘れば影響はないということであれば、ありがとうございました。
(河川局長) 後でまた。
(委員長) いやいや、大事なところだから。今の話は塩水は下に入るんだけれども、上にまで上がってこないという回答ですか。
(河川局長) 塩水と真水の境目の位置は上がってこないということですね。下には入るんですけれども、塩水と真水の位置の境目の位置がそれほど上がることはないだろうと。上が真水で、下が塩水ですから、そこに境目ができるわけです。その境目の位置より上を掘っちゃうと上まで行っちゃいますけれども、その下を掘る分においては、それほど変わらないだろうと、そういう意味ですけれども、塩水と真水の境目がありますので。
(委員) わかりました。結構です。
(委員) この辺の塩水遡上のことに関連して一つお聞きしたいんですが、15m3/sの根拠というのはよくわかったんですが、この図を見ると本当に15m3/sというのはぎりぎりの線なわけですね。この関東の那珂川は太平洋側ですので、塩水遡上というのは水位の上昇、海の側の水位の上昇なんかにもすごく敏感なんですね。ちょっと上がるとぐっと入り込むと。もちろん河川流量に対してもものすごく敏感です。有明なんかでもそうなんですが、何が原因なのか、地球温暖化が原因なのか、黒潮の蛇行が原因なのか何なのかわからないんですが、近年、平均海面水位が上がったりしているわけです。そういうことが考えられると、このぎりぎりの15m3/sというのは、今後厳しい状況が出てくるんじゃないかなという気がするんです。というのは、九州の川内川で丸山取水場というのがあるんですけれども、ここは塩水が入るということで上流側に移したんです。ところが移しても、なおかつ時々塩水が入るということで非常に困ったという経緯がありまして、こういうぎりぎりのところで流量を設定するというのは、本当に余裕がないというのはわかるんですが、安全率とか、余裕とかというようなことは考えなくていいんでしょうか。
(委員長) 事務局から。
(事務局) ちょっとこの場で細かいことは省かせていただきますが、いずれにしろ、そういうことを踏まえて、きちんと運営管理ができればといいと思います。
 それから一応プロットしてある点も、例えば201mg/lもプロットしてあれば、300mg/lもプロットしてありまして、そういう意味で少し端っこにきているものの程度もあるかもしれませんので、今の委員のご指摘も踏まえて、ちゃんとした管理運営ができるようは工夫したいと思います。
(委員) 最後に1点だけよろしゅうございますか。今の話で大体納得はいたしました。ただ一つ、前例として今日は茨城県から知事代理がおいでになっていますけれども、常陸那珂港というのは整備の途中であります。整備の途中でありますけれども、これが整備をされる段階においては、これだけの港をつくっても海流の流れは一切変わらないよと。一切中の流れは変わらない。海流というものは絶対そんなものではありませんという説明を受けて港湾整備をやったんですが、できてくるに従って、片方は全く砂がなくなっちゃって、砂利もなくなっちゃって、ひどい海岸になっちゃったということが現実的にございます。したがって事業推進の中で、後になってこうではなかったなというようなことがないようなことだけ、ぜひ一つこの計画の中で推進していただければ大変ありがたいと思っておりますので、その件はひとつお願い申し上げておきたいと思っております。
 茨城県、そうだよね。茨城県の立場できちっと話だけしておいた方がいいから。港湾は砂がなくなっちゃったよね。
(委員) 常陸那珂港湾の南となりに阿字ヶ浦海岸いうのがありまして、そこは昔から海水浴場として非常にいい場所だということであります。阿字ヶ浦は昔も砂が一旦なくなって砂利が出た、そういう時代というのもあったりしていますので、港湾だけのせいかどうかということは、なかなか議論のあるところだと思うんですけれども、事実としては、現在のところ砂が少なくなって砂利が出てきてしまった。そういうことに対する対応は現在やっている、そういう状況にはあります。
(委員長) わかりました。それでは、これまた文書に書き込んでもらって、掘削の関係と塩水遡上とは一挙に掘削するわけではなくてモニタリングをして絶えず塩分を測りながら進めていくというように丁寧な対応していただくように文書には織り込むようにしましょう。
(委員) その辺のところは省の方にお任せして、対応は文書に入れても入れなくても結構でございます。
(委員長) ひとつ丁寧な対応をしていただきたいと思います。
 次に資料1の−2でございますが、これは○○委員でしたっけ。よろしゅうございますか。
(委員) はい。
(委員長) 後半の部分は○○委員だったと思いますが、これもご了解を得ているわけですね。
 それから、次が那賀川の既存施設、これは私からだったと思います。今のご説明は細川内ダムは必要ないから中止したわけではなくて、地元の皆さんのご了解を得られないのでやむを得ず中止をしたこと、洪水調節機能は依然として不足していること。したがって、発電ダム等とも交渉して治水容量を買い取るとか、あるいは既存施設の長安口ダム等をさらに有効活用するとか。これらをやってもし足りなければ、場合によっては新設ダムもあり得ると私は解釈するんですが、大体そういう趣旨と受け取っておきます。
 それから北岸堰は、これは○○委員でございますか。
(委員) 私の質問です。説明は結構なんですけれども、那賀川の北岸堰と交互砂州の関係を余り簡単に考えないでいただきたい。交互砂州をどのように管理するかが、下流部の治水対策の要になります、すなわち、砂礫堆が当たるところに水当たりをつくるために、砂礫堆が動いてしまうと水衝部が移動することになり対策が非常に複雑になります。北岸堰の高さを低くしながらモニタリングを行い、砂礫堆の変形による下流河道への影響のモリタリングを行う。これはぜひ、やっていただきたい。それから、撤去部分の高さについても十分検討して、現在の砂礫堆の配置が変わらないように検討をしていただきたいと思います。
 一番の問題は、大流量が流れる川の割には川幅が非常に狭い。そして洪水の水深が非常に大きいということで、その川幅との水深の比が非常に大きいために、砂礫堆の発生は避けがたい。これを認めた上で安全な川づくりをするということで、このことについて十分ご検討をお願いしたい。
(委員長) 次に資料1−3ですが、これは私からだったと思いますが、この説明で了承いたします。ただ、あくまで市街地である唐津市を守るということが基本でありますし、この下の航測写真を見ますと、農地も100分の1、宅地も100分の1という考え方なのか、場合によっては宅地は100分の1だけど、農地は50分の1とかの方式はないのか、今のところそういう手法はないわけで、案文としてはこれしかないと思うんですが、今後少子高齢化時代に向かって、どういう土地の守り方をするかというのを検討するのに非常に代表的な河川だと思います。今後、いろんな法制化等の検討の中で、こういうところもモデルとして検討していただきたいというふうに思います。
 次に2ぺージですが、厳木ダム洪水調節効果、これはどなたでしたか。
(委員) わかりました。
(委員長) 以上、質疑応答に時間を食いましたが、早速、これで基本的なことはご了承を得ましたので、河川基本整備方針の本部案ご説明をお願いしたいと思います。
(事務局) それでは、続きましてご説明をさせていただきますが、資料2−1、2−2、2−3というものと、資料3−1、3−2、3−3というものを使いましてお話をさせていただきます。
 まず、関東の方の那珂川でございますが、資料2−1と資料3−1、恐縮ですが、両方見ながらお願いできればと思います。本文そのものは資料3−1、1枚おめくりいただくとわかりますが、対比表になってございます。左側が現在の工事実施基本計画、それから右側が今作成をしようとしております河川整備基本方針の案でございます。少し文書が長うございますので、ダイジェストのポイントを書きましたものが、もう一つの資料2−1、縦のA4でございます。
 資料3−1の1枚先をおめくりいただきましたところに目次がございますように、1番が河川の総合的な保全と利用に関する基本方針、流域とか、河川の概要を書いてございます。それから、それをどんなふうに利用していこうかという方針、それから大きな2番としまして、洪水の流量だとか、流水の正常な機能の流量だとかというものを書いてございます。
 ちょっとお時間の関係で恐縮でございますが、その後の(1)「流域及び河川の概要」につきましては、前回、ずっと流域の特徴だとか、課題のお話をさせていただきましたことをずっと述べさせていただいておりますので、少しはしょらせていただきます。事前にこの文書も見ていただて、幾つかご意見をいただいておりますところにつきましては、例えば、逆川の文字が入っていないじゃないかとか、少しこういうことを入れた方がいいんじゃないかというのは、少し直させていただきましたが、大きなご議論いただくような点では修正がないかと思いますので、大変恐縮ですが、資料の今の6ぺージの(2)の方からごらんをいただきたいと思います。
 それから、もう一つの資料2−1の方は1枚おめくりいただきました3ぺージからでございます。ここは(2)「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」ということでございまして、どういう川にしていこうかというような部分でございます。
 まず、6ぺージの最初の部分は治水、利水、環境の総合的な方針をどうしようということで書いてございます。ちょっと概要の方に書いてございますように、治水、利水、環境にかかわる施策を総合的に展開をすべきだということ。それから水源から河口まで一貫した計画でやるべきだということ。それから、段階的な整備を進めていくに当たっての目標を明確にして、河川整備計画だとかをつくりまして、段階的にきちんとしていこうと。それから健全な水循環系ということで、川だけでなく、いろんな流域全体の水のつながりの中で考えよう。それから川の有する多面的な機能を十分発揮できるよう、維持管理を適切に行うということ。それから総合的な土砂管理の観点から、河道の維持というようなこと等について書いてございます。
 その次に本文の方は7ぺージからでございますが、「ア」としまして、「災害の発生の防止又は軽減」ということで、最初のフレーズは流域全体の河川整備の方針について述べてございます。洪水調節施設と、それから河川改修によりました計画規模の洪水を安全に流下させること。それから、河道の掘削等による河積の確保にあたりましては、河道の維持、それから河岸等の良好な河川環境にちゃんと配慮するというようなこと。それから中流部の狭窄部がこの川は特徴的でございますが、氾濫区域内の状況を考慮いたしまして、治水安全度を効率的に確保する。前も申し上げました宅地の方を上げるとか、そういったいろんな工夫をしていこうということであります。それから内水被害の著しい地域でございます。こういう地域におきましては、関係機関と連携・調査を図りつつ、必要に応じて軽減対策を実施していこうということでございます。
 本文7ぺージの中段からは河川管理施設の管理、ソフト対策等でございまして、河川管理施設の適切な管理と施設管理の高度化、効率化、それから内水排除施設については、排水先の河川の出水状況等を把握して、適切を運用をするということ。それから超過洪水、川があふれるような洪水、それから計画を越えるような洪水につきましても、被害の軽減を考えていこうというもの。それから、情報伝達体制の充実など、総合的な被害軽減対策、それから、人口・資産が集積した都市計画を決定している区間、これは下流部にございますが、こういうところの進捗も十分踏まえつつ、中下流部での遊水地の整備による段階的な治水効果も考慮して中上流部の整備を進める。下流のできぐあい、それから中下流部の遊水池、それから中上流部の今の整備、これを全体のバランスの中でうまくしていこうという大事な点でございます。
 それから、本文の8ぺージの中段ぐらいからは「イ」としまして、「河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持」ということでございまして、水資源開発施設の整備による供給を行うとともに、広域的かつ合理的な水利用促進を図るなど、都市用水等の安定供給、流水の正常な機能の維持のための必要な流量の確保に努める。霞ヶ浦導水などでございまして、渇水における取水障害の軽減、先ほどのようなお話、塩分遡上等もございます。これらにつきまして、広域的なまた水融通等で効率的な水運用を実施していこうと。
 それから、河川の流量を縦断的かつ時期的に的確に確保し管理するために、流水の正常な機能を維持するための必要な流量を定める地点のほか、下国井地点において低水管理を的確にやっていこうと。
 それから渇水時の被害を最小限に抑えますために、情報提供等の体制の整備、それから水融通の円滑化等関係機関と連携協力してやっていこうということを書かせていただいてございます。
 本文の8ぺージの下の方から「河川環境の整備と保全」ということで、最初は河川環境の整備と保全の全体的な方針について書かせていただいております。流域の人々とのかかわり、それから良好な河川景観、清らかな水の流れの保全、多様な動植物の育む場所でもございますので、そういうようなものを次世代に引き継ぐように努めようということ。それから、河川環境整備と保全が適切に行われますように、どういう空間として管理していくのかという目標を定め、地域住民や関係機関と連携しながら、地域づくりにも資する川づくりを進めましょうという基本的なことでございます。
 9ぺージに入りまして、動植物の生息生育地の保全について書かせていただいております。汽水域とか、個別のところの状況を踏まえて、礫河原の保全等々でございます。
 ここで先ほどサケの遡上のお話が前回もありまして、追加のご説明を環境課長からさせていただきましたが、本文の方も今後の遡上の状況を十分把握しながら、それに適合したものに変えていこうということで、ちょっと修正させていただいてございます。
 それから、その後良好な景観の維持・形成等々でございます。それから人と川との豊かな触れ合いの確保をうまく図っていこうということもあり、水戸市の中を流れましたり、上流の関東全体のいろんな意味での憩いの場所等にもなっているところでございます。
 それから、下の9ぺージ下段の方は水質の問題について触れさせていただいていますが、下水道その他と連携をしまして対策をする。
 それから、千波湖、桜川がございます。こういうところの水質の浄化対策もちゃんと改善していこうというものでございます。
 それから、9ぺージの下段の方は河川敷地の占用工作物の設置・管理についてモニタリングをしっかりやっていくこと。それから地域の魅力と活力を引き出す河川の管理ということを記述させていただいております。
 ちょっとはしょった説明で恐縮ですが、そういう中身でございます。
 本文11ぺージからは「河川の整備の基本となるべき事項」ということで、高水の流量について記述させていただいています。基本高水のピーク流量などの表がございますが、もともとの工事基本計画の基本高水のピーク雨量8,500m3/s、これにつきまして、ダム等によると書いてございます洪水調節施設による調節流量、これは一般的には基本方針、各河川とも表現を変えております関係で、こういうふうに書いておりますが、具体的には中身も中流部の遊水地を主体に考えていこうというものでございます。
 それから、それの流量配分につきまして、次のぺージに図がございます。上流の方から河口の方まで各基準点につきましての流量記述をしてございます。ちょっと右と左とで多少書き方が変わってございます。少し全国的にこれぐらいの規模だったら、このぐらいの表示をしましょうというものを合わせております意味合いだけで、大きな何か事件があって変えているとか、そういうことではございません。同じ趣旨でしっかりやっていこうというものでございます。あと13ぺージが横断形、川幅ですが、基本的には変わってございません。
 14ぺージが流水の正常な機能の維持のための流量、平常時の流量につきまして書いてございます。これも前にお話申し上げましたようなところを踏まえまして、野口地点における流量といたしまして、かんがい期概ね31m3/s、非かんがい期概ね23m3/sというようなことを記述させていただいてございます。
 以上が関東那珂川でございます。
 次に資料2−2と資料3−2で今度は四国の方の徳島の那賀川の方のお話に入りたいと思います。
 同じように大変恐縮ですが、最初の流域の概要等につきましては、この川につきましても特段ご意見等でいただいているところはございません。前回ご説明申し上げました特徴につきまして、各方面から洪水の話であろうが、社会環境、自然環境の話などが書いてございます。
 それから、本文の5ぺージからは、「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」ということでございまして、概要といいますか、ポイントの紙は2枚目、2ぺージ目にございますが、(2)真ん中ぐらいから「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」ということで、基本的な部分、先ほどの関東の那珂川と共通する部分はございます。治水、利水、環境全体を総合的に考えようということ。それから当然のごとく山から海までといいますか、水源から河口まで一貫したもの。それから段階的にきちんとやっていこうというもの、それから川だけじゃなくて、水全体の循環系として考えていかないといけないこと。それから、川の有する多面的機能を発揮できますよう、維持管理をしっかりとやっていくことをしないといけないということ。それから、土砂の管理としてのことをやっていかないといけないこと等でございます。
 それから、「災害の発生の防止又は軽減」というのが「ア」から始まりまして、これは治水の部分でございます。流域全体の河川整備基本方針としまして、洪水調節施設による洪水調節を実施する。その際、先ほど話題になっておりましたが、既存の施設につきまして、関係機関とも調整をしながら、利水容量等の治水容量への有効活用等々をしていこうということでございます。
 それから、堤防の新設とか、拡築、河道掘削等を実施し、計画規模の洪水を安全に流下させるということでございますが、先ほども話題になっておりましたが、いろいろ激しい水が流れていますから、そういう川でございます。堤脚部の局所洗堀、それから旧川跡への築堤に起因する漏水等の対策、高水敷の造成や護岸等により堤防の強化を図る等々につきまして、しっかりとやっていく必要があるということでございます。それから、河口部における高潮対策、それから、内水害の著しい地域についての対策等でございます。
 それから、本文6ぺージからの下の方からは、河川管理施設の管理、ソフト対策等でございます。基本的には先ほどの関東那珂川と似たようなところでございます。内水、それから河道内の樹木につきましての計画的な管理、それから堆砂対策による貯水能力の維持、これはここの川としての一つの課題でございます。それから、地震防災のことがございますが、東海、南海地震の心配もされる場所でもございます。堤防の耐震対策等をちゃんとやっていこうというもの等でございます。
 「イ」に入りまして、7ぺージの下の方から河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持ということで、利水の安定供給のため、既存施設の有効活用等による適切な水資源の確保を行うとともに、広域的かつ合理的な水利用の促進を図るということ。それから渇水時等の被害を最小限に抑えるため、情報提供等の体制整備、水利用者相互間の水融通の円滑化の推進。昨年も大きな渇水がございましたので、こういった点についてしっかりやっていかないということであります。
 8ぺージから「ウ」としまして、環境の整備と保全でございます。基本的なスタンスは、先ほどの川と同じでございます。多様なものをちゃんと次世代にうまく引き継ぐということでございます。
 それから、動植物の生息・生育地の保全、それから良好な景観の維持・形成、人と川の豊かなふれあいの確保ということを、今もいろいろな活動がされてございますが、さらにと思っております。
 それから水質の改善、それから長安口ダムなどから放流されます濁水の長期化、こういうものについても十分注意を払っていこうというものでございます。あと河川敷地の占用工作物の設置管理に当たっての環境、その他との調和とモニタリングをしっかりやろうということ。地域の魅力と活力を引き出す河川管理、維持管理でございますが、しっかりやっていかないといけないということであります。
 本文の11ぺージからは基本となるべき事項としまして、基本高水のピーク流量の一覧表がございます。那賀川につきまして、古庄地点でダムなどの洪水調節がない場合、11,200m3/s、これを上流で1,900m3/sためまして、河道で古庄で9,300m3/s。それからもう一つ、南側に桑野川がございますが、大原地点で1,300m3/sの流量で対策を講じていこうというものであります。
 その配分図が11ぺージの方にございますようなものでございます。若干、書き方は変えてございますが、今、「0」というところの書き方をほかの川との並びで洪水時、ここは全然流量がいかないものを、こういう表現でしておりますので、そういうふうに直したということだけでございまして、川の位置関係が変わっているものではございません。
 それから12ぺージには、計画の横断形等でございます。基本的には、今の工事基本計画と変わっておりません。
 それから、13ぺージは流水の正常な機能を維持するための流量の関係でございますが、和食地点におきまして、かんがい期概ね32m3/s、非かんがい期概ね14m3/sということで、前にお話もしましたような結果について、ここに記述させていただいております。
 恐縮ですが、もう一つの佐賀の松浦川でございます。資料2−3、資料3−3でお話をさせていただきます。
 これにつきましても恐縮ですが、唐津のいろんな特徴等々を前にお話を申し上げましたようなことを、最初の方でずっと書かせていただいております。資料の方、上からいろいろな周囲の話等々もございます。地域のかかわりもございます。
 本文の方は5ぺージから、どういう川にということで保全と利用に関する基本方針というのを記述させていただいております。
 ダイジェストの方で見ますと、3ぺージでございますけれども、大きな基本的な枠組みは、やはり治水、利水、環境の総合性、それから水系全体一貫したものであること。これは当然同じようなこと。それから水循環としてものを見る。それから、段階的に整備しないといけない。それから、川の機能をきちんと多面的な機能を発揮できるよう維持管理をきちんとしないといけない。土砂の管理を全体的に考えないといけないということでございます。
 6ぺージにまいりまして、治水関係、災害の防止関係でございますが、流域全体の河川整備の方針ということでございまして、洪水調節施設と河川改修、上流の厳木ダムと下流の河道改修というもので全体の洪水の安全の流下というものでございます。
 それから、河積の確保、護岸の整備にあたりましての河道の維持、それから環境との調和みたいなものをきちんと考えようということ。
 それから、内水についての必要な対策を講じていこうということでございます。それから、河川施設の管理、それからソフト対策等につきまして、これも基本的には同じでございますが、ここにありますような通常の施設の管理、それから内水、それから地震対策、あと河道内の樹木などを考えたもの。それから超過洪水の話、情報体制等でございます。
 あと本川下流部に人口・資産が特に集積しております。この川の特徴でございますが、そういう本川下流部の整備の進捗状況を十分踏まえて、中上流部の整備、それから支川の整備を進めるなど、上下流のバランス等を考慮した水系一環の河川の整備をしていかないといけないことというのが、やはりこの川としてはポイントでございます。
 それから、7ぺージの中段からは河川の利用とか、流水の正常な機能の維持についてでございまして、厳木ダムがございます。これの供給もございますが、広域的、合理的な水利用というのを考えていかなければいけないということ。それから情報提供、水融通等でございます。
 7ぺージの下段の方から河川環境の整備と保全ということでございます。ここも松浦川と流域の人々のつながりが、これまでもいろんなものがございますが、これをさらにうまく育むような形で、それからまた自然環境との調和というものをきちんと考えていこうといいますか、次世代に引き継げるようにしていこうということでございます。
 それから動植物の生息地・生育地の保全ということで、ハクセンシオマネキなどが生息する干潟とか、塩生植物群落等がございます。これの保全。それからアユの産卵場、イダの生息地、砂礫河原の保全だとか、ここの場所としての特徴をきちんと保全していこうということでございます。
 あと良好な景観の維持・形成、それから人と川との豊かなふれあいの確保というのを引き続きしっかりしていかないといけない。それから水質、許可工作物についての治水・利水・環境との調和等多面にわたりますモニタリング、それから地域の魅力と活力を引き出す河川の維持管理ということでございます。
 それから本文の10ページには基本高水のピーク流量につきまして、一番下流地点でございますが、松浦橋で基本高水のピーク流量、3,800m3/sでございますが、厳木ダムで300m3/s貯めまして、河道で3,500m3/sということで、左と比べてわかりますように、河道への配分が100m3/s増えているというものでございます。
 それを絵にいたしましたものが11ページの図でございます。これもちょっと書いてある流量の数だとかが少し減ったりしておりますが、基本的な中身は同じでございます。ある程度全国横並びにいたしまして、それから、その川の特徴で必要なものを書くということにしております。
 それから12ページは、河道の横断形等々でございます。
 それから13ページは、流水の正常な機能を維持するための流量につきまして、牟田部地点におけるかんがい期の流量2.5m3/s、非かんがい期の流量概ね2.0m3/sというようなことで設定をしてございます。
 ちょっとはしょった説明でございますが、以上でございます。
(委員長) ありがとうございました。ただいま河川整備基本方針案文についての説明であります。時間の関係で現状認識の部分については、ちょっとはしょった説明をしていただきました。これから皆様のご意見を承りたいと思います。
 時間の都合上、私の方から指名させていただきますが、まず、関東那珂川の有識者としてご出席の○○委員からご意見を賜りたいと思います。
(委員) ご指名をいただきました。大変ありがとうございます。本来、前回出ていろんなことをお話を申し上げたいと思っておりましたけれども、先ほどの事情でできませんでした。今日、いろいろ案をご提示をいただいて、それをつぶさに見せていただいたわけでありますが、いずれにしても、時間がありませんので、特にこれからの基本計画ですから、個々の問題等については、これからの問題でありますので、那珂川に関すること、これは概ねこういうことで合意を、了解をしたいと思います。
 私ども水戸市の現状をこの際ですから若干申し上げさせていただきますと、この那珂川というのは、全国109ある一級河川の中で非常に整備率が下位に留まっているということ。私の認識の違いであったかもしれませんけれども、昭和61年とそれからここに記載されております平成10年の大洪水、先ほどご説明いただきましたように、この2つの台風の降雨量は違ったと。しかし、いずれにしても、最下流であります水戸市が受けた被害というものは、今までかつてなかったような大被害でございました。
 河川整備というのは、本来、下流から整備をして上流に上がっていくものだとばっかり思っておったんですが、特に前回の場合には、第2回目の平成10年の当時の大洪水は、これは都市に集中していて雨が降ったということで、被害を受けたのは茨城下流でありますけれども、上流の整備が促進されたというような状況にございました。昭和61年の第1回目の大洪水のときには、激甚対策で大変整備を進めていただきましたけれども、これも常磐線のところまでということで、それからの下流は、当時の計画高水位(HWL)のところを今盛っていて一級河川でありながら矢板で押さえているというようなことで、那珂川の一級河川とこの涸沼川の一級河川というのは、河口で一緒になりまして海に流れるというところでございまして、那珂川の方は現状申し上げたとおりでありますが、涸沼川の方はいまだに無堤であります。そういうことで、非常に住民の不安が募っているというような状況にございますので、そういったようなことも、この新しい計画の中に織り入れていってくれるものだろうと思っておるところでございます。
 それからお願いしたいことは、いち早く堤防の完成をお願いしたいということが第一。それから幾ら整備をしても、今の降雨というものは、世界に例を見ますように、集中的に短時間で降るというようなことがございますので、どうしても上流部に遊水地的なものの整備がされないと、どうにもなりません。この計画の中に遊水地を取り入れるということになっておりますのは大変ありがたいと思っておりますので、そういうものの促進方もお願い申し上げたいということでございます。
 それから、河川の底を掘ることについて、塩水がというような話がございましたけれども、いまだに上流部に無堤地区がございますので、その無堤地区の一帯の整備が進まない限り、これも付近一帯の関係で河道を掘ると塩水が遡上しちゃうんじゃないか。しかし同時に、これをやらないと上流がもたないのではないかというようなことがございますので、その辺のことも、この計画の中に取り入れていただいていることは大変ありがたいと思っております。
 それから、1点ちょっと伺いたいと思いましたのは、3ページの一番上段、計画案の方の上段で、前段から続いているんですけれども、那珂川の整備基本方針案の対比表の中で、総合的な保全と利用に関する基本方針の中で、一番最後の部分が隣のところに移りました。3ページの一番上になりますけれども、河口付近で那珂川に合流する涸沼川は汽水環境が形成をされということで、これは日本三大汽水湖の一つで、海の水も入る、真水も入るということで、大変貴重な涸沼シジミがとれます。同時にヒヌマトンボであるとか、いろんなものが生息しておりまして、大変貴重な風光明媚な場所なんですけれども、今までは、いわゆる水質も含めて維持管理権は茨城県という「県」が担当しているんだと思うんですが、ここに入ったということは、これからもやはり県という考え方なんでしょうか。それとも21世紀は環境を保全する。これは国を挙げて環境を保全という見地に立てば、何らかの形で重点的にここにも考え方を入れますよと、国は入れますよと。実際に県が工事をやるにしても、考え方の基本は涸沼というものに対する日本三大汽水湖の一つの涸沼というものに、茨城県の環境的な面で入っていくという意味があるのかどうなのか。
 と申し上げますのは、今、涸沼川に流れ込む水は、周りの家庭雑排水とあわせて洪水のある度に土砂が流出します。そうしますと、いわゆる三角州ができるということです。河口に三角州ならわかるんですが、この間、涸沼川に行ってみましたら、非常に風光明媚な場所なんですけれども、真ん中のあたりに白鳥が羽を休めているんですよ。私は流木にでも乗って、羽を休めているのかなと思ったんですが、そこに行きましたらば、いわゆるデルタですね。湖の真ん中にあたりにデルタができているんです。こんなことをこのまま続けていったら、日本の環境というのはどうなっちゃうんだろうか。風光明媚、こういうようなものを考えたときに、これでいいのかという疑問があったものですから、こんなことにも国が、これから21世紀の環境という問題をとらえて、ここに取り組んでいくということをお示しの中で、こういったようなことを記載されたのか。その点を伺っておきたいと思っております。
 あとは今申し上げましたように、この下に桜川の浄水、あるいは千波湖の浄化、こういうことをうたわれておりまして、大変ありがたいと思っております。こういうことについても具体的に策を講じながら、これは9ページになりますが、9ページの下段のところに桜川、それから千波湖、こういった河川や湖沼の浄化対策などの水質改善に努めるというようなことで記載されておりまして大変ありがたいと思いました。
 これからは具体的な策をもって対応していただければ大変ありがたいと思っておりますので、お尋ねする分と私どもの現状ということと、それから、この基本計画の案については同意をいたしますということで締めくくらせていただきたいと存じます。
(委員長) わかりました。それでは、涸沼湖の環境について、どういう立場にあるか説明してください。
(事務局) 今回やっております河川整備基本方針、基本的には水系といいますか、川は山の方から海に至りますまで、一つの大きなネットワークで川があるべきものでございますので、国が管理しております部分も、県が管理しております部分も全部あわせて、この水系はどうだったらいいかということで、その中で涸沼の汽水域、その他重要なことであるというのは、国も県も共通の認識で、この水系として、こう考えていかないといけないというふうに書かせていただいているものでございます。
 実際の現場の計画管理の部分、県の管理区間でございますので、県の方にはなりますが、国も県も協力して涸沼についておっしゃられるようないいものになるように、今後もしていこうというものでございます。そういう公のものの文書であることも事実かと思っております。
(委員長) 県の知事さんのご意見はまた後ほどお伺いすることといたしまして、河川工学の立場から○○委員、ご意見お願いします。
(委員) 具体的な意見ではなくて、全体としての感想ということでお許しをいただきたいんですが、今、水戸の○○市長からお話がありましたように、那珂川というのは、少し変わっている川なんだろうと。それは平成10年に大きな被害が出た。その雨について先ほど解説がありました。確かに上流に大きな雨が降った、特別ということで言えるかもしれませんが、余り特別ではなくて、例えば天明6年とか、享和何年とかは忘れましたが、江戸時代にしばしばこういうことが起きた。ただ、平成10年で問題になったのは、ちょうど今から百二、三十年前から始まった那須疎水という那須原野の開発のための農業用水の開発を中心とした用水開発があって、那須河原一帯が大変生活の便利なところとして開発が進んできたわけです。
 そういう生活の舞台に大きな雨が、上流を中心に雨が降って、その応答としての水害が起きたということ。それについて那珂川の改修が、今度基本的に大きく変化はないようですけれども、悩みながら整備方針をつくられているというのに大変同情をするんですけれども、これからひょっとしたら厄介のことがしばしば起きる可能性が整ったというふうに、その試験を平成10年に受けたというふうに考えると、那珂川というのは大変難しい川になったなと。特に野口の狭窄部のところをどういうふうに考えるのか。これが河川管理としては大変難しいことになってきたなと。そういう面では新しい川の河川管理の時代が始まったなという感想です。
(委員長) それでは、四国那賀川に移らせていただきまして、○○委員にお願いいたします。
(委員) 失礼します。阿南高専の○○でございます。前回説明しましたように、この那賀川も大変難しい川でありまして、2年前の大災害のときには、流域の上流の方ですけれども、1日に1,300mmの雨がり、昨年は大渇水であるというふうな感じで、2年のうちで大洪水と渇水というものを両方経験しております。
 そのような中で、これも前回説明させていただきましたけれども、那賀川流域フォーラムというものもできまして、いろんなことを流域の住民も考えております。それでそのフォーラムの意見もかなり取り入れていろいろ整備基本方針も考えてくれているようです。
 最近の限られた条件の中ではいろいろ配慮していただいているんじゃないかなと思います。それで先ほども若干出ましたけれども、荒療治というか、急激な河川環境の変化を抑えて徐々に進めて欲しいです。もう一つは、いわゆる流域住民の協力、理解、これを得ながら進めていってほしいと思います。
 それで安全と安心の川づくり、まちづくりというものをどうかよろしくお願いいたします。
 以上です。
(委員長) それでは、○○委員の方からお願いいたします。
(委員) 大体言い尽くされていますけれども、先ほどから四国那賀川は上流山間部は年間3,000mm以上を超す豪雨地帯でございまして、しかも地形が非常に急峻でございます。このように流域の面積に比べますと、基本高水が1万1,200m3/sと非常に大きいということが特徴であり、それだけではなくて、流域の生産土砂量、あるいは流出土砂量は非常に大きいということで、適切な洪水対策、土砂対策が望まれております。一方、渇水期の流量が非常に少なくて、利水安全度が3分の1とか、4分の1、非常に低いということで、あわせて水資源の開発も強く望まれていると思います。
 本日検討されています那賀川水系河川整備基本方針は大変結構かと存じます。この基本方針をぜひ今後検討されます整備計画の中に生かしていただくようお願いいたします。
 以上でございます。
(委員長) それでは、松浦川の方で○○委員からお願いいたします。
(委員) ○○です。先ほど説明がありました基本方針案で概ねよろしいんではないかと思いました。松浦川は比較的短い河川ではございますけれども、地域の住民の方々の関心が非常に高い河川でもあります。ところが上流側の住民の方々の関心と、下流の方の方々の関心がかなり違っていまして、端的に言いますと、上流側はまだまだ治水対策は十分ではないと、もっとやってほしいという希望です。
 それに対して下流側の方は、最近の印象としてよく聞くんですけれども、大雨が降ったときに下流側の水位の上昇が非常に早くなったと。一部の方は、それに対して不安を感じるというようなことをおっしゃるんですが、それは治水がうまくいっているということでもありますねという話はしておりますけれども、下流側はむしろ環境であるとか、あるいは景観であるとか、そういうことに対しての期待が非常に大きいというふうに感じております。
 自然再生事業としてご承知と思いますが、「アザメの瀬」というのがなされておりまして、この前もその話が少し出ましたけれども、地域の方々と河川管理者との間に非常にいい形で協議が進められて、事業が進んでおるような状況がございます。
 それからもう一つ、河口部は委員長の方からもお話がありましたけれども、唐津市がございまして、そこに人口・資産が集中しているわけですが、また一方で、非常に景観の優れた場所でありまして、河口部が地元にありますところの唐津城であるとか、あるいは少し外れたところにあります虹ノ松原であるとか、こういった景観とうまくマッチしているという雰囲気がございます。ただ、河口部も一部にはまだまだ整備してほしいと。その整備は、そういった景観を非常にマッチするような形でしていただきたいという希望が非常に強うございます。そのことも申し上げたい。
 もう一つは河口部では、松浦川の環境をいろいろ調べる中で、河口部におけるいわゆる物理的な環境、あるいは生態的な環境、こういったものを徹底的に調べて、データとして残して、今後モニタリングしていくべきではないか。そういう話がございます。
 例えば、カキ殻がかつて少しであったものが最近非常に増えてきたであるとか、あるいは砂州が移動しているとか、水質がごく一部では滞留して悪くなっているとか、そういったことが地元の人からいろいろ意見が出ております。
 こういったことについては、武雄河川の方で鋭意調査を進めていただいているので、こういったことも、ぜひ今後続けていきながら、先ほどの基本方針に沿った形で整備をしていただければありがたいと思います。
 以上でございます。
(委員長) 続いて、○○委員の方からお願いいたします。
(委員) 大体、これでいいかなという気がするんですが、松浦川は100m3/sほど計画高水が増えているわけで、増やすということはなかなか難しいというか、それだけの容量があるということでいいと思うんですが、河口のところで多少河床地形が変化しているから大丈夫なのかという質問を前回したわけですけれども、それに対する答えとして、モニタリングも含めて河道管理を適切に行うことにより河道の維持は大丈夫だということだったわけですね。やはり河床は生き物で、特に土砂輸送の絡みで本当に変化しますので、この基本方針の本文の中に、この「モニタリングも含めて河道管理を適切に行うことにより」という文書を入れてもらったらいいんじゃないかという気がするんですが、いかがでしょうか。
(委員長) 例えば、どの辺ですか。ご提案があれば。
(委員) 場所だったら6ページの「ア」のところの「災害の発生の防止又は軽減」というところで、3行目か4行目のところに「堤防の新設、拡築、河道掘削等により」という文言があるんですけれども、この辺に「モニタリングも含めて河道管理」云々というのを、何かうまく入れてもらえたらいいなという気がするんですが。
(委員長) またご提案ください。知事さんには一番最後にお聞きしようと思いますが、一応、関係委員からお話を承りました。時間の関係があるので、また私から指名させていただきますが、河川工学の立場から○○委員、ご意見ありましたらお願いいたします。
(委員) 前回欠席して那珂川について言いたいことがあったんですが、それを含めて言わせていただきますが、那珂川も松浦川もそうなんでしょうが、特に上流の直轄区間が非常に広いわけです。それから、先ほど○○さんからも話があったように、これは結構中小都市もあるし、人が住んでいるところで、平成10年に随分大雨が降ったんですが、ここを整備すると下流に非常に負担がかかるということは自明なわけです。そういうことがどこに書いてあるかというと、8ページの一番上の文脈ですが、要するに「上下流バランスを考慮し」という一語で尽きているんですね。これでいいのか。それでほかのところも同じ表現が、この文書の後に出てくるんです。松浦川も先ほど委員長がご指摘されましたように、上流の安全度、そこまで書けないにしても、上下流バランスということをもうちょっと川ごとに、具体的にどこかで書かないと心は伝わらないんじゃないかと思って、特に那珂川については、上流直轄区間、上流の話ですね、こことどうバランスをとるかというのを少し具体的にわかるように−−松浦川についても同様だと思うんですが−−していただけないかと思います。具体的に言えば、どこにどういうふうに入れるという提案は持っていないんですけれども。
(委員長) 私も一緒に現地を見たんで、共同で案文を練りますか。関東の那珂川は、昔ダム計画があったのを遊水地に変えた経緯もあって、土地の地形条件、利用条件をうまく加味しながら遊水効果をどう発揮させるか。大変現地の担当者はよく考えている。きわどいけど考えている。そういう意味で松浦川でも考えて欲しいなということでもありました。これは河川行政の方でも新しいいろんな法制度まで考えないと、実効は上がらないんではないか。したがって、このバランスという言葉には立場によって様々な意味があって、そういうものを踏まえて、土地の利用状況、上下流の関係、水戸の市長さんもおっしゃったように、上流を改修すれば、下流に洪水が増えてくるんだよと。そういう関係も踏まえながら、どういうふうにバランスをとっていくのか、はっきりさせる必要があります。
 単に数字上ではなくて、言い方は悪いですけれども、上流で河川改修をやっていくことは、下流には加害者になっているという関係、だから、下流の安全度はもっと上げないといけない。そうすると上流でも、もし土地利用の関係で洪水を溜められるのなら、極力溜める努力をしてはどうか。現地の案は大変考え抜いた案だと思いました。この文書ではちょっと足りないなということですね。共同提案で後で考えてみましょう。
(委員) 大変ありがたい発言をいただいたんで、ありがたいと思っております。実は先ほど申し上げましたように、上流が整備されると、そのつけは下流に来るということは間違い事実でございまして、平成10年の当時の大水害のときは、上流から豚や牛や流木がどんどん流れてきて、その整理が大変だったというようなことが一つありました。
 それからもう一つは、下流は幾ら整備しても橋脚を広げたり、あるいは堤防を強化しても、そこに住む人たちは非常に不安感を持つんです。この間ももう10年来都市計画決定をした区画整理も、ちょうどそこに那珂川がぶつかってくるということで、この堤防は抜けないのかと。本当に抜けないのか。抜けない根拠はなんなんだということを聞かれると常陸河川国道事務所でもそれ以上お手上げなんですよ。住民の同意を得られなくて、やむなく今月、この区画整理はやめようということで、勇断を下したというぐらい住民生活に直結する部分があるということなので、そのバランスという点については、上流がこれだけ整備されれば、特に今回は栃木さんがおいでになって誠に申し訳ないんですが、平成10年に大水害をお互いに受けましたから、栃木さんの整備は一気に進みました。その進んだ整備のつけは、やはりうちの方の下流の最末端が受けることになってしまうというものですから、それを矢板で押さえているというのが現状なんで、それはここの問題ですから、これから国土交通省、常陸河川国道事務所にお願いしていきたいと思っておりますけれども、やはり、バランスというものは、そういうことの上下のバランスという面で考えていただければ大変ありがたいと思っていますので、その辺を国の方にもお願いできれば大変ありがたいと思います。
(委員長) わかりました。上流側の肩をちょっと持たせてもらうと、平成10年に水害の後、現地に行きましたけれども、栃木県は大変抑え目に改修をやっていまして、あのときの洪水の再度災害防止ではないんですね。あの洪水が来れば、もう一回水害に遭うことで全体のバランスはとっていて、遊水池も那珂川の上流でつくっているという話も聞いています。また後で上流側の意見があれば機会を設けます。
 それでは、○○委員お願いいたします。
(委員) 今の○○委員のご意見については、私もそのように感じておりました。それから、一つ今後のことにも関係があるので質問させてください。
 那珂川の流量図についてです。12ページの河口のところなんですが、涸沼川が河口での洪水の合流には影響しないということはわかるんですけれども、河口のことはもう少し丁寧に書くべきです。すなわち、12ページの左側では、河口までは同量とすると書いてあるんですが、今度はそれが抜けています。私どもはこれを見まして、河口というのは河道の出発水位を与えるところであり、流量が明確になっていることが重要です。この絵を見ると河口まで6,700m3/sだろうと思うんですけれども、はっきり、河口まで同量とすると書いておかないと、涸沼川が合流していますので、どういうことなのかわからないと思います。これは以前の工実と同様に河口まで同量とするということを加えていただきたい。
(委員長) それでは、○○委員お願いいたします。
(委員) 安全・安心と少し違うんですけれども、河川にかかわります文化財のような、例えば松浦川ですと、伏越ですとか、井堰のようなものがあるんですけれども、治水とか、利水の改修に際しましても、そういうものを少し大事にするという文言がどこか一文書いていただければという思いをしております。それはほかの河川についても全く同じなんですが。
(委員長) 河川ごとに、例えば北上川なんかは義経の館の遺跡というのがあったために、河川の河道を変えているんですよね。そういう大事な場所は保全しています。全河川というわけにはいかないでしょうが。
(委員) 松浦川には一文あってもいいのかなと一瞬思いました。
(委員長) わかりました。それでは、○○委員お願いいたします。
(委員) さっき補足説明のところで、ちょっとお聞きしようと思ってあれしたんですが、今日ご説明いただいてわかりました。流量確率分布のモデルの選定ということで。言葉が検証という言葉になっているので、川によって結構幅があるのを見かけるんですが、こういった適合度で幾つかの分布でフィッティッグしてという形で、それぞれの確率年に符号する幅をお見せいただいているのですが、ある確率分布に最も適合するもので、それの確率に相当する信頼度とか、信頼区間というか、そういう昔気質のものを結構見てきたんですけれども、いろんな適合する分布を幾つか持って、それでその幅で検証するという、検証の形の背景というですか、ちょっとお聞きしておきたいなというふうに思ったんですけれども。上位10個とか、こういう分布で、それの大きい所、小さい所の幅というものと、この分布に最も適合する分布で、大きいところの確率に相当する信頼区間という攻め方が、水文統計の方では従前あった形のものを少し思ったりしたものですから、確率分布の多くのやつをもって、それの大きいか、小さいかで攻めるという、そのあたりを少し背景等が……。
(委員長) 事務局が答える前に、僕の方から質問ですが、いずれにしても外挿ですね。30年か40年の資料で200年を外挿するわけですから、外挿区間の信頼性というのは大変難しいのかなと思います。内挿区間でかなり信頼度があれば、外挿区間でもあるぐらいにして扱うべきなのか、あるいは特別上位10点とか、上位5点で、別な手法をやって、信頼度を上げるような手法を求めるのか。学会では、どちらが主流なんですか。
(委員) 最近水文統計のあれは進んでいるのかどうか、ちょっとあれですけれども、○○先生とか、そういう水文統計という時代の、今おっしゃった分布の適合度とサンプルの少なさというのが、その後増えたということで、そういう形の攻め方がここで提示されているようなものが余り見ないものですので、さっきおっしゃった外挿という概念には変わりはないんだけれども、外挿という方式としてある程度うなづけるという、そういうふうに思ってはおるんですけれども、旧来の形の信頼区間という学会レベルであった、そういう形のものが、どういう位置づけになってしまったのかなということも思ったりしたものですから、ちょっとお尋ねしたということでございます。こういうやり方そのものは、理解と了解はさせていただいているところでございます。
(委員長) なかなかここは未知の分野で試行錯誤ですよね。30点、40点で100、200分の1を類推するということですから、どの分布型がいいのか、事務局も答えにくいですね。やはり、実務者は従来方式の中で進めていきながら、また学会でいい知見があればいただいて、さっきのSLSCとかというのがありましたよね。ああいうものを使いながら、適合度を図っていくということですよ。
(事務局) よりいいものになればとは思いますが、現在のところ、今でもいろんな方のご議論をいただいて、今現在、とり得る手法としては、これが妥当な方法かなということで、また○○先生にも教えていただければと思います。
(委員長) それでは、○○先生お願いいたします。
(委員) 四国の那賀川について前回もちょっと土砂生産の多い川なんていう話をしたんですけれども、それにかかわる災害の歴史の中で大災害になったものを一つ本文の中に入れていただきたいのは、明治25年、1892年の山の大崩壊です。
 これは参考資料1−2の横長のカラーページの一番最後のところの左の下に主な災害、明治25年、高磯山大崩壊、死者65名とありますが、これは実は崩壊で終わったわけではないのでありまして、これはもちろん、台風が通って、台風による大雨で高磯山という山が大崩壊を起こしましたが、その高磯山はどこにあるかというと、長安口ダムの3kmぐらい上流の右岸川にある山なんですね。それが崩壊を起こして、その結果、河川が閉塞されて巨大な天然ダムができまして、その天然ダムの長さが大体10kmぐらい、深さが70mぐらいだと思いますが、そういうダムができて、それが2日後に決壊をしてしまいます。上を流れが越流したものですから、それで削られて決壊したんだろうと思いますけれども、その結果、大洪水が中流から下流域に発生をするということでありまして、洪水流量が峡谷部では2万から3万m3ぐらいになったとされておりますし、十八女という、これはもう下流域ですが、ここで大体7千m3ぐらいだと言われておりますし、それから、一番下流の沖積平野で水深が大体6mから9mぐらいになったと、そのようなすごい洪水になっているんです。ですから、これはやはり災害史としては重要な問題なので入れていただきたいんです。
 この地域というのは、この前も申し上げましたが地質が大変もろいんです。高磯山というのは、どういう仕組みで崩壊したかというと、ちょうどこのあたりの地層というのが中生代の三畳紀、ジュラ紀ぐらいの地層で堆積岩ですけれども、その地層が北に向かって傾いているところの、そのスリップでもって、ストライクスリップというんですかね。傾斜に沿って大崩壊を起こしている。
 この高磯山のすぐ南を仏像構造線が通っていて、このあたりはとにかく断層破砕帯になっているわけでありますから、極めてもろい地質であるということでして、これは将来も必ず台風や集中豪雨、あるいは南海地震などが起きたときに、斜面の崩壊、山地の崩壊というのが必ず起きると思うんです。そういった意味では、この河川というのは土砂管理というものが極めて重要な河川だと思いますので、その土砂管理の重要性をもうちょっと強調しておいていただければというふうに思います。
 そのほか、こういう事態が起きますと、一遍にハードでは対応仕切れない。そのためにはソフトの対策、例えば、情報伝達体制の整備であるとか、あるいは住民の早期避難体制の整備、これも固めておくということも防災上重要なことであるかと思いますので、そのあたりのところを少し強調していただければと。
 実は昨年の11月に出された砂防学会誌に載っておりますので、それを参考にしていただければと思いますし、それから四国山地の砂防事務所に資料があると思います。
 以上です。
(委員長) これもまた事務局からお伺いして、案文等を練っていただきたいと思います。
 それでは○○委員お願いいたします。
(委員) 大分、両ナカガワについて詳しい説明をいただきまして理解はしたんですけれども、関東の方の那珂川で導水によりまして、渇水時に行かないときもあるということであります。それでさらに那珂川の河道を掘削していきますと、当然のことながら、塩水クサビを安定して上流に行くんだろうと思っているんですけど、これは十分検討しなくちゃいけないと思いますが、ちょうど渇水で導水も来なくて、大潮になって塩水が上がったら、取水は完全に影響を受けると思いますので、できるだけ慎重にシミュレーション等をやっていただくことを希望いたします。せっかくの導水路事業がいざというときに役に立たないというのは困るのでお願いいたします。
 それから、説明の中ではなかったんですが、一時問題になりましたのは、導水路事業によりまして水質が変わってしまう。ちょうど渇水期に霞ヶ浦の水が那珂川に入って、富栄養化しているプラクトンの多い水が入ったらどうだという議論があったと思いますが、これは本文に書く必要はないんですが、そこいらの水質については十分に考えておくというふうな記述があってもいいのかなという気がしております。
 それから、四国の那賀川なんですが、いわゆる紙パルプ製造業というのは、ここの場合は、大概用水型の立地でありまして、水が豊富なところをねらって工場ができます。だから、早く立地しておりますので、当然、自家用水として水利権をとって取水しております。こういうところで渇水があるということは、水をとり過ぎたのか、うんと昔に立地していますから、そのころはよかったのか、そこらがよくわかりません。いずれにしても、この用水型産業がせっかく安定しておりますので、渇水がないようもうちょっと考慮をお願いして、これは整備基本方針にも書けませんけれども、それを希望しておきます。
 以上です。
(委員長) それでは○○委員お願いいたします。
(委員) 本文、四国那賀川の13ページのことなんですが、新旧対照でいきますと、数字が変わっていますので、この辺について何か説明がいるのかな。このままで新旧対照表、片やかんがい期が25m3/s、片やかんがい期は32m3/sとなっていますから、これはこれとして、本文に書くか書かないかは別としましても、何かの説明の責任が要るんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
(委員長)  事務局お願いします。
(事務局) 今おっしゃられましたのは、現況の方ですかね。
(委員) 13ページの……。
(事務局) 13ページは前の方にこういう状況ですと、それで後ろの方には何m3/sとするという前段でございましょうか。後段でございましょうか。
(委員) 後段の方ですね。25m3/s、32m3/sとありますね。これはこれとして、今後河川はこういうことだから、こうなんだという、さらに説明が必要なんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
(事務局) どの川もそうでございますが、例の流水の正常な機能の維持として必要な検討でこうしておりますから、昔の那賀川の工事基本計画のときのと検討項目だとか、いろんな基準も変わっておりますので、ただ、ちょっとおっしゃられた意味も含めて、こういう意味があって、ここの水はこういうふうに加工しないといけないんだよというのが、前段の文書の中にでも、ちょっと工夫できるかどうか検討させていただければと思います。
(委員) お願いします。
(委員長) それでは、○○委員。
(委員) 2点ほど質問させていただきます。まず関東那珂川の8ページの一番最後に、空間管理等の目標という言葉があります。これはほかの基本方針でも出てまいりますが、具体的というか、例えば、どんなものなのかということが1点と、2つ目は同じく河川環境の整備と保全の最後に、那珂川で言えば、10ページに上中下流の環境保全に関する記述があります。四国の那賀川についても9ページに、河川利用に関する環境保全の記述がありますが、松浦川には、これが欠けておりますが、特に理由があるのかどうか。その2点についてお伺いしたいと思います。
(委員長) 事務局どうぞ。
(事務局) 恐縮です。全体のセンスとしては、共通している部分はきちんとなっていないといけないんですが、それぞれのところで少し考えておいて、ちょっと言い訳で恐縮でございますが、全く金太郎飴でない作業をしている部分だけ、ちょっと川の思いの中でやっておりますが、大事にしているものとしては同じように、空間なら空間として、しっかりやらないといけないと。ちょっと横並びを含めて、工夫をさせてください。ご指摘はよくわかりました。
(委員長) ○○委員、お願いいたします。
(委員) 特に意見はありません。
(委員長) では、一通り各委員からいただきましたので、県知事さんの方からご意見を承りたいと思います。茨城県知事さんお願いいたします。
(委員) 前回もお話させていただきましたが、今回基本方針案の中で1点ちょっとお聞きしたいところがあることと、それから県の考え方というか、要望をお話しさせていただきたいと思います。
 今日いただきました基本方針案については、茨城県の考え方が盛り込まれているという意味では、よかったなと思っております。その中で一つだけですけれども、流量の中で、下流部で工業用水とか、水道用水をとっているわけです。そこのところの塩水遡上の問題というのは、先ほどから何度か議論があったわけですけれども、そこで資料の8ページのところで、下国井の地点で低水管理をするというような表現がされております。
 その後ろの15ページの方を見ていただきますと、(4)の中のところに野口地点の流量が規定されているんですけれども、そこで、野口よりも下流部での塩水遡上の観点から、ここで流量の規定をしなくていいのかどうかという、そこの考え方をちょっとお聞きしたいなというのが1点でございます。
 それから、2点目は先ほどからお話が何度かありますし、○○委員の方からも非常に上下流のバランスの問題というのが整備の中で重要だというお話しもありましたし、これから決めていく整備計画をある程度意識しながら方針をつくるべきではないかというようなお話もあったと思います。これからの整備計画を策定する中で、是非、下流部の安全性を高めるという意味で、計画の中に盛り込んでいただけないかということをお願いしたいと思います。
 もう1点ですけれども、安定的な水供給ということから、那珂川下流域で、やはり4月、5月ぐらいは渇水というのが起こるわけですけれども、そのときのことも含めて霞ヶ浦導水事業を行っていただいているわけですけれども、それは千波湖とか、水戸桜川の浄化という機能もあるものですので、ぜひ霞ヶ浦導水の事業の促進についてお願いしたいというのが茨城県の意見でございます。
 以上でございます。
(委員長) 今の点ですが、整備計画に今後、上下流のバランスを含めながら進めていくという、さっきの○○委員も含めて、原案があればいただきますし、私も一緒に付け加えさせていただきたいと思います。さっきの塩害の件ですね。大変質問も集中しておりますし、先ほど市長さんの発言を踏まえて案文に書き込んで、モニタリングしていきましょうとしました。今のお話はモニタリングするには、やはり水質の基準点みたいなものがあって、そこでちゃんと観測していくべきだというご趣旨だと思いますので、その辺を少し丁寧に書き込んでいくことにしたいと思います。そういうことでよろしゅうございますか。
 それでは栃木県知事さんからお願いいたします。
(委員) 前回の整備基本方針の案文につきまして、一部の意見を要請させていただいております。昭和61年と平成10年の上流部での被災の記述について追加記述をお願いしたいということで対応していただきました。
 災害の記述がかなり本川下流部のみの記述になりますと、支川を含む上流部での、特に平成10年の那須災害のような激甚な災害に対する視点が欠けてしまうんではないかと懸念したからでございます。
 先ほどから上下流の話が出ておりますが、特に上流部におきます被害はご案内のとおり、人的被害、あるいは家屋が流出、損壊する。非常に激甚な災害になってまいります。また、過去の災害を見ましても、下流部で起きているときには、常に上流部では大きな災害があるということでございまして、特に先ほどの説明にもありましたように、集中豪雨が起きますので、それらに対する備えということも当然必要かなということでございます。
 上流部改修の釈明をという委員長からのお話がございましたが、平成10年も激甚な災害がございまして、通常災害復旧でございますと、再度災害防止ということになるわけですが、とてもあれだけの雨の対応を上流部でやるわけにはいかない。上下流のバランスがやはり必要であろうということで、国のご指導もいただきながら、今の小さな規模での改修をやっておるわけでございます。
 地元に対して改修工事の説明をする際にも、同じ雨が来たらどうなるのというお話をされても、やはり、それは地域的なバランスの関係でということで説明せざるを得ない。非常に苦しい説明になるわけですが、流域全体での地域の役割を求めるという意味では、それぞれの地先での治水整備効果、あるいはその必要性というのを住民に十分理解を求める必要がございます。
 そういった意味で上下流バランスも下流からということがあるんですが、一つには地域的なバランスというのも当然求められるわけでございまして、上流県としましては、流域全体での治水の役割というのは十分認識しておりますし、そういった意味でできるだけ住民の方にも理解いただくようということでやっておりますが、逆に下流の方から見て、常に被害者意識ということではなくて、下流の方での役割というのもあろうと思いますし、それぞれの土地利用、先ほど水戸での都市計画決定のお話も聞いております。そういった流域全体でそれぞれの地域の役割を見つめながら、計画を推進する必要があるのではないかと思っております。
 それから、この計画自体につきましては、昭和61年、平成10年の洪水を検証して、今までの基本高水、あるいは洪水調節施設の分担量を超えないという点で異論はないんでございますが、特に洪水調節施設について、現実的な対応として、遊水池群によるんだという方針を出していただいたということで、今後より整備が促進されるんではないかと期待をしておるところでございます。
 それともう1点、基本方針のときにお話をさせていただきましたが、霞ヶ浦導水事業について、先ほども水質の話がちょっと懸念されるようなお話がございましたが、地元では渇水時期がアユの遡上の時期と重なることが多いということもあって、養魚が導水路に吸い込まれるんではないかと。特に漁業関係者と地元の懸念でございます。
 それからもう一つ、逆に霞ヶ浦のブラックバス等の外来魚が那珂川に入り込んでしまうんではないかといったことを懸念しておりました。これに対しまして、国の事務所長さん初め、熱心に対応策に研究をされておられまして、地元関係者と非常に緊密に協議調整を行っておられるということでございますので、この場をおかりして御礼申し上げますし、今後も引き続きご配慮をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
(委員長) こういう場で上下流、それぞれの立場の異なる知事さんに辛いところをお話しいただきましたので、今度とも進めていくにも上下流の両方のご意見を配慮してやっていただきたいと思います。
 その意味では、まだ河川法の行政が足らないところがあるんじゃないかなと思います。私も現地を見せていただいて、余笹川の氾濫箇所で、前回家が流れているところに、東京の日野市の方が、川の傍だからありがたいといって住んでいる事例があるんですね。また、同じ雨が降ったら流れちゃうんですけれども、栃木県の河川行政では出ていけとは言えないわけです。これは都市行政の問題といっても、かなり田舎の、農地の中に住宅が点在しているようなところです。地元の人は皆さん逃げ出したんですが、逆に東京に住んでいる人が川の傍でありがたいと家をつくっているような現実に対して、行政として何とかならんのか。単にハザードマップだけでいいのか。そんな懸念を持ちましたの。県の行政で一方的にああやれ、こうやれと言ったって仕方ないので、やはりそこでやりやすい骨格づくりを国の方に要請いたしたいと思います。
 次は徳島県知事さんお願いします。
(委員) 徳島県でございます。那賀川の基本方針につきまして、ご審議いただきありがとうございます。私どもからは、意見と申しますか、要望をここで述べさせていただきたいと思っております。
 今回の小委員会では、基本高水ピーク流量の検証とか、計画高水流量の検討に加え、長安口ダムの高度利用につきましても議論をいただいております。河川の総合的な保全と利用に関する基本方針の柱となりますのが、私どもは長安口ダムを初めとする既存施設の有効活用であると考えております。
 中でも流域で唯一の多目的ダムでございます長安口ダムは、その中心的な役割を果たすものと考えております。長安口ダムは堆砂による利水容量の減少、またダム下流の河川環境の悪化、またゲート放流能力の限界から、洪水調節容量を増やせない等の諸課題を抱えております。このため長安口ダムの有効活用には、今日の高度利用の中でもお示しがありますように、新たな洪水吐ゲートの設置や、先ほど○○委員からお話がありましたように、この流域は非常に多雨地帯であり、また地質的に非常に脆弱でございます。そういうことから抜本的な堆砂対策が必要となっております。
 しかしながら、いずれにいたしましても多額の費用と最新の技術を駆使いたしました高度な技術的検討が必要となろうかと考えております。そういうことで国の全面的なご支援なくしては、実現が困難な状況であると考えております。
 また、長安口ダムでございますが、下流の直轄管理区間の洪水氾濫防止と水資源確保の両面で大きな効果をもたらす唯一の施設であることを勘案すると、これは国に対してのお願いでございますけれども、今後策定する河川整備計画におきましても、長安口ダムを国直轄管理ダムとして位置付けしていただきたいというのが、徳島県の切なるお願いでございます。そういうことで、ぜひともご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
(委員長) その点は国の方でよくご検討いただきたいと思います。次に佐賀県お願いいたします。
(委員) 佐賀県でございます。本日は松浦川の河川整備基本方針をご審議いただきまして、大変ありがとうございます。
 松浦川におきましては、平成2年に大きな洪水がございまして、その後、災害復旧工事等で徐々に下流の方から流下能力が増加しており、現在、直轄管理区間から上流の県管理区間については、河川整備計画を策定しております。
 本日、先ほど上下流バランスということでご議論ありましたが、松浦川におきましても上下流バランスをご検討いただきまして、そして県の区間との調整をしていただかなくてはいけないと思います。平成2年から大きな洪水が来ておりませんので、流域の方も住民感覚的には安心しているようなところもございます。大きな洪水が来ますと、どうしても直轄区間からつながる県の区間の支川、あるいは上流の区間、それから下流の方では、やはり堤防が高いものですから、内水被害とか、そういった部分が出てまいります。
 これからは整備の部分で、そういった点の方もこの計画のもとに調整をしていきたいと思います。それとソフト対策について十分取り組んでいかなくてはいけないと思います。そういったところで流域全体の浸水被害軽減に県の方も努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 松浦川の方では、今日の審議でもございましたように、下流の方では唐津城を中心としました優れた景観がございます。それと松浦川は下流の方では直線区間が長うございまして、平成19年には高校総体も計画されておりまして、ボートの競技場になっております。そういったスポーツ面での利用面とか、花火大会等、そういった部分でご配慮がなされればいいかなと思います。
 あと、松浦川で現在「アザメの瀬」で自然再生事業を国の方で取り組んでいただきまして、県の方でもこれを参考にしまして、県庁推進の基本理念になっております「『オープン』『現場』『県民協働』」という取組の中で、県の方も参考にさせていただきたいと思います。
 本日の河川整備基本方針のもとに進んでいければ、県としても大変ありがたいと思っております。
 以上です。
(委員長) ありがとうございました。それでは、一応、各県知事さんもこの枠組は了としていただけると。特に基本高水流量計画、洪水調節機能はこれでよろしいということでございますね。そのほか、特にご意見ありますか。
(委員) まことに申し訳ございません。前回の分まで一生懸命発言させていただきたいと思います。
 今、河川の脇に住んでいれば、東京の方から大変環境がいいんだという話をされたということを承って、非常に憤りを感じます。と申しますのは、平成10年の当時、それから昭和61年当時の大水害の際に、水戸市の上流、栃木近いところにあります岩根という地域が、全戸床浸水になりまして、そこは墓地も抱えておったものですから、墓地の塔婆や木皮が全部流れちゃったということがありました。そういう悲惨なところがあるということ。当時、その工事と前後して渡辺河川局長さんが常陸河川国道の所長としておられまして、それを手がけて整備していただきまして、大変その地域はありがたいということで、感謝の気持ちでいっぱいなんですけれども、まだ下流が申し上げましたように、水戸市も合併しているので非常に長うございますので、下流の方がまだその域に到達しないということで、先ほど申し上げさせていただきました。
 それからもう一つ、先ほど申し上げたんですが、どうしても心の中に残ってしょうがないのは、涸沼川、いわゆる河口と流動する、連動する一級河川が、涸沼という湖を持っておりまして、先ほど申し上げたのが現状であります。水質管理権は茨城県が持っているんですが、県ではとてもとても低泥の除去なんていうのはできないということです。できないとなると、これからあと30年ぐらいで、あの湖は埋まっちゃうんだろうかと。日本の三大汽水湖の一つであり、ヤマトシジミであり、ヤマトトンボであり、あるいは海の魚もとれる、川の魚もとれる、かつては釣りのメッカだったんですけれども、風光はとってもいいんですが、ああいうのは日本の茨城県の財産だろうと。そんなものが手が出せないでいて、このままだめにしちゃっていいのかという疑問を、私のところでは隣の行政区なんですが、そのことをどうしても何とかみんなで考えるようなことを、21世紀にあんな環境のすばらしいものを残していく必要性の大事さというものを、ここで訴えさせていただいて終わらさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(委員長) 県だったらできないということではない。資金の問題、国の補助制度なり、いろんな組み合わせの問題があるんだと思うんですが、大変涸沼川の重要性について特に隣の行政区だけれども、ご発言があったということで留意しておきたいと思います。
 それでは、いろいろ追加意見はございましたので、事務局で受けとめていただいて、追加意見もいただきながら、全体の調整もありますから、ご意見どおりにならない点もあるかと思いますが、私と事務局において、本日提案されました那珂川等3水系の河川整備基本方針、その修正等をした上で、各委員にご確認をいただいた上で河川分科会に報告したいと思います。この件につきまして、私にご一任いただければ幸いと存じますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

(委員長) ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。各委員には本議題につきまして、短時間の中で熱心なご審議、ご議論をいただき、また貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。特に今日は時間まで超過して申し訳ございません。特に審議対象の那珂川水系の関係委員としてご参加いただきました、橋本委員、福田委員、加藤委員、那賀川水系の関係委員としてご参加いただきました飯泉委員、結城委員、松浦川水系の関係委員としてご参加いただきました古川委員、三浦委員の各委員におかれましては、今回をもって最後の委員会となります。地域の実情を踏まえた貴重をご助言をいただきありがとうございました。
 最後の本日の議事録につきましては、内容について各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットにおいて一般に公開することとします。本日の議題は以上でございます。




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