□■□■□■□■□メルマガ「運輸安全」(H20.7.30 第4号)□■□■□■□■□
〜〜〜(目次)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1.新旧運輸安全政策審議官の挨拶
2.運輸安全に関する最近の動き
3.地方だより
〜 沖縄都市モノレール株式会社の曲線駅における旅客転落防止対策について〜
4.運輸安全マネジメント制度の解説
〜第4回 運輸安全マネジメント制度とISO審査登録制度の違いとは?〜
5.安全の確保に関する取組みの参考事例紹介
〜特別編 リスク管理(ガイドライン5.(7))について(前編)〜
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1.新旧運輸安全政策審議官の挨拶
7月4日付で当省運輸安全政策審議官が交替いたしましたので、新旧運輸安全政策審議官より、皆様にご挨拶申し上げます。
<谷山新運輸安全政策審議官>
7月4日付で運輸安全政策審議官を拝命致しました谷山と申します。
就任直前まで、気象庁次長を1年間勤めさせていただきまして、政府緊急参集チームの一員として2回の大きな地震に対応させていただきました。国民の身体・生命を直接守る仕事をさせていただきましたが、このたび引き続き運輸安全という国民を守る仕事に就けることとなり、大変有難く、また身の引き締まる思いであります。
運輸事業の安全は、ひとたび事故・トラブルが起こると人命が失われ、国民の皆様に大きな損害を与えますので、極めて国民の関心の高い分野であります。今後は、運輸安全マネジメント制度の充実・強化をはじめとして、総合的な運輸安全の強化に取り組んでいく所存です。
本メルマガの読者の皆様とともに安全についての取り組みを行っていき、運輸事業の事故・トラブルの撲滅を目指して努力する所存でございますので、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
<福本旧運輸安全政策審議官>(現 関東運輸局長)
7月4日付けで運輸安全政策審議官の職を離れました。 昨年7月より約1年間、「運輸安全マネジメント制度」の充実・強化に注力してまいりました。本メルマガの読者の皆様のご理解・ご協力を頂きまして、運輸安全委員会の設置のための法案の成立や運輸安全マネジメントの更なる発展など、運輸の安全の確保のための諸施策を実施することができました。このような形で、運輸事業の安全の前進に貢献することができ、大変光栄に感じております。これも皆様のご支援・ご協力のお陰でございますので、この場を借りて感謝申し上げます。 運輸の安全のより一層の向上と運輸安全マネジメント制度の発展を祈念しつつ退任のご挨拶とさせていただきます。 ありがとうございました。
2.運輸安全に関する最近の動き ○運輸安全マネジメントセミナーはじめます 利用者による事業者への関心が高まり、それが、事業者の「輸送の安全の確保」に対する意識を高め、運輸事業の安全の確保を図ることをねらいとして、平成18年10月の運輸安全一括法の施行により、国土交通大臣には、毎年度、事故件数など国土交通大臣が事業者から報告を受ける情報や事業改善命令等に係る事項などについて国が責任を持って輸送の安全にかかわる情報を利用者にとってわかりやすいように整理した上で公表することが義務付けられました。 この度、運輸安全マネジメント評価の実施状況をはじめ、各交通モード横断的に、輸送の安全にかかわる情報について一覧できるページを運輸安全ホームページに作成し、7月16日に公表しましたのでご紹介いたします。 今後も利用者等のニーズを踏まえ当ページを充実・強化していきたいと考えておりますので、ご意見・ご要望等ございましたらご連絡いただければ幸いです。 ○輸送の安全にかかわる情報を大臣官房運輸安全HPにまとめて公開しました! 利用者による事業者への関心が高まり、それが、事業者の「輸送の安全の確保」に対する意識を高め、運輸事業の安全の確保を図ることをねらいとして、平成18年10月の運輸安全一括法の施行により、国土交通大臣には、毎年度、事故件数など国土交通大臣が事業者から報告を受ける情報や事業改善命令等に係る事項などについて国が責任を持って輸送の安全にかかわる情報を利用者にとってわかりやすいように整理した上で公表することが義務付けられました。 この度、運輸安全マネジメント評価の実施状況をはじめ、各交通モード横断的に、輸送の安全にかかわる情報について一覧できるページを運輸安全ホームページに作成し、7月16日に公表しましたのでご紹介いたします。 今後も利用者等のニーズを踏まえ当ページを充実・強化していきたいと考えておりますので、ご意見・ご要望等ございましたらご連絡いただければ幸いです。 3.地方だより 〜 沖縄都市モノレール株式会社の曲線駅における旅客転落防止対策について〜 今号より、実際に各地の皆様が安全確保にどのように取組んでいるのか等についてご紹介させていただきます。 まず、第1回目は、内閣府沖縄総合事務局より沖縄都市モノレールにおいて取組んだ、ホームにおける転落防止策をお伝えいたします。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 平成15年8月に開業した沖縄都市モノレール線は、沖縄県那覇市の那覇空港駅と首里駅を結ぶモノレールです。愛称は「ゆいレール」で、「ゆい」とは、「雇い回り」を語源とする村落共同労働を意味する沖縄の言葉「ゆいまーる」の「ゆい」から取ったものです。開業以来、計画以上の乗降人員があり、今年の4月末には累積乗客数が6000万人を超えています。 乗降時に旅客が、列車とホームの隙間からホーム下に転落する事故が平成16年2月に発生しました。その転落事故対策として、駅路線及び駅舎ホームが曲線となっている曲線駅のホームと列車との隙間を縮めるためにホーム端にゴム板を張りましたが、平成19年5月に2回目の転落事故が発生するなど、対策に苦慮していたところでした。 その中で、平成20年5月にその曲線駅5駅(県庁前駅、美栄橋駅、おもろまち駅、古島駅、儀保駅)について、接触しても車両に影響の無い韓国製の櫛状ゴム板を、全国で初めて設置しました。 これにより、隙間からの転落事故発生防止に努めることができ、乗客の皆様が安全に乗り降りすることが出来るようになりました。 (内閣府沖縄総合事務局)
4.運輸安全マネジメント制度の解説 〜 第4回 運輸安全マネジメント制度とISO登録審査制度の違いとは? 〜 運輸安全マネジメント制度では、ISO9001をはじめとする他のマネジメントシステムで推奨される事項等を参照していますが、運輸安全マネジメント制度とISO審査登録制度の違いは何か?今回は、その違いについて解説いたします。(下図参照) 以下運輸安全マネジメント制度を「安マネ」、ISO審査登録制度を「ISO」、運輸安全マネジメント評価を「評価」と略記します。なお、評価はISOでは「審査」に相当するものとご理解願います。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (1)対象事業者 安マネ:運輸関係事業法、具体的には鉄道事業法、軌道法、道路運送法、貨物自動車運送事業法、海上運送法、内航海運業法及び航空法に基づく制度であり、鉄道、自動車、海運、航空の4モードの運輸事業を行う事業者が対象となります。 評価は「安全管理規程に係るガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます)を評価基準として行われていますが、仮にガイドラインに定める全ての項目に適合しているとしても、国土交通省から認証等の何らかのお墨付きを付与されるわけではありません。 ISO:国際規格であるISO基準に適合しているとして、審査登録機関から認証を受けることができますが、あくまでも任意の制度であり、認証取得の有無により、事業ができなくなるということはありません。 また、農業、工業、商業等の全産業において、認証を取得することが可能です。 (2)基準 安マネ:ガイドラインを評価基準としていますが、あくまで指針であって、評価において、ガイドラインに適合しない事項を確認したからといって、それが即法令違反となるわけではありません。また、別途、前記運輸関係事業法、関係省令、通達等には、運輸安全マネジメントの仕組みの中で定めるべき事項(例:安全管理規程の記載項目、安全統括管理者の選任要件等)が、定められています。 ISO:審査規格による要求事項であり、原則として原文のshall項目については、その全てを満足しなければなりません。 (3)対象部門 安マネ:安マネでは、運輸事業者に対し経営トップから現場まで全社一丸となった安全管理体制を構築することを求めており、会社全体を適用範囲としています。なお、評価では、主として、会社の中枢機能を担っている経営管理部門を対象として、経営トップほか経営管理部門の関係者に対するインタビュー及び文書・記録類の確認等を行うこととしています。 ISO:ISO規格のうちISO9001に限定していうならば、その第7章を実施する製造/サービス部門を主な適用範囲とするのが一般的です。また、「要求事項を満たす製品を一貫して提供する能力を実証」し、かつ「継続的改善、要求事項への適合性の保証」(ISO9001:1.1)が出来ればよいわけですから、必ずしも全社単位でマネジメントシステムを構築する必要は無く、工場/部門単位での認証取得も可能となっています。 (4)プロセスアプローチ 安マネ:輸送の安全に関するリスクに限定し、これを低減或いは抑止するマネジメントシステムであり、ガイドラインに掲げる14項目についてPDCAサイクルを回しながら、輸送の安全性のさらなる向上を図ることをねらいとしており、ISO14001などのリスクマネジメント系のマネジメントシステムに類似する仕組みであると考えられます。 ISO:ISO9001は、個々の業務単位のプロセスについてPDCAサイクルを回し、製品・サービス全体の品質管理に関するマネジメントシステムの継続的改善を図る仕組みです。 (5)コンサルティング 安マネ:国土交通省では、評価の場において見出された指摘事項に対して、必要に応じ、それらの改善策についてアドバイスをしています。これは上記(1)で述べたとおり、本制度が事業者に何らかのお墨付きを与えることを目的としたものではなく、あくまで各事業者における輸送の安全に関する取組みの構築・改善、ひいては社内の安全文化・安全風土の構築・醸成をねらいとしており、国としては、それら事業者の取組みを支援・サポートする趣旨でアドバイス等を行っているわけです。 ISO:審査員は、受審企業に対するコンサルティングが一切禁止されています。 5.安全の確保に関する取組みの参考事例紹介 〜特別編 リスク管理(ガイドライン5.(7))について(前編)〜 事故やトラブルの防止のためには、事故やヒヤリハットなどの情報を収集し、活用することが不可欠です。そして、これを定める「リスク管理」は安全管理体制の中心的役割を果たすといってもよいでしょう。しかし、実際には、リスク管理の実施は難しいと感じる事業者が多く、まだ体制の構築途上であるのが現状です。 そこで、ここでは、「リスク管理」とは何かについて特別編として解説いたしますが、皆様が深く理解していただけるように、2回に分けて解説します。今号(前編)は、リスク管理の大きな流れと、(1)事故等の情報収集、(2)情報の分類・整理とリスクの明確化について解説します。 「リスク管理」は、 (1)事故やヒヤリ・ハットなどの不具合情報、リスク情報を輸送の現場から収集する (2)収集した情報を分類・整理し、リスク(輸送の安全上の潜在的な課題)を明確にする (3)リスクを評価する(対策を取るべきリスクの優先順位付け) (4)対策案を検討して実施する という流れを内容としています。 さらに、リスク管理をうまく進めるためには、 (5)リスク管理の実施に向けた環境整備をする ことも必要です。 リスク管理の流れ (1)事故等の情報収集 収集する情報には、事故情報の他、不具合情報(事故にはなってないが、ヒヤッとした、ハッとした、急ブレーキを踏んだなど何らかの形で表面化した事象)、リスク情報(表面化してないが、そのまま何も配慮しないでおくとやがて事故につながるおそれがある事象)があります。 報告の際、事故がおきると何らかの被害や損害が発生するので、事故情報を集めることは比 人の内面の出来事なので、集めるには工夫が必要でしょう。具体的には、報告の必要性や報告する内容(「ヒヤリ・ハット」「事故の芽」とは何か?)を経営陣が根気よく現場の人に説明して理解してもらう、負担の少ない報告手段をつくるなどの工夫が必要と思われます。 (2)情報の分類・整理とリスクの明確化 集まった情報は、事故類型や事故原因などの項目ごとに類型化し、自社で多発する事故の傾向を把握します。 その上で、自社の業務の中にどのようなリスク(事故につながるおそれのある危険な要素)があるかを明確にします。その際、事故の原因をくわしく分析することも、場合によっては必要です。 ここで明らかになったリスクについて、リスクの評価を経て対策をたてるわけですが、この後の流れと、この流れをうまく実施していく環境の整備については、次回のメルマガ(後編)で解説します。 〜〜〜〜〜【メルマガ「運輸安全」】〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 発行 国土交通省大臣官房運輸安全監理官室 電話 03-5253-8111 運輸安全ホームページ http://www.mlit.go.jp/unyuanzen/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 メルマガの読者の方からの運輸安全マネジメント制度に関する相談をお受けしております。 お気軽に上記問い合わせ先までご連絡ください。お待ちしております! また、運輸安全について積極的に取り組まれている事例がございましたら、お近くの運輸局等にご連絡ください。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜