第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

第3節 東アジア諸国・地域の成長と社会資本整備

1 東アジア諸国・地域における社会資本の整備

 東アジア諸国・地域では、第1節で見たように、貿易を拡大しながら経済成長を実現してきた。道路、鉄道、港湾、空港は、産業立地や輸出入といった経済活動を行っていく上で欠くことのできない社会資本であり、東アジア諸国・地域においても、これらの社会資本の整備が行われていく中で経済成長が実現してきていることがうかがえる。さらに、経済成長に伴う需要の増大に対応するとともに成長を持続するため、さらなる整備が計画されている。
 例えば中国では、1988年(昭和63年)に初めて高速道路が供用されているが、その後、急速に供用延長を伸ばしている。中国の実質GDPは1990年代以降の伸びが大きく、高速道路整備の進展が経済成長に大きく寄与していると考えられる。さらに、例えば韓国や中国では、全国的な高速道路ネットワークの計画的整備が進められている。

 
図表I-1-3-1 中国の高速道路延長と実質GDPの推移

中国の高速道路延長と実質GDPの推移を見ると、初めて高速道路が供用された1988年以降、実質GDPが大きく伸びている。
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図表I-1-3-2 韓国及び中国の高速道路計画

韓国の高速道路計画では、目標年を2020年、計画延長を6,160キロメートルとしており、南北7本、東西9本のネットワークを整備することとしている。なお、2003年時点の高速道路延長は、2,778キロメートルである。また、中国の高速道路計画では、目標年を2030年、計画延長を約85,000キロメートルとしており、北京から伸びる7本の放射線と南北9本、東西18本のネットワークを整備することとしている。
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図表I-1-3-3 東アジア諸国・地域と日本における道路・鉄道・港湾・空港の整備状況

東アジア諸国・地域と日本における道路・鉄道・港湾・空港の整備状況を見ると、日本は高速道路延長が8,540キロメートル、鉄道延長が27,517キロメートル、港湾のバース数が東京12、横浜16、名古屋8、神戸12、大阪8、空港の滑走路数が成田2、関西1、中部1となっている。韓国は高速道路延長が2,778キロメートル、鉄道延長が4,564キロメートル、港湾のバース数が釜山21、空港の滑走路数がソウル2である。中国は高速道路延長が34,200キロメートル、鉄道延長が73,002キロメートル、港湾のバース数が上海19、深せん14、チンタオ10、空港の滑走路数が北京2、上海1、広州2である。
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図表I-1-3-4 東アジア諸国・地域と日本の高速道路延長の推移

東アジア諸国・地域と日本の高速道路延長の推移を見ると、日本は1980年が2,860キロメートル、2003年が8,540キロメートルである一方、中国は1990年が522キロメートル、2003年が29,745キロメートルであり、その他の国・諸国においても延長は伸びている。
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図表I-1-3-5 東アジア諸国・地域と日本の鉄道の現状

東アジア諸国・地域と日本のこの20年の鉄道供用延長の推移を見ると、中国以外の国では大きな伸びは見られない。中国は1980年の約5万3千キロが2003年には約7万3千キロに伸びている。電化区間距離と複線区間距離はこの20年に日本、インドネシア、韓国、台湾で伸びている。しかしカンボジアやベトナムのように電化や複線の区間が無い国もある。
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