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国土交通白書 2020

第1節 災害から身を守るために

■1 将来予測に基づく課題

(1)災害発生のリスク

(水災害リスク)

 第2章第2節1に示すとおり、地球温暖化の影響による降雨量の増加などに伴い、全国的に洪水、内水氾濫、土砂災害の頻発・激甚化が懸念される。さらに、海面水位の上昇や強い台風の増加等に伴う高潮・高波の激化も予測されており、東京湾、伊勢湾、大阪湾等を含む全国において高潮浸水リスクの増大が懸念される(図表I-3-1-1)。
図表I-3-1-1 地球温暖化による水災害リスクの変化
図表I-3-1-1 地球温暖化による水災害リスクの変化

(震災リスク)

 第2章第2節2に示すとおり、南海トラフ地震や首都直下地震が今後30年間に発生する可能性があり、直接の被害だけでなく社会基盤の破壊による経済被害が長期にわたって起こると予想されている。その額は、土木学会の試算によると南海トラフでは20年間で1,240兆円、首都直下では731兆円になるとされている。南海トラフ地震に対しては、道路、港湾・漁港、海岸堤防、建築物の耐震強化を38兆円以上投資することで、経済被害は509兆円(41%)低減させることが可能とされている。同様に首都直下地震に対しても、耐震強化を10兆円以上投資することで247兆円(34%)低減させることが可能とされている。このため、「国難」を引き起こさないためにも、社会資本の耐震強化等による強靱化が求められる。

(世界と比較した災害に対する総合的なリスク)

 第2章第1節1に示すとおり、東京一極集中は今後も継続することが予測されているが、都市圏ごとの災害に対する総合的なリスクは、東京・横浜圏が最も高いと評価されている(図表I-3-1-2)。
図表I-3-1-2 洪水・嵐・高潮・地震・津波により影響を受ける可能性がある都市圏
図表I-3-1-2 洪水・嵐・高潮・地震・津波により影響を受ける可能性がある都市圏