国土交通省自動車交通局では、より安全で環境にやさしく効率的な交通体系を実現するため、政府のITSの全体構想の実現に向けて、自動車交通システムの高度情報化に取り組んでいます。
公共交通分野においては、安全で環境に優しく利用しやすい公共交通を目指して、利用者の出発前、移動中といった各場面で利便性向上を支援することを主な目的とした利用者支援システム(例:公交通利用案内システム、最適移動経路作成支援システム、デマンド運行支援システムなど)や、バス・タクシーの運行の安全性・効率性の向上を支援することを主な目的とする運行支援システム(例:バス運行管理システム、バス運行計画支援システム、タクシーGPS-AVMシステムなど)があります。
また、貨物輸送分野では運行管理支援システム(例:リアルタイム配送管理システム、最適配車計画支援システムなど)と荷物管理支援システム(例:貨物追跡システムなど)があります。
自動車交通局では、これらのシステムの高度化を図るため、旧運輸省当時の運輸省ITS導入推進検討委員会報告を経て、平成13年度からは「ITを活用した道路運送の高度化事業」を推進しています。
バス、鉄道、タクシーといった公共機関を利用することで、不便に思うことはありませんか? ITSは最新の情報通信技術を使って、公共交通機関の利便性を高めます。例えば、利用者は公共交通の運行状況・空き状況・代替交通機関情報などを、出発前の家庭やオフィスの端末、またバス停やタクシー乗り場などの案内システムから入手できます。また、1枚のカードで、面倒な精算をしないでバスや鉄道を利用することができ、乗り継ぎが楽になります。さらに公共車両優先システムや運行管理の高度化により、安全かつ円滑な運行を実現します。
運行中のバス車両の現在位置をGPSや無線通信などを活用して把握することにより効率的な運行を実現します。また利用者の要求に応じた運行を、情報通信技術の活用により最適に行うデマンドバスシステムを推進します。
タクシーの位置、実・空車状況、目的地などを配車センターでリアルタイムに把握できるため、運行管理の高度化が図られ、効率的な運行と安全で円滑な交通環境が実現します。
家庭をはじめ、オフィス、駅、公共施設、また携帯電話からも公共交通の利用案内情報を入手することができます。バス停では設置された端末により、バスの到着時刻、座席の空き具合、他の公共交通への乗り継ぎ情報だけでなく、気象情報、ニュースなどの情報も得ることができます。
ITSは最新の情報通信技術を使って、荷主のニーズの多様化・高度化に対応し、効率的でかつ安全なトラック輸送を実現します。例えば、トラックの運行状況や道路交通情報などを収集して、トラック運送事業者に提供することで、トラックの運行管理から集配、積み替え業務など、トラック輸送の効率化を実現させます。また、デジタルタコグラフ等を活用し、より安全な運行管理を実現します。さらに、IDタグ等を利用した貨物管理により、効率的な複合一貫輸送を支援します。
ICチップを活用した識別票(IDタグ)を荷物に貼り付けることにより、荷物情報を車両情報と組み合わせて荷物位置を把握したり、乗務員の業績を電子的に把握するなどの様々なニーズに活用することができます。
車内ではカーナビゲーションシステムにより、また事務所ではGPSと無線通信などによる車両の位置把握や、車両に積載している荷物情報などから、荷主からの依頼・問い合わせに対して最適な配車を行うことができます。
デジタルタコグラフなどを活用し、高度な車両安全運行管理を行います。取得した運行情報は、自動日報作成に利用するなど、事務処理の効率化にもつながります。また、道路交通情報や気象情報の適切な取得により、交通状況に応じた適切な運行指示を行うことができます。