横切り船の航法 |
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海難審判の裁決書を読むための交通法規を解説します。
広い海の上で、船と船が近づいたとき、どのようにして、互いに避けるのだろう・・・道路も信号もないところで・・・そんな疑問を持つ方も多いと思います。
広い海の上で船と船が近づく状況は、どんな場合があるでしょうか。
「互いに真向かいに見て近づく場合」
「互いに横の方向を見て近づく場合」
「一方が後方から追いかけて、他方を追い越す場合」
「一方が止まっていて、他方が近づく場合」
いろいろな場合が考えられます。
こうしたさまざまな場合における航法は、海の交通法規の基本を定めた「海上衝突予防法」で決められています。
海の海上法規の原則は次の二つです。
「海の上では、右側通行」
「動きやすい船が、動きにくい船を避ける」
海の上では、右側通行(行会い船の航法)(横切り船の航法)
広い海の上で動いている船と船が近づく状況のうち、
「互いに真向かいに見て近づく場合」
「互いに横の方向を見て近づく場合」
の基本的な二つの場合の航法をみてみましょう。
はじめは、2隻の船が、「互いに真向かいに見て近づく場合」です。
図で見ると |
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このような場合です。
「海の上では、右側通行」の原則にあてはめれば・・・
簡単ですね。互いに右に曲げれば右側通行になります。
図で見ると |
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このようになります。 |
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◎もう少し詳しく知りたい場合は
海上衝突予防法→14条
裁決事例にみる交通法規→裁決事例2 |
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次に、2隻の船が「互いに横の方向を見て近づく場合」はどうでしょう。
図で見ると |
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このような場合です。
「海の上では、右側通行」の原則にあてはめてみてください。
前に見た、「互いに真向かいに見て近づく場合」と同じような方法はどうでしょう。
確かに互いに右に曲げれば、互いに離れる形になり、安全です。こうすると「互いに近づく」ことにならないので航法の適用はなくなります。実際の場面では、多くの場合、このように航法の適用以前に、安全な方法をとります。
あらためて、「互いに真向かいに見て」「互いに近づく」場合を見てみましょう。
海上衝突予防法では、「他の船を右に見る船は、他の船の進路を避ける。」と定めています。
「他の船を右に見る船」が避けることになります。どのように避けたらよいのでしょうか・・・
「右に曲げて相手船の後方に向ける。」方法をとります。
図で見ると |
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このようになり、右側通行になります。
「他の船を右側に見る船は、他の船の進路を避ける。」方法としては、もう一つの方法があります。「速力を落とす。(停止する)」方法です。
図で見ると |
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このようになります。 |
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◎もう少し詳しく知りたい場合は
海上衝突予防法→15条
裁決事例に見る交通法規→裁決事例1 |