住宅

定期建物賃貸借 Q&A

全般

(全般)
Q1 定期建物賃貸借契約とは、どのような契約ですか。

A1 定期建物賃貸借は、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借契約が終了する制度です。
一方で普通建物賃貸借では、正当の自由がない限り賃貸人からの更新拒絶はできません。
定期建物賃貸借では、契約期間、収益見通しが明確になり、賃貸住宅経営の事業収益性の改善や不確実性の低減に資するため、持家が賃貸とされることも含め、ファミリー向けなどの良質な賃貸住宅が供給され、ライフスタイルに応じた多様な選択肢が提供されることが期待できます。
 
Q2 定期建物賃貸借契約を締結し、その期間が満了したら、必ずその借家を出て行かなければならないのですか。

A2 定期建物賃貸借契約は、契約で定めた期間が満了することにより、確定的に契約は終了しますが、賃貸人及び賃借人の双方で合意すれば、改めて再契約をし、引き続きその借家への居住を続けることができます。
 
(定期建物賃貸借契約の締結)
Q3 定期建物賃貸借契約はどのようにして結べばよいのですか。

A3 定期建物賃貸借契約は、[1]契約期間を定め、[2]公正証書などの書面により契約を締結し、[2]賃貸人が契約書とは別に、契約の締結前に事前説明文書を賃借人に交付し事前説明を行うことが必要です
国土交通省作成の「定期賃貸住宅標準契約書平成30年3月版」をご参考ください。
 
Q4 定期建物賃貸借契約を結ぶ際に行う事前説明は、どのような書面によればよいのですか。

A 4 書面による説明義務は、賃貸人が賃借人に対して定期建物賃貸借契約であることを十分に理解してもらうために設けられたものです。したがって、具体的には、契約の更新がないこと、期間の満了により借家関係が確定的に終了すること、契約の終了年月日などを記載したものとすることが考えられます。なお、その後のトラブルとならないよう記録に残しておくことをお勧めします。
 
Q5 賃貸人の仲介をしている宅地建物取引業者が、「重要事項説明」として、「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」と同様の説明を行った場合は、賃貸人から賃借人への説明が行われたことになるのですか。

A5 「重要事項説明」は 仲介者としての宅地建物取引業者が行うものですが、これに対して、「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」は賃貸人自らが行うものであり、それぞれ説明すべき主体が異なります。したがって、「重要事項説明」を行っただけでは、「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」をしたことにはなりません。
なお、仲介者が賃貸人の代理人として「定期建物賃貸借契約を結ぶ前に書面を交付して行う説明」をすることが可能です。宅地建物取引業者として行う「重要事項説明」とは説明すべき主体が異なることに変わりはありませんから、仲介者は、それぞれの立場でそれぞれの説明を行う必要があります。
 
(賃借人からの中途解約)
Q6 賃借人から中途解約の申入れをすることはできますか。

A6 居住の用に供する建物でその床面積が200平方メートル未満のものについては、1か月前に申入れを行うことにより解約することができます。これより長い中途解約の申入れ期間を特約で設けるなど、賃借人に不利な特約は無効となります。
 
Q7 どのような場合でも、賃借人は法律上の中途解約の申入れを行うことができるのですか。

A7 法律上の中途解約の申入れを行うことが出来るのは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合です。
 
Q8 「やむを得ない事情以外の事情でも、賃借人は中途解約の申入れをすることができる」旨の特約をした場合、申入れから解約までの期間を3か月とすることはできますか。

A8 借地借家法では、定期建物賃貸借契約の場合で、やむを得ない事情があるなどの一定の要件に該当するときにだけ賃借人からの中途解約 権を認めていますが、「やむを得ない事情以外の事情でも、賃借人は中途解約の申入れをすることができる」旨の特約をすることは、賃借人にとって不利益となる内容ではありませんから、可能です。
この場合、申入れから解約までの期間を3か月としても、もともと法律で定められている内容ではありませんから、有効となります。
なお、設問のような特約をした場合でも、法律で規定される一定の要件に該当する場合は、1か月前に申入れをすることにより中途解約ができますので、注意が必要です。
 
Q9 店舗併用住宅でも、賃借人からの中途解約可能ですか。

A9 店舗併用住宅であっても、生活の本拠としているものであれば、居住の用に供されている建物であり、賃借人からの中途解約は可能です。
 
(期間の満了による賃貸借の終了)
Q10 期間が満了して、再契約をせず、賃貸借を終了する場合は、どうすればいいですか。

A10 賃貸人は賃借人に対し、期間の満了により定期建物賃貸借が終了することを通知する義務があります。通知は、契約期間が1年未満の場合は必要ありませんが、契約期間が1年以上の場合は期間満了の1年前から6か月前までの間に行う必要があります。賃借人に契約終了に関する注意を喚起し、再契約のための交渉や代わりの建物を探すための期間を確保するためです。
 
Q11 通知期間経過後に通知した場合、どうなるのですか。

A11 賃貸人が通知期間経過後に通知した場合、その通知の日から6か月間は、賃借人は建物を引き続き使用することが出来ますが、その後は、再契約が整わなければ、建物から退去することになります。
 
Q12 通知が遅れて期間満了後もその建物を引き続き利用する場合、その賃料はどうすればよいのですか。

A12 賃貸人が通知義務を怠った場合には、賃貸人は通知の日から6か月間は賃貸借が終了したと賃借人に主張できませんから、賃借人は、従前と同様に、その期間は賃料を支払うことになります。
 
 
(定期建物賃貸借契約への切替え)
Q13 平成12年3月1日前に結ばれた契約を、同日以後において合意の上解除して引き続き同じ建物について定期建物賃貸借契約を結ぶことはできないのですか。

A13 居住用の建物については当分の間、合意しても定期建物賃貸借契約を結ぶことはできません。合意解除して定期建物賃貸借契約を結んだとしても、その契約は従来の正当事由による解約制限のある借家契約となります。ただし、居住用以外の建物については、従来の借家契約を合意の上解除し、新たに定期建物賃貸借契約を結ぶことはできます。
 
 

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