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ロンドンの惨状 2

明日−社会改革への平和的進路

大業な標題であるがE.ハワードの「明日の田園都市」の初版はこうなっている。都市問題が当時の大きな社会問題であったこと、これを平和的に解決することが必要なことをうかがわせる。

ハワードは、そこで「農村と都市の結婚」という表現を用いて、都市と農村が融合した新しい生活、新しい文明、新しい希望を生むまちづくりを提唱した。決して郊外衛星都市やベッドタウン、庭園都市を提案したのではなかった。

そこでは以下に示す農村と都市の利点と欠点を指摘し、田園都市と呼ばれる「都市・農村」は、この欠点から解放され利点のみが顕在化することを示している。

都市の利点 都市の欠点 農村の利点 農村の欠点
多様な社会的機会 自然の喪失 自然の美しさ 少ない交流機会
娯楽 群集の中の孤独 ゆとりある土地 娯楽の欠乏
高賃金 通勤時間 豊かな牧草地と森 よそ者の排除
雇用機会 高家賃高物価 低家賃、安い税金 少ない雇用機会
豊富な労働力 過度の労働時間 苦汁労働がない 長時間労働、低賃金
下水の完備 水不足、水質汚濁 豊富な水 排水の欠如
整備された街路 大気汚染、煤塵 清純な空気 劣悪な住宅
優れた建築物 スラム 閑静な環境 公共精神の欠落

今からちょうど百年前の都市問題と農村問題である。驚くほど現在と共通している。百年間いったい何をやってきたのだろうか。ハワードはこの問題が解決されるように田園都市を提案したが、20世紀の我々はその期待に応えられていない。

ハワードの提案のポイントは、田園都市の採算性を極めて重視していることである。「明日の田園都市」の実に3分の1は田園都市の収入・支出について書かれている。いわゆる公益企業の考え方が全面的に採用され、今日の第3セクターとは異なった、総合的な採算性確保の方法が綿密に検討されている。安全性や公共性等も含めた地域全体としての収支バランスが考慮されていて、単なる不動産開発の金もうけではなく、長期的に社会の効用を最大にするための採算が重視されているのである。

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