わが国の現状は、政治、経済、文化等の中枢機能が東京圏*に過度に集中したことにより、様々な問題が生じています。
そして、一極集中を排除し、地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するため、国会等の移転の具体化について検討が行われています。
移転の対象と考えられているのは、国会、国会活動に関連する行政の中枢機能及び司法の中枢機能です。経済、文化等の中枢機能も含め、現在の東京が有する機能のすべてを移転しようとするものではありません。
海外に目を向けてみると、「首都」と「国会等の所在地」あるいは「首都」と「経済中心都市」の異なる事例や、過去に国会等の移転をしている事例を数多く見ることができます。
*東京圏とは概ね東京を中心とする60km圏をいいます。
第一条
国は、国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの(以下「国会等」という。)の東京圏以外の地域への移転(以下「国会等の移転」という。)の具体化に向けて積極的な検討を行う責務を有する。
(注) 色の欄は首都を示す
(資料)各種資料をもとに国土交通省国土計画局で作成
ワシントンD.C. | キャンベラ | ブラジリア |
---|---|---|
![]() アメリカ合衆国の首都 |
![]() オーストラリアの首都 |
![]() ブラジル連邦共和国の首都 |
国名 | 移転先地 | 人口(万人) | 移転の目的 | 移転年 |
---|---|---|---|---|
アメリカ合衆国 | フィラデルフィア ↓ ワシントンD.C. |
57 | 国家独立に伴い恒久的、象徴的首都を建設するため。 | 1800 |
カナダ | ケベック ↓ オタワ |
107 | 国家としての統一を象徴する、恒久的首都を建設するため。 | 1867 |
オーストラリア | メルボルン ↓ キャンベラ |
31 | イギリスからの独立に際し、シドニー、メルボルンの2大都市以外の地に連邦統合を象徴する首都を建設するため。 | 1927 |
ブラジル連邦共和国 | リオデジャネイロ ↓ ブラジリア |
204 | 内陸部高原地帯の開発促進の契機とし、国土の均衡ある発展を実現するため。 | 1960 |
ドイツ連邦共和国 | ボン ↓ ベルリン |
339 | 統一条約で首都とうたったベルリンを連邦の国会等の所在地とすることで「自由と統一の象徴」とするため。 | 1999 |
マレーシア | クアラルンプール ↓ プトラジャヤ |
33 (計画) |
クアラルンプールに点在する連邦行政機関を集約し、行政効率を高めるとともにIT政府を実現するため。 | 2005 (予定) |
(資料)各種資料をもとに国土交通省国土計画局で作成