モーダルシフト推進における最適ルート選定
従来、モーダルシフト(※1)の検討に際して、幹線輸送(※2)の輸送距離が長い程、大量輸送機関となる船舶や鉄道の利用が選択されるケースが多く、物流労働生産性が高まることが示されており(※3)、輸送対象距離として「500km以上」を目安にすることが標準でした。しかし、トラックドライバーの時間外労働上限規制(年間960時間)等により、300km程度を超える輸送距離への対応が必要になっています。また、物流分野のカーボンニュートラル推進のため、CO2排出量が少ない輸送機関への転換も求められています。
そこで、国が荷主や物流事業者と連携して、モーダルシフトを検討する際に参照できるよう、解像度の高い貨物流動の可視化や代替ルートの検索、CO2削減効果の算出などの分析・可視化を通じて、データに基づく施策の検討を推進していく必要があります。
※1:トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換すること。
※2:積み替えや流通加工を行う拠点までの比較的大ロットで輸送される輸送のこと。
※3:「物流生産性向上に資する幹線輸送の効率化方策の手引き」より(R3.7、国土交通省総合政策局物流政策課)
ファイル名 | 主なデータ項目 | データ形式 | 年次 | 範囲 | ファイル数 |
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貨物地域流動 調査データ |
(都道府県間相互) •総貨物輸送トン数 •機関別輸送トン数 •品目別総トン数 |
csv | 2017~2022 | 全国 | 6ファイル (11,520レコード) |
JR貨物輸送実績 データ |
•総貨物輸送量 •品目別輸送量 •扱い別輸送量等 |
csv | 2022~2023 | 全国 | 4ファイル (200レコード) |
内航船舶輸送統計 調査・調査票 |
•航路・船舶別輸送月 •輸送重量 •積載率 •載貨トン数 •総トン数等 ※サンプル調査 |
xlsx | 2016~2024 | 全国 | 144ファイル (84,365レコード) |
自動車輸送統計 調査・調査票 |
•保有車両数 •輸送量 •品目別輸送量 •輸送回数 •輸送区間 •走行距離等 ※サンプル調査 |
xlsx | 2016~2024 | 全国 | 240ファイル (17,948レコード) |
単位輸送量あたり 二酸化炭素の 排出量原単位 |
•運輸部門におけるCO2排出量原単位 | ― | 2022 | 全国 | ― |
NITAS (総合交通分析 システム)等 |
•NITAS等による経路探索結果(所要時間、走行距離) | res(shape) | 2022 | 全国 | 1ファイル 150レコード |
物流拠点データ | •事業者分類 •所在地 |
geojson | 2013 | 全国 | 1ファイル (154レコード) |
港湾データ | •港湾種別 •港湾コード |
geojson | 2014 | 全国 | 1ファイル (994レコード) |
①地域流動データ(車扱及びコンテナ)
発行元: 日本貨物鉄道株式会社
参考URL: https://www.jrfreight.co.jp/
②内航船舶輸送統計調査データ(統計2次利用)
発行元: 国土交通省
参考URL: https://www.mlit.go.jp/k-toukei/naikouyusoutoukei.html
③自動車輸送統計調査データ(統計2次利用)
発行元: 国土交通省
参考URL: https://www.mlit.go.jp/k-toukei/jidousya.html
④運輸部門における二酸化炭素排出量
発行元: 国土交通省総合政策局環境政策課
参考URL: https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html
⑤国土数値情報_港湾
発行元: 国土数値情報
参考URL: https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/jpgis/datalist/KsjTmplt-C02.html
⑥国土数値情報_物流拠点
発行元: 国土数値情報
参考URL: https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-P31.html
⑦NITAS(総合交通分析システム)
発行元: 国土交通省総合政策局総務課総合交通体系
参考URL: https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/sogoseisaku_soukou_tk_000055.html
モーダルシフト関連データを活用した輸送効率化検証システム
LINKS_EFTR (Efficient Transport Router) [プロトタイプ]
モーダルシフト関連データを活用した施策立案業務の効率化と品質向上を目的としたシステムです。
総合政策局情報政策課が保有する内航船舶輸送統計調査、自動車輸送統計調査や、総合政策局総務課(総合交通体系)が保有するNITASの複数モード経路検索結果、オープンデータとして公開されている地域流動データ等を組み合わせて、現状の品目ごとの輸送状態の把握と、最適条件の輸送経路の比較ができます。
1.都道府県間の貨物流動の可視化/分析機能
貨物地域流動調査データの構造化データ、都道府県間のCO2排出量データを作成することで、横断的な検索やグラフ作成ができます。
過去からの推移を比較し、モーダルシフトが促進されている地域、改善が必要な地域を可視化できます。
2.交通モード別の最適経路探索機能
2拠点間における交通モード別の最適経路について、総距離、総所要時間の視点で最適経路を分析し、それらを可視化するとともに、総CO2排出量や平均積載率等の追加情報を把握することで、輸送実態に応じたモーダルシフトの可能性(ポテンシャル)が検討できます。
国土交通省職員を対象に、有用性検証会を行いました。「モーダルシフト関連データを活用した施策立案」をテーマに、都道府県間の貨物流動の過去トレンドの可視化・分析や、交通モード別の最適経路探索の検討を想定したシステム操作を体験し、システムの使いやすさや業務への有用性について意見交換を行いました。
\ 利用者の声 /
今後、モーダルシフトの新たな施策を検討する際の優先順位付け等の段階で、補足材料にできそうです!