事業用自動車の事故削減・防止
我が国の自動車に係る交通事故の発生状況は、昭和45年(1970年)に1万6,765人と過去最悪であった交通事故死者数が令和6年(2024年)には2,663人と6分の1以下にまで減少しているものの、近年においても高齢運転者による事故や子供が犠牲となる痛ましい事故が後を絶たず、かけがえのない命を交通事故から守っていくことが重要です。 特に、事業用自動車は、乗客の生命や顧客の財産を預かる運送のプロとして、自家用自動車以上に高度な安全性が求められており、『事業用自動車総合安全プラン2025』では、事業用自動車の事故削減に向けた具体的な事故削減目標が設けられています。他方、自動車事故報告書には事故原因や再発防止対策に関する詳細な記述文等多くの情報が含まれますが、国土交通省職員が随時必要データを活用するまでに至っていない点が課題となっています。
ファイル名 | 主なデータ項目 | データ形式 | 年次 | 範囲 | ファイル数 |
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自動車事故報告規則に基づく自動車事故報告書【紙データ】 (別記様式(第3条関係):自動車事故報告書) |
・自動車の使用者の氏名又は名称 ・住所 ・発生日時 ・事故当時の天候 ・発生場所 ・当該自動車の使用の本拠の名称及び位置 ・自動車登録番号又は車両番号 ・当時の状況 ・当時の処置 ・事故の原因 ・再発防止対策 |
紙(スキャンデータ) | 2023年度 | 東京運輸支局 | 521ファイル (521レコード) |
自動車事故報告規則に基づく自動車事故報告書【電子データ】 | ・事故の種類 ・当該自動車の概要_型式 ・当該自動車の概要_許可区分 ・当該自動車の概要_種別 ・当時の状況_危険認知時の速度 ・乗務員_運転者_年齢 ・乗務員_運転者_経験年数 ・乗務員_運転者_最近出勤しなかった日から事故日までの勤務日数の合計 ・損害の程度_死亡(うち乗客) ・損害の程度_重傷(うち乗客) |
CSV(集計データ) | 2003年度~2023年度 | 全国 | 1ファイル (108685レコード) |
自動車事故報告規則に基づく自動車事故報告書【紙データ】 (別表2:運転者の健康状態に起因する事故等の調査事項) |
・事業者_氏名又は名称 ・事業等の概要_事故等の状況 ・事業等の概要_推定原因 ・当該運転者に関する事項_勤務等の状況_最近1ヶ月間の勤務状況 ・当該事業所における同種事故の発生状況(過去3年間) |
紙(スキャンデータ) | 2023年度 | 東京運輸支局 | 64ファイル (64レコード) |
自動車事故報告規則に基づく自動車事故報告書【紙データ】 (別表3:車両故障事故報告書添付票) |
・使用開始後の総走行距離 ・最近における大規模な改造_内容 ・破線又は脱落部品の名前 ・当該部品を取り付けてから事故発生までの走行キロ ・当該部品を含む装置の整備及び改造の状況1_年月日 |
紙(スキャンデータ) | 2023年度 | 東京運輸支局 | 284ファイル (284レコード) |
交通事故統計情報【電子データ】 (オープンデータ) |
・死者数 ・負傷者数 ・地点 緯度(北緯) ・地点 経度(東経) ・発生日時 年 ・発生日時 月 ・発生日時 日 ・発生日時 時 ・発生日時 分 ・路線コード ・地点コード ・当事者種別(当事者A) ・当事者種別(当事者B) |
CSV(オープンデータ) | 2022年度~2023年度 | 全国 | 2ファイル (608769レコード) |
①自動車事故報告規則に基づく自動車事故報告書(別記様式(第3条関係):自動車事故報告書)
発行元: 国土交通省
参考URL:(自動車事故報告制度) https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/report.html
参考URL:(報告様式) https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/niigata/unnsou/ziko/index.html
②自動車事故報告規則に基づく自動車事故報告書(別表2:運転者の健康状態に起因する事故等の調査事項)
発行元: 国土交通省
参考URL:(自動車事故報告制度) https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/report.html
参考URL:(報告様式) https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/niigata/unnsou/ziko/index.html
③自動車事故報告規則に基づく自動車事故報告書(別表3:車両故障事故報告書添付票)
発行元: 国土交通省
参考URL:(自動車事故報告制度) https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/report.html
参考URL:(報告様式) https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/niigata/unnsou/ziko/index.html
④交通事故統計情報
発行元: 警察庁
参考URL:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/opendata/index_opendata.html
自動車運送事業者事故に関する分析システムの開発
LINKS_EARMS (Transport Resource Analysis Transformation)
事業用自動車の安全対策に関する国土交通省における政策立案の業務効率化や品質向上を目的としたシステムです。
物流・自動車局が保有する、自動車事故報告書データ、さらに警察庁の交通事故統計情報のオープンデータなどの外部データを組み合わせて、事業用自動車の事故発生状況や事故原因・再発防止対策等の事故詳細の把握・分析などの機能を提供します。
1. 許可区分・事故種類別の事故の発生状況に関するグラフ作成機能
乗合旅客・貸切旅客・一般貨物(その他)などの許可区分、衝突・健康起因・踏切などの事故種類の項目別にグラフを作成することができ、重大事故や死亡・重傷事故の詳細な内訳や傾向等を把握するための分析に役立ちます。
2. 健康起因の事故の発生状況に関するグラフ作成機能
健康起因の事故に関する時系列推移や許可区分別の事故件数、運転者の年齢分布に関するグラフを作成することができ、健康起因での事故の傾向や運転者の特性等を把握するための分析に役立ちます。また、これらの分析結果を活用することで、事業者による運転者の健康対策に関する効果(対策による健康起因の事故減少)も把握することができます。
3. 事故の相手方の情報把握に関するグラフ作成機能
警察庁交通事故統計情報データと自動車事故報告書データを組み合わせることで(データマッチングできたものを対象)、許可区分や事故の種類別に、自転車・歩行者・物件等・乗用車などの事故の相手方の事故発生件数に関するグラフを作成することができ、運転者だけでなく事故の相手方の分析にも役立ちます。
4. 当時の状況・事故の原因のキーワード分類に関するグラフ作成機能
自由記述文である「当時の状況」をキーワード分類してデータ化することで、例えば、事故の種類が「車両故障」である事故の詳細な原因(エンジン異常、エアー異常など)に関するグラフを作成することができ、安全対策の検討に役立ちます。
5. 再発防止対策のキーワード分類に関するグラフ作成機能
再発防止対策のキーワード分類をもとに、事業者での再発防止対策を概観できます。また、過去3年間に同種事故を発生させた事業者が、どのような再発防止対策を取っていたかのグラフを作成することができ、事故を繰り返す頻度が高く、効果が限定的な対策(運転指導や周囲確認など)等の把握といった分析を行うことで、事業者への対策の工夫や拡充等の検討に役立ちます。
国土交通省職員を対象に、有用性検証会を行いました。「自動車運送事業者事故の防止に資する政策立案におけるデータ活用」をテーマに、事故報告書の分析に基づく自動車事故の発生状況の実態把握に関する分析や、事故報告書の記述文に基づく事故の詳細情報の傾向分析の分析を体験し、システムの使いやすさや業務への有用性について意見交換を行いました。
\ 利用者の声 /
これまでコンサルに委託してグラフを作成していたため、急遽グラフが必要となった場合に対応が難しいことがありましたが、グラフ作成の利便性の観点から活用が進むのではないかと思いました!
本アプリを活用することで、現状の作業フローの効率化が期待できます!担当職員の異動時の円滑な引き継ぎといった観点で、使用したデータの組合せ等は利用方法も含めて共有できると、より良いものになると思いました。