貨物輸送モーダルシフトの実態把握と経路探索機能の高度化による物流施策支援
昨年度の実証では、都道府県間のモード別・品目別貨物流動の可視化と交通モード別の最適経路探索機能を開発しました。一方で、品目数、データ期間、経路探索の発着地点が限定的であり、より詳細な物流拠点間の貨物流動の可視化が未対応といった課題が明らかになりました。
こうした課題を踏まえ、品目数を9から32種類に、データ期間を6年から10年に拡充するとともに、経路探索の対象施設を59から1,203施設に拡大することで、貨物輸送におけるモーダルシフトのより詳細な実態把握を目指しました。
LINKS VedaおよびLINKS BIを用いた実証では、「統計データを用いた地域間輸送のモーダルシフト実態把握」「経路探索機能による交通モード別最短経路の分析」「RoRo船(Roll-on Roll-off ship、船のランプウェイから直接トラックやトレーラーシャーシを積み込む荷役方式で輸送する船舶)の利用実績(積載率)に関する分析」の3つのテーマについて検証を行いました。

Project LINKSでは、専門知識がないユーザーでもデータを簡単に構造化しチャット機能や可視化アプリケーションで利用できるノーコードのシステム「LINKS Veda」および可視化ツール「LINKS BI」を開発し、行政情報の再構築を行っています。
「LINKS Veda」は、国土交通省が行政手続等を通じて保有するワードやエクセル、PDF、紙などの「非構造データ」を「構造データ」として再構築するためのソリューションです。LLM(大規模言語モデル)を用いて自然言語を解析し、非構造データから意味情報を抽出。指定されたカラムに格納することで、テーブルなどに構造化されたデータを自動生成します。
また、「LINKS BI」は、LINKS Vedaで作成したデータをそのまま投入し、チャットによる分析指示を可能とする「対話型BI」を実装することで、ユーザーが欲しいアウトプットを手軽に作成することが可能となります。

「LINKS BI」は、以下に示す機能を有しており簡単に分析結果を可視化できます。
①過去のチャット履歴…これまでに行った分析の履歴を一覧で確認
②現在のチャット履歴…現在の分析テーマに関するAIとのやり取りを表示
③チャット入力欄…AIに対して指示や質問を入力するための欄
④分析結果の表示…テーブルやグラフなどの可視化結果を表示

| 元データ名 | 貨物地域流動調査/府県相互間輸送トン数表(32品目分類) |
| データ作成方法 ・内容 | Excel形式のデータをLINKS Vedaにより構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 年度 2019 品目 穀物 モード 鉄道 出発地・到着地 ○○・△△ 府県相互輸送トン数 1500 |
| 年次 | 2014-2023年度 |
| 範囲 | 全国 |
| レコード数 | 1,300 |
| 原典情報 | 国土交通省 貨物・旅客地域流動調査 新旧情報 府県相互間輸送トン数表(32品目分類) https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-other-2_tk_000251.html |
その他のデータ
1.統計データを用いた地域間輸送のモーダルシフト実態把握
貨物地域流動調査の32品目データを用いて、東京着貨物の発地別輸送量や自動車・鉄道・船舶の分担率を地図・グラフで可視化し、OD別のモーダルシフト化率やCO2排出量の推移を把握することで、モーダルシフト推進が必要な輸送区間の特定に活用できます。

2.LINKS BI 「経路探索機能」による交通モード別最短経路の分析(総合効率化計画認定内容の検証)
総合効率化計画の認定案件情報と経路探索機能を活用し、東京着貨物についてモーダルシフトが計画されているルートを把握したうえで、時間・CO2の観点から最適な経路を分析することで、物流効率化計画の妥当性検証や協議会資料作成に活用できます。

3.RoRo船の利用実績(積載率)に関する分析
RORO船の積載率動向調査をもとに、地域別・港湾別の積載率推移をグラフ化し、港湾ODごとの流動図や低積載率航路を地図上で可視化することで、利用の偏りや改善余地のあるフェリー航路の把握に活用できます。

国土交通省職員を対象に有用性検証会を実施した結果、これまで時間を要していたデータ分析を迅速に実施できる点が高く評価されました。また、行政データの構造化・活用に特化したツールとして、信頼性と安定性の面でも優れているとの評価が得られました。


\ 利用者の声 /

統計データの分析ではExcelでの集計が大変になる場面が多く、予算等数表のようなデータ処理にこのツールを活用できる可能性を感じました。行政データの構造化に特化し、信頼性と安定性を重視している点も安心感がありました。
経路探索機能は現時点では主要な貨物ターミナルに限られるものの、認定案件情報の検索やワークフローによるデータ更新と組み合わせることで、今後の展開に期待が持てました。来年度以降にデータ統合が進めば、さらに実務で使いやすくなると感じました。
