観光統計データとDMOのKPI達成状況の可視化・分析高度化による政策立案支援
観光立国推進基本計画をはじめとする政策立案の検討において、観光3統計 (旅行・観光消費動向調査、宿泊旅行統計調査、インバウンド消費動向調査)のデータを活用し、地方と3大都市圏の比率や消費額の時系列推移等のマクロ分析を行っています。また、DMOのKPI(旅行消費額、延べ宿泊者数、来訪者満足度、リピーター率)についても、各DMOの時系列での推移や達成状況を把握することで政策立案の参考としています。そこで今年度の開発では、宿泊旅行統計調査の原票データ(各施設の住所等)をもとに、地図上にプロットし、個別の施設立地状況や各エリアの観光動向把握などミクロ分析を支援する機能や、観光3統計の集計データをもとに、マクロ分析や時系列分析を支援する機能を実装しました。これらを通じて、観光統計データの可視化や利活用を進め、観光動向の把握や施策検討の精度向上等を図ることを目指しました。
LINKS BIを用いた実証では、「国内・外国人観光客の都道府県別の消費動向把握」、「DMOのKPI目標達成状況と推移の把握」「宿泊施設の客室稼働率等の地理的分布の可視化」の3つのテーマについて検証を行いました。

Project LINKSでは、専門知識がないユーザーでもデータを簡単に構造化しチャット機能や可視化アプリケーションで利用できるノーコードのシステム「LINKS Veda」および可視化ツール「LINKS BI」を開発し、行政情報の再構築を行っています。
「LINKS Veda」は、国土交通省が行政手続等を通じて保有するワードやエクセル、PDF、紙などの「非構造データ」を「構造データ」として再構築するためのソリューションです。LLM(大規模言語モデル)を用いて自然言語を解析し、非構造データから意味情報を抽出。指定されたカラムに格納することで、テーブルなどに構造化されたデータを自動生成します。
また、「LINKS BI」は、LINKS Vedaで作成したデータをそのまま投入し、チャットによる分析指示を可能とする「対話型BI」を実装することで、ユーザーが欲しいアウトプットを手軽に作成することが可能となります。

「LINKS BI」は、以下に示す機能を有しており簡単に分析結果を可視化できます。
①過去のチャット履歴…これまでに行った分析の履歴を一覧で確認
②現在のチャット履歴…現在の分析テーマに関するAIとのやり取りを表示
③チャット入力欄…AIに対して指示や質問を入力するための欄
④分析結果の表示…テーブルやグラフなどの可視化結果を表示

| 元データ名 | 観光地域づくり法人形成・確立計画 |
| データ作成方法 ・内容 | 紙/Excel/PDF 形式のデータを LINKS・Veda により構造化 |
| データ構造化後の主な項目 | 申請区分 広域連携DMO 観光地域づくり法人の名称 一般社団法人○○ 旅行消費額目標全体2024(百万円) 900,000 旅行消費額実績全体2023(百万円) 830,000 目標数値の設定にあたっての検討の経緯及び考え方 検討の経緯 ○○県が設定している令和5年度観光目標値を記載。文化観光スポーツ部観光政策課の担当者と定期的に情報共有·意見交換を行い目標に向けた実態をモニタリング。 |
| 年次 | 2022~2024年 |
| 範囲 | 全国 |
| レコード数 | 320 |
| 原典情報 | 国土交通省観光庁 https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/dmo/ichiran/toroku_dmo.html |
| 元データ名 | 宿泊旅行統計調査(宿泊施設名簿) |
| データ作成方法 ・内容 | Excel形式のデータを LINKS・Veda により加工・整形 |
| データ構造化後の主な項目 | 宿泊施設コード 030120 宿泊施設タイプ 1 住所 〇〇県△△市□□町◇◇◇ 収容人数 300 客室数 150 |
| 年次 | 2021~2024年 |
| 範囲 | 全国 |
| レコード数 | 3,132,418 |
| 原典情報 | 国土交通省観光庁(宿泊旅行統計調査) https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html |
| 元データ名 | 宿泊旅行統計調査(旅行者個票) |
| データ作成方法 ・内容 | Excel形式のデータを LINKS・Veda により加工・整形 |
| データ構造化後の主な項目 | 宿泊施設コード 030120 宿泊目的割合(観光レクリエーション) 60 延べ宿泊者数 3,000 外国人延べ宿泊者数 1,000 利用客室数 1,500 |
| 年次 | 2021~2024年 |
| 範囲 | 全国 |
| レコード数 | 581,041 |
| 原典情報 | 国土交通省観光庁(宿泊旅行統計調査) https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html |
その他のデータ
1.国内・外国人観光客の都道府県別の消費動向把握
旅行・観光消費動向調査、宿泊旅行統計調査、インバウンド消費動向調査の観光3統計を活用し、国内・外国人観光客の消費額や地域別構成の推移を都道府県別にマクロ分析することで、観光消費の地域差や変化の傾向を把握し、観光政策や需要喚起策の検討に活用できます。

2.DMOのKPI目標達成状況と推移の把握
DMOごとのKPI達成状況や達成率の推移をグラフで可視化し、KPIの目標設定の考え方等の定性情報と照合しながら時系列変化の要因を分析することで、地域ごとの取組成果や課題を把握し、今後の施策改善や支援の検討に活用できます。

3.宿泊施設の地理的分布と客室稼働率等の可視化・分析
宿泊旅行統計調査の原票情報をもとに宿泊施設を地図上に可視化して地理的分布を把握するとともに、客室稼働率や収容率の詳細情報を分析することで、各エリアのミクロな宿泊需要や立地特性を捉え、観光施策や受入環境整備の検討に活用できます。

国土交通省職員を対象に有用性検証会を実施した結果、LINKS Veda/LINKS BIの可視化・集計機能や、対話的に条件を調整しながら分析精度を高められる点が評価された。また、観光データの分析・可視化活用への具体的な期待が示され、外部データ(文化財等のポイントデータ)との組み合わせによるGIS的な活用にも関心が寄せられました。


\ 利用者の声 /

Excelファイルのシート単位での取り込みなど、BIツールの操作性がさらに良くなると日常業務で使いやすいです。最初は指示入力に慣れが必要だが、短いチャット入力から対話でチューニングして精度を上げられる点は便利で、来年度以降も継続して活用したいです。
国内・海外別や国籍別の移動・周遊ルートを地図上で可視化してみたいです。文化財など外部のポイントデータと組み合わせたGIS的な分析にも可能性を感じました。
