日本の水資源の現状と課題
- わが国の年間の降水量は約6,600億m³ですが、そのうち約35%は蒸発散し、残りの約4,300億 m³が日本の国土で我々が最大限利用することができる理論上の量(水資源賦存量)です。実際に使用される年間の水量は、2019年の取水量ベースで、生活用水として約148億m3 、工業用水として約103億m3 、農業用水として 約533億m3 であり、その合計量は約785億m3になります。この他、養魚用水、消・流雪用水、火力発電所等用水や建築物用等として水が使用されています。使用されない水は地下水として貯えられたり、海域へ流失したりしています。
- わが国の水利用は、古代から江戸時代は稲作農業中心、江戸時代から戦前は工業用水の利用増大に伴う近代水道の整備、戦後から現在までは高度成長と人口増加による需要増大に対応するための水資源の総合的な開発により発展してきました。
- 生活用水や工業用水は、1960年代半ばから2000年頃までの間に約3倍に増加しましたが、近年生活用水の使用量は横ばい、 工業用水は回収利用が進んだため、新たに河川等から取水することが必要となる水量は少しずつ減少しています。
- わが国は世界的に見ると降水量が多く水が豊かな国ですが、河川の流量は一年を通じて変動が大きく、安定的な水利用を可能にするためにダムや堰等の水資源開発施設を建設しています。
- わが国ではこれまでにもたびたび渇水が発生し、水道水の断水や減圧給水による生活への影響、工業用水不足による工場の操業短縮や停止、農作物の成長不良や枯死などの被害が発生してきました。
- わが国の年平均地上気温はこの100年間に1.28度の割合で上昇しています。日本の年降水量には、統計的に有意な長期的変化傾向は見られないが、統計開始から1920年代半ばまでと1950年代、2010年代に多雨期がみられ、1970年代から2000年代までは年ごとの変動が比較的大きくなっています。
- わが国でダムを建設する際には、比較的降雨の少ない年を利水基準年として選定し、その年の降雨でも必要な水量を供給することが可能となるように計画されていますが、現在運用しているダムの大半は利水基準年を1956年から1975年の間に設定しています。近年渇水が頻発しており、各地で安定的な水の供給が損なわれていることが懸念されています。
- わが国の水道普及率は98%を超えていますが、近年ではミネラルウォーターの消費量増大や家庭用浄水器の普及が進むなど、安全でおいしい水に対する関心が高まっています。「安全でおいしい水」を確保するためには、水源となる河川・湖沼等の水質を改善していくことが重要です。
水についての国民の意識を把握し、今後の施策の参考とするために、世論調査を実施しております。
- 国土交通省 水管理・国土保全局 水資源部 水資源計画課
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