- 平成12年は、東海地方を中心とした9月の豪雨災害の影響等により、一般資産等被害ベースで過去最大*1の水害被害額を記録したほか、1時間に100mmを超す雨量を記録するようなゲリラ的豪雨の頻発傾向が継続。地球温暖化やヒートアイランド化による影響が懸念されているところ。
※平成11年までは確定値、平成12年は速報値であり、各年の水害被害額は平成12年価格に実質化したものである。
- また近年、年間降水量が減少傾向となっているとともに、少雨と多雨の開きが大きくなっており、渇水に対する安全性が著しく低下。
- また、三宅島噴火、鳥取県西部地震・芸予地震の発生、富士山における低周波地震等、中央〜西日本域を中心に火山・地震活動の活発化の兆候も見られているところ。
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【三宅島の噴火状況(平成12年8月)】 |
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- このような状況に的確に対応するため、厳しい財政状況の中でできる限り予算を有効活用し、21世紀の我が国が安全で安心して暮らせる国となる上で必要な防災対策を進めることが重要。
(1)うるおいある環境の創出
- 戦後の経済復興最優先の時期を経て、川は汚れ、コンクリートで固められ、そして生態系のバランスを失った。21世紀においては、20世紀の負の遺産とも言えるこのような現状を解消し、成熟した国にふさわしい品格ある良質な社会資本を整備していく必要がある。
- このため、多自然型川づくり等による美しい水辺の保全・再生、遊べる水辺や、清流の復活等の施策を推進。環の国づくりにも貢献。
【多自然型川づくり(貫川(福岡県))】 |
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施工前(平成3年) |
施工後(平成7年) |
(2)都市の再生
- 都市部の河川の多くは、切り立った矢板や三面張りの護岸で覆われ、水質の悪化の影響も受けて、街が川に背を向けて形成された。あるいは堤防が壁となり、水辺と暮らしの空間の間に遮断が起きた。
- このような水辺の都市環境を改善すると共に、地下構造の発達等により水害に対して脆弱化している都市の安全を確保するため、水辺都市再生事業(高規格堤防とまちづくりの一体的な整備)等による河畔の良好な街づくり、流域での貯留・浸透の促進も含めた総合治水対策等を推進する。
【鋼矢板三面張りの河川を自然豊かな河川へ再生(和泉川(神奈川県))】 |
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施工前(平成5年) |
施工後(平成7年) |
(3)IT革命の推進
災害発生の危険を素早くキャッチし、把握した情報を国民に素早く、広く、わかりやすく伝えるIT防災を推進する。
(4)民間需要創出、雇用創出
河畔整備や水質改善を通じたアメニティ向上により、川沿いの良質な都市基盤整備事業を誘発するとともに、多くの観光客を呼び込むといった、河川局所管事業の特徴を活かした貢献を図る。
(5)国際的貢献
世界各地での洪水や渇水の頻発、そして発展途上国における人口増加や生活水準の向上等から想定される今後の世界的な水危機を見据えて、我が国の技術と経験を活かした的確な貢献を行うため、第3回世界水フォーラムに向けて戦略的な対応を展開。
出典:ベルギー・ルーバン大学災害疫学研究センター(CRED)
国際災害データベース(http://www.cred.be)
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