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河川局

平成16年度河川局関係予算概要

(参考資料)
3.森林の水源涵養機能について

 わが国の森林面積は国土面積の約7割を占め、過去100年間で大きな変化はなく、その比率は、欧米に比べ高い。こうした豊かな森林が存在しているにもかかわらず洪水や渇水が頻発している。
 森林の洪水緩和機能については、中小洪水に一定の効果を有するものの、治水計画の対象となるような大雨の際には、森林域からも降雨はほとんど流出する(昨夏の北海道における台風第10号による豪雨時のように、樹木を巻き込んだ山崩れが発生するような場合には、森林の洪水緩和機能は望むべくもない)。
 一方、水利用の観点からは、森林の増加は樹木からの蒸発散量を増加させ、むしろ、渇水時には河川への流出量を減少させる場合がある。
 日本学術会議※答申(平成13年11月)においても、森林の多面的な機能を評価する一方で、以下のとおり、森林の水源涵養機能(洪水緩和機能等)の限界についても指摘している。

大規模な洪水では、洪水がピークに達する前に流域が流出に関して飽和に近い状態になるので、このような場合、ピーク流量の低減効果は大きくは期待できない。
森林は中小洪水においては洪水緩和機能を発揮するが、大洪水においては顕著な効果は期待できない。
流況曲線上の渇水流量に近い流況では(すなわち、無降雨日が長く続くと)、地域や年降水量にもよるが、河川流量はかえって減少する場合がある。このようなことが起こるのは、森林の樹冠部の蒸発散作用により、森林自身がかなりの水を消費するからである。
あくまで森林の存在を前提にした上で治水・利水計画は策定されており、森林とダムの両方の機能が相まってはじめて目標とする治水・利水安全度が確保されることになる。
日本学術会議答申(平成13年11月)抜粋

図-1 森林面積率の国際比較
出典:「世界の統計1996年版」(総務庁統計局)をもとに作成

図-1 森林面積率の国際比較


図-2 国土利用の変化
出典:アトラス 日本列島の環境変化

図-2 国土利用の変化


図-3 降雨量と流出量(相俣(あいまた)ダム流域観測結果)

図-3 降雨量と流出量(相俣(あいまた)ダム流域観測結果)


図-4 森林の成長に伴う流出量の変化

図-4 森林の成長に伴う流出量の変化


日本学術会議:人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関
昭和24年に内閣総理大臣の所轄下に「特別の機関」として設置され、中央省庁再編に伴い、総務省に設置


〈昨夏の北海道における流木災害について〉
 平成15年8月の台風第10号により北海道日高地方では総雨量350o以上の豪雨となった。各所で樹木を巻き込んだ山崩れが発生し、沙流川(さるがわ)や厚別川(あつべつがわ)においては大量の流木により被害が拡大した。(写真-1写真-2
 しかしながら、沙流川の二風谷(にぶたに)ダム下流については、同ダムにより多くの流木が捕捉されたことにより、同ダム上流域やダムのない厚別川と比して、被害が大幅に軽減された。(写真-3写真-4

図-5 沙流川及び厚別川周辺図
図-5 沙流川及び厚別川周辺図



写真-1 道路橋に引っかかった流木(沙流川上流)
写真-1 道路橋に引っかかった流木(沙流川上流)

写真-2 流木により被災した家屋(厚別川)
写真-2 流木により被災した家屋(厚別川)

写真-3 二風谷ダムで流木を捕捉
写真-3 二風谷ダムで流木を捕捉

写真-4 二風谷ダムに貯留された流木
写真-4 二風谷ダムに貯留された流木

4.直轄・補助別事業費国費総括表 (PDF 116KB)
5.国土交通省政策評価基本計画に基づく政策目標毎の予算 (PDF 122KB)


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