4.今後とるべき具体的方策
そもそも我が国においては、欧米ほどの市民団体等の活動の歴史がなく、行政側の対応体制も全くといっていいほど確立されていない。したがって、今後、将来に向けて徐々にかつ具体的に連携が進展することが重要であるが、このためには、現在でも実施が可能なことについては着実に実行するべきであり、実施例がないものについては、まず実験的に実施し、状況をフォローアップしながら、連携内容を充実させることが重要である。 今後、具体的には以下のような方策を講じるべきであるが、将来的には新たな方策も含め、さらに幅広に講じていくべきである。 |
||
(1)連携のためのシステムづくり |
||
1)市民団体等からの連携計画の提案制度の導入 | ||
河川における連携が広範に普及していくための第一歩として、全国の各河川を対象として連携のための計画を公募する。これらの中から、実現の可能性等を踏まえ、数例についてモデル的に実施する。 |
||
2)評価システムの導入 | ||
連携が具体的に進展するためには、連携の過程及び成果について評価を行い、次の段階に反映させることが、特に実験的な連携をはじめとして全般的に必要であり、このためのシステムの導入が図られるべきである。 |
||
3)取り決め、ルールの確立 | ||
連携の形態としては、共同作業によるものと、委託によるものに大別される。前者については、市民団体等と行政の双方が責任をもってその役割を確実に果たすことができるよう、お互いの責任と役割分担を明らかにする取り決めを設けることが必要である。後者に関しては、必要に応じて、適切な費用負担がなされるべきであり、その際、契約形態等に応じ、適切な実行性を有する市民団体等と公平に連携を行うためのルールを設けることが必要である。 |
||
4)自主管理型委託システムの導入 | ||
アンケート調査や広報活動等の委託において、行政は委託の成果としてどのようなことを求めているかということのみを示すこととし、市民団体等が自主的に企画立案から運営を行い、成果を出すといったシステムを導入し、後述の具体的連携内容のうち可能なものについて実行すべきである。 |
||
5)企業等とも連携したグランドワーク方式の導入 | ||
行政が活動のためのフィールドや情報等を、企業が社会貢献の一環として連携活動のための資金を提供し、これらを基に市民団体等が例えば一定区域の植栽管理を行うといった、三者の連携によるグランドワーク方式を実験的に導入する。
|
||
6)市民活動等のコーディネーターを養成する仕組みの導入 | ||
草刈りや清掃活動等の維持管理活動が広範に普及するためには、そのコーディネーターが必要であるため、市民団体等が中心となり、行政とも連携しつつ研修プログラムを確立する等により、コーディネーターを養成する仕組みを導入する。 |
||
7)専門的知識・経験を活かすための人材バンク等のシステムの整備 | ||
市民団体等と行政が協力して、環境のモニタリング、危険行為の監視、河川における安全な遊びの誘導等を行う者を登録する制度を設ける。特に行政権限に密接に関わることについては、責任の問題や実効性についても検討する。 |