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河川局

河川審議会管理部会
「市民団体等との連携について」に関するコメント
2000年3月2日
専門委員/横山 隆一(日本自然保護協会)

先日の会議では時間がなく意見が申し上げられませんでしたので、今回発言する際の時間節約の意味も合わせ、メモでコメントをまとめました。審議のご参考になれば幸いです。

  1. 審議に参加するにあたり、各地で川に関わって具体的な自然観察や自然保護の活動を進めるNGOに参加する個人に、「市民団体等との連携」という言葉についての印象をヒアリングしました。その意見も踏えたこの言葉に対する私の受け止めですが…
    • 「連携」ということを、広い意味での団体間のコミュニケーションをとるという意味に使っていくならば、歓迎であると共にむしろ協力しなければならないと思えること。また行政機関としても、やらざるをえない社会状況があると思う。
    • 前回の話題に出ていた何かに関する「協定」というものも、そのようなコミュニケーションが深められた結果、成立していくのであれば望ましいと思う。
    • 仮に連携ということが行政に従属的なものになることを意味したり、あるいは逆に特定の市民団体に現場の行政機関が従属的なものになるとしたら、前回他の委員のご発言にもあった「反対派vs 楽しみ派」、あるいは「従属派vs 独立派」と見えるような市民団体の未成熟さ、あるいはその未成熟さを利用するような安易な行政の働きかけを、助長するものにもなりかねないと思う。

  2. 検討にあたっての注意点と思われるのは、「市民団体等との連携」とは実際には極めていろいろな考えの人たちがいるため、手間暇がかかり一筋縄ではいかないという基本認識のもとで、施策や体制が考えられていく必要があることと思うこと。そのためには、前回頂いた資料にはある種の優良事例がのせられていたが、むしろこれまでの失敗(コミュニケーション不全の意)と思われる事例を徹底して研究することの方が、インターフェイスになる個々の職員や団体のとりまとめ役となる個人にとってはるかに有益な援助になるのではないか。また、前回の資料に採用された事例の、どこが良いと思われたのかも分析されるとよいと思う。またその際、良い悪いの評価基準をどう置いているのかは、連携を表明する前に点検しておく必要を感じる。

  3. 前回出ていた、アンケート資料において「コーディネーター」の存在について注目度の低さが意外というご意見には、全く同感に思った。ただ、コーディネーターの存在が成功の大きな鍵であるという実感を持つのは、共同で乗り越える壁がかなり高い時であると私は考えており、このアンケートに出てこないのは、拾われた事例ないしは、川におけるこのアンケートに拾われた一般的な市民団体の活動は、失礼ながらこのような役割が重要な位置を占めなくてもできてしまう程度の内容だったということなのではないか。

  4. 「連携」は、市民との直接の合意形成の一つの手段と考え、粗削りなアイディアないしは、これまでの思想で進んできた既存の施策をあらためて根本から考えその行く先を相談したり、試しに何か実験的に行動してみたり、というようなこととして位置づけてはいかがか。これをする主体には、どちらにも内外両方の社会的責任が生じるが、開始時にある種の覚悟をもって取り組むことが双方了解されていれば、十分成立するのではないかと思う。すぐに思わしい成果を出そうと急ぐのではなく、まず本格的な、世間の批判的な目にも耐えうる「コミュニケーションの実践例」を生み出すことを目標にされることが重要なのではないか。

  5. このことがもし目標になるのであれば、「コーディネーターとしての人材」の確保は、行政機関にも市民団体にとっても最重要課題になると思う。そこでは、この人たちの適切な位置づけ、心理学を中心とする(経験的に、これは不可欠と思われる)トレーニングの方法、ディベートの進行ノウハウ、またその人たちが失敗を恐れず積極的になれる環境づくりや、個人の忍耐強さだけでは処理できない状況になった時のバックアップシステムの用意などが具体的な方策として必要になるのではないかと思う。

以上

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