1.概要 |
○ 平成13年2月5日(月)(13:00〜15:00)に、「第6回高潮防災情報等のあり方研究会」(座長:河田惠昭京都大学巨大災害センター所長)が開催された。
○議題は以下のとおり
(1)湾形状と高潮発生特性について
(2)高潮ハザードマップの作成について
(3)地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル(案)について
(4)高潮広報資料(ホームページ(案))について
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2.議事概要 |
各議題の概要及び委員からの主な意見は以下のとおり。
(1)湾形状と高潮発生特性について
全国の海岸における50年確率での波浪発生を算定するとともに、高潮潮位偏差について、水深、海底勾配及び湾形状の分類から、傾向を分析した。 |
(主な意見)
・本結果を『地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル』に
反映させる場合には、前提条件(波浪算定方法等)や精度をはっきりと明記する必要がある。
・各地域の海岸がどの湾の形状に分類されるのかをわかりやすくする必要がある。
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(2)高潮ハザードマップの作成について
高潮ハザードマップを地域で作成する際の手順や作成時の留意事項について説明したほか、モデル地域での取り組みについて報告した。 |
(主な意見)
・避難時の住民の避難行動にも影響を及ぼすことからも、ハザード
マップには浸水到達時間など時間的ファクターを取り入れる必要がある。
・過去の災害時にとった対策や、二線堤や神社・防備林など、防災に
役立つ項目もハザードマップに示すべき。
・住民が常に高潮に対する危機意識をもつことが出来るように
ハザードマップの活用を工夫するべき。
・住民、企業、行政などがそれぞれの役割を明確にした上で、
総合的に連携した防災対策「パートナーシップの防災対策」を
基本として明示すべき。
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(3)地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル(案)について
地方公共団体が高潮対策を充実・強化することを目的として、ソフト面での対策を中心に、高潮防災施設、地域づくり、防災体制の3つの観点から防災対策を示した
『地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル(案)』について提案した。 |
(主な意見)
・平時や高潮発生時のみの対策だけでなく、台風接近に伴い、
高潮の発生が見込まれる時の対策も重要。。
・海岸堤防と排水樋管等の関連施設との連続性を図るとともに、
関連施設の老朽化の点検についての重要性を示すべき。
・津波等の災害の際に水門等の高潮防災施設をどのように
運用すべきかを検討しておく必要がある。
・高潮防災計画を策定する上で設定する対象高潮に関し、
既往最大の台風のみでなく、将来的には確率的な視点も
取り入れることについて検討するべき。
・過去に講じた災害対策について地域が十分に認識しておく
必要があることを示すべき。
・周辺状況の変化に応じて、随時、高潮防災計画の見直しを
図る必要があることを明記すべき。
・避難勧告等を市町村が適確に行うため、将来的には津波のように
量的な判断基準を示すべきではないか。
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(4)高潮広報資料(ホームページ(案))について
高潮発生のメカニズム、主要な高潮災害、高潮情報とその利用方法などを盛り込んだ高潮広報資料としてのホームページ(案)について報告した。 |
(主な意見)
・高潮情報に関する総合的なホームページを
初めてまとめたことは意義がある。
・地域の特性に応じたホームページを地域毎に作成することが重要。
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3.まとめ |
今回が最終の研究会であることを踏まえ、河田座長より、本研究会のまとめが以下の通り行われた。
- 高潮広報用パンフレット「高潮災害とその対策」が平成12年9月に作成・配布された。また、平成12年秋から、より定量的に、きめ細かく、わかりやすい表現の高潮予測が行えるようになった。さらに、海岸保全施設の制御や海象データの監視を一元的に行い、高潮等の情報を海岸利用者に伝達することを目的として『高潮防災ステーション』が平成13年度から制度化されることとなった。
- 『地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル(案)』や高潮広報ホームページ(案)について、地方公共団体に幅広く活用されるよう早急に取りまとめる。
- 本研究会の議論を踏まえて、より詳細な技術的検討(特にハザードマップの作成手法)についてさらなる検討をおこなう。
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4.今後の予定 |
- 『地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル』を今年度内にまとめ・公表するとともに、関係地方公共団体及び関係機関に配布する。
- 高潮広報ホームページを今年度内に国土交通省河川局ホームページにて掲載する。また、他の関係機関についても、それぞれのホームページからリンクする予定。
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