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記者発表

財団法人日本自然保護協会の「熊本県球磨川支流川辺川・川辺川ダム予定地域における大型アユ生育環境の評価とダム計画の見直しに関する意見書」について


平成13年3月9日
国土交通省河川局

 

平成13年3月6日に財団法人日本自然保護協会から、「熊本県球磨川支流川辺川・川辺川ダム予定地における大型アユ生育環境の評価とダム計画の見直しに関する意見書」(以下、意見書という。)が国土交通大臣に提出されましたが、これに対する当方の見解は別紙のとおりです。

1.ダムの建設による水温への影響について

選択取水施設、清水バイパスの対策を講じることにより、ダム放流水の水温は現状と大差がないものとなります。

 意見書P2.13行目に「この報告には3℃の水温低下が予測されるとあるため、現状のアユの生育環境は悪化することとなる」とありますが、これは川辺川ダムにおいて水質保全対策を施さない場合の記述です(報告書※)の中で「ダム地点下流永江橋地点の現況の水温に比べ、1月〜8月の期間は、放流水の水温は低く、その差は最大で3℃弱であり」※)と記述)。
 川辺川ダムでは選択取水設備、清水バイパスの水質保全対策を講じ、水温変化を極力軽減するよう配慮した運用を行う計画としています※)。
 これらの対策が講じられると、水温変化現象を軽減することができると予測しています(下図及び報告書※)参照)。

※)川辺川ダム事業における環境保全への取り組み
(平成12年6月 建設省九州地方建設局川辺川工事事務所)

グラフ:月平均水温の予測結果

資料)報告書※)をもとに作成

 

2.アユの魚体の大きさの比較について

川辺川のアユの魚体の大きさについて、球磨川上流、球磨川下流のアユと有意な差があるかどうかを検定した結果、川辺川のアユが大きいという傾向は見られませんでした。

 建設省が昭和61年、62年、平成元年に実施したアユの魚体調査結果(個体数1020)をもとに、球磨川上流(球磨川と川辺川の合流点より上流の球磨川)、球磨川下流(球磨川と川辺川の合流点より下流の球磨川)及び川辺川のアユの体長、体高、体重、肥満度等について有意な差があるかどうかの検定を実施しました(表1)。
 各年のほぼ同一時期で比較すると、各河川域でのアユの大小関係は年によって異なること(下表及び添付資料3参照)、また、同一年の各時期について見ても、各河川域でのアユの大小関係は時期ごとに変化することがわかります(下表及び添付資料3参照)。
 川辺川のアユが大きいという傾向は見られませんでした。

表:有意差検定結果

グラフ:年毎のアユの大小関係

 

3.川辺川ダム事業における環境保全への取り組みについて

川辺川ダムでは、実質的に環境影響評価法に基づく環境アセスメントと同等の調査を実施しており、調査結果についても公表しています。

 川辺川ダム事業においては、昭和51年度より川辺川ダムの湛水予定区域とその周辺区域などにおける動植物の生息・生育環境、水環境等の調査、保全対策の検討を継続的に行っています。
 平成5年には動植物や水質の専門家からなる「川辺川ダム環境保全・創造に関する検討委員会」を設置し、委員会の指導を受けながら、生態系への配慮などについて最新の知見に基づき検討を進めています。特に、クマタカ、九折瀬洞については、平成11年1月に「川辺川ダム周辺猛禽類検討会」、平成12年1月には「九折瀬洞保全対策検討会」を設置し、専門家の指導を受けながら、詳細な調査、保全対策の検討を行っています。これらの成果を計画・設計に反映させるとともに、環境保全対策を実施するにあたっては、ダム工事現場に全国ではじめての「環境巡視員」を平成5年度より配置し、工事予定箇所の事前調査や施工者等へきめ細かい指導等積極的に環境保全対策を行いながら事業を進めています。
 これらの取り組みについては、環境影響評価法に基づき示された環境影響評価の標準項目を踏まえ、「川辺川ダム事業における環境保全への取り組み」として公表するとともに、事業説明会、インターネット、折り込みチラシの配布等を通じ地元住民の方々に広く情報提供し、ご意見を伺いながら進めているところです。

 

4.継続的な調査の実施と結果の公表

ダム完成前、完成後の川辺川の水温、水質、アユの魚体に関する調査等を継続的に実施し、結果を公表していくこととしております

 球磨川、川辺川における水質、水温や、アユの魚体調査を含む魚族に関する調査については、これまでも実施してきたところですが、今後とも川辺川ダムに係る環境調査の一環としてこれらの調査を継続していくとともに、ダム供用後においても継続的にモニタリングを実施し、結果を公表していくこととしております。

添付資料
添付資料1 熊本県球磨川支流川辺川・川辺川ダム予定地域における大型アユ生育環境の評価とダム計画の見直しに関する意見書
      (2001年2月26日 財団法人 日本自然保護協会)
添付資料2 川辺川ダム事業における環境保全への取り組み(抜粋)
      (平成12年6月 建設省九州地方建設局川辺川工事事務所)
添付資料3 球磨川・川辺川におけるアユの魚体の有意差検定の結果について
      (平成13年3月9日 国土交通省九州地方整備局川辺川工事事務所)

 


問い合わせ先

国土交通省 河川局 河川環境課
 課長補佐 佐藤 寿延 TEL:03-5253-8111(内線35422)
国土交通省 河川局 治水課 事業監理室
 課長補佐 藤兼 雅和 TEL:03-5253-8111(内線35682)
国土交通省 九州地方整備局 川辺川工事事務所
 調査設計課長 川崎 将生 TEL:0966-23-3174


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