1.研究会設立の趣旨及び経緯
平成11年9月の台風18号の襲来に伴い、八代海及び周防灘を中心に甚大な被害が発生しました。とりわけ熊本県不知火町松合地区においては、高潮により12名が死亡するなど甚大な被害を受け、高潮被害の深刻さを再認識させられました。
このため、高潮に関係する6府省庁が連携し、平成12年2月には、「高潮防災情報等のあり方研究会(座長:河田惠昭 京都大学巨大災害センター所長)」を設置し、6回にわたり研究会を開催し、高潮対策の強化に関しソフト面の対策を中心に検討を行ってきました(開催経緯は別紙−1参照)。この間、9月1日には、「高潮災害とその対策」に関するパンフレットを全国で配布したほか、秋には高潮予測情報の改善を図りました。また、平成13年度予算から、高潮防災ステーションの整備を実施できるよう、制度を改正しました。
今回、最終報告をとりまとめる中、新たに研究会から以下の2点が報告されました。
・「地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル」の策定
・「高潮防災のための情報」を盛り込んだCDとホームページの作成
これを受けて、6府省庁ではこのマニュアル及び「高潮防災のための情報」を盛り込んだCDを、海に面する都道府県・市町村に幅広く配布するとともに、「高潮防災のための情報」を盛り込んだホームページを公開することとしました。
2.高潮対策として初めての強化マニュアルの策定
各地域では、災害対策基本法に基づいた地域防災計画を策定し、各種災害への対処を行うこととなっています。しかしながら、高潮は、頻繁に発生する現象ではないことや、即地的な予測が困難であることなど、特異な性質を有することから、高潮災害については十分な対策が地域防災計画に盛り込まれていないのが現状でした。
このため、高潮に係る防災計画の基本方針並びに策定手順、高潮防災対策の基本的な考え方を取りまとめることにより、地域防災計画における高潮対策の強化に資することを目的として「地域防災計画における高潮対策の強化マニュアル」を初めて作成しました(別紙−2参照)。本マニュアルでは、高潮対策は次の3つの柱からなります。
【1】高潮防災施設の整備(高潮防災施設の整備、施設の連携整備など)
【2】高潮に強い地域づくり(土地利用規制のための制度の活用など)
【3】防災体制の強化(防災体制の整備、ハザードマップの作成など)
中でも、高潮ハザードマップの作成が意識の啓発や高潮発生時の避難に効果的であるとの趣旨から、今回初めて、地域で高潮ハザードマップを作成する際の手順等を本マニュアルに盛り込んでいます。この中では、次の項目が記載されています。
・ハザードマップ作成の手続き
・ハザードマップ記載事項(避難活用情報、災害学習情報)
・危険度の評価(最大浸水深、浸水最短到達時間) 等
3.全国で初めての「高潮防災のための情報」を盛り込んだCDとホームページの作成
高潮現象や発生時の警戒・避難など、住民への知識の啓発は効果的な高潮対策を行う上で必須です。このため、高潮に関する情報をとりまとめ、国土交通省河川局のホームページにおいて公開することとしました。また、他の関係機関についても、それぞれのホームページからリンクすることとしています。
(アドレス:http//www.mlit.go.jp/river/kaigandukuri/sugata_index.html)
本ホームページは、高潮発生原因や地形による発生特性、高潮発生時の対処方法や避難方法などをわかりやすく紹介しているもので、一般向けと子供向け(Q&A版)に分かれています。(別紙−3参照)。
4.今後の高潮対策への活用について
マニュアルについては、全国の海に面する都道府県、市町村へ年度内に配布するほか、「高潮防災のための情報」を盛り込んだCDも合わせて配布し、各市町村で役立てて頂く予定です。
また、高潮に関するハザードマップについても、現在、一部の地域で試行的に作成に取り組んでいますが、今後は他の地域においても、地域の方の意見も取り入れながら、条件が整ったところから順次作成を進めていく予定です。
別紙−1:高潮防災情報等のあり方研究会 開催経緯
別紙−2:地域防災計画における高潮対策の強化マニュアルのポイント
別紙−3:「高潮防災のための情報」を盛り込んだCD(一部抜粋)
|